・死後13年経過したスイスの司教が、性的虐待で訴えられ、後任司教が「被害者の苦しみを放置しないのは教会の責任」と言明

(2023.12.15 カトリック・あい)

 有力国際カトリック・ニュース・メディアのLa Croix が14日報じたところによると、2010年に亡くなったスイス・ローザンヌの故ベルナール・ジェヌー司教が女性に対する性的虐待で訴えられていることが明らかになった。

 同司教の後任教区長を務めるシャルル・モレロー司教が11日、記者会見を開いて、この告発に信憑性があることを認めたもの。同司教は今月初めに、虐待を受けた女性から、19歳の時にジェヌー司教から繰り返し性的虐待を受けた、と告げられた。虐待は、ジュヌーがスイスのビュルに本部のあるCollège du Sudで哲学教授を務めていた時代(1976年から1994年)に起きたとされる。

 スイスのカトリック教会内での性的虐待はここ数週間で相次いで表面化しており、 スイスの司教団の委託でチューリッヒ大学が実施する教会関連の虐待に関する試験的なプロジェクトが去る9月に明らかにされて以来、多くの人々が被害者として名乗り出ている。モレロー司教は、「ジェヌー司教はもはや、この訴えに意見を表明することができないが、被害者の苦しみを放置しないのは教会の責任です」とし、この訴えに真摯に対応することを約束した。

 記者会見でモレロー司教は「私自身がCollège du Sudの学生だった時、ジェヌーが情熱的で温かく、学生を大切にする教師であり、時には女子生徒たちに寄り添う姿を見てきました」として遺憾の意を表明。また、被害者として訴えた女性は匿名を希望し、訴えが遅れたのは「これまで長い間、ジェヌーの”魔法”にかけられ、何が起こったのかを明らかにすることができなかった」という。ジェヌーは彼女の家族の親しい友人であり、彼女の教師でもあったが、「 10代の若さで、彼の”支配”に従うような関係になり、性的虐待を繰り返し受けるようになった」と説明している。

 モレロー司教は「彼女が私に会いに来たとき、彼女は非常に弱っていましたが、私に訴えたことで、重荷から解放されたようです」と語った。だが、新聞報道が、教会共同体内部で強い反発を引き起こした。

 なお、教会での性的虐待に関して、スイスのカトリック教会には、被害者の話を聞く委員会(CASCE)と、傾聴・調停・仲裁・賠償委員会(CECAR)が置かれており、被害者と思われる人々から証言を得る権限をローザンヌ教区から与えられている。

 なお、このニュースの詳細は: https://international.la-croix.com/news/ethics/swiss-bishop-accused-of-sex-abuse-13-years-after-his-death/18860へ。

 

 

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2023年12月15日