・教皇、醜聞にまみれたインドの司教の辞表を受理、だが聖職者としての活動に制限はない?(CRUX)

(2024.1.15 Crux  Contributor  Nirmala Carvalho)

   ムンバイ発 -バチカン広報は13日、インド南部マイソールで性的不法行為、汚職など複数の罪で告発されているカンニカダス・アンソニー・ウィリアム司教(58)の辞表を教皇フランシスコが受理された、と発表した。

 インド・カトリック司教協議会のフェリックス・アンソニー・マチャド事務局長(大司教)も同日声明を発表、「教区の悲惨な状況を考慮し、司牧的理由から、ウイリアムの辞任を受け入れた」と述べている。

 マイソール教区は、インド第三の大都市、バンガロールの郊外に位置し、 約80の小教区に約11万3000人の信徒がいる。ウイリアムはここで6年間司教を務めていた。バチカンが司教辞任を発表した13日には、ミサの最中だったが、信徒たちに、自分は教区から離れる形での「医療休暇」を(バチカンに)求めている、と語っていたという。

 マイソール教区の37人の司祭のグループは2019年に、バチカンに、少なくとも4人の愛人を持ち、子供まで倦ませており、汚職がらみの政治家や官僚、警察関係者とも強いつながりをもち、組織犯罪と結びついていた、として、バチカンにウィリアムの司教辞任を求める書簡を送付。他の告発と相まって、バチカンの指示を受けたインドの高位聖職者3人による2021年2月からの調査につながった。

 さらにこの後、司祭22人を含む113人で構成する「Save Mysore Diocese Action Committee(マイソールを救う行動委員会)」が、バチカン福音宣教省のアントニオ・タグレ副長官に、ウィリアムの辞任を求める書簡を送った。

 またマイソール教区のグナナ・プラカシュ神父も2022年7月に、インド駐在のバチカン大使に書簡を送り、2019年にバチカンに送ったウィリアム告発の書簡に署名した37人のうちの4人が不審死を遂げていることにウイリアムが関わっていること、性的暴行、非生殖器性交、横領の罪を犯していることを訴えている。

 こうした中で、2022年8月に、インドの最上位高位聖職者のオズワルド・グラシアス枢機卿(ムンバイ大司教)がウィリアムと(彼がもうけたとされる子供についての)親子鑑定についての会話の記録が明らかになり、枢機卿は「記録は編集・加工されたもの。私はウイリアムに検査を受けるよう勧めたが、その結果に影響を与えるようなことを彼に提案したことは絶対にない」と、この醜聞の隠ぺいに関わっていない旨の釈明を余儀なくされた。

 これらの告発、訴えに対して、ウィリアム本人は当初から全面否定を続けており、教区には一定の支持者がいる。   1月9日、マイソールのコミュニティリーダーのグループが、ウィリアム告発に加わった何人かの司祭が彼を殺害する陰謀を企んでいる、とし、彼らの司祭職はく奪などを要求するとともに、ウィリアムの消息を明確にするよう求めた。

 グループの代表は、「我々はウィリアムにここ(マイソール)にいて欲しい。彼はマイソールの教会指導者だ」と主張。さらに、2021年にバチカンの指示で実施された調査で機密漏洩の疑いがある、調査チームのメンバーの1人がウィリアムに罪を着せるために情報を漏洩した、とも述べている。

 13日のバチカンの発表も、インド司教協議会の声明も、ウィリアムの今後の扱いについて明確にしていないが、司教協議会のマチャド事務局長は、ウィリアムの肩書は「前マイヨール司教」であり、聖職者としての活動には何も制限がない、つまりミサを司式することも、他の秘跡を行うこともできる、と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2024年1月16日

・コートジボワールの司教が「妻子連れの司祭」や「性的虐待司祭」の告発を信徒たちに要請(CRUX)

(2024.1.8 Crux  Africa Correspondent  Ngala Killian Chimtom)

 

Ivory Coast bishop urges laity to report priests with wives and children

 緊急書簡を出したのは、コートジボワール共和国のトンキピ州の州都マンを中心としたカトリック・マン教区のガスパール・ベビ・グネバ司教。全教区民あての書簡を送るとともに、地元のカトリック・ラジオ局で書簡を朗読した。

 べビ・グネバ司教は書簡で 「司祭が独身に忠実ではないこと、妻や子供をもっていること、性的虐待や経済犯罪を犯したことを知っている信徒は、司教に告発する勇気を持たなければなりません。さもなければ、司祭は神の前に共犯の罪を犯すことになります」とし、 「教皇は、このような聖職者に対して、寛容の姿勢はお取りになりません」と訴えた。

 そして、妻や子供を持つすべての司祭に対し、彼らの幸せに専念するために聖職を離れるよう求め、 「できるだけ早く私に会いに来て、辞意を表明しなければならない」と強調。そうした司祭たちが「司祭の禁欲が任意であるかのような印象」を与えていることに遺憾を表明した。

  カトリックの司祭が誓約に反して妻子をもつことの問題は、長年にわたって強いタブー視されてきたが、アフリカの教会当局が対応を試みたのは今回が初めてではない。2009年当時、バチカンの福音宣教省長官だったロバート・サラ・ギニア大司教が実施した調査で、中央アフリカ共和国の高位聖職者が教区施設で妻子と暮らしていたことが発覚して辞任に追い込まれた。

  最近では2020年3月に、コンゴ民主共和国の司教協議会が、各司教あての文書で、妻子を持つ司祭に対し、聖職の自主的な離脱を求めるよう要請した。文書では、 「親の子供に対する権利と義務、子供たちの親に対する権利と義務、そして、家庭における父親としての役割と、社会における奉仕や司祭の生活を両立することが困難であることを考慮し、私たちは子どもを持つすべての司祭に対し、(子どもに)完全に献身し、そのために教皇に対しt、司祭としての義務の免除を求めるよう求めることが必要」としている。

 前年の 2019年、バチカンの聖職者省が、妻子を持つ司祭に関する非公式の内部ガイドラインの存在を認めた。これは、もともとカトリック司祭の子弟で、 世界中の司祭の子や孫の利益保護を目的とする団体「Coping International」の創設者でもあるアイルランド人の信徒、ビンセント・ドイル氏が公けにしたもの。

 この問題に詳しい 批評家は「教会は妻子を持つ司祭たちの現実に十分に対処できておらず、問題を隠蔽する傾向が強い」と批判。 ドイル氏は最近のインタビューで、「バチカンはこの問題への対処でもたつき、私たちを”目に見えない存在”、”目に見えない子供”扱いしてきた」と語っている。

  総人口3000万人のうち約2割をカトリック教徒が占めるコートジボワール共和国が、妻子を持つ司祭に関して特別な課題に直面しているという兆候はない。 だが、この国の司教たちは一般に、性道徳の問題に関して伝統的な立場をとっていることで知られており、同国の司教協議会は最近、同性カップルの祝福を条件付きで認めるバチカンの宣言「 Fiducia Supplicans」を受けて声明を発表。

  「同性カップルの祝福が、地元の教会内で混乱やスキャンダルを引き起こすリスクを隠すことはできない」と批判。「家族の価値観、そして神が最初から望まれた男女の結婚の秘跡に対する私たちの愛着を再確認」し、司祭たちに「同性カップルや“不規則な状況”にあるカップルに祝福を与えるのを控えるよう」求めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年1月8日

(評論)性的虐待に絡む仙台の裁判で和解-日本の教会は、司教団は苦しむ声に”耳を傾けて”いるか

 カトリック教会では、聖職者による性的虐待問題が世界的に深刻な問題となり、信者の教会離れにもつなっがっている。日本の教会でも、西欧などの教会に比べれば件数は少ないが、”沈黙”の風土の変化を背景に被害者が声を上げるケースが増える傾向にある。

 長崎教区では、女性信者が司祭から性的虐待を受けたとされる事件があり警察当局が捜査に入ったものの、事の性質から立件が難しく不起訴となったが、それを受けた教区長(当時)の高見三明・前大司教の不適切発言などから(PTSDが悪化したとして、被害女性が教区を相手に損害賠償訴訟を長崎地方裁判所に起こし、20222月、教区に対し110万円の損害賠償命令が出されている。

 司祭の性的虐待に関係する訴えで、裁判所が被告の教区に損害賠償を命じたり、和解を勧告したのは、今回の仙台が二件目とみられるが、男子修道会・神言会の司祭の性的虐待に関して同会に損害賠償を求める被害女性の訴えを受けた裁判が、東京地方裁判所で新年1月に始まる予定であり、他にも声を上げようとする被害者が複数いることが、取材の過程で把握されている

 日本の司教団では、バチカンからの指示を受けて性的虐待防止などのガイドラインの作成や各教区の女性や子供の保護のための担当司祭、窓口の設置などはしているものの、長崎教区では窓口の担当職員が複数の司祭のパワハラでPTSDを発症、休職に追い込まれ、窓口は一時、閉鎖となった。東京教区のように担当司祭が、理由も公開されないまま、人事異動期でもないのに突然、解任されるなどの事態も起きている。

 また司教団は、ガイドライン決定から2年半たって、ようやく一回目の監査結果を今年9月に明らかにしたが、「各教区から提出された確認書によれば、2022年4月から2023年3月の間に性虐待の申し立てがあったのは4教区、5件であった」などとするだけで、具体的な教区名、申し立てやそれに対する教区の対応などの説明はなく、「性虐待の申し立てのあった各教区には、監査役から提出された調査報告書に記載された所見を通知し、ガイドラインに基づいてさらなる対応をするよう求めた」とあるのみ。被害者に寄り添おうとする姿勢も、虐待問題に真剣に対応しようとする意志もうかがえない。

 今回、一応の決着を見た仙台での裁判の過程でも、それが象徴的に表れた。

 原告被害者の女性は約40年前、24歳だった時に、気仙沼市に赴任してきた司祭に、夫の家庭内暴力などの悩みの相談に行ったが、その際に性的虐待に遭った。その後、「自分が教会を汚した」と罪の意識にさいなまれ、子育てに懸命になったものの、アルコール依存症やギャンブル依存症に陥り、離婚も経験するなど悲惨な人生を続けたが、約30年経って、主治医の精神科医から「あなたは悪くない」と言われたことで、性的虐待は自ら望んだものではなく、被害に遭ったことを認識。

 加害司祭や教会から虐待行為を認め、謝罪を受けることで、精神的に立ち直りたい、との一心で教会に被害を申告したが、第三者調査委員会による調査報告は「申告行為は存在した可能性が高い」としたものの、教区や加害司祭は何の対応もせず、謝罪と損害賠償を求める提訴に踏み切らざるを得なかった。裁判所の勧告による和解協議でも、性的虐待の行為があったことを認めない教区の姿勢は変わらず、今回の決着まで3年3か月を要した。

 その間の裁判所での聴取でも、原告側証人の精神病理学者が「教区側の対応は原告のPTSD症と密接に関係している」などと証言したのに対し、被告仙台教区の代理人が「原告は、夫や義父母からのパワハラを受けていた…性的虐待をしたとする神父やその後の教区の対応だけとは言えない」としたり、元司教は原告、被告双方の代理人弁護士の尋問に「よく覚えていません」「分かりません」とあいまいな答えに終始。あげくに、教区事務局長として対応に当たっていたはずの司祭が傍聴席で居眠りをし、裁判長から「眠るなら法廷の外に出なさい」と異例ともいえる叱責を受けるなど、原告女性をさらに精神的に傷つけるような対応をしていた。

 法律によると「強制性交」の刑事の時効は15年、民事の時効は5年ないし20年とされている。幼少期あるいは青年期に被害を受けた場合、家族や知人に打ち明けることは難しく、まして公的機関に相談したり、訴えることは通常は極めて困難であり、司法当局に訴えるのに時間を要し、時効になる可能性が高い。事の性質から第三者の証言を得るのは難しく、物証も確保しておくことが至難であることから、刑事上の処罰を求めることは、長崎のケースを見ても、ほとんど不可能だ。

 まして、”聖職者主義”がいまだに支配的な日本の多くの教会で、訴えを起こすことは司祭、さらには司教と対峙する、教会の信者たちからも批判的な目で見られ、教会から離れることも覚悟せねばなららない。被告の教会側は、教区の予算で弁護士を雇えるが、原告側はそうした手続きに不慣れなうえ、費用も自分で負担せねばならない。つまり、被害者は、正当な裁きを求め、心の救いを得ようとしても、圧倒的に不利な立場に置かれている、ということだ。

 以上のことから引き出さる結論は、教会として、司教団として、被害者が司法に頼らざるところまで追い込まれないように、訴えを受けた事案に対して、公正、客観的な調査を行い、加害者とされる司祭などに真実を語らせ、それに基づいて加害者とされる司祭や、その人事・管理責任を持つ関係者に対する厳正な措置をとるようにすること。

 また、この過程で、被害を申告した人を精神的に傷つけないよう十分に配慮し、調査結果を公表し、さらに最も大事なことは、申告者に対して、十分な精神的ケアがされるようにし、司祭、信者によって温かく教会に受け入れられるようにすることだ。そのためには、現行のガイドラインの徹底的な見直し、具体的な体制の整備、そして何よりも、被害を受けたとされる人に寄り添い、その声に真摯に耳を傾け、心を癒やすことに努める姿勢を、教会関係者に徹底することだ。

 聖職者による性的虐待問題が後を絶たないことに心を痛める教皇フランシスコは、11月28日にフランス・ナント教区の聖職者による性的虐待被害者のグループと面会された際、聖職者による性的虐待の被害者が「家族とともに何が真実で善であるかを追求してきた場で、最大の悪に苦しんでいる」とされ、「被害者や生存者の声に耳を傾ける』という積極的かつ敬意を持った心の広さが、受け手にあれば、虐待に対する”沈黙”は打ち破ることができる」と語られている。「受け手」としての日本の教会、そして何より司教団は、この言葉をかみしめる必要があるだろう。

(「カトリック・あい」南條俊二)

2023年12月28日

・司祭の性的暴行裁判で仙台地裁が和解勧告-教区が被害女性に謝罪、解決金330万円支払う…で決着したが

(2023.12.27  カトリック・あい)

 仙台市の女性が、カトリック仙台教区の司祭から性的暴行を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症、その後の教区関係者の不適切な対応、発言もあって多大な精神的苦痛を受けたとして、同教区などに謝罪と計5100万円の損害賠償を求めていた訴訟について、仙台地方裁判所は20日、被告の仙台教区などに対して、原告への謝罪、バチカンに出した報告書の内容の一部の取り消しと原告への謝罪、解決金330万円の支払いなどの最終和解条項による和解を勧告し、原告、被告双方が受け入れた。原告が2016年に仙台教区に被害を申告してから9年、20209月に仙台地裁に訴訟を起こしてから33か月かかって、ようやく当面の決着を見たことになる。

 仙台地裁が勧告した和解条項では、被告のカトリック仙台教区に対して、「教区の第三者調査委員会から『被害申告行為は存在した可能性が高い』と判断されたことを重く受け止め、謝罪」するとともに、「教会施設内において、聖職者と信者との間でおいて不適切な性的言動、性的ハラスメント、および性的暴行・虐待がなされるなどの内容につき、その防止に努め、信者からの申告があった場合には、今回の件を教訓として、速やかに調査を行い、事実に基づき適切な措置をとることを約束する」(以上、原文のまま)と規定。

 また、被告の仙台教区などに対して、「被告が第三者調査委員会の結論を原告に伝える際の言動が、性的被害を訴えている原告の心情に対する配慮が不足していたことを認め、謝罪する」こと。さらに、「被告は、医師の診断書もないのに(「カトリックあい」注=駐日バチカン)大使館を通しての(同注=バチカンの)福音宣教省への報告書に『×××』『△△△』と記載したこと」を取り上げ、この記載を取り消し、謝罪し、その旨を福音宣教省へも報告し、その報告文書の写しを原告に交付すること」としている。

 そのうえで仙台教区は「魂の救済を図るべき宗教団体であること」に鑑み、元信者である原告が「神父による性的加害行為を申告していること」を考慮して、原告に対し、本件解決金として330万円の支払い義務があることと認める、としている。

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 原告の女性は1977年当時、気仙沼カトリック教会の司祭から性的暴行を受けたが、若年だったことや当時の教会や社会の状況から、誰にも相談もできずに苦しみ続け、2016年に仙台教区の相談窓口に被害を申告。仙台教区が設置した第三者調査委員会は「(性的被害が)存在した可能性が高い」と結論付ける報告書をまとめたものの、教区や加害者とされる司祭は被害者に対し謝罪はおろか、ほとんど対応していなかった。

 このため女性は20209月、仙台地方裁判所に、加害者司祭を「被害者原告に対する性的虐待の直接的な加害者」、司教(当時)を「加害者を指導・監督すべき仙台教区裁治権者としての注意義務違反、原告被害者への不適切な発言および対応による(注*PTSD発症など)二次被害の加害者」、カトリック仙台教区を「信徒への安全配慮義務違反、本件事案の調査義務違反、被害事実の隠蔽、加害者への適切な処分ならびに被害者への適切な対応についての不作為があった」として、三者を相手取り、損賠賠償を求める民事訴訟を起こした。

 裁判中に、仙台地裁側から原告、被告双方に対し、和解のための話し合いに入るよう提案があり、双方が同意して、和解に向けた手続きが始まりったものの、初回の聴取では、原告は和解条件として「司教が公的な場での真摯な謝罪」「聖職者による性的虐待の再発防止に、外部機関の点検を受けつつ、教区全体で具体的に取り組む」「原告に対する教区の信徒たちの誤解を解くため、原告が虐待事件の真実を語る場を設ける」などを求めた。

 だが、教区側は和解条件の”素案”として、「この訴訟は、原告が被告から性的侵害行為を受けたとして提起され、被告らはその事実を全面的に否認している」とし、一方で、「だが、教区が設置した第三者調査委員会が、原告の主張する性的侵害行為は『存在した可能性が高い』と判断しているので、『事案の性格に鑑みて』和解する」「第三者調査委員会の報告書が出されたのに対して、速やかに対応すべき点で欠けるところがあったことを謝罪する」「被告の仙台教区は、原告が教区の元信者であって、その信者が『性的侵害行為』の申告を行ったことを考慮して『解決金』を支払う」ことを提示して、冒頭からかみ合わなかった。

 このため第1次和解協議は不調に終わって再び法廷での審理が始まり、今年9月に行われた審理では、原告側証人の精神病理学者が「教区側の対応は原告のPTSD症と密接に関係している」などと証言したのに対し、被告仙台教区の代理人弁護士は「原告は、夫や義父母からのパワハラを受けていた…性的虐待をしたとする神父やその後の教区の対応だけとは言えない」と、原告被害者の神経を逆なでするような反論を行った。被告側証人として出廷した元司教は、原告、被告双方の代理人弁護士の尋問に「よく覚えていません」「分かりません」とあいまいな答えに終始する一方、自身が総額60万円を原告に渡送金したことだけは「自分が私的に出費したもの」「返金されなくても構わないと思った」と原告に不利になりそうな事柄だけは明言するという、不可解な対応だったが、その後、裁判長の勧告による和解協議に戻っていた。

 そのような経過を経ての今回の和解について、現地の日刊紙、河北新報によると、仙台市内で20日に記者会見した原告女性の代理人弁護士は「司教区側は、全面的には加害を認めなかった」と指摘しつつ、「性的暴行などの防止が約束され、被害者救済の面で意義がある」と評価。司教区側の代理人弁護士は同紙の取材に、「『被害があった可能性が高い』と判断した第三者委の調査結果を受け止め、謝罪する」と述べている。

 

2023年12月27日

・死後13年経過したスイスの司教が、性的虐待で訴えられ、後任司教が「被害者の苦しみを放置しないのは教会の責任」と言明

(2023.12.15 カトリック・あい)

 有力国際カトリック・ニュース・メディアのLa Croix が14日報じたところによると、2010年に亡くなったスイス・ローザンヌの故ベルナール・ジェヌー司教が女性に対する性的虐待で訴えられていることが明らかになった。

 同司教の後任教区長を務めるシャルル・モレロー司教が11日、記者会見を開いて、この告発に信憑性があることを認めたもの。同司教は今月初めに、虐待を受けた女性から、19歳の時にジェヌー司教から繰り返し性的虐待を受けた、と告げられた。虐待は、ジュヌーがスイスのビュルに本部のあるCollège du Sudで哲学教授を務めていた時代(1976年から1994年)に起きたとされる。

 スイスのカトリック教会内での性的虐待はここ数週間で相次いで表面化しており、 スイスの司教団の委託でチューリッヒ大学が実施する教会関連の虐待に関する試験的なプロジェクトが去る9月に明らかにされて以来、多くの人々が被害者として名乗り出ている。モレロー司教は、「ジェヌー司教はもはや、この訴えに意見を表明することができないが、被害者の苦しみを放置しないのは教会の責任です」とし、この訴えに真摯に対応することを約束した。

 記者会見でモレロー司教は「私自身がCollège du Sudの学生だった時、ジェヌーが情熱的で温かく、学生を大切にする教師であり、時には女子生徒たちに寄り添う姿を見てきました」として遺憾の意を表明。また、被害者として訴えた女性は匿名を希望し、訴えが遅れたのは「これまで長い間、ジェヌーの”魔法”にかけられ、何が起こったのかを明らかにすることができなかった」という。ジェヌーは彼女の家族の親しい友人であり、彼女の教師でもあったが、「 10代の若さで、彼の”支配”に従うような関係になり、性的虐待を繰り返し受けるようになった」と説明している。

 モレロー司教は「彼女が私に会いに来たとき、彼女は非常に弱っていましたが、私に訴えたことで、重荷から解放されたようです」と語った。だが、新聞報道が、教会共同体内部で強い反発を引き起こした。

 なお、教会での性的虐待に関して、スイスのカトリック教会には、被害者の話を聞く委員会(CASCE)と、傾聴・調停・仲裁・賠償委員会(CECAR)が置かれており、被害者と思われる人々から証言を得る権限をローザンヌ教区から与えられている。

 なお、このニュースの詳細は: https://international.la-croix.com/news/ethics/swiss-bishop-accused-of-sex-abuse-13-years-after-his-death/18860へ。

 

 

2023年12月15日

・「性的虐待は神が与えられた人間性への裏切り、虐待への”沈黙”を打ち破る必要」ー教皇、仏西部ナントの被害者代表たちに

Meeting of the delegation from the Diocese of Nantes, FranceMeeting of the delegation from the Diocese of Nantes, France 

(2023.11.29  Crux Staff)

  教皇フランシスコが28日、聖マルタ館で、フランスのナント教区の聖職者の性的虐待被害者のグループと面会された。教皇は肺の炎症を引き起こす長引く細菌感染症に悩まされ、ここ数日間スケジュールを大幅に削減していたにもかかわらず、この面会の約束は守られた。

 教皇と性的虐待被害者たちの会見は、フランシスコが教皇在任期間中住んでいるカサ・サンタ・マルタのゲストハウスで行われた。 被害者たちには、聖ガブリエルのモンフォール兄弟修道会とナント教区の「認識と賠償委員会(CRR)」の司祭が同行した。面会は、被害者らが教皇庁未成年者保護委員会(PCPM)本部の当局者らと行った一連の会合に続いて行われた。 公式バチカンニュースウェブサイトは、PCPMとの会合を「地元の教会と会衆とともに追求する証言、記憶、予防の道に焦点を当て、聞き、学び、対話する瞬間」と呼んだ。

 教皇が面会の機会に書かれ、参加者に渡されたメッセージの中で、教皇は、聖職者による性的虐待の被害者が「家族とともに何が真実で善であるかを追求してきた場で、最大の悪に苦しんでいる」ことを認められ、暴力や虐待による子どもの権利の破壊は、神から与えられた人間性への裏切りです」と強く批判された。

 バチカン放送によると、教皇はさらに、「私はPCPMに対し、私に代わってあなたがたの言葉に耳を傾け、『教会と地域社会から虐待を根絶する』という私たちの共通の決意をいっそう固め、鼓舞するために、あなたがたの証言を集めるように要請しました。虐待に対する”沈黙”を破るために、それぞれが自分の役割を果たし、共に努力してください」と要望。さらに、「被害者や生存者の声に耳を傾ける、という積極的かつ敬意を持った寛容さが受け手にあれば、この沈黙は打ち破ることができます」と被害者たちを励まされた。

  脆弱な状況にある成人の被害者が性的に虐待された事件に対する教皇の対応は、しばらくの間、精査されてきた。 元イエズス会のマルコ・ルプニク神父が、約30年にわたって20人近くの成人被害者(そのほとんどは信心深い女性)を性的に虐待したとして告発された事件の処理に関しては、ますます憂慮すべき詳細が明らかになり、この1年で監視が強化されている。 ルプニクが最初に訴追を免れたのは、山ほどの証拠があり、被告人が弁護する十分な機会があったにもかかわらず、教皇が裁判を可能にする公訴時効を解除しなかったためだった。

 その後、ルプニクはイエズス会を去り、故郷スロベニアで彼を良い地位の司祭として受け入れてくれる司教を見つけた。 ルプニクが引き続き公務を続けるというニュースに対するメディアの圧力とスロベニアの人々による強い抗議を受けて、教皇は10月下旬になって、ルプニクに対する捜査再開に同意された。 この”逆転”措置を説明する際、バチカンはルプニクの事件の処理における「重大な問題」を挙げ、それはPCPM によって教皇の注意を喚起したことによる、としていた。

2023年11月29日

☩教皇「女性に対する暴力という毒草の撲滅を」-25日の国連・女性に対する暴力をなくす国際デーに

Demonstration in Madrid on the International Day for the Elimination of Violence Against WomenDemonstration in Madrid on the International Day for the Elimination of Violence Against Women  (ANSA)

    11月25日は国連が定めた「女性と少女に対する暴力をなくすための国際デー」だが、教皇フランシスコは同日、X(旧ツイッター)への投稿で、「女性に対する暴力は、私たちの社会を悩ませる有毒な雑草。その根っこから引き抜かれなければなりません」と訴え、根絶のために、すべての人の尊厳を中心に置く教育的な措置をとるよう、世界の人々に呼び掛けられた。

 教皇は 「毒草は、偏見と不正義の土壌で育ちます。 こうした問題には、その人をその尊厳とともに中心に据える教育的措置で対抗しなければならない」と述べられた。

 女性と少女たちへの 暴力を防ぐ世界的な行動を呼びかける この国際デーは、国連総会の決議により、1981 年から毎年開かれている。16 日間の世界的な活動の始まりを示すこの記念日は、意識を高め、権利擁護を促進し、課題や課題について議論する機会を設けるための世界的な行動を呼びかけている。

  女性と少女に対する暴力は、依然として世界で最も蔓延し、蔓延している人権侵害の 1 つだ。 それは家族内で行われることも多く、11分ごとに女性がパートナーや家族によって殺害されているといわれる。 国連の最新データによると、世界中で7億人を超える女性(ほぼ3人に1人)が、生涯に少なくとも一度は身体的、あるいは性的な関係にあるなパートナーからの暴力、パートナー以外の性的暴力、またはその両方を受けている。

  この現象は職場やSNSによる仮想空間などさまざまな環境で激化しており、新型コロナの世界的大感染、世界各地で頻発する紛争、気候変動によってさらに悪化している。 女性と少女は、性暴力が戦争の武器として利用され、武力紛争の中で難民キャンプで特に弱い立場に置かれている。

「性暴力との戦いは、家庭や教会内の問題への認識から始まる」バチカン「いのち・信徒・家庭省」長官も声明

  バチカンの「いのち・信徒・家庭省」のケビン・ファレル長官は25日発表して声明で、性暴力と闘い、予防し、被害者に支援を提供するカトリック教会の取り組みの必要を改めて強調。 「教会には、暴力や搾取の被害者である女性に寄り添い続ける使命がある。具体的には、暴力の被害者に安全な住居を提供することから、精神的、精神的な支援に至るまで、さまざまな方法を取らればなりません。被害者自身がトラウマを克服し、虐待を報告できるよう支援する必要があります」 と、世界の教会関係者に要請した。

 またファレル長官は、重要な対応の一つは、女性を尊厳を大切にする教育にある、として、「それは家庭やキリスト教共同体内の問題を認識することから始まります。感情、愛情、他者への敬意、そして何よりも自分自身の人生について人々を教育することは、女性に対する暴力を防ぐために非常に必要であり、福音に強く深く根ざしている」と強調。世界中のすべての教会に対し、「家族、若者、婚約中のカップル、地域社会に女性に対する暴力を防止することを目的とした教育経路を提供する」行動を起こすよう促し、「これは司牧の責任であり、『平和の手段』となるという教会の使命です」と結論づけた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年11月26日

・「司祭から繰り返し性暴力」ー女性信者、神言会を相手取り、損害賠償訴訟へ-朝日新聞が報道

(2023.11.17 カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が、外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかったとして、司祭が所属していたカトリック修道会、神言会(日本管区本部・名古屋市)を相手取り、慰謝料として3000万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴することがわかった。

 16日夕、朝日新聞デジタルが報じた(https://www.asahi.com/articles/ASRCJ5401RBNUTIL01X.html)もので、それによると、 女性は東京在住の60代の看護師。女性や代理人の弁護士によると、女性は2012年、子どものころに受けた性暴力について、当時通っていた長崎市内の教会の外国人司祭に対し、告解で打ち明けた。すると、神父から「やり直しをしなければダメだ」などと言われ、霊的指導として17年末ごろまで繰り返し性交を強いられた、という。

 相談窓口や神言会の日本管区長に被害を伝えたところ、修道会は2019年に、その司祭に対して、「性犯罪を行い、貞潔の誓願を破ったと告発されていること」「彼の司祭としての行動は信者の間に嫌悪感を抱かせたこと」「将来スキャンダルを引き起こす可能性があること」を理由に聖職を停止し、共同生活から離れる3年の「院外生活」を決め、母国への帰国を認めた。だが、女性側は、調査は不十分で神父からの謝罪もないと主張。修道会が、その後再来日した神父の所在を把握していたにもかかわらず、女性側に伝えなかったなどと訴えている。神父については所在がわからないため、修道会のみを提訴する。

 朝日新聞デジタルによると、女性は性被害の影響で悩み、精神科に通院しており、取材に「救いを求めた教会で被害に遭った。信仰心を利用したこうした被害が起こっていることを知ってほしい」。代理人を務める秋田一恵弁護士は「神父は告解を利用して彼女の重大な秘密を知り、それに乗じて性加害を繰り返した。修道会は性被害の事実と加害者を組織的に隠蔽(いんぺい)している」と語っている。また、修道会の荒田啓示事務局長は取材に「神父は性行為を否定していた。訴状の内容を確認してから対応したい」と話している、という。

 神言会は、1875年に聖アーノルド・ヤンセン神父によって創られた宣教修道会で、1907年に日本で宣教活動を開始。現在、名古屋市に中学、高校、大学、長崎には中高を経営。新潟、仙台、東京、名古屋、福岡、長崎、鹿児島の各教区で約30の小教区を担当し、現在はカトリック東京教区、新潟教区の教区長に、それぞれ神言会出身の大司教、司教が就いている。

2023年11月17日

・スペイン司教団が性的虐待の被害者たちに謝罪、ただし「一部メディアの”44万人”は真実でない」と

Cardinal Omella at the press conference on the Gabilondo ReportCardinal Omella at the press conference on the Gabilondo Report  (ANSA)

 スペインのカトリック教会での性的虐待に関する第三者委員会の報告書の発表を受け、スペイン司教協議会(CEE)が10月30日にこの問題への対応について臨時総会を開くとともに、記者会見を行なった。

 会見でCEE会長のフアン・ホセ・オメラ枢機卿は、性的虐待について被害者たちに改めて謝罪する一方、同国の一部メディアが伝えた約44万人という被害者数は「真実ではない」と否定、「疑惑の影」が「すべての聖職者や聖職者に及ぶべきではない」と言明した。

 第三者委員会の調査報告は10月27日にスペイン議会下院に提出された。それによると、調査は8000 件の電話とオンラインによって行われ、質問を受けたスペインの成人の1.13%が、「子どもの頃に、司祭か教会の信徒指導者から性的虐待を受けた」と回答したとし、「スペインの教会は、聖職者による性的虐待とその隠蔽に対して措置をとってはいるが、十分ではない」と指摘していた。

 また、一部のスペインのメディアはこの数字をスペインの成人人口に当てはめると、約44万人が未成年者の時代、ここ数十年間に聖職者、修道会の会員、信徒らから性的虐待を受けた可能性がある、と報道していた。

 30日のマドリードでの記者会見で、オメラCEE会長は、「30日のCEE臨時総会には88人の司教が出席し、一部の司祭たちによって引き起こされた虐待行為に対する痛みを表明した」と述べ、被害者たちに改めて赦しを乞うとともに、被害者に対して包括的な賠償、支援、保護の態勢強化、そして何よりも虐待の再発防止に力を合わせることを、改めて申し合わせた、と説明した。

 ただし、スペインの一部メディアが報じた約44万人という被害者の数字についてオメラ会長は「真実ではない。神の王国への奉仕に人生を捧げ、働く聖職者や修道者すべてに容疑がかかっているわけではない」とし、 CEE事務局長のフランシスコ・マガン司教も、「すべての司祭、すべての聖職者に闇と疑惑の影を広げるのは不公平で誤りである」と強調。オメラ会長も「わが国の司祭と修道者の大多数は忠実、かつ無私無欲で働いており、小教区と地域社会の両方で神の民に奉仕しているだけでなく、この国の最も辺鄙な地域で助けを必要としているすべての人々に仕えている」と強調した。

 なお、CEEは、今年初めに同国の法律事務所the Cremades & Calvo-Soteloに委嘱して、これまで表に出たすべての虐待事例を網羅し、聖職者による虐待に関する調査を勧めており、 結果は2024年上半期に発表される予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年11月1日

・カトリック聖職者に性的虐待を受けた未成年者は20万人以上ースペインの独立調査委員会が推計

(2023.10.28 カトリック・あい)

2023年10月28日

・教皇、英国の性的虐待被害者支援のLOUDfence代表と会見、活動に感謝される(Crux)

(2023.10.27 Crux  Managing Editor Charles Collins)

レスター(英国)発 – 性的虐待と闘う英国の団体が、教皇フランシスコから「希望の象徴」と呼ばれた。この団体は、 アントニア・ソボッキ氏が代表を務めるLOUDfence。ソボッキ氏はバチカンで教皇に会い、このほど帰国した。氏によると、教皇は謁見で「私たちを親しく、協力的に迎えてくださり、私たちの活動に感謝​​して、『希望の象徴です』と言ってくださいました」と語った。

 LOUDfenceは、英国国教会のジェームス・ニューカム主教が、女子生徒2人への性的虐待を犯した元聖職者の人物を支持するような文章を書いたことをきっかけに、性的虐待に抗議し、再発を防止する目的で、2020年に設立された。

 広義を受けたニューカム司教は、この表現を撤回し、”判断ミス”について謝罪した。英国の有力民間テレビ放送 ITVによると、ソボッキ氏は「このことは、英国国教会による児童への性的虐待に関する独立調査委員会の最終報告書と同じ週に発表され、大きな波紋を呼びました」とし、「この出来事は、とても温かく思いやりのある人々の教会共同体に大きな打撃を与えました。 彼らには声が必要で、それについてどう感じているかを伝える方法が必要でした。 彼らは本当のことを言いたかったのです」とLOUDfence設立の動機を語った。

 LOUDfence は「虐待の影響を受ける人々への支援と連帯を目に見える形で示すのが狙い。 それぞれの家の垣根に結ばれたリボンは、虐待の被害に遭った人々を支援し、擁護するために発言する人々の声を表している」とし、虐待の被害者全員に「あなた方を信じ、声を聞き、支援する。そしてこのような悲劇が二度と起きないようにするために、できる限りのことをする、ということを知って欲しい」と訴え、国中の 人々に「互いにリボンを結び、立ち止まって考え、祈りを捧げ、被害者と連帯するように」と運動への参加を呼び掛けている。

 ソボッキ氏は 「私の子供たちは、この運動を”中世のFacebook″と名付けました。 物理的なシンボルをあなたの知らない誰かに結びつけることができれば、被害者たちがそのシンボルを見つけに来ることができ、慰めの源となり、彼らにメッセージを送ることができるでしょう」と語った。

 教会法博士のベンジャミン・カーター師は「教会のあらゆる行為で、すべての人々を守ることが絶対に重要。虐待の影響を受けた人々と関わることが欠かせません。教会であろうと、周りの世界であろうと、どんな形でもいい、彼らに対する神の愛と思いやりを示しましょう」と述べ、 「教会が人々のケアを怠り、その影響を受けた人々。私たちは彼らの勇気を讃え、連帯しする方法を見つけることができなかったことに対して、深く反省することが必要」とも語った。

 またソボッキ氏は「以前の教会での私の経験は素晴らしいものでした。 それが、教会で何が起こったのかを知った時、本当に大きな衝撃を受けました。それはひどい、ひどい裏切りのように感じられ、多くの悲しみを引き起こしました。 そして、私は基本的に、教会が私にこれをしてくれるなら、教会が私を愛して受け入れ、世話してくれるなら、他の人たちにもそれができると絶対にわかっている、と考えるようになりました。」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2023年10月28日

・教皇、ルプニクの性的犯罪に対し、教会法の「時効」解除、成人への性的虐待も厳罰の姿勢明確に(Crux)

(2023.10.27  Crux Staff)

ローマ発-バチカンは27日の声明で、教皇フランシスコが、バチカンの聖職者性的虐待に対処する「未成年者保護委員会」の要請に応え、スロベニアの著名な芸術家でもある元イエズス会士、マーク・ルプニク神父が関与した性的虐待事件の処理について、教会法が定める時効の解除を決めた、と発表した。

 ルプニク神父は、修道女など約25人の女性から性的、精神的、心理的虐待の訴えを受けている。バチカンでの教会法に基ずく裁判はどのような容疑で、いつ始められるかについては、声明は明らかにしていない。

 バチカンによる教皇の時効解除についての発表は、ルプニク神父がスロベニアの教区に再び受け入れられたというニュースが流れてから約48時間後に出された。

 68歳の神父は、成人女性に対する性的虐待やその他の形態の虐待の容疑が内部調査でかなりの信憑性があることが判明したため、6月に自身が所属していたイエズス会から追放処分を受けていた。だが、9月からのいくつかの情報から、神父が(教会法の時効などから)処罰を逃れたのではないか、との見方も一部に流れていた。スロベニアの教区で受け入れられた、との情報もその一部だった。

 バチカンの声明は、「9月にバチカンの未成年者保護委員会は、『マルコ・ルプニク神父事件の処理に重大な問題があり、被害者への支援が欠如している』ことを教皇に伝えていた」としたうえ、 「その結果、教皇は(聖職者による性的虐待案件を担当する)教理省に事件を再検討するよう要請し、手続きを進めるために、時効を解除することを決定した」としている。

 教会法の出訴期限規定には、「(取得)時効」が定められており、性的犯罪の被害者が、被害を受けた時点で成人であったばあい、特例が認められない限り、時効の対象となる、との解釈が成り立つ。このためルプニク神父の支持者などから、教会からの制裁を受けない重要な根拠として使われてきた。 そして、バチカン教理省も2022年10月時点で、ルプニク事件で裁判を開始できなかった理由として「時効」を挙げていた。

 だが、教皇は9月中旬、ルプニクへの虐待容疑を「リンチの一種」と主張する支持者の1人と会い、数日後にローマ教区による捜査で、ローマにあるルプニクのセントロ・アレッティ芸術センターに、本人が健康(注:つまり、”リンチ”による精神的な障害はない)だということを明確にした。

 教皇は、(注:ルプニク擁護から厳罰への)自身の明らかな心変わりを説明するために、現在開かれているシノドス総会でのシノダリティ(共働性)に関する議論を引用した。そしてバチカンの声明は、「教会がシノドスから学ばなければならないことが一つあるとすれば、苦しんでいる人々、特に教会から疎外されている、と感じている人々の声に注意深く、思いやりを持って耳を傾けることであると、教皇は強く確信しておられる」と述べている。

(以下の部分はVatican Newsより)

【バチカンの未成年者保護委員会が教皇の決定に歓迎の声明】

 教皇の決定を受けて、バチカン未成年者保護委員会は27日夕、これ歓迎する声明を発表。「シノドス総会が閉幕に近づく中で、『保護の文化』の推進に司牧者、高位聖職者が果たすべき役割を改めて強調したい。教会が与えられた務めの核心は、誰もが安全に過ごせる場とすることであり、弱い人たちを脅威から守ることにある」と言明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年10月28日

・司祭による性的不祥事続出で管理責任問われ、ポーランドの司教が辞任

(2023.10.26 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが24日、教区の司祭たちによる性的不祥事への管理責任を取る形でポーランドの司教から出されていた辞表を受理された。同時に、カトヴィツェ教区長のアドリアン・ガルバス大司教を使徒管理者として、新司教が任命されるまで教区をタンとさせる。

 この司教はポーランド南部、ソスノヴィエツ教区長のグジェゴシュ・カシャク司教。年齢は59歳で、いわゆる司教定年の75歳よりも16歳も若い。バチカンの24日付けの発表では辞表の受理の理由は明らかにされていないが、有力カトリック・メディアのCNSによると、同教区の司祭が8月に男性の”売春婦”との乱交パーティーを主催した疑いで逮捕され、地元メディア関係者などから、司教の責任を問う声が上がっていた。

 辞表が教皇に受理された後、カシャク司教は、教区のウエブサイトに教区の司祭、信徒たちに対する謝罪の言葉を掲載、「私の人間としての限界を赦していただきたいと思います。 私が誰かを怒らせたり、何かを無視したりしたとしたら、それを大変申し訳なく思います」と述べた。

 またこれより先、教区事務局が22日に発表したメディア向け声明によると、「教区内の町にある教会が所有する建物で8月30日夜に乱交パーティーがあったことを、教区はメディア報道で知った。現地メディアの報道によると、パーティー中の深夜に売春婦が意識を失って倒れ、救急車が呼ばれたことから、事件が発覚した。声明では「この事件については現在、当局が捜査中だが、問題の司祭の関与は疑問の余地がなく、事件のすべてが解明され、正式の処分がされるまでの間、同司祭の教会におけるすべての職務と権限を停止させた… 教会法は、そのような罪を犯した聖職者に対して、聖職者としての地位はく奪を含む厳罰を規定している」と声明は述べた。

 CNSによると、カシャク司教はまた、3月に司祭と助祭が突然死した事件の原因についても説明責任を果たしていない、と関係者から非難されていた。 非公式の報道によると、46歳の司祭が3月、26歳の助祭を刺殺した後、電車に飛び込み自殺したと、と伝えられている。さらに、カシャク司教が2009年にソスノヴィエツ教区長となった翌年、 2010年に教区神学校の校長を務める司祭が、クラクフのゲイクラブで性行為に及んだビデオが明らかにされたことから、バチカンが2013年に同行を閉鎖している。

 

2023年10月26日

・改・カトリック東京教区が「子どもと女性の権利擁護委員会」担当司祭を更迭、休養扱いに-説明は今後に

(2023.10.8=10.13改定 カトリック・あい)

 菊地功・東京大司教が8日付けで、今年度6度目の東京教区の司祭人事を発表。松戸、市川教会主任の伊藤淳師を「休養」扱いとするとともに、「子どもと女性の権利擁護委員会」の担当を解き、後任に赤岩聰・高輪教会主任を任命した。

 また、松戸、市川両教会については、松戸教会はサバティカル(自己研修のために認められた長期休暇)中だった、さいたま教区の高瀬典之師を「山野内・さいたま司教との話し合い」で、出向の形で「小教区管理者」とし、市川教会は「当面、教区本部事務局が担当する」としている。

 定期異動期とされている時期以外に、極めて変則的で理解しにくい人事が発表された理由について、少なくとも東京教区のホームページを見る限り、全く説明されていないが、教区側では、(「カトリック・あい」注:一般論として)「東京教区は、司祭が加害を訴えられたときには、教会外部の専門家で構成される第三者委員会が調査を行い、その結果が出た段階で、教区として正式に処分を決定した場合は、プライバシーに配慮しながら、その事実を公表する」としている。

 今回の人事に関わる問題と具体的対応については、今後の教区の対応を待つしかないが、すくなくとも女性や子供たちの権利を守る責任者の司祭が、何らの公的な説明もないまま突然更迭されたことは、さまざまな疑問を生み、「子どもと女性の権利擁護委員会」のみならず、教区そのものの信頼を大きく損ないかねない、と考えらる。具体的な信頼回復の努力が、教区、その責任者である大司教に求められよう。

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 日本の教会では、聖職者による性的虐待などに対する真剣な取り組みがなおざりにされる中で、次々と、問題が起きている。

 長崎教区は、司祭から性的虐待を受けたうえに、当時の大司教が彼女を傷つけるような言葉を公の場で発し、さらにPTSDが悪化したとの女性信徒の訴えに、長崎地裁から損害賠償命令の判決を受けている。だが、明確な謝罪、教区民への説明もないまま、さらに教区事務局に勤務していた信徒が司祭からパワハラを受けPTSDを発症したとして提訴、長崎地裁で公判が続いている。

 仙台教区でも、司祭から性的虐待を受けPTSDに苦しむ女性信徒の訴えを受けて続けられている仙台地裁での9月初めの公判で、被告証人として出廷した前司教が「知らない」『覚えていない』を繰り返し、傍聴席にいた前教区事務局長の司祭が居眠りをして裁判長から叱責される、という一般社会の常識では考えられない事態が起きている。

 世界中で止まることのない聖職者による性的虐待に深く心を痛めておられる教皇フランシスコは、「例外を認めない、徹底的な措置」を世界の教会、高位聖職者たちに繰り返し求められ、この問題などを背景に、大きな乱れを生じている世界の教会に、司教、司祭、信徒が耳を傾け合い、共に歩む教会の原点に戻るべく”シノドスの道”を提唱、その当面の終結の場として、世界代表司教会議(シノドス)総会が開かれているが、日本の教会のこのような状況を見ると、そのような歩みには程遠い、と慨嘆せざるを得ない。

 日本の教会を指導する立場にある人々、特に高位聖職者たちに、こうした現実としっかりと向き合い、「耳を傾け合い、共に歩む」未来の教会に向かって、真摯な反省と真剣な対応の構築、具体的な実施が強く求められている。

 

2023年10月9日

・「聖職者などによる性的虐待への対処が改められていない、真剣な対応の議論が必要」教皇の未成年者保護委員会が、新枢機卿叙任式とシノドス総会に強く求める声明

Bishops pray at the start of a session of the Synod of Bishops at the Vatican Oct. 9, 2018. (Credit: Paul Haring/CNS.)

(2023.9.27 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen

Pope’s own abuse commission blasts system that leaves victims ‘wounded and in the dark’

 聖職者による性的虐待問題などに関する教皇の諮問機関、未成年者保護委員会が27日、声明を発表し、「世界の教会指導者たちのによる性的虐待案件の隠ぺい、誤った対応だけでなく、新たな案件がさらに表面化している」と指摘、改めて真剣な取り組みを強く求めた。

 シノダリティ(共働性)をテーマにした2期連続の世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会が10月4日から始まる。総会を前に、30日には教皇フランシスコが新たに任命した21人の枢機卿の叙任式が行われるが、声明は、世界のすべての枢機卿に対して、「贖いを求められている血は、あなた方自身のものであり、司牧している人々の血ではない」としたうえで、「勇気ある自己犠牲の模範として、新たな枢機卿の叙任は、可能な限りあらゆる手段を用いて最も弱い立場にある人々を守り、擁護するという揺るぎない決意を反省し、悔い改め、新たにする絶好の機会となる」と強調。枢機卿たちに対し、虐待の被害者とその家族に対し正義と真実の両方を追求する決意を、「忠誠の誓い」の一部とするよう求めた。

 そして、この決意は、「すべての司教と宗教的指導者のならうべきもの」であり、10月4日から始まるシノドス総会は「教会内の性的虐待の現実について話し合い、変化を促す絶好の機会でもある」と指摘し、シノドスの全参加者に向けて、教育、さまざまな形態の奉仕、組織、統治などの場面に、虐待問題への対処を行きわたらせる議論を徹底するよう要請。

 「時には、それは気の遠くなるような問題のように思えるかもしれないが、福音を告げ知らせる教会の信頼性に対して、性的虐待がもたらしている脅威に、包括的な方法で対処できるよう、ぜひこの難題に取り組んでいただきたい」と強く要望した。

 さらに、総会での議論の「有意義な時間」を虐待への対処に充てること、生存者が体験談を共有する場を設けることを求め、教会のすべての奉仕活動が「虐待の被害者たちにとって歓迎、共感、そして加害者との和解の場となる日」を目指して努力するよう求め、 「被害者たちの訴えを沈黙させ、虐待への対処の重要性を矮小化し、再生への希望を抑圧する教会や社会の人々の間に蔓延する”自己満足”。それを非難する人々と協力しましょう」と呼びかけた。

 またシノドス総会参加者たちに対し、「教会が、その管理下で多くの人々が犯した過ちについて完全な説明と全責任を負う日」が来るために活動するよう促し、子供たちが「適切な安全政策と手順」によって守られる日が来ることへの希望を表明した。

また、教会や関連施設において さらなる透明性が必要であり、被害報告は、「許容可能な基準」に従って、誰でもが空く説できるようにする必要があるとし、「教区、学校、病院、修養施設や養成施設、その他の施設における子どもの保護とその責任が真剣に受け止められる日はまだ到来していない。多くの人にとってそれは遠い遠い先の話のように思われている」と述べ、 「こうした長期目標の達成に向けて、今総会の会議の1日や2日だけでなく、シノドスのプロセス全体を通して検討するよう強く勧めたい。その成功は、私たちが主の弟子として、より良い道を求め、傷ついた人々や忘れ去られた人々とともに歩んでいることのしるしとなるだろう」と強調した。

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 声明で、同委員会は世界の教会の性的虐待への取り組みなどについて、私たちは、教会内で責任ある立場に人々の言動、被害を受けた人々の叫び、信徒やその他の活動、そして教会活動の非常に多くの分野に関連した残虐な行為についての報告を聞き、動揺している」としたうえで、「性的虐待事件はメディアに取り上げられるものもあるが、黙殺されているケースもあり、多くの被害者が沈黙を強いられる中で苦痛にあえいでいる」と指摘した。

 「すべての虐待は、加害者によってだけでなく、それに対応できない、対応に消極的な教会によって、被害者たちをひどく傷つけ、激しい痛みをもたらしている」と述べ、そうした加害者や教会関係者には「自らが犯した行為がもたらした現実に対して考える気すらない」と強く批判。

 さらに、最近のいくつかの事件は「『加害者を罰し、不正行為に対処する義務を負う人々の責任を問うことを目的とした現行の規範』に致命的な欠陥があることを示している… 虐待事件の判決中も判決後も、心身に深い傷を負った被害者を暗闇の中に放置するような手続きの不備が、改められずに長い間放置されている」とも指摘。

 委員会は、「現法の規範、手続きの欠陥を調査、研究し、必要な見直しを行い、虐待を受けたすべての被害者が『真実、正義によって償いを受けられる』」ようにし、教会の権威ある立場にある人々に対し、「任務を効果的に遂行し、さらなる違反のリスクを最小限に抑え、すべての人にとって敬意を払う環境を確保するために、性的虐待の犯罪に対処する」よう強く求めていくことを約束した。

 声明ではまた、委員会が2014年に教皇フランシスコによって設立されて以来、性的虐待の現実と、虐待と「教会指導者による虐待への誤った対応」に対処する「断固とした改革」に向けた数多くの取り組みを監督してきたが、「児童保護に関する2019年の世界司教協議会会長会議が開かれた後も、深いフラストレーションが正義を求める人々の間に特に残っている、とし、「(性的虐待に正義を持って対応する取り組みに)容認できない抵抗が続いている。それは、教会内の多くの人々の決意の欠如を示しており、しばしば深刻な人的、物的な”資源不足”によってさらに悪化するケースもみられる… 教会指導者たちの司牧的回心がなければ、この分野で効果的な変革は、ほとんど期待できない」と言い切った。

 

 

2023年9月29日