【教皇モンゴル訪問】☩ 「中国の信者たちが良いキリスト者、良い市民であるように」ーミサに香港の新旧教区長ら中国からも参加

教皇フランシスコ、香港の湯漢枢機卿(左)と周守仁司教(右)と共に 2023年9月3日 モンゴル・ウランバートル、ステップ・アリーナ教皇フランシスコ、香港の湯漢枢機卿(左)と周守仁司教(右)と共に 2023年9月3日 モンゴル・ウランバートル、ステップ・アリーナ  (ANSA)

(2023.9.3 バチカン放送)

 教皇フランシスコは3日、訪問中のモンゴル・ウランバートルのスポーツ施設「ステップ・アリーナ」でのミサの終わりに、中国国民に向け挨拶をおくると共に、中国のカトリック信者らに励ましの言葉を述べられた。

 挨拶の冒頭で、教皇はこのミサに参加していた香港教区の元教区長と、現教区長の二人をご自分の近くに招かれた。

 この二人は、香港教区・元教区長であり、後任のマイケル楊鳴章司教帰天後に同教区管理者を務めていたジョン湯漢(トン・ホン)枢機卿と、香港教区の現教区長で今年9月30日の公開枢機卿会議で枢機卿に叙任予定のスティーブン周守仁(チョウ・サウヤン)司教。

 教皇はご自分の左右に立つ二人の手をとりながら、次のように話された。

 「この二人の兄弟は、香港の司教たち、元教区長と現教区長です。二人がここにいることを機会に、私は中国の高貴な国民に心を込めて挨拶をおくりたいと思います。すべての国民の皆さんに、より良いものを、常なる前進と発展をお祈りいたします。そして、中国のカトリック信者の皆さん、良いキリスト者であるとともに、良い市民であってください。」

 教皇は、典礼暦で「キリスト者の助け手(扶助者)聖母マリア」と「中国のカトリック教会のための世界祈願日」を記念する5月24日を機会に、毎年中国のカトリック信者たちに向け、メッセージを述べている。

 今回の教皇のモンゴル訪問に合わせ、ウランバートルには、香港や中国の大陸部などからおよそ200人の信者が訪れていた。

2023年9月4日

【教皇モンゴル訪問3日】☩「皆さんは、私の心の中にいる、恐れることなく前に進んで」ウランバートルでの主日のミサで

Pope Francis during the celebration of Mass in the “Steppe Arena” winter sports stadium in UlaanbaatarPope Francis during the celebration of Mass in the “Steppe Arena” winter sports stadium in Ulaanbaatar  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

    モンゴル訪問中の教皇フランシスコは3日午後、首都ウランバートルで冬季スポーツ競技場「ステップ・アリーナ」で年間第22日主日のミサを捧げられ、温かい歓迎をしてくれたすべてのモンゴルの人々に心から感謝されるとともに、同国の小規模のカトリック教会の司祭、信徒たちを「恐れることなく前進する」ように激励された。

*「恐れることなく、優しく、前に進むように」

 「私は皆さんに会いたい、皆さんを知りたいという願いを込めて、大きな期待を持って、皆さんの国への巡礼の旅を始めました」とされた教皇は、 「今、ここに来て、私は皆さんのことを神に感謝しています。神は、皆さんを通して、小さなことで大きなことを成し遂げる素晴らしさを教えてくださっているからです」と語られた。

 そして、モンゴルの小さな信徒の群れに対して、「皆さんに対する教会全体の親密さと励まし、そして何よりもご自分の子供たち一人ひとりを愛をもって見つめる主の優しい眼差しを意識しながら、恐れることなく、穏やかな気持ちで前に進んでください」と励まされた。

*諸外国から参加の司教、司祭、修道者、一般信徒の支援に感謝

 また、諸外国からこのミサに参加した司教、司祭、修道者、一般信徒全員に挨拶され、「霊的・精神的な側面、物的な側面から若いモンゴルの教会を支援してくださったすべての方々に、特別な感謝を申し上げます」と挨拶。

 教皇は、この日初めて顔を合わせたモンゴルのキリスト教他宗派の人々や他宗教の人々にもミサへの参加を感謝され、「現在の数多くの戦争によって荒廃した世界の中で、平和をもたらす種として、より緊密な兄弟愛が育ちますように」と希望を述べられた。

*「バヤルララァ(ありがとう)!」

 さらに教皇は、モンゴルの人々全員の「友情の賜物」と証しに感謝され、ギリシャ語の「エウカリスティア(感謝の祭儀)」が「ミサそのものが、神に感謝を捧げること」を指摘。それを示すために、フランスのイエズス会士で高名な神学者、科学者のテイヤール・ド・シャルダンが100年前に著書「世界のためのミサ」で書いている力強い言葉、素晴らしい御業ゆえに主への奉献を表明する言葉—「お受けください、主よ、すべてを主宰される方、あなたの磁力によって動かされるすべての被造物が、この新たな日の夜明けに、あなたに捧げられます」—の引用された。

 そして、「テイヤールの言葉は、しばしば誤解されていますが、彼は『主のご聖体は、常に何らかの形で世界の祭壇で祝われている』ことを直感しており、『聖体は、宇宙の生きた中心であり、愛と無尽蔵の溢れ出る核である』と語っています。私たちが経験している紛争や戦争に彩られた時代であっても、そのことは変わりません」と強調された。

 説教の最後に教皇は、「ありがとう」を意味するモンゴル語「バヤルララ!」を使われ、 「バヤルラァ! 神が皆さんを祝福してくださいますように。 皆さんは私の心の中にいます、そして私の心の中に皆さんは残ります」と呼び掛けられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年9月3日

【教皇モンゴル訪問3日】「宗教的信念と暴力、神聖さと抑圧が混在することがあってはならない」諸宗教との対話集会で

(2023.9.3 Vatican News By Deborah Castellano Lubov)

    モンゴル訪問中の教皇フランシスコは3日朝、首都ウランバートルのハン劇場で、キリスト教諸教会と諸宗教の指導者たちと集会を持たれ、講話の中で、諸宗教に与えられた責任を強調、物議を醸すのを避けつつ、対話と調和を追求するよう促された。

 集会には、キリスト教の諸教会のほか神道、仏教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、伝統民族宗教などの指導者に加え、政府や大学など教育機関の代表のオブザーバーとして出席。

 講話で教皇は、現在も続いているロシアによるウクライナ軍事侵攻を念頭に、「希望を持つことはできる。宗教間の調和には、大きな実を結ぶ力があります」と強調されたうえで、「様々な葛藤、暴力、弾圧を引き起こすような、宗教を歪曲するような行為」に対して警告された。

 

*モンゴルの人々の知恵の遺産

 また、さまざまな宗教が独特の方法でその創造に貢献した「モンゴルの人々の知恵の遺産」に注目され、その遺産の一つとして、消費主義の誘惑に負けない「伝統との健全な関係」、年長者や祖先に対する敬意が保たれていることを讃え、「今日、老人と若者の『世代間の契約』がどれほど必要であるかを、(ここモンゴルで)知ることができます」と語られた。

 さらに、モンゴルの人々の「環境への配慮」を「大きくて差し迫った必要性に応えるもの」、「沈黙と内面の生活の価値」を「世界の非常に多くの疾病に対する精神的な解毒剤」とし、 「健全な倹約意識」、 「おもてなしの価値」、 「物質的なものへの執着に抵抗する能力」、 「個人間の絆の文化から生まれる連帯感」、 そして「簡素さの尊重」などを、モンゴルの人々の価値ある遺産と指摘。「これらの遺産は「個人と共同体の利益を粘り強く追求する、ある種の『実存的な現実主義』を促進するものであり、特徴が世界を豊かにするもの」と高く評価された。

 

*平和と調和を促進する、宗教者の重大な責任

 続けて教皇は、平和と調和を促進するうえでの宗教者の大きな責任を強調され、 「私たちがさまざまな宗教の信奉者として推進しようとしている和解と豊かな人間性は、調和、団結、そして超越的なものに対する寛容さによって象徴されます。それは、信じる者たちと神との関係に基礎をおいて、正義と平和への取り組みを促すものとなります」と主張。

「ですから、私たちは、特に歴史のこの瞬間において、大きな責任を共有しています。私たちは行動によって、争いの元を作ることなく、自らが信奉する教えを証しするよう求められています。宗教的信念と暴力、神聖さと抑圧、宗教的伝統と宗派主義が混在することが、あってはなりません」と訴えられた。

 そして、教皇は、仏教の「暗い傷を『光の源』に、無分別な暴力を『人生の知恵』に、破壊的な悪を『建設的な善」に変える力は、過去の苦しみから与えられる」という言葉を引用され、これらの経験が、各自の霊性と教えに献身するすべての信者を駆り立て、旅の途中で友人や仲間として日々出会う人々に、そうした教えの素晴らしさを伝える準備が、いつもできていますように」と希望を述べられた。

 さらに、モンゴルの諸宗教の代表者たちに「より大きな善を促進する上での重要な役割」へ注意を向けさせ、 「モンゴルのような民主主義的価値観を重視する多元的な社会では、公共機関によって正式承認されたすべての宗教団体に、他者の良心を尊重し、すべての人のより大きな利益を考慮したうえで、自分たちが何であるか、何を信じているかを自由に表現する義務があります」と説かれた。

 

*対話と相手を尊重することの大切さ

 また教皇は、「カトリック教会が、信仰一致の推進と共に、宗教間、文化対話の重要性を強く認識し、諸宗教と協力する道を歩むことを望んでいること」を強調。 「カトリック教会の信仰は、イエス・キリストという人格を帯びた神と人類との間の永遠の対話に基づいています。教会は、寛大な精神と、他の宗教的伝統が提供するものに敬意を払い、教会が受け取った賜物を世界のあらゆる人々と文化に提供するよう努めています」と述べた。

 そのうえで、「対話は、宣言の対極には位置しません。互いの違いをごまかすのではなく、違いを理解し、各々の独自性を保ちつつ、互いを豊かにするためにオープンに意見を交換するのに、対話や役立ちます。 そうして、私たちは、天から祝福された共通の人間性の中に、地上での旅の鍵を発見できる」と語られた。

 

*今も、希望を持つことはできる

  講話の終わりに、教皇は、人間の尊厳を促進する上での宗教の役割、宗教が互いに歩み寄ることの重要性を確認され、「兄弟姉妹の皆さん、私たちが今日、ここに集まったことは、希望が可能であることのしるしです… 紛争と不和によって引き裂かれた現代世界において、希望を持て、と言うのは、現実離れしているように見えるかもしれません。しかし、最も重大な”事業”は隠され、最初はほとんど気づかれないものなのです」と語られた。

 そして、「お互いの対話を促進し、より良い世界を構築するために力を合わせる努力が無駄にならないように」と、諸宗教の信徒たちの祈りに満ちた助け合いを求め、「天に向かって共に祈りをささげることで、希望を育てましょう」と呼びかけられ、「このような行為が、私たちが天に目を向けて共に歩み、この世で調和して暮らしていること、そして、人々に開かれた家を守るために巡礼者たちが呼びかけたことの、すべての人に対する、簡潔で信頼できる証しとなりますように」と願われた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年9月3日

【教皇モンゴル訪問2日】「主の下に全ての教会員を団結させ、シノダルな教会を目指せ」モンゴルの教会関係者たちに

(2023.9.2 Vatican News By Christopher Wells)

    初のモンゴル訪問中の教皇フランシスコは2日夕、首都ウランバートルの聖ペトロ・聖パウロ大聖堂で、カトリックの司教、司祭、修道者など教会関係者との集いを持たれ、講話の中で、イエスが「教会がすべての人に宣べ伝えねばならない福音」であること、そして、神は頻繁に「時間をかけて低いささやき声」で私たちに語りかけておられることを強調された。

 教皇フランシスコは、彼らに「主が善い方であることを味わい、確かめましょう」と呼び掛け、「主の喜びと素晴らしさが、私たちと共にあり、私たちが物事を新たな方法で確かめるのを助けてくださる」ことを思い起こさせた。

*福音のために人生を捧げる

 またこの大聖堂に集まった司教たち、司祭たち、宣教師たち、修道者たち、そして一般信徒の奉仕者たちに、特にモンゴルにおいてキリスト教徒の宣教の使命の果たし方として、福音のために人生を捧げるように促された。そして、 福音のために人生を捧げたこれまでのモンゴルの教会の歴史を振り返られたうえで、現在に目を向けられ、「どうして人は、福音のために自分の人生を捧げなければならないでしょうか?」と問いかけられた。

 そして、「その答えは、神はイエスにおいてご自身を目に見え、触れ、出会えるようにされたことにあります。 イエスは、すべての人々に向けられた良い便りであり、教会が常に宣言し、生活の中で体現し、すべての個人とすべての文化の心に『ささやく』べきメッセージなのです」と強調された。

*仕えている人々の中にイエスを見る

 

 さらに教皇は、集会参加者たちに、常にイエスに立ち返るよう促され、 「主のそばに留まることが、仕えている人々の顔の中に主を見ることにつながります。奉仕は、聖なる感覚を持ち、本物の証しを求めているモンゴルで、必要とされているもの。私たちキリスト教徒は、政治的な理論を広めるためにではなく、イエスと彼の父—今は「私たちの父」となっている方—との関係の新らしさを証しするために、遣わされているのです」と説かれた。

そして、モンゴルの教会でなされている多くの慈善的な活動は、お国の人たちの尊敬、敬意を得ている。このような奉仕の活動を続け、愛するモンゴルの人たちにとって実りのある、有益なものであることを証明してください」と励まされた。

*教会における交わり

 また教皇は、「教会は世俗的な意味で貧しいものであり、信仰と復活された主の力によってのみ支えられています」とされ、「すべての善を生み出す慈しみと真実のメッセージを人々に届けるように」と呼びかけられた。 教会には、キリストを頭に置いた調和が無ければならず、神秘体の中に友愛を築くのに果たすべき司祭の役割を強調された。

 同時に、モンゴルの人たちの心が「ペトロの心」に近いこと、そして世界の教会も、「教会の交わりの大いなるほとばしりにおいて」モンゴルに近いことを指摘。この点に関して、司教の果たすべき役割を強調され、「すべての教会の構成員が、民の中で生きているキリストを代表する司教を中心に、しっかりと団結し、シノダル(共働的)な交わりを作り上げることが重要です」と、司教の責任も強調された。

*モンゴルでイエスを証しすること

  教皇は、モンゴルの教会の司牧者たちとすべての信徒たちに、「自分という存在が、賜物であること」と、「この国で神の愛を証しするよう求めておられるキリストに自分自身を捧げること」の素晴らしさを改めて認識するよう勧められ、「皆さんは、交わりと簡素な生活を培い、人々に寄り添い、気遣い、人生の模範としてイエスを人々に伝えることによって、その素晴らしさを現実のものとされるでしょう」と励まされた。

 講話の最後に、モンゴルのカトリック教会共同体に対し、「たゆまぬ喜びをもって、福音を証しする熱意と熱烈な愛を追求した聖母マリア」に自分を委ねるよう勧められた。そして「神はあなた方を愛しておられます。あなた方を選び、あなた方を信じておられます。神に人に奉仕する人生を送るあなた方のそばに、私もいます。… 忍耐強く、絶えず祈り、創造的に慈善活動をし、堅固な交わりを持ち、何事においても誰に対しても笑みと柔和さを絶やさぬように」と求められた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2023年9月2日

【教皇モンゴル訪問2日目】民主主義国家モンゴルの、人権と平和の促進への取り組みを讃えるー要人、外交団との集会で

Pope Francis and the President of MongoliaPope Francis and the President of Mongolia

 1日にモンゴル入りされた教皇フランシスコは、時差調整を終えた2日朝、首都ウランバートル市内での歓迎式典の後、大統領府に向かわれ、フレシュク大統領を表敬訪問され、国家宮殿で同国の政府、民間の代表や外交団との集会に大統領と共に参加された。

 集会での挨拶で教皇は、世界平和促進におけるモンゴルの積極的な役割を称賛されるとともに、モンゴルの”小さな”カトリック教会共同体がこの国の豊かな社会の構築に貢献していることを強調された。

 挨拶の中で教皇はまず、モンゴルという広大な遊牧国家を、「友情の巡礼者」として旅する喜びを表明され、「モンゴルとバチカンとの現代での外交関係はまだ30年しか経っていませんが、最初の接触はモンゴル帝国時代の13世紀に遡ります」と指摘されたうえで、 「私はその戸口に立つ友愛の巡礼者。喜びに満ちた心と、あなたの前で人間的に豊かになることを望みながら、静かにあなたがたの所にところへやって来ました」と述べられた。

*「モンゴルの遊牧民の伝統は神の創造物への配慮の模範」

 続いて教皇は、伝統的なモンゴルの円形のテント—ゲル—に象徴される、この国の歴史ある遊牧民の伝統に触れ、「何世代にもわたって牧畜や農園経営を経て成熟したモンゴル人の『土着の知恵』は、キリスト教徒が価値を置くものに感謝し、注意深く育て、神の創造、そして、責任ある環境政策を反映する配慮と先見性の文化をもって、人類を荒廃させる動きと闘うのに役立ちます」と強調。さらに、モンゴルの土俗宗教の伝統的なビジョンと、仏教哲学から受け継がれた、すべての生き物に対する敬意が、地球を保護し、保存するための緊急の取り組みに、大きな貢献をすることができます」と付け加えられた。

*伝統と現代性

 また「ゲルは『伝統と現代性の価値ある”結婚”』を象徴している、と指摘され、「それと同じように、皆さんは特にここ数十年、『開発と民主主義』という世界規模の大きな課題に直面しながらも、自らのルーツを守り続けて来られました。それはモンゴルの人々の継続性の証しです」と語られた。

 

*モンゴルの核拡散阻止の姿勢を評価

 さらに教皇は、現代の民主主義国家モンゴルの、人権と平和の促進への取り組み、特に核兵器のない国であり続け、核拡散を阻止する変わらぬ決意を称賛され、 2023年が建国者チンギス・ハーンの生誕860周年にあたることを思い起し、 「豊かな歴史と空に開かれたこの国で、無数の紛争で荒廃した世界に平和をもたらす天からの贈り物を祈り、共に平和の未来を築くために努力しましょう」と呼び掛けられた。

*信教の自由の象徴

 教皇は続けて「深い精神的感受性」がモンゴルの文化的アイデンティティに織り込まれ、今日のモンゴルを「信教の自由の象徴」にしている、と指摘。 「宗教がその本来の精神的遺産に根ざしており、宗派の逸脱によって腐敗しないとき、宗教は健全で豊かな社会の構築において信頼できる助けであることを証明され、その中で信者は平和的共存と政治的利益を確保するために努力するのです」とされ、先見の明を持つ人々は、公益のために一層、必要とされており、「国全体を貧困化させる功利主義的で不謹慎な考え方がもたらす汚職の潜伏的な脅威に対する安全策でもあります」と付け加えられた。

 また、共産主義政権の無神論的イデオロギーに染まったモンゴルが、「現在では、異なる信仰を持つ信者間の調和のとれた協力の基本的な重要性を認識し、尊重するようになっています。信者たちは、それぞれ独自の観点から、宗教の発展、 人々の道徳的かつ精神的な進歩に貢献しています」と強調された。


*カトリック教会共同体のモンゴル社会への貢献

 加えて教皇は、「小規模で控えめなモンゴルのカトリック教会共同体は、この国に人的・精神的に貢献することを、喜びを持って続けていきます。モンゴルのカトリック教徒は連帯、普遍的尊重、宗教間対話の文化を広め、正義、平和、社会調和のために働くことによって、今のこの国を助けています」と述べられた。

 さらに、モンゴル政府と教皇庁の間で現在検討されている二国間協定が締結されれば、「カトリック教会が従事する通常の活動を遂行するのに不可欠な条件を整えるための重要な手段となるでしょう」と締結実現への期待を示され、今回のモンゴル訪問のモットである「共に希望を」を思い起しつつ、「今回の使徒訪問で、共通善の追求における教会とモンゴルの間の実りある協力と敬意を持った対話を深めることができるように」と希望を表明され、次のように締めくくられた。

 「モンゴルのカトリック教徒は、この偉大な土地に住む他のすべての人々と対話し、協力しながら、豊かで安全な社会の構築に、惜しみなく貢献し続けることを、私は確信しています。モンゴル社会のさまざまな構成要素が、このユニークな人々の素晴らしさと高貴さを世界に提供し続けることができますように」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年9月2日

◎教皇連続講話「使徒的熱意について」⑲ 聖カテリ・テカクウィタは、”小さな行い”も豊かな実りをもたらすことを教えている

2023年8月31日

☩「人生の道で、私たちは決して孤独ではない」教皇、年間第21主日の正午の祈り

(2023.8.27 Vatican News  By Linda Bordoni)

 年間第21主日の27日、教皇フランシスコは正午の祈りの説教で、御言葉と秘跡を通して臨在される主との絆を強め、主への信頼を新たにするよう、信者たちに促された。

 教皇は説教でまず、この日のミサで読まれた福音(マタイ16章13-20節)で、キリストが弟子たちに尋ねられた言葉―「人々は、人の子を何者だと言っているか」を取り上げ、「これは、私たちも自分自身に問い掛けるべ言葉」とされた。

 そして、一般にイエスは「偉大な教師、特別な人物、善良で正義の人であり、一貫性があり、勇気がある…」と見なされているが、「イエスは歴史の代表者、遠い昔の預言者でもありますが、それだけではありません。イエスは今日、私たちのためにここにおられ、私たちのすぐそばにおられる神。キリストは過去の記憶ではなく、現存される神なのです。生きておられ、私たちと共におられます」と指摘。

 さらに 「神は私たちのそばにおられ、人生の旅の中で私たちを啓発し、元気づけてくださる御言葉と恵みを私たちにくださいます… 専門の、賢明なガイドである主は、とても険しい道や歩きにくい坂道を歩くときも、喜んで同行してくださるのです」と強調された。

 教皇はまた、「私たちは人生の道で、決して孤独ではありません… ペトロや他の弟子たちになさったように、キリストは私たちと共に歩まれ、私たちの歩みを助けてくださいます」と確信を持って語られた。そして、今日読まれた福音の場面で、ペトロは、キリストの「あなたがたは私を何者だと言うのか」との問い掛けに対して、「あなたはメシア、生ける神の子」であることを認める答えをしたが、「その生ける神の子が、私たちと人生の旅の喜びと労苦を分かち合うために、おいでになったのです」と改めて説かれた。

 説教の最後に教皇は、私たちは時々、「キリスト教徒としての人生は、目標の山が高すぎ、道が険しすぎる」と感じるときがあるが、そのようなときこそ、「私たちの弱さを受け入れ、私たちの努力を分かち合い、私たちのひ弱な肩にしっかりと優しい手を置いて、私たちの隣を歩いてくださるイエス」に目を向けるよう、信者たちに勧められた。

  そして、「主が近くにいらっしゃる。私たちも互いに手を差し伸べて、信頼を新たにしましょう。イエスのおかげで、一人では出来ないと思えることも、もはや不可能ではなくなります」とされ、神への信頼を新たにし、御言葉と秘跡を通して臨在される神との絆を強め、私たちの周りの兄弟姉妹と共に、神の導きに従うように」と促され、説教を締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年8月27日

☩「長引く戦争の中で、和解の種を蒔き、平和を造る者となれ」教皇、ロシアの若者たちに

Pope Francis in connection with the 10th National Meeting of Young Catholics in St. Petersburg, RussiaPope Francis in connection with the 10th National Meeting of Young Catholics in St. Petersburg, Russia 

*神の言葉をすべての人に伝えよう、教会は”入場希望者”を断るな

 続けて教皇は、イエスが「大宴会のたとえ話」で語られた、招待客に宴会への参加を断られ、僕に、街に出て、貧しい人たち、体の不自由な人たちなどを宴会に連れてくるように命じた主人の振る舞いを取り上げ、「この主人のように、神の言葉をすべての人に伝えるようしましょう。イエスがこのたとえ話でおっしゃりたかったのは、皆、皆、皆に・・・ということなのです」と指摘。教会も、来る人を選ぶ、来る人を『いっぱいだから』と断るようであってはならない、とされ、「教会は入場無料です。誰もが、イエスの招待の声を聞きます―『自分に従い、教えと秘跡の助けを受けて主の道を歩み、神の前にどのように立つか分かるように』という声です」と語られた。

 

 

*年配者も若者も互いに心を開け

 教皇はまた、年配者と若者の対話の重要性について触れられ、「世代間の架け橋を築く人」になるように、若者たちを促された。

 「世代間の連携によって、民族の歴史と文化は生き続けます」とされ、年配のエリザベトが身ごもったことを聞いて、喜びを分かち合うために急いで山里の彼女の家に行ったマリアのように「希望のしるし、平和と喜びのしるし」となり、マリアの謙虚さを見倣うことで、「あなたがたが生きている歴史を、変えられますように」と希望された。そして、 「年配のエリザベトは、歳を重ねることで得た知恵によって、聖霊に導かれ、若く、恵みに満ちたマリアを力づけたように」、若者たちは年配者から知恵と力をもらうことができる、と強調された。

 

 

*キリストは、暗闇から私たちを救い出す

 以上の講話に先立って、教皇は何人かの大会参加者の話をお聞きになった。スピーチの前に、神学校に入学する10年前までオカルトの儀式に参加していたアレクサンダー・バラノフ氏(34)は、「 教会にとって、最も重要なことは、人々を暗闇から救い出すことだと思います。 そうでなければ、教会を人々にとって魅力的な存在にする他の努力は無駄になってしまう」と述べ、「恐怖、喪失の痛み、自分の弱さの経験、経験した暴力やトラウマなどの問題を私たちは抱えているが、それにもかかわらず、自分たちが命、救い、愛を受けるに値する存在であることをキリストがどのように示しておられるか、について、皆で話し合う必要がある。そこで得られる経験は、人々をキリストのもとに導くための他のあらゆる計画よりも重要です。私たちを癒し、暗闇から光へ、死から命へ、サタンからご自身へ、そして御父へと導いてくださるのは、キリストです」と語った。

 また、8人の兄弟姉妹の二番目に生まれたバルバラ・モロティロワさんは、 彼女の両親がエカテリンブルク教区長ヤロスラフ神父が司牧していたウラル山脈の教会共同体のおかげで結婚したことから始めて、カトリックの信仰が家族の中でどのように生き、受け継がれてきたか、について語り、「私の自由な選択は、両親の愛によって支えられており、両親はキリスト教を信じる夫婦として、日々の犠牲に立ち向かう謙虚さ、忍耐、そして尊厳を教えてくれます」と述べた。

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 ロシア・カトリック青少年全国大会は25日に始まり27日に閉幕するが、この間、若者たちは環境問題、社会の中の友情、神の憐みなどのテーマで、様々な小会場で25人から30人のグループに分かれて毎朝集会をもち、青少年育成担当司祭や、修道者、司教たちが彼らを指導、支援した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年8月27日

◎教皇連続講話「使徒的熱意について」⑱「福音は、”母語”を通して人々に伝えられる」

(2023.8.23 Vatican News  By Christopher Wells)

​   教皇フランシスコが23日の水曜恒例一般謁見で、6月下旬以来中断していた「使徒的熱意について」をテーマにした連続講話を再開された。今回はメキシコのグアダルーペの聖母*を取り上げ、「”母語(現地の言葉)”で信仰を伝えることの重要性」を強調された。

 

グアダルーペの聖母=カトリック教会が公認している聖母の出現の一つ。1531年12月9日、メキシコのグアダルーペに住むインディオ、フアン・ディエゴに聖母が現れ、聖母の大聖堂を建設する願いを司教に伝えるよう求めた。ディエゴは病気の親類の助けを求めに行く途中だったが、聖母は彼に、その親類の病が癒えたことを告げ、彼が家に戻った時、その親類は元気になっていた。彼は、聖母に大聖堂建設の意向を伝えるよう言われたことを、司教に伝えたが、信じてもらえなかった。聖母は、フアン・ディエゴに、それを証しするしるしとして、司教のところに花を持っていくよう言われる。彼は言われるままに、花をマントに包み、司教のところに行って、マントを広げると、花の代わりに聖母の姿が浮かび上がった。司教はそれを見て、信じ、聖母の願い通りに聖堂が建設された。フアン・ディエゴは、2002年、教皇ヨハネ・パウロ2世によって列聖された。

 

 聖母が、グアダルーペのフアン・ディエゴに現れた時、キリスト教はすでにアメリカ大陸に伝わっていたが、教皇は、「新大陸での福音宣教に、当初から問題がなかったわけではありませんでした。現地の文化に適応する形でキリスト教を定着させようとせず、先住民族への敬意を欠き、事前に計画したモデルを移植するという性急なアプローチがあまりにも頻繁に取られたのです」と指摘。

 だが、マリアがフアン・ディエゴに現れた時には、「先住民の服を着て、先住民の言語を話し、地元の文化を受け入れ、愛していました。彼女は母親であり、彼女のマントの下で、すべての子供たちは居場所を見つけます。マリアにおいて神は人となり、マリアを通して、イエスは人々の生活の中に受肉し続けておられます」と語れた教皇は、マリアが現地の人々の言葉で、神を告げ知らせたことを強調された。

 さらに教皇は「そうです。福音は母語(現地の言葉)を通して伝えられるのです」とされ、特に子供たちや孫たちに福音を伝えた母親たち、祖母たちを讃え、「信仰は命とともに受け継がれるもの… それが、母親が『最初の福音宣教者』である理由です」と説かれ、一般謁見に参加した人々に、母親たちに拍手を送るよう呼びかけられた。

 また、 福音を文化に取り入れ、文化を伝道するファン・ディエゴに目を向けられた教皇は、「彼は教会指導者の抵抗などの困難にもかかわらず、聖母が彼に与えられた使命を貫き通しました」とされ、「今も、非常に多くの場所で福音を現地の文化に取り入れる形で宣教するためには、対立を恐れず、気を落とさず、不断の努力と忍耐が求められています」と強調。「落胆してはなりません。マリアが私たちを慰め、成長を助けるためにそこにいてくださることを、私たちは知っています… 自分の子が、世界の課題に取り組むよう、駆り立てる母親のようにです」と説かれた。

 そして「 聖母は、ファン・ディエゴのマントに自身の並外れた生き生きとした姿を現す奇跡によって、彼が司教に伝えようとしたメッセージを確かなものとされました。 これは神の、予期せぬ驚きの業です。私たちに、意欲と従順があれば、神は時には、私たちが予見できないなさり方で、予期せぬことを成し遂げられるのです」と指摘。

 最後に教皇は、「今も、各地の聖母の巡礼聖堂で、巡礼先で、信仰を宣言する場所で、聖ファン・ディエゴの生涯を特徴づけた、聖母の言葉を進んで受け入れ、福音を伝えようとする姿を見ることができます。これらの場所では、信仰は素朴で誠実な、一般民衆に合った仕方で、受け入れられています」とされ、「私たちは慰めと慈悲のオアシスに行く必要があります。そこでは信仰が、その土地の言葉で表現され、私たちは聖母の腕の中で人生の労苦を捨て、心に平和を抱く生活に戻るのです」と締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2023年8月23日

☩「痛ましい試練を受け続けているウクライナの人々のために祈ろう」教皇、水曜恒例一般謁見で

Pope Francis at General AudiencePope Francis at General Audience  (ANSA)

(2023.8.23 Vatican News By Deborah Castellano Lubov)

   教皇フランシスコは23日の水曜恒例の一般謁見の最後に、ロシアによる軍事侵略で苦しみ続けるウクライナの人々に改めて思いを寄せ、彼らのために祈るよう、会衆に呼びかけられた。「 親愛なるウクライナ、そして戦争で痛ましい試練に遭っているウクライナの人たちのために祈りましょう…」。

 教皇はこの中で、翌24日が聖バルトロマイ*の祝日であることを取り上げ、ウクライナの人々が、そしてこの謁見に参加した若者、病人、高齢者、新婚夫婦たちが、この聖人に倣い、「イエスの証人となるように」主の助けを願われた。

 そして、 「聖バルトロマイの取り次ぎに、戦争によって痛ましい試練に遭っている親愛なウクライナを託します。兄弟姉妹の皆さん、ウクライナ人のために祈りましょう」と謁見参加者たちに促された。

 また、ポーランド語を話す参加者たちに、翌々日の26日に迫った「チェンストホバの聖母」**の祝日を取り上げ、「聖母への深い信心によってポーランドの重要な祝日となり、聖母の聖堂に大勢の人々が殺到することになったこと」を思い起こしつつ、「この信心によって聖母の愛がさらに燃え上がるように」と祈られ、さらに、 ポーランドの人々がウクライナの人々を支援していることに感謝を述べ、祝福された。

「カトリック・あい」注

*聖バルトロマイは、イエスの12人の使徒の1人。伝承によると、イエスの昇天の後、フィリポと共にアジア、東方のインドに行き宣教活動に奔走しましたが、アルメニアで宣教していたときに捕らえられ、残虐な皮剥ぎの刑を受け殉教している。

**「チェンストホヴァの聖母(ヤスナ・グラの聖母)」は、ポーランドの古都クラクフ近郊の聖地、チェンストホヴァのヤスナ・グラ修道院にあるキリストを抱いたマリア像のイコン。1655年にスエーデン軍がポーランドを侵略した際、同修道院だけが攻撃に屈せず、このイコンがもたらした奇跡として語り継がれ、8月26日が祝日とされた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年8月23日

☩「殺人やテロを正当化するために神の名を使ってはならない」ー宗教、信条が理由の暴力行為犠牲者の国際記念日に

A Christian community protest in Pakistan against violenceA Christian community protest in Pakistan against violence  (ANSA)

 また、最近特徴的なのは、”ハイブリッド型”の宗教迫害で、中国など 一部の国では、信教の自由を制限したり、特定の宗教共同体を差別したりする法律を恣意的に適用。”誤った宗教”の信者に対する暴力的攻撃も、ラテンアメリカのある国などで常態化している。迫害の対象となっているのは通常、その国、地域で少数派となっている宗教などの信者だが、ナイジェリア、ニカラグアなどで、迫害が目立つ。

 先進国では、ソーシャルメディアを使った特定の宗教団体の排除、攻撃が目立っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年8月23日

☩「一刻も早い平和的解決を」教皇、ニジェール騒乱で関係国、機関に呼び掛け

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表たち 2023年8月19日 ニジェール首都ニアメー西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表たち 2023年8月19日 ニジェール首都ニアメー  (ANSA)

(2023.8.20 バチカン放送)

 教皇フランシスコは年間第20主日の20日の正午の祈りの集いで、緊張の続くニジェールの情勢を憂慮され、平和の回復を強く求められた。

 正午の祈りの集いで教皇は、「ニジェールで起きている出来事を憂慮をもって注視しています」とされ、同国の司教たちと心を合わせ、「ニジェールの平和とサヘル地域の安定」実現を強く求められた。そして、ニジェールのすべての人々のために「一刻も早い平和的解決」を見つけるよう、関係国、機関の努力を願われた。

 合わせて教皇は、苦しむウクライナの人々をはじめ、戦争と暴力に傷つけられたすべての人々に平和の賜物があるように、祈られた。

 ニジェールでは、先月26日、アブドゥラフマン・チアニ将軍率いる大統領警護隊がモハメド・バズム大統領を拘束し、クーデターを宣言。チアニ将軍は自らを国家の指導者として宣言した。

 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表団は19日、拘束中のバズム大統領と面会すると共に、チアニ将軍と話し合いを行った。

 同日、チアニ将軍はテレビ演説で、3年以内に民政へ移管する、と述べる一方、外国からのの軍事介入を厳しく牽制。これに先立つ15日には、同国西部、ブルキナファソとの国境近くで、同国の兵士たちがイスラム過激派組織とみられる武装集団に襲撃され、17人が殺されるなど、国内に大きな動揺が続いている。

(編集「カトリック・あい」)

 

2023年8月21日

☩「私たちが主に心から祈るとき、主は私たちを拒まれない」年間第20主日の正午の祈り

(2023.8.20 Vatican News  By Deborah Castellano Lubov)

 年間第20主日の20日、教皇フランシスコは正午の祈りに先立つ説教で、この日のミサで読まれた福音(マタイ15章21‐28節)を取り上げ、「私たちが、祈りの中で執拗にイエスに助けを求めるとき、イエスは私たちを拒むことはなさりません」と強調、キリストとの個人的な関係を大切にすることで信仰をしっかりしたものとするよう、信徒たちに促された。

 灼熱の聖ペトロ広場に集まった数千人の会衆に向けた説教で、教皇は、この日のマタイ福音書に登場する”異邦人”であるカナンの女性の、自分の娘を癒してくれるよう執拗に、強い信仰をもって、イエスに願う姿勢に注目され、彼女のように「神に対して、”少々強引”に助けを求めても、私たちが神に立ち返り、神に信頼する」とき、神は心を動かされる、と述べた。

 この女性が示した信仰の強さに心を動かされた主は、彼女に「あなたの信仰は立派だ。あなたの願い通りになるように」と言われ、娘の病は癒された。イエスは私たちの心からの信頼を込めた祈りを拒むことはなさらない。この女性の場合も、彼女の強引とも言える願いを聞いて、イエスは深く心を動かされた。

 教皇は、「これが神という方のなさり方なのです。神は愛なのです」とされ、「愛ある方は、ご自分の立場に固執せず、心を動かされ、もともとの計画を変える方法を知っておられるのです。私たちキリスト教徒は、そのようなキリストに倣うべきです」と説かれた。

 また、この女性の信仰に注目され、 「彼女には(信仰についての)豊富な知識ではなく、(表現すべき)行動がありました。イエスと話すためだけに、イエスに近づき、ひれ伏し、自分の意見を述べ、言葉のやり取りをし、(異邦人に課せられた)障害を乗り越えたのです。彼女の信仰は、具体的であり、表面的なレッテルではなく、主との個人的な関係によって成り立っている」と強調。

 さらに、「この女性の信仰は、神学的な勇気ではなく、主張、言葉ではなく、祈りに満ちています。神は、祈られると拒まれません。イエスは、このように言われています―「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれは、開かれる」(ルカ福音書11章9-10節と」と語られた。

 続けて教皇は、「以上のすべてを踏まえて、私たちは、このように自問する必要があります。イエスのカナンの女性に対して見せた態度の変化を念頭に置きつつ、『私は自分が表明していた意見を変えることができるだろうか?』『(助けを求める相手に)理解と同情心を持つ仕方を知っているだろうか?それとも自分の立場に固執し続けるのだろうか?』と。自分の心に頑ななところがないか点検してみましょう」と信徒たちに勧められた。

 そして女性の信仰に目を向けて、「私の信仰はどのようなものですか?概念や言葉にとどまっているのでしょうか、それとも祈りと行いによって本当に生きているのでしょうか?私は主と対話する方法を知っていますか?私はそうなのですか?」と尋ねることを提案しました。 それとも、私は美しい公式を暗唱することに満足しているのでしょうか?」 教皇フランシスコは、聖母が私たちを「善いことに心を開かせ」、「信仰を具体化」させてくださるよう祈って締めくくった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年8月20日

☩「世界中から神に向けて上がる叫びに、決して耳を塞ぐな」―「世界の市民の友情の集会」へメッセージ

イタリア・リミニで開催される「市民間の友情のためのミーティング」(写真:2021年度のミーティング会場)イタリア・リミニで開催される「市民間の友情のためのミーティング」(写真:2021年度のミーティング会場) 

 教皇フランシスコが、イタリアのリミニで20日から開かれる「市民間の友情のためのミーティング」を前に、メッセージを寄せられ、「戦争と分裂がある今の時代に、開かれた出会いの文化を推進するように」と激励された。

 「ミーティング・リミニ」という名前で知られるこの催しは、1980年、カトリック運動「コムニオーネ・エ・リベラツィオーネ」の関係者によって始められた。国や、宗教、伝統・文化、分野を超えた人々との出会いと対話を通し、友情と連帯を育むことを目的とし、カトリック教会系の行事の枠を超えた文化イベントとしてイタリア国内で広く知られている。

 教皇は、ピエトロ・パロリン国務長官を通して、リミニ教区のニコロ・アンセルミ司教にあてたメッセージで、「『市民間の友情のためのミーティング』が開かれる一方で、戦争と分裂が人々の心に恨みや恐れの種をまき、自分と異なる他者がしばしば『敵』と見なされる事態が続いています」と指摘。

 そのうえで、このような世界の中で、今回のミーティングのテーマ「人間の存在、尽きることのない友情」は、世界に蔓延する個人主義と無関心に立ち向かおうとする勇気を示している、と評価された。

 そして、「人類が、現在のこのような状況から自力で抜け出すことは不可能。誰も自分を、一人で救うことはできません。そのような私たちのために、神は歴史上の正確なある時点で御子を遣わされ、御子を与え、分かち合うことで、兄弟愛の歩み、恵みの歩みを学ばせようとされたのです」と強調。

 「もはや、私はあなたがたを僕(しもべ)とは呼ばない。私はあなたがたを友と呼ぶ」(ヨハネ福音書15章15節参照)と、イエスご自身が言われたように、復活されたキリストの霊は人間の孤独を破り、ご自身の友情を純粋な恵みとして与えられました」と説かれた。

 メッセージの最後に教皇は、「友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない」(ヨハネ15章13節)という、イエスが定めた友情の掟を改めて示しつつ、「世界中から神に向けて上がる叫びに、決して耳を塞ぐことがないように」と呼び掛けられた。

(編集「カトリック・あい」)

2023年8月19日

☩「マリアの生涯は奉仕と賛美で特徴づけられていた」教皇、聖母被昇天の祝日・正午の祈りで

(2023.8.15 Vatican News  By Christopher Wells)

 聖母被昇天の祝日の15日、教皇フランシスコは正午の祈りの説教で、イエスとマリアの生涯を特徴づけた「神秘」―「奉仕」と「賛美」-について考察された。

 教皇は、「 今日、私たちは聖母マリアが身も心も天の栄光に向かって昇っていく姿をのを観想するとともに、福音書に書かれている、マリアが『いとこエリザベトの出産を助けるために、山里に登っていく姿』も思い描きます」とされた。

 そして、マリアが、喜びに満ちた賛歌を宣言しているのは、その場においてであり、後に、 「マリアは天に昇り、マリアがそうしたように私たちを特徴付けるもの、つまり『隣人への奉仕』と『神への賛美』を、神の御言葉が私たちに明らかにひます」と語られた。さらに、マリアの生涯は、彼女の息子のそれを忠実に映し出しおり、「イエスとマリアは… 同じ道を旅し、神を賛美し、兄弟姉妹に仕える二つの人生が登っていくのです」と説かれた。

*奉仕

 教皇は、『奉仕」と「賛美」について、さらに考察を進められ、まず「奉仕」について、「 私たちが立ち上がるのは、兄弟姉妹に仕えるとき。人生を高めるのは愛です」とされたうえで、「他者に奉仕するのは容易ではない。他者を助けるにはコストがかかります。 エリザベトのもとに来るために長い旅をしたマリアのように、私たちもまた、他者への奉仕には、疲労、忍耐、心配が伴うことを知っています。確かに疲れます。でも、それは天に向かって昇っていくこと。天国を獲得するためなのです!」と強調された。

*賛美

 ただし、「神への『賛美』がなければ、『奉仕』は不毛になる恐れがあります」と警告。福音書に書かれているように、「マリアは長い旅の後、自分の疲れにこだわることはありませんでした。彼女の心から歓喜の歌が湧き出てきます。それは、神を愛する者は賛美することを知っているからです」と指摘。

 さらに、 賛美は、今日のミサで読まれた福音の基調の一つとされ、エリザベトのマリアと自分の胎内で喜んで飛び跳ねるわが子に対する、への喜びの挨拶とエリザベトの喜びの挨拶に言及。「 賛美は、”はしご”のようなもので、心を上へと導きます」と語られた。

 説教の最後に、教皇は、聖ペトロ広場に集まった人々に、次のように自問するように促された―「私は奉仕を人生の『出発点』にしているだろうか?」私もマリアのように、神に大喜びするだろうか? 」…そして、「私は主を賛美した後、出会う人々に主の喜びを広めようとしているだろうか?」。

 そして、「天に召された私たちの母マリア」に「私たちが、祈りと奉仕を通して、日々、より高く登れるよう助けてください」と願う祈りで説教を締めくくられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年8月15日