・米サンディエゴ大司教区が破産申請ー性的虐待被害者への損害賠償支払いに耐えられず…(Crux)

(2024.6.17 Crux  National Correspondent John Lavenburg)

ニューヨーク 発– 米カトリック教会のサンディエゴ大司教区の教区長、ロバート・マケロイ枢機卿は17日までに、教区の全聖職者と信徒に対し、 破産申請を行うことを通知した。同教区は、司祭、修道者、信徒が未成年者に性的虐待をした疑いで約 450 件の訴訟に直面している。

 米カリフォルニア州で破産を申請した 教区は今回で6つ。直近ではフレズノ教区が先月、破産を申請し、ほかにサンフランシスコ大司教区、サクラメント教区、オークランド教区なども申請している。

 マケロイ枢機卿は13日付けの通知で「過去 1 年間、教区は虐待の被害者の代理人弁護士と実質的で有益な交渉を行ってきました。そして、私は教区の指導者たちと協力して、今が正式に破産手続きに入り、破産手続きの一環として交渉を続けるべき時である、という結論に至りました」と説明。

 さらに破産について、「教区が、性的虐待の被害者に正当な補償を行うとともに、教会の本来の使命である教育、信徒司牧、貧困者や社会的弱者への支援を継続するための最善の道、と判断した」と述べた。

 今後の具体的方策としては、「被害者のさまざまな主張の間で公平性を実現するための枠組みを提供し、今後新たに被害を訴え出る性的虐待被害者に補償を行うための基金も設立する」とし、このような対応は、最終的な破産と和解を通じて「過去の性的虐待の訴えに対する法的責任に明確な結論をもたらす」と語った。

 教区には今後も困難が待ち受けているが、枢機卿は「ただ教会だけが、責任を負うべきと考えている。これから一年、この困難な道を進むにあたり、私たち全員が心に留めておくべきは、児童や十代の若者を直接虐待した人々の道徳的な過ち、そして彼らを配置転換したり警戒を怠った人々の同様に大きな道徳的な過ちが、私たちの間で、多くの男女の心と魂を押しつぶす心理的、精神的な傷につながっている… 未成年者を守るために過去20年間に私たちは大きく進歩したが、それは、私とカトリック教会共同体が引き続き負っている大きな道徳的責任を軽減するものではありません」と自戒の念をこめた。

 

 

*「被害者への正当な補償支払いを避ける試み」と被害者側弁護人は批判

 

2024年6月18日

・米司教団、先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせてきたことを謝罪(LaCroix)

(アメリカ国旗を掲げた制服を着た先住民の子弟たち、アラスカ州ホーリークロスで=写真提供:Asahel Curtis/Wikimedia Commons)

アメリカ国旗を掲げた制服を着たネイティブの子供たち、アラスカ州ホーリークロス。(写真提供:Asahel Cur

 

(2024.6.17 La Croix=with AFP) 

    全米カトリック司教協議会(USCCB)は14日、ケンタッキー州ルイスビルで開いていた春季総会の閉幕の際に公表した文書で、1950年代から1960年代を中心に米国のカトリック寄宿学校で先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせたことを公式に謝罪した。

 米国やカナダのカトリック教会では19世紀末ごろから、”民族同化”の一環として、先住民の子弟たちを強制的に家族から引き離して寄宿学校の収容し、司祭や修道女などによる虐待が繰り返され、それが長い間、隠蔽され続けてきた。

 それがまず、表ざたにされたのはカナダで、2021年春、先住民の子弟のカトリック寄宿学校の跡地で1000体以上の墓標のない墓が相次いで発見され、大きな問題となった。そして、2022年夏にカナダを訪問された教皇フランシスコが、先住民の人々に会い、「犯した罪への赦し」を求められている。

 それから2年遅れた今年5月、米有力日刊紙、ワシントン・ポストの調査で、1890年代以降、全米22のカトリック寄宿学校に配属されていた少なくとも122人の司祭が、先住民の学校生たちに性的虐待したとして告発されていることが明らかになった。記録された性的虐待のほとんどは1950年代と1960年代に発生し、1000人以上の子供たちが被害に遭っている。

  これに対して、USCCBは14日の文書で、このような先住民の子弟たちの心身に深い傷を負わせたカトリック教会の責任を認め、子弟たちを家族から引き離し、寄宿学校に収容して強制的な同化を図ろうとしたことを謝罪。「司牧を委ねられた子弟たちを敬意と感謝の心をもって育て、強めていく努力を怠ったことをお詫びします。”沈黙の文化”を打ち破ることに努めます」と述べた。

 米国では、米連邦議会が1978年に先住民児童福祉法を成立させるまで、先住民子弟を寄宿学校に強制収容し強制的に同化させようとする政策が続けられてきた。USCCBは文書で、「寄宿学校で、先住民の子弟たちは、伝統的な言語、服装、習慣を放棄することを余儀なくされてきました」とし、「教会が、先住民族の子どもたちの負った傷を認め、彼らの経験に謙虚に耳を傾けるときにのみ、癒しと和解は可能になります」と言明。カトリック教会の聖職者、信徒すべてのに対して、これらの問題における教会の役割に関する調査への協力を呼びかけた。

 米連邦政府当局の 2022 年のレポートは、全米に先住民子弟の寄宿学校が445校あり、うち84校がカトリック教会または団体によって管理されていたとしている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2024年6月18日

(評論)共に歩む教会に必要なのは互いの信頼、そのための努力が見えない+読者の声

 まず、この公示文書を読んでの印象は、誰に対して、何の目的で、何のことを言おうとしているのか分かる「東京教区の皆さま」がどれほどいるのか、ということである。

 そもそも「東京教区の皆さま」とは誰のことを指しているのか。司祭か、聖職者か、それとも一般信徒か、それら全員を指しているのか。さらに、文書の出だしの「東京教区司祭」神父、という表現も理解できる人は少ないだろう。「修道会司祭」でないことはおおよその察しが付く人もいるかも知れないが。もっと分からないのは、「当教区信徒との関係において、司祭として不適切な言動」だ。何をして「不適切」とするのか、定義されずに使われているためだ。

 そして、「事実関係の聴き取り」「第三者委員会の調査結果」の結果、としているが、教区の誰が、あるいはどの担当部署が聴き取りをしたのかはっきりしないし、「第三者委員会」に至っては、どのような機能を果たす目的で、どのような構成でなされる組織なのか、そもそも、そのような委員会の存在さえ、一般信徒はもちろん、司祭の中でさえ知らされていない人がいるようだ。

 それらの結果に基づき、「謹慎」させ、「必要な研修」を受けさせる、というが、それはどのような規定に基づき、どのような「謹慎」をいつまでさせるのか、「必要な研修」とはどこで、誰が、あるいはどのような機関が行うのか、も説明はない。それより何より、教区の指導者が問題司祭に対してなすべきは、「回心」させることではないか。謹慎させたり、研修を受けさせても、当人が心から回心しなければ意味はない。

 要するに、「東京教区の皆さま」に、「東京教区司祭」神父が関係者に多大な精神的苦痛を与えたことを、管理責任者として謝罪し、二度とこのようなことを繰り返さないように全力を尽くす、という決意が全く見えない。はっきり言えば他人事、分かってもらえなくてもいい、これまでの教区人事などで、この問題を知っている人に「対応をどうしたのか」という疑問を残さないために、この公示文書で決着を図ろう、という考えなのだろうか。「再発防止等の努力に…」と言うが、この措置の対象となる案件があいまいのままでは、何を再発防止するのか分からないし、説得力を欠く。そして何より、この公示文書には、「心」が感じられない。

 教皇フランシスコが提唱しておられる司教、司祭、聖職者、一般信徒が共に歩む「シノダル(共働的)な教会」のために、まず必要なのは、互いの信頼、思いやり、そのために、可能な限りの説明責任を果たすことではないか。

 「カトリック・あい」は、この公示文書にある「東京教区司祭」神父も、彼の「司祭として不適切な言動」も把握している。これまでの教区人事などを見ればおおよその察しがつく人もいるかも知れない。仮に、それらを具体的に明らかにすることが、関係者をさらに傷つけることになる、と判断して、このような理解しがたい表現にしたのであれば、そのような説明がされてしかるべきだし、「司祭として不適切な言動」に対する措置の具体的な規定、関連して、調査機関や「第三者委員会」の目的、機能、委員の構成などは、今回の案件とかかわりなく、明らかにする必要がある。

 東京教区や札幌教区などの複数の修道会司祭で「不適切な言動」で一般信徒を傷つけたを被害者が訴えている案件も複数把握しているが、どれも加害者とされている司祭や「不適切な言動}当時所属していた修道会は、無視、否定、あるいは隠蔽を図ろうとする動きもある、と聞いている。そうした中で、このような、危機意識の欠けた、理解困難、誠意の欠けた説明不十分な文書一本ですまそうとするなら、被害者とされている信徒はもとより、「共に歩む教会」を目指して日々、努力を重ねている聖職者、一般信徒の、教会、修道会のリーダーへの信頼が遠のいてしまうことを、深く懸念する。

(「カトリック・あい」南條俊二/2024.5.12記

【読者から】

*「信徒に司祭として不適切な言動」をした神父を謹慎、研修措置ーカトリック東京教区長が+評論」の評論は、正鵠を得たものです。「カトリック・あい」の「教皇のことば」 5月5日付『☩「あらゆる償いは、自分の罪を認めることから始まる」-(性的虐待という)取り返しのつかない行為への対応を話し合う国際会議で』の教皇の言葉に共感を覚えます。

 加害者の司祭が被害者に面と向かって謝罪し、被害者本人から許しを得たのかさえ疑問です。第三者委員会はもとより、懲罰委員会の存在すら明らかになっていないのは組織として決定的な欠陥です。一片の東京教区公示文書の「当教区は、事実関係の聴き取り,および第三者委員会の調査の結果に基づき、同神父には謹慎させ、必要な研修を受けさせます。」が十分に尽くされるかどうか、信徒の疑いの念はぬぐい切れないでしょう。

(首都圏に住むT.T)

*5月12日付けの記事を読んで、前回の「アドリミナ報告」同様愕然としています。ここまで日本のカトリック指導者が堕ちてしまったのかという嘆きです。東京大司教区の「公示文書」を読んでも、文書の目的が一切わかりません。他教区の信者や一般市民には、何のことかさっぱり分からないでしょう。こういう形でしか対応できないところに教区の病巣がありそうです。評論で指摘されているように「分かってもらえなくてもいい」「決着を図る」ための形式的文書に見えます。被害者の権利を充分に守りながら、真相を解明して再発防止を図るという真剣さが欠けているようです。これでは類似のことが再発するでしょう。

 評論の中で「第三者委員会」について触れられていますが、私の所属する教区の現状を紹介します。4年前(2020年4月)に「性虐待防止宣言」と「性虐待防止及び被害者支援に関する規程」の二つが教区文書として公表されました。後者の文書には「第三者委員会」設置の規定があります。しかし、弁護士・ケアの専門家などの委員が誰なのか、委員会が活動しているのか一切不明です。委員の任期が2年になっていますが、再任されたかどうかも分かりません。「規程さえ作れば、それで良し」という発想です。性暴行を含むハラスメントの問題に真剣に取り組む姿勢はないということです。

 今回の東京大司教区の公示文書の内容を見て、日本のカトリック教会の衰退を象徴していると感じています。社会から遊離して、信者が教会から遠のきつつある現状を刷新する必要があります。

(西の信者より)

2024年5月13日

・「信徒に司祭として不適切な言動」をした神父を謹慎、研修措置ーカトリック東京教区長

(2024,5,12 カトリック・あい)

 カトリック東京大司教区は11日付けで、菊地大司教名の公示文書を教区の聖職者、信徒あてに発出した。全文以下の通り。

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東京教区の皆さま 公示文書

 「東京教区司祭」神父に関し、当教区信徒との関係において、司祭として不適切な言動があるとの申し出を受けました。当教区は、事実関係の聴き取り,および第三者委員会の調査の結果に基づき、同神父には謹慎させ、必要な研修を受けさせます。なお、当教区としては、再発の防止等に努めてまいります。

                                  カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

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2024年5月12日

・性暴力の被害者が加害司祭の所属修道会に損害賠償求める裁判で、被告・神言会側が「彼はやっていない」と否認

(2024.5.8 カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が「外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかった」として司祭が所属していたカトリック修道会、神言会(日本管区の本部・名古屋市)に損害賠償を求めた裁判の第3回口頭弁論が8日、東京地方裁判所で行われ、これまでの準備書面で原告の訴状に対してほとんど「不知(知らない)」と繰り返してきた被告の神言会が「(所属していた司祭が性的虐待を原告女性に行ったとする訴えを)否認する」と新たな書面で言明したことが明らかになった。次回は、7月17日午後3時から東京地裁第615法廷で行われる予定。

 原告代理弁護人は、この新たな準備書面の内容について、「私たちが訴えているのは、神言会が『適切な対応を取らなかった』ことであるにもかかわらず、それに反論せずに、このような表現で応えたのは、神言会そのものが加害者に成り代わったもの」と受け止めている。

 原告を支持している多くの傍聴者からは、原告の訴状の内容などから、外国人司祭が原告信者の告解を利用して性的暴行を繰り返したのは明らかと思われるにもかかわらず、「司祭が属していた修道会が、これまで”知らぬ存ぜぬ”を通してきた態度を一変させて、性的暴行そのものの否定に回ったのは、理解できないし、原告被害者をいっそう傷つける行為以外の何物でもない」と批判の声が上がっている。

 前回に続いて、司祭、修道女、一般信徒など関東、関西、北海道などから集まった約50人が傍聴席を埋める中で行われた8日の法廷では、裁判長と2人の陪席裁判官のもと、原告の田中時枝さん(東京教区信徒)、代理人の秋田一惠弁護士、被告側は当事者である神言会日本管区の代表がこれまでどおり欠席、代理人弁護士のみが出廷し、被告側から新たに出された準備書面の内容などをめぐってやり取りがあった。

 その中で、原告側は、被告側が新たな準備書面で「(訴状にある、外国人司祭=バルガス・F.O.サビエル=による被害者への性的虐待行為を)神言会として否認する」としたことについて、なぜ、これまでの『不知」を改めたのか、とに質したのに対し、被告側は「本来なら『不知』だが、(神言会の代理人弁護士として)否認する」と返答。さらに「それでは、あなたは、バルガスの代理人か」との問いに、「(バルガスの)代理人ではない。神言会の代理人だが、(バルガスは原告に対する性的虐待は)やっていない」と繰り返した。

 また、バルガスに対して「訴訟に加わるように」求めた被告訴訟告知書について、裁判長から「(バルガス)本人ではない人物が受け取ったようだ」との説明があり、「その人物は(バルガスの)妻か」との原告側の問いには、「それは不明確。(受領書の)コピーをお渡しするので、そちらで確認してほしい」との回答があった。これにより、神言会が明確にするのを避けてきたバルガスの居所が分かれば、本人を直接訴えることも可能になるため、今後の展開が注目される。

 第三回の口頭弁論終了後、原告の田中時枝さんと原告代理人の秋田一惠弁護士が会見を開き、田中さんが「本物の信仰をもったたくさんの方が支援してくださり、今回も多くの方が傍聴に来てくださって勇気をいただきました」と感謝。秋田弁護士も「大きな苦痛を覚悟のうえで、田中さんが実名で、顔をさらして訴え、それに、多くの方が共感され、励ましてくださっている。今や東京地裁でこの案件を知らない関係者はいないくらいに注目を浴びています。裁判はこれからも続きますが、これだけで、私たちは『勝った』と言ってもいい」と語り、感謝と、さらなる支援を訴えた。

(南條俊二記)

2024年5月8日

・教会での性的虐待含むハラスメント、4割が「ある」と回答ーカトリック札幌教区が信者意識調査結果発表

(2024.4.17 カトリック・あい)

 カトリック札幌教区のハラスメント対応デスクは2017年から小教区を訪問し啓発活動を行っているが、新たな体制づくりと今後の啓発活動のため2023年7月1日から11月30日にかけて教区の全信者を対象とした「ハラスメントのない教会共同体をめざして~教会におけるハラスメント意識調査~」を実施、札幌教区ニュース4月号で、調査結果の「前篇」を公表した。

 「前編」では、全調査項目の集計結果と寄せられた具体的なハラスメント事案を紹介し、8月に公表する「後編」では、被害者の声を中心にまとめ、今、何が問題なのかを考えるとしている。

 聖職者による性的虐待など教会でのハラスメント行為は、教会への信頼を失墜させるものとして深刻な問題になり続けているが、日本の教会の取り組みは、隠ぺいを容認する従来からの体質もあって緩慢。日本のカトリック教会における性的虐待を含めたハラスメント意識調査の実施は15ある教区の中で、「カトリック・あい」が確認できたのは札幌教区のみだ。

 今回の札幌教区の調査は、全小教区の聖職者、修道者、信徒、求道者を対象に、無記名調査票とWEBによる自由回答の形で実施し、回答があった584件をもとに分析を行った。回答率は12.3%。

 回答者の内訳は、年齢は70歳代が最も多く31.3%、60歳代が23.8%、80歳以上が21.9%と続き、50歳代は11.1%、40歳代は4.3%、30歳代は2.1%と若くなるほど少なくなり、20歳代はわずか1.2%。受洗後の年数は20年以上が最も多く79.1%、次いで5年以上10年未満が11.3%、1年以上5年未満が9.2%など。

 性別は女性が60.6%を占め、男性が26.2%、無回答12.2%、答えたくないが1.0%となっている。

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*「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を知っている信者は3割

 質問は15問から成っているが、このうち、日本の教会の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」(今年は3月1日)について、知っているかどうか聞いたところ、「知らない」が37.7%、「聞いたことはあるが内容は知らない」も30.5%。「知っている」は30.7%にとどまっている。さらに、この日の行事に参加したか、との問いには、「ない」が61.5%、「教会ではやっていない」が24.1%で、「参加したことがある」はわずかに11.6%だった。

 

*「ハラスメントはある」が4割、うち「自分がされた」が7割弱

 札幌教区のハラスメント防止宣言を「知っている」のは22.6%、ハラスメントデスクを「知っている」も20.9%にとどまる一方、「教会内で、いじめ、いやがらせ、ハラスメントがあると思うか」との問いには、40.6%が「あると思う」と答え、ハラスメントを「自分がされた」が66.7%に達している。受けたハラスメントの内容(複数回答)は「人前での感情的な叱責」が最も多く41.8%、「挨拶や話しかけを無視する行為」37.3%がこれに次ぎ、「人格否定や差別的な言葉による叱責」「悪質な悪口や陰口」「宗教的な経験年数や知識量での叱責や避難」「奉仕の強要」「私生活・プライバシーへの過度の介入」がいずれも20%を超えている。

 

 

*行為や言葉によるセクハラ、児童性的虐待も

 さらに、「教会内で、いじめ、いやがらせ、ハラスメントがあると思う」と回答し以上のような、事前に用意された選択肢以外に「その他」として、回答者が書き込んだ具体的経験で、「セクシュアル・ハラスメント」として、司祭・聖職者から「セクハラすれすれの行為を受けた」「ハグされる感じで抱かれて嫌な気持ちになった」「子宮摘出手術を受けた信徒に、聖職者が『じゃあ、もう女じゃないんだ』と言った」、信徒からは「教会で手伝いをしている時に、尻をつかまれた」「『元気をもらいたいから』と手を握られた」「酔った勢いで個人的に連絡された」などの指摘があった。

 また「児童に対する性的虐待」として、「少年期から青年期にかけて、聖職者から児童性的虐待を受けた」「体を触る、服の中に手を入れるなど性的行為をされた」や、「児童虐待」として、「侍者教育は児童虐待だった」「暴力を振るわれた」との回答があった。

*ハラスメントは「信徒同士」87%、「司祭・修道者から」24%

 ハラスメントがどのような関係で行われたか、との問いには、「信徒同士」86.9%に次いで、「司祭・修道者から求道者・信徒へ」が24.0%と多い。その後どうしたか、との問い(複数回答)に対しては、「どこにも相談できなかった」と「信徒に相談した」がいずれも39.2%と最も多く、「司祭に相談した」は14.6%にとどまり、さらに「ハラスメントデスクに相談した」はわずか1.3%しかない。また「どこにも相談できなかった」理由(複数回答)を聞いたところ、「自分が我慢すればよいと思った」が51.6%、「何をしても解決しないと思った」が41.9%を占めている。

*ハラスメント防止に必要なのは信徒、教会役員、聖職者の「意識改革」

 そして、「教会でのいじめ、いやがらせ、ハラスメントを防止するために必要な措置」(複数回答)として回答者が挙げたのは、意識改革と研修で、「信徒の意識改革」63.3%がトップ、「教会役員の意識改革」34.2%、「聖職者の意識改革」31.2%がこれに次いでいる。また、「信徒の研修」32.4%、「教会役員の研修」16.8%、「聖職者の研修」16.3%となっている。

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(評論)

 日本のカトリック教会における性的虐待を含めたハラスメント意識調査の実施は、15ある教区の中で、「カトリック・あい」が確認できたのは、今回の札幌教区のみだ。他の教区は、教区内の実態把握どころが、教皇フランシスコの全世界の教会に対する要請を受けて、2016年に日本カトリック司教協議会で実施を決めた「性虐待被害者のための祈りと償いの日」(今年は3月1日だった)すら、司教協議会会長の菊地・東京大司教のメッセージが出されたほかは、東京、長崎などほとんどの教区が何の取り組みも、小教区への積極的な取り組みの呼びかけもしない、というのが現状だ。

 東京教区の筆者が所属している教会でも、3月1日、あるいは直近の主日に、祈りなどの行事は全くなく、3月1日が性虐待被害者のための祈りと償いの日」だということを知る信徒は皆無だった。

 2021年2月には、司教協議会が「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」を発表し、各教区での「あらゆるレベルでの取り組み」を求めているが、中心となるべき東京、長崎、大阪高松の各大司教区はじめ、ほとんどの教区が具体的な行動を伴った取り組みはおろか、信徒はガイドラインの内容さえ知ることなく現在に至っている。

 札幌教区では、2017年から小教区を訪問しての啓発活動、そして今回の意識調査など、他のほとんどの教区では見られない具体的な行動を積み重ねてきているが、それでも、先に報道したように、帯広教会を担当していたパリ外国宣教会の仏人司祭が、在日20数年の仏人男性信徒に繰り返し性的虐待を繰り返していたことが明らかになり、勝谷司教がパリ外国宣教会に情報公開求める旨、公に約束する事態となっている。今回の意識調査を見ても分かる通り、それほどに、取り組みは容易でない、ということだ。

 すでに長崎、仙台教区では、教区司祭による性的虐待に教区が適切な対応をせず、裁判に持ち込まれ、教区が被害者に損害賠償をするに至っている。東京地方裁判所でも、神言会の司祭に繰り返し性的暴行を受けた被害者が同会に損害賠償を求める訴えを起こし、公判が続いている。ほかにも、「カトリック・あい」で把握している司祭による性的虐待疑惑は東京教区など数件ある。

 札幌教区の意識調査の結果公表を機会に、日本の司教団に、司祭による性的虐待を含む教会におけるハラスメントへの、誠実かつ具体的な行動を伴う真剣な対応を、改めて強く求めたい。

(「カトリック・あい」南條俊二)

2024年4月17日

・教皇、性的虐待などスキャンダルにまみれの使徒的活動団体に関わるペルーの大司教の辞表受理(Crux)

(2024.4.2 Crux  Senior Correspondent Elise Ann Allen)

  ローマ発 – 性的虐待などスキャンダルまみれのペルーの使徒的活動団体Sodalitium Christinae Vitae(SCV)信徒団体に対する捜査が続く中、バチカンは2日、この団体に所属する大司教の辞表を教皇フランシスコが受理した、と発表した。

 4月2日のVatican News速報によると、ピウラ大司教区のホセ・アントニオ・エグレン・アンセルミ大司教(67歳)で、SCVの会員。辞表受理は、1970年代にペルーの信徒ルイス・フェルナンド・フィガリによって設立されたSCVに対するバチカンの調査が行われている最中に行われた。

 疑惑は数年前からあったものの、2015年にペルー人ジャーナリストのペドロ・サリナス氏とパオラ・ウガス氏が、SCVの幹部らによる長年にわたる性的、身体的、心理的虐待疑惑を詳述した著書『半僧侶、半兵士』を出版したことで、SCVに関わるスキャンダルが一挙に表に出た。

 フィガリ自身も、未成年者への性的虐待を含む、コミュニティ内での身体的、心理的、性的虐待で告発された。 2017年に彼はバチカンから制裁を受け、グループのメンバーとのさらなる接触を禁止され、2度の控訴で敗訴した後、現在、亡命生活を送っている。

 自身が任命した外部指導者によるものも含め、いくつかの改革の試みが失敗に終わった後、教皇フランシスコは、SCVに関する正式な調査の開始を決め、マルタ大司教区長のチャールズ・シクルーナ大司教とスペイン人のジョルディ・ベルトメウ神父を責任者に任命して、監督するよう指示。二人は昨年7月下旬から8月上旬にかけてペルーを訪れ、SCVによる虐待の被害者やエグレン大司教を含む事件関係者らと面会した。

 エグレン大司教はSCVの問題が表面化して以来、重要な関心の源であり、ピウラ大司教区での汚職疑惑の中心人物であり、ウガス、サリナス両氏の著作に対する法的キャンペーンの扇動者でもあった。2018年、大司教は、「SCV関係者の虐待と隠蔽活動に加担しただけでなく、土地売買にも加担した」と自身を名指しした調査報道を、名誉毀損で刑事告訴した。

 教皇は2018年9月にバチカンでエグレン大司教と面談した。1年後、ウガス、サリナス両氏に対する名誉棄損訴訟で勝訴した直後、エグレン大司教は、ペルー国民、メディア、教会関係者の強い反発の中で、両ジャーナリストに対する告訴を撤回。ウガズ氏がSCV関連組織によるピウラ地域での土地売買に関するさらなる報告を出した際、大司教は2022年3月にバチカンで教皇と再度会談した。

 ピウラ県では何年にもわたって、農民グループと、サン・ファン・バウティスタ市民協会、エンプレサ・アグリコラ・サンタ・レジーナSAC、インベルジェネス・サンなど、SCVが運営、あるいはSCVと関係がある少数の企業との間で法廷闘争が繰り広げられてきた。

 中南米の多くの地域では、農民や貧しい階級の人々が、自分たちが住んでいる土地に対する正式な所有権を持たずに、安価な土地に根を張り、何十年、場合によっては何百年も荒らされることなくそこに住み続けるのが一般的だ。多くの場合、土地を買い占めよとする企業は地権者と契約し、脅迫、時には犯罪組織による暴力に訴えによって事実上、住民を町から追い出している。ピウラ県では、これらのコミュニティの 1 つがカタカオス町の農民グループで、犯罪グループからの脅迫と、彼らが占有している土地を手に入れようとする SCV関連 企業による訴訟の両方と戦っている。そして、この地域およびSCV内で保持してきた権力から、エグレン大司教は多くの告発の中心人物であり、農民を土地から追放するためのさまざまな計画の立案者とみなされ、非難されている。

 シクルーナ大司教などバチカンの調査団は、昨年夏の調査の一環として、リマ滞在中に、ピウラ県のカタカオス農村社会のサン・ファン・バウティスタの小作農グループと面会し、状況とSCVに対する申し立てについて話し合った。調査団には、ペルー国家人権調整官(CNDDHH)のジェニー・ダドール事務局長も参加。エグレン大司教とも面談した。

 エグレン大司教のピウラ大司教区長辞任は、バチカンがSCVに対し、さまざまな形態の虐待で告発された8人の著名メンバーに対して措置を講じるよう求める一連の書簡を送ったことを受けてのことであり、SCVにとって重大な打撃となる可能性が強い。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年4月3日

・米国カトリック教会でサクラメント教区が破産申請-相次ぐ性的虐待損害請求訴訟で

(2024.4.2 Crux National Correspondent  John Lavenburg)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年4月3日

・教皇、ベルギーの元司教が自分の甥たちへの性的虐待を認めて14年たって司祭職をはく奪

(2024.3.22 La Croix   Christophe Henning)

 教皇フランシスコが22日までに、ベルギー・ブルージュ教区のロジェ・ヴァンヘルウェ元司教(87)の司祭職をはく奪した。ヴァンヘルウェ元司教は2010年に、司教叙階以前から10年以上にわたって未成年の甥たちに繰り返し性的虐待を行ったことを認め、司教を辞任させらたものの、同国の刑法で犯行が時効となっていることから、司法当局から刑事訴追されることがなく、バチカンも司祭職はそのままに、修道院への蟄居を申し渡すにとどまっていた。(写真はブルージュの大聖堂)

 教会内外からの強い批判から、ベルギー司教団から過去数年にわたって、元司教の司祭職はく奪をバチカンに求め続け、さらに、アントワープ教区のヨハン・ボ

The cathedral of Brugge (Jean-Pol GRANDMONT CC BY 4.0 DEED)

ニー司教が昨年9月、地元テレビ局が制作した性的虐待被害者に関するドキュメンタリー「GodVergeten(神に忘れられた)」の中で「彼は今も司祭であり司教である。その地位は変わっていない」と批判したことから、司祭職はく奪を求める声が高まり、今回の教皇による司祭職はく奪につながった。

 ヴァンヘルウェ元司教は、1984年末にヨハネ・パウロ2世教皇に司教に任命され、約25年にわたってルージュ教区長を務めていた。だが、性的虐待が明るみに出、メディアの圧力を受けて2010年4月23日に未成年に対する性的虐待の罪を認め、司教職辞任を、当時のベネディクト16世教皇に辞表を提出。

 その際、「私がまだ司祭になったばかりの頃、そして司教となってしばらくの間、近親者の若者に性的虐待をした。被害者は今もその影響を受けている。過去数十年にわたり、自分の非を繰り返し認め、被害者と家族に許しを求めたが、それでは十分でなかった」と公に告白して辞表を、さらに、その後、1973年から1986年まで13年間にわたって自分の甥を性的虐待したこと、さらにもう一人の甥にも同様の行為を2年間続けていたことを認めていた。

 教皇は辞表を受理し、教区長も更迭となったが、その後、さらに多くの被害者が名乗りを上げ、ベルギーの教会が前例のない虐待危機に巻き込まれたが、その際、ヴァンヘルウェ元司教は一転、自身の行為の深刻さを軽視する姿勢を見せ、甥に対して犯した性暴力をあえて「小さな関係」とまで表現。教会内外の批判の声を掻き立てた。こうした事態を背景に、 ベルギーの司教団は昨年10月、この問題について再びバチカンに圧力をかけた。

 駐ベルギーのバチカン大使館は21日発表の声明で、「ここ数カ月の間に、ブルージュ前司教の事件に関する新たな重大な要素がバチカン教理省に報告された」と、司祭職はく奪の理由を説明したが、教皇フランシスコは9月にベルギー訪問を予定されていることが、この問題への対処を急がせる要因となった可能性もある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年3月26日

・仏人男性から性的虐待の訴えがあった司祭が所属する「パリ外国宣教会に情報公開求める」と札幌教区司教が約束

(2024.3.19 カトリック・あい)

 「司祭から性的虐待を長期にわたって繰り返され、所属していた神言会も訴えに適切な対応をしなかった」として被害女性が同修道会に損害賠償を求める裁判の第二回口頭弁論が11日に行われたが、この裁判を傍聴し、その後の原告被害者の会見で、日本在住の仏人男性が「私も札幌教区の帯広教会で、パリ外国宣教会の司祭からレイプされた。同修道会や司教に訴えても、まともな対応をしてくれない」と告白していたが、19日になって、札幌教区長の勝谷司教名で、教区の司祭、信徒たちに次のような「報告」がされた。

 全文以下の通り。

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2024 年 3 月 19 日  札幌教区の皆様

リ ッ タースハウス ・フィ リ ップ神父に係る報告

   一昨年 、 フィ リ ップ神父が所属するパリ外国宣教会の指示により急遽帰国 したことについて皆様にご報告いた します。

   フィ リ ップ神父はフランス人男性 T 氏より 、不同意性交で告発 され、現在フランスで調査中 です 。 まだ裁判等は開始 され てお らず 、今後どうなるかは不明 です 。今回の件について札幌司教区は フ ィ リ ッ プ神父の帰国後その情報を入手 し 、パ リ外国宣教会に対して報告を求めてまい りま したが、何 ら具体的な回答や情報開示はな く 、札幌司教区 として明確な事実確認ができないまま、今日に至っております。

 T 氏 とは数回の面会の他、 メールで何度も対話 してまいりま した。T 氏は本件についての公表を希望 されてお りますが 、札幌司教区 と しては事実確認が一切できない状況での公表については控えてまい りま した。しか し T 氏の心痛、苦 しみを思 う時、経過についてあ りのままを教区信徒の皆様へお伝えすべきと判断致 しま した。

 T 氏はフ ィ リ ップ神父が着任 した小教区を訪問 し、ご自身の現状を訴えられてお ります 。信徒の皆様におかれまては 、前述の経過をご理解いただ き 、対応にお困 りの際には札幌司教区本部事務局へご連絡 くだ さいますよ うお願いいた します。

 なお、札幌司教区 としては今後も T 氏に寄り添いながら、東京教会管区 とも連携 し、パリ外国宣教会に対 して速やかな情報公開を求めていきたい と考えてお ります。

                                               カトリック札幌教区司教 勝谷太治

2024年3月19日

・フランスで1400 人近い性的虐待被害者がカトリック教会に補償を要求ー司教協議会の独立補償機構が報告書(La Croix)

2021年10月1日、「アド・リミナ」訪問のためローマ滞在中、教皇の一般謁見のためにサン・ピエトロ広場に到着したフランスの司教たち(写真提供:Massimiliano MIGLIORATO / Catholic Press Photo/ MaxPPP)Nearly 1,400 sex abuse victims seek compensation from Catholic Church in France

(2024.3.15 La Croix  Christophe Henning (in Paris)

 フランスのカトリック聖職者による性的虐待の体験を明らかにし、補償を求めた被害者に関する、新たな実態が明らかになった。

 フランス司教協議会(CEF)に設立した独立国家補償機構(INIRR)が14日発表した年次報告書によると、1396人の性的虐待被害者が自らの体験を明らかにし、補償を求めた。これまでに571 件が合意。被害者の 45% が 2万 ~ 3万9000 ユーロ(320万~630万円)、42% が 4万 ~ 6万 ユーロ(650万~980万円)の金銭的補償を受けている。

 被害者の多くが長期間にわたって性的に虐待されており、その期間は、 1 年から 5 年が 全体の42 パーセント、 5 年以上が20 パーセントに上っている。 名乗り出た被害者が虐待を受けた時点の年齢は11~15歳が全体の5割、6~10歳が4割を占めている。

 また、女性からの訴えは、全体の3割にとどまっており、ドラン・ド・ヴォークレッソンINIRR会長は「女性が声を上げることで、他の人たちも、それに加わることができるようになる」と女性が勇気を出して訴え出ることの重要性を指摘している。

 年次報告によると、未成年時に聖職者から性的虐待を受けた人たちの場合、被害を名乗り出るまでに時間がかかることが多く、中には、非常に古い事実について思い切ってINIRRに告知するのが初めての経験だった、と語る人もいた。

 ただし最近では、「性的虐待をした者が生存している時点で、私たちに連絡してきた若い被害者もいる」と会長は指摘。パリ・カトリック研究所(ICP)で教鞭をとる臨床心理学者のロレーヌ・アンジュノー氏は、「虐待被害者が声を挙げたとき、再び痛みを感じる… 訴えが無視され、教会と親族によって隠蔽されてしまった… ”沈黙”を破るのは大変なことです」と被害者の立場を説明した。

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 INIRRは2022年に発足したが、当初は人員が不足し、毎月寄せられる100~250件近くの相談や訴えへの対応に苦慮した。 しかし現在では、被害者を支援する約30人のカウンセラーがスタッフとして活動、支援者も2022年12月の315人から、今では868人に増えている。 金銭補償だけでなく、教会の様々な記念行事への参加、教会の代表者との面談、旅行、地域社会で自身の体験を語る場の提供など、心身のケアのための具体的な対応にも努めている。

 INIRRのチームの任期は今年11月までだが、これまで訴えてきた人たちの中で現時点でもなお、3割が支援を必要としており、「私たちは、決して人々を旅の途中で見捨てるようなことはしません」とヴォークレッソン会長は語り、CEFは来週ルルドで開く春季総会で、延長を決めるとみられる。

 会長は、「被害者たちが受けた虐待のトラウマを金銭補償で埋め合わせることができないことは分かっています。それでもINIRRの活動が性暴力に関するフランス社会での議論の高まりに貢献している」とし、臨床心理学者のロレーヌ・アンジュノー氏も「性暴力には取り返しのつかない側面がある。だが、賠償ですべてを解決することはできなくても、苦しみを軽減することは可能です」と述べた。

 また、年次報告書では、複数の被害者が、性的虐待で受けた痛みから心身が回復するのに、「時間」がいかに重要であるかを語っている。64歳になるダミアン・メイスさんは「私たちの内面、皮膚の下には消えない傷跡が残っています」と訴え、別の被害者は 「それでも、私は存在する。私は生きているのです」と語った。

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 INIRRの活動は重要だが、報告書が示した1400人弱という被害者の人数は、「フランスのカトリック教会における性的虐待に関する独立委員会(CIASE)」が発表した数字と比べると相当に少ない。同委員会は、フランスで 1950 年から 2020 年にかけて約33万人が聖職者やその他の教会関係者によって性的虐待を受けた、と推定している。

 

Read more at: https://international.la-croix.com/news/religion/nearly-1-400-sex-abuse-victims-seek-compensation-from-catholic-church-in-france/19366

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.
2024年3月18日

・教皇、「未成年者と弱い立場の成人保護委員会」の事務局幹部人事、次長に女性の元米国州警察幹部を任命

 事務局長に就任したアリ・エレーラ司教は、現在、南米コロンビアのカトリック司教会議事務局長。 1967 年にコロンビアのバランキージャで生まれ、ボゴタの神学校に通い、1992 年に司祭叙階。2007年にローマ教皇庁立グレゴリアン大学で心理学の学位を取得した。

 ボゴタ首都大司教区神学校の心理学オリエンテーション領域の責任者を2007年から2015年まで務め、発達心理学、社会心理学、司牧心理学を教えた。2015年、教皇フランシスコからボゴタ大司教区の補佐司教、教皇庁の未成年者保護委員会の委員に任命された。

Ms Teresa Morris Kettelkamp with Pope Francis
 事務局次長のテレサ・モリス・ケッテルカンプ氏は、長年、米イリノイ州警察に勤務し、幹部として、犯罪研究所と犯罪現場支援の責任者のほか、イリノイ州政府、議会における不正行為疑惑の調査などを担当、退職後は、米国の児童と若者の保護のための司教憲章の実践状況についての最初の年次監査を担当。
Ms Teresa Morris Kettelkamp with Pope Francis
 2005 年に米国司教協議会の児童・青少年保護事務局長となった後、2016年にバチカンの「未成年者や弱い立場にある成人保護委員会」に勤務、未成年者と弱い立場にある成人の保護、そして性的虐待被害者の治癒とケアのための普遍的なガイドライン策定に取り組んだ。2018年、教皇フランシスコから同委員会の委員に任命され、被害者の生存者の癒しと彼らの声を教会の奉仕に反映させることに重点を置いた作業部会の座長を務めた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

*「カトリック・あい」からお断り

 ・これまで「Pontifical Commission for Protection of Minors」をバチカンの「未成年保護委員会」と訳してきましたが、「minor」には、未成年をさすだけでなく、弱い立場にある成人をさす場合があります。最近の教皇を含めた関係者の言葉は明らかに両者を含めて、性的虐待から守る、という姿勢が示されており、日本の教会、特に高位聖職者などの間に「子供を守ればそれでいい」というような意識がみられるのを改めていただくためにも、「未成年者と弱い立場の成人保護委員会」と訳を改めることにしました。

2024年3月16日

・教皇、米国で婦女暴行の罪を犯した神父の司祭職をはく奪(CNA)

(2024.3.12  CNA staff Daniel Payne)

  教皇フランシスコがこのほど、米ノースダコタ州で女性を性的暴行した神父の司祭としての職務をはく奪された。

 米ノースダコタ州ファーゴ教区のジョン・フォルダ司教は12日の声明で、婦女暴行の罪を犯したニール・ファイファー神父が3月8日付けで教皇フランシスコから司祭としての身分をはく奪(Laicize)されたことを明らかにした。。

  声明でフォルダ司教は、同教区の成人女性がファイファーから性的違法行為を受けたと訴え、ファイファー自身も、性的暴行で有罪であること認め、司祭職はく奪を望んだ、と説明した。

 司祭職がはく奪されると、典礼など司祭としての行為は行えなくなり、教会からの経済的支援を受ける権利も失う。

 司祭職はく奪について、フォルダ司教は「司祭が属する教区や司教によってなされるものではなく、教皇庁によって決定されるもの」と説明、 「司祭職はく奪は、ファイファー氏が一般信徒の状態に戻り、もはや司祭としての務めを果たせなくなったことを意味する。つまり、教会法に従い、ミサを捧げたり、告解を聞いたり、他の秘跡を執行したりすることはできなくなる」 と説明。ただし、「本人が以前に行った秘跡が無効にされることはない」と付け加えた。

 また司教は、「聖職者や教会を代表する人々が誰かを虐待すれば、彼らは(聖職者や教会に対する厳粛な信託を大きく損なうことになる」とし、このようなことが二度と起こらないよう、強く警告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年3月16日

・司祭による性暴力被害者が神言会に損害賠償求める裁判、東京地裁第二回口頭弁論を司祭、シスター、一般信徒50人が傍聴-被告側「『使用責任』は争わない」・次回は5月8日

(2024.3.11 カトリック・あい)

 カトリック信者の女性が「外国人司祭からの性被害を訴えたにもかかわらず適切な対応をとらなかった」として司祭が所属していたカトリック修道会、神言会(日本管区の本部・名古屋市)に損害賠償を求めた裁判の第二回口頭弁論が11日、東京地方裁判所で行われた。次回は、5月8日午後2時から東京地裁第615法廷で。

 前回の倍近い、司祭、修道女、一般信徒など関東、関西、北海道などから集まった約50人が傍聴席から見守る中で、裁判長と前回はいなかった2人の陪席裁判官のもと、原告の田中時枝さん(東京教区信徒)、代理人の秋田一惠弁護士、そして今回初めて被告側から神言会日本管区の代理人弁護士が出廷(神言会管区代表自身は引き続き欠席) し、提出済みの書面の内容などをめぐってやり取りがあった。

*裁判長が被告側に「主張をもう少し明確に、『不知』ばかりではないか」と苦言

 

 その中で、裁判長から、被告代理人弁護士に対して、「被告側の主張をもう少し明確にするするように。原告の訴状に対して、書面では、ほとんど『不知』(知らない)となっているが、どういうことか」と質問があったのに対して、被告弁護人は「被告のやったことについて承知していない」という意味の答えをし、さらに裁判長が「(被告と神言会の)雇用関係、使用者責任」について尋ねると、「その司祭と神言会は単純な雇用関係ではない(⇒ではどのような関係かは説明せず)が、使用責任については争わない」として、使用責任については事実上認めるかのような発言をした。

*「神言会は説明責任を果たして」と原告被害者が訴え

 

 口頭弁論終了後、東京弁護士会館で原告と原告代理人弁護士が会見を開き、原告の田中さんが「一人で心細く悩み続け、自虐の念に駆られてきましたが、本物の信仰をもったたくさんの方が支援してくださり、ありがたく思っています」と参加者に感謝を宣べ、「神言会の責任で適切に対応してくれると思っていたが、裏切られ、失望し、心をさらに傷つけられました。神言会には説明責任を果たしてほしい」と訴えた。

 秋田弁護士も「50人もの方が裁判を傍聴してくださったことが、原告本人にとって最高の贈り物。私たちの目的は裁判で勝つことではなく、被害に対して堂々と声を上げること。これまで、教会関係では、問題が起きても、「沈黙」、「見てむ見ぬふり」、「助けない」、挙句は「無かったことにする」が横行してきた。なぜ、こんなにひどいことが繰り返され続けているのか、しっかりと検証しないと前に進めない。これからも努力を続ける」と言明した。

 また、秋田弁護士は、「被告側は、加害者が会を辞め、結婚して国内にいることを知っているが、準備書面では、『居場所は個人情報だから』と明らかにしない。以前の居場所は知っているが、『今どこにいる分からない』と不誠実な対応を取り続けている。ただ、今日の口頭弁論で、神言会に『使用責任』があることについては争わない、と被告代理人弁護士がしたのは重要。加害者を会の一員として、司祭修道士として活動させていた修道会が『責任がない』と言うのはもともと無理がある」と述べた。

*傍聴したシスターは「罪は罪。加害者は回心してもらいたい」

 

 続いて約40人の会見参加者が一人づつ、発言があり、シスターたちからは「神様はすべて知っておられます。心を強くして」という励ましの言葉や、「初めて裁判を傍聴した。被害者が泣き寝入りすることがあってならない」「人はみな弱いけれど、罪は罪。加害者は神の前で回心してもらいたい」「虐待の話をすると、『私も経験がある』という反応が少なくない」「このような犯罪をきちんと認める社会、教会になって欲しい」など共感の言葉が述べられた。

 ある女性信徒からは「大学にいた時に、虐待の話を耳にしたことがあったが、そんなに深刻な問題があるとは気が付かなかった。後悔している」という反省や、「告解の場でこのようなことがされたのを知ってショックを受けている。勇気をもって声を挙げた田中さんを支援し、お祈りしたい」、男性信徒からも「聖職者がこのようなことをするのは許せない。この裁判ではぜひとも勝ってもらいたい」と激励があった。

 

*「私もパリ外国宣教会の司祭からレイプされた」と仏人男性信徒が告白

 

 なお、この会見での意見交換で、日本に来て23年になるというフランス人男性信徒から、「2022年4月に、札幌教区の帯広教会で、当時の主任司祭でバリ外国宣教会所属のフィリップという神父から性的暴行を受けた」との告白があった。

 そして、「その後、宣教会の責任者や日本の司教たちに繰り返し訴えても対応がなく、『事件を隠ぺいし続けるなら、私が公表する』と訴えて、ようやく昨日、札幌教区長の勝谷司教からメールがあった。『パリ外国宣教会の日本管区長を東京に呼び、経過などの説明を受ける、菊地東京大司教とも面談の機会を持つ、この件を公表することを検討する、場合によっては独自で公表することも考えている』との連絡をいただいたので、様子を見る」と説明した。この件は、別項で詳しく扱うことを考えている。

【田中さんが説明した「神言会司祭による『告解』を悪用した繰り返しの性的暴行」】

 今年1月の第一回口頭弁論の際の会見で、田中さんは、「救いを求めた教会の司祭に、真実を打ち明け、神の赦しを得るはずの『告解』という機会を悪用され、肉体だけでなく、精神的に深い傷を負わされた。今も夜中に目が覚め、恐ろしさがよみがえり、絶望感に襲われることがしばしば。修道会もまともに対応してくれない。こんなことが繰り返され、同じように不幸な人を作ってはならない、との思いで、あえて実名も出し、訴訟に踏み切った」と語っている。

 代理人弁護士などの説明によると、田中さんは、子供時代に性的虐待を受け、トラウマに苦しみ続け、今から約十年前、50代になってようやく気持ちの整理がつき、当時在籍した長崎の教会で告解をした。ところが告解を聴いたチリ人で神言会士のヴァルカス・フロス・オズワルド・ザビエル神父から、教会の外の建物に連れて行かれ、性的暴行を受けたが、「逃げると殺される」という恐怖感から抵抗できず、4年半も繰り返され、回を重ねるごとに酷さが増した。

 神言会の日本管区長などに被害を伝えたところ、2019年に、その司祭に対して、「性犯罪を行い、貞潔の誓願を破ったと告発されていること」「将来スキャンダルを引き起こす可能性があること」などを理由に聖職を停止し、共同生活から離れる3年の「院外生活」を決め、母国への帰国を認めた。だが、その後、ヴァルカスは日本に戻り、神言会は、還俗して他の女性信徒と結婚し、東京都内(11日の口頭弁論で被告代理人弁護士は「関東」とした)にいたことを認めているが、「現在の所在は不明」と言い続けている。代理人の秋田弁護士は「神父は告解を利用して彼女の重大な秘密を知り、それに乗じて性加害を繰り返した。修道会は性被害の事実と加害者を組織的に隠蔽(いんぺい)している」と語っている。

 

【神言会からは現在、日本で2人の司教が出ている】

 
 神言会は、1875年に聖アーノルド・ヤンセン神父によって創られたカトリックの宣教修道会で、日本では1907年に宣教活動を開始。現在、名古屋市に中学、高校、大学を、長崎には中高を経営。新潟、仙台、東京、名古屋、福岡、長崎、鹿児島の各教区で約30の小教区を担当し、東京教区、新潟教区の教区長に、それぞれ同会出身の菊地大司教(日本カトリック司教協議会会長)、成井司教が就いている.

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・再掲(解説)教皇が言われる「虐待に対する”沈黙”を打ち破る」ために教会、司教団が求められることは

 カトリック教会では、聖職者による性的虐待問題が世界的に深刻な問題となり、信者の教会離れにもつなっがっているが、1月に入ってからも、南米ボリビアで「性的虐待被害者の会」がイエズス会の司祭9人とボリビア管区を相手取って訴訟を起こしたことが明らかになるなど、いまだに終息を見せていない。

 日本でも、教会自体で責任ある対応ができずに訴訟になった、あるいはなっているケースが、確認できただけで長崎で2件、仙台で1件、そして今回の東京での1件があり、他にも問題のケースが数件あると見られる。

 このうち、仙台市の女性信徒の場合、カトリック仙台教区の司祭から性的暴行を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症、その後の教区関係者の不適切な対応、発言もあって多大な精神的苦痛を受けたとして、同教区などに謝罪と損害賠償を求め、仙台地方裁判所に提訴していた事件が昨年12月、和解金の支払いなどで一応の決着を見た。

 だが、教区から本人への謝罪も公けにはなく、精神的なケアもなく、それどころか一部の信徒たちから「和解金目当てに裁判をやったのか」という本人の心の傷にさらに塩をこすりつけるような声も出、本人を教会に絶望させる事態に追い込んでいる、という。

 日本の司教団は、バチカンからの指示を受けて性的虐待防止などのガイドラインの作成や各教区の女性や子供の保護のための担当司祭、窓口の設置などはしている。だが、長崎教区では窓口の担当職員が複数の司祭のパワハラでPTSDを発症、休職に追い込まれ、窓口は一時、閉鎖となり、東京教区のように担当司祭が、理由も公開されないまま、人事異動期でもないのに突然、解任されるなど、窓口そのものの信頼を大きく損なう事態も起きている。

 また司教団は、ガイドライン決定から2年半たって、ようやく一回目の監査結果を昨年9月に明らかにしたが、「各教区から提出された確認書によれば、2022年4月から2023年3月の間に性虐待の申し立てがあったのは4教区、5件であった」などとするだけだった。
 具体的な教区名、申し立てやそれに対する教区の対応などの説明はなく、「性虐待の申し立てのあった各教区には、監査役から提出された調査報告書に記載された所見を通知し、ガイドラインに基づいてさらなる対応をするよう求めた」とあるのみ。被害者に寄り添おうとする姿勢も、虐待問題に真剣に対応しようとする意志もうかがえない。

 聖職者による性的虐待が後を絶たないことに心を痛める教皇フランシスコは、昨年11月にフランス・ナント教区の聖職者による性的虐待被害者のグループと会見された際、聖職者による性的虐待の被害者が「家族とともに何が真実で善であるかを追求してきた場で、最大の悪に苦しんでいる」とされ、「『被害者や生存者の声に耳を傾ける』という積極的かつ敬意を持った心の広さが、受け手にあれば、虐待に対する”沈黙”は打ち破ることができる」と語られている。

 「受け手」としての日本の教会、そして何より司教団は、今回の東京での裁判開始を機会に、改めて、この教皇の言葉をかみしめる必要がある。

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

2024年3月11日

・「あらゆるレベルの『透明性』が教会に必要、それなしに信頼回復はない」-バチカン未成年者・弱い立場の成人保護委員会のオマリー枢機卿

Cardinal Seán O’Malley, President of the Pontifical Commission for the Protection of Minors (archive photo)Cardinal Seán O’Malley, President of the Pontifical Commission for the Protection of Minors (archive photo) 

*教会指導者たちは、「真実を語る」ことを恐れてはならない

 

 オマリー委員長はまた、虐待への対応に関して「教会の透明性」を高める取り組みについて言及し、これまでに取られた具体策として、いわゆる「教皇の秘密」を変更する使徒的勧告や、虐待に関与した司教の教区長ポストの解任を明確にするための継続的な取り組みなどを挙げ、 「透明性は非常に重要。教会のあらゆるレベルで透明性がなければ、教会が信頼を回復することはできない」と強調。

 スモール神父も「人々が何よりも望んでいるのは、真実が語られることだ、ということが、これまでの委員会の活動の中でも明らかになっっています。人々には真実を告げられる権利がある。 教会の指導者が、人々に真実を伝えることを恐れることもありますが、皆を信頼し、真実を伝えなければ、信者たちも私たちを信頼しません。 そして、それは透明性、誠実さ、開かれた心の証しであり、私たちがもっと取り組む必要がある課題です」と語った。

 インタビューの終わりに、委員長は、「委員会の最も重要な使命は、被害者の代弁者になるように努めることであり、これが教会のあらゆる場所で優先事項となるよう懸命に働くことです」と強調。 「『子供たち』が私たちの最優先事項であり、子供たちの安全が私たちの最大の目標であることを人々に証しし、私たちに対する人々の信頼を回復できなければ、福音宣教は不可能になります」と言明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年3月9日