☩「Sinodalityの重要性を再認識した公会議決定の完全な実践にあと40年必要」

 教皇フランシスコがベルギーのカトリック系週刊誌「テルティオ」のインタビューに答えられた内容が28日発表された。。

 それによると、同誌のヴァン・リエルデ編集長が、教皇と第二バチカン公会議の関係について質問。「あなたの在位期を理解する鍵は、第二バチカン公会議にあるのではないか。同公会議の内容の実践を推進しようとするのは、どうしてですか」と聞いた。

 これに対して、教皇はまず、「歴史家たちによれば、一つの公会議の決定が完全に効力を表し、それが実践されるまで一世紀かかると言われています。私たちがそこに至るまで、今からさらに40年が必要です」と前置きされたうえで、「第二バチカン公会議がもたらしたものは、教会の刷新だけではありません。『教会を常に生き生きしたものにする』という挑戦でした」と強調。

 さらに「公会議は教会を新たにするのではなく、若返らせるのです。教会は常に前進する母です。第二バチカン公会議は、教会が時代のしるしと共にさらに成熟するための扉を開きました」とされ、「たとえば、『教会憲章』は、最も伝統的な公文書であると同時に、最も近代的なものでもあります。『教会』という仕組みの中で、伝統は常に新しい。なぜなら、『伝統』とは常に発展、成長していくものだからです」と語られた。

 また「第二バチカン公会議の内容の適用と実践には、sinodality(共働性)の促進も含まれていると思いますが」の問いに、教皇は「パウロ6世は、公会議の終わりに、東方典礼カトリック教会がsinodal(共働的)側面を保つ一方で西方教会がそれをほとんど失ってしまったことに衝撃を受けられた。そして、シノドス事務局の設立を決め、教会に新しいsinodalityを推進しようとされました」と述べ、「第二バチカン公会議がsinodality(共働性)の重要さを再認識する契機」となったことを指摘された。

 続いて、リエルデ編集長が「ベルギーの教会では、聖職者の数も、信徒の数も減少しています。教会の指導者たちは典礼と福音宣教に焦点をあてる傾向がありますが、今、教会が注目されるためには、社会的・預言的面に注力すべきではないでしょうか」と聞いたのに対して、教皇は「それらは互いに矛盾するものではありません。祈りと礼拝と信心業は、”香部屋に引きこもる”ことを意味しない。ミサを捧げない教会は、教会ではない。しかし、”香部屋に身を隠す教会”も、教会とは言えません」と解答。

 さらに、「ミサには、その後にもたらされるものがあります。ミサでパンを裂きますが、それは『社会的義務を果たし、他者の世話をする』よう促します。祈りと仕事、神の礼拝と兄弟姉妹への奉仕は並行するもの。すべての兄弟姉妹の中に、私たちはイエス・キリストを見るからです」と語られた。

 「新自由主義的経済モデルは、限界に達したように思われるが、それに代わるものはあるのか」という問いには、「経済は、”社会的な経済”でなくてはなりません。市場経済に『社会的』という言葉を加えたのは、ヨハネ・パウロ2世でした」とされたうえで、「現在の経済危機は深刻。世界の多くの人が、食べるためにも、生きるためにも事欠いている。豊かさは大企業を動かす一部の人々の手の中にあり、これらの企業は時として人々を搾取する傾向にある。経済は、常に社会に奉仕するもの、社会的なものであるべきです」と述べられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年3月1日