・教皇、ベルギーの元司教が自分の甥たちへの性的虐待を認めて14年たって司祭職をはく奪

(2024.3.22 La Croix   Christophe Henning)

 教皇フランシスコが22日までに、ベルギー・ブルージュ教区のロジェ・ヴァンヘルウェ元司教(87)の司祭職をはく奪した。ヴァンヘルウェ元司教は2010年に、司教叙階以前から10年以上にわたって未成年の甥たちに繰り返し性的虐待を行ったことを認め、司教を辞任させらたものの、同国の刑法で犯行が時効となっていることから、司法当局から刑事訴追されることがなく、バチカンも司祭職はそのままに、修道院への蟄居を申し渡すにとどまっていた。(写真はブルージュの大聖堂)

 教会内外からの強い批判から、ベルギー司教団から過去数年にわたって、元司教の司祭職はく奪をバチカンに求め続け、さらに、アントワープ教区のヨハン・ボ

The cathedral of Brugge (Jean-Pol GRANDMONT CC BY 4.0 DEED)

ニー司教が昨年9月、地元テレビ局が制作した性的虐待被害者に関するドキュメンタリー「GodVergeten(神に忘れられた)」の中で「彼は今も司祭であり司教である。その地位は変わっていない」と批判したことから、司祭職はく奪を求める声が高まり、今回の教皇による司祭職はく奪につながった。

 ヴァンヘルウェ元司教は、1984年末にヨハネ・パウロ2世教皇に司教に任命され、約25年にわたってルージュ教区長を務めていた。だが、性的虐待が明るみに出、メディアの圧力を受けて2010年4月23日に未成年に対する性的虐待の罪を認め、司教職辞任を、当時のベネディクト16世教皇に辞表を提出。

 その際、「私がまだ司祭になったばかりの頃、そして司教となってしばらくの間、近親者の若者に性的虐待をした。被害者は今もその影響を受けている。過去数十年にわたり、自分の非を繰り返し認め、被害者と家族に許しを求めたが、それでは十分でなかった」と公に告白して辞表を、さらに、その後、1973年から1986年まで13年間にわたって自分の甥を性的虐待したこと、さらにもう一人の甥にも同様の行為を2年間続けていたことを認めていた。

 教皇は辞表を受理し、教区長も更迭となったが、その後、さらに多くの被害者が名乗りを上げ、ベルギーの教会が前例のない虐待危機に巻き込まれたが、その際、ヴァンヘルウェ元司教は一転、自身の行為の深刻さを軽視する姿勢を見せ、甥に対して犯した性暴力をあえて「小さな関係」とまで表現。教会内外の批判の声を掻き立てた。こうした事態を背景に、 ベルギーの司教団は昨年10月、この問題について再びバチカンに圧力をかけた。

 駐ベルギーのバチカン大使館は21日発表の声明で、「ここ数カ月の間に、ブルージュ前司教の事件に関する新たな重大な要素がバチカン教理省に報告された」と、司祭職はく奪の理由を説明したが、教皇フランシスコは9月にベルギー訪問を予定されていることが、この問題への対処を急がせる要因となった可能性もある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年3月26日