・中国、5月に拘束した日本人21人を解放-拘束理由は布教活動か

 (2018.6.5 「カトリック・あい」)日中関係筋が明らかにしたとして主要各紙、通信社が報じたところによると、中国各地で先月相次いで当局に拘束された日本人男女21人が、1日までに全員解放され、帰国した。全員がキリスト教系の宗教団体に属しており、中国では認められていない布教活動を行っていたことが拘束の理由とみられている。

 21人は5月5日から15日にかけて、河北省や重慶市など7省・直轄市・自治区で拘束され、このうち5人は5月25日までに解放され、帰国していた。残る16人についても、その後、中国当局から個別に「帰国させる」「帰国した」との通報が日本側にあり、1日までに全員の帰国が確認された、という。

2018年6月5日

・愛国カトリック協会・中国司教協議会が教会”中国化”5か年計画開始(Tablet)

(2018.6.1Tablet  Rose Gamble)

   中国政府・共産党の管理下にあるカトリック愛国協会と中国司教協議会が、「中国におけるカトリック教会の中国化のための発展の5か年計画」を開始した。Asia Newsが伝えた。

 この計画は先週、これら二つの組織によって承認された。教皇に公式に認証されていないこの二つの組織は、中国共産党政府を、宗教分野も含めた中国における最高権威と認めている。ローマに忠誠を誓う非公式の”地下教会”はこの計画の策定には加わっていない。

 中国のカトリック教会も含めた宗教の”中国化”は2015年、習近平・国家主席が、中国共産党中央委員会直属の機関で諸宗教に対する規制・管理の権限をもつ「統一戦線工作部」の会議で実施を宣言していた。”中国化”は宗教的な表現から、”外国の影響”を排除し、中国文化への同化を促進するもの、と言われ、”外国の影響”からの自立とは、教皇の権能を無視し、共産党に従って活動することを意味する。

 5月22日付けで両組織がウエブサイトに載せた発表には5か年計画の詳細は明らかにされていない。Asia Newsによると、あるカトリック関係者は、この運動はバチカンの感情を害するものではなく、バチカンは現在も中国政府と、特に中国における司教任命の権限について交渉を進めている、としている。

 一方で、中華民国のJohn Hung Shan-chuan台北大司教は、5月18日付けのSouth China Morning Post紙で「教皇は私に、自分は交渉のためにカトリック教会の原則を曲げるつもりはない。司教の任命権は教皇になければならない、とお話しになった」と明言し、交渉は最終合意に至っていない、と述べた。交渉が、バチカンと中国政府の外交関係の完全な樹立に繋がれば、中華民国・台湾の独立国としての地位を認めないとする世界の多くの国々に追随することになるに違いない。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2018年6月5日

・教皇、中国のカトリック教会のために祈るよう呼びかけ-世界祈りの日10年

中国・北京の「無原罪の御宿り」のカテドラル大聖堂で祈りをささげる中国の信徒たち(今年1月撮影・ CNS/Roman Pilipey, EPA)

Pope calls for prayers for Catholic Church in China

(2018.5. 24 Tablet James Roberts)

 前教皇ベネディクト16世が24日を「世界が中国の教会の為に祈る日」と定めて10年。教皇フランシスコはその日の前日、23日の一般謁見で、世界の信徒たちに「中国の信徒たちが、教皇と完全な一致のもとに信仰に生きることができるように」と祈ることを求めた。

 教皇は、聖ペトロ広場でのこの一般謁見の終わりに、24日の記念日は「私たちを、中国に住むカトリックの信仰を持つすべての人と霊的につながるように招く日」であるとし、中国の人々が「寛大さと落ち着きをもって信仰生活を送る」ことができるように、「聖ペトロの後継者(教皇)との完全な一致の中で、友愛と調和と一致の具体的な行為の仕方を知る」ことができるように、聖母マリアに祈ることを求めた。

 そして、「中国にいる親愛なる主の使徒たち、世界の教会はあなた方と共に、あなた方のために祈ります。困難の最中にあっても、神のご意志に信頼を置き続けますように」と祈りをささげた。

 中国の教会のために祈る日が定められて10年、バチカンと中国政府の非公式交渉が何か月も続けられている。バチカンは交渉で、教皇に忠誠を誓う”地下教会”と中国政府・共産党の管理下に置かれた”愛国教会”の一致が実現することを希望している。

 現在の交渉の最大のポイントは、中国国内の司教の最終的な任命権をバチカン、中国当局どちらに帰属させるかだが、伝えられるところでは、中国側が候補3人を選び、教皇がその中から一人を司教に決めることで話し合いが進んでいる、と言われている。このような妥協に動きについては、多くの批判の声が世界の教会関係者から出ており、前香港司教の陳日君・枢機卿は、中国側に教会の管理をこれまで以上に委ねることにつながる、と強く反対している。また、これと関連して、”地下教会”の司教二人が、中国側が任命した司教二人にポストを譲るよう求められ、強い反発が起きている、とも伝えられている。

 中国政府・共産党は最近になって、国内で活動するすべての宗教の管理・規制を従来以上に強化する法令を施行し、さらに交渉を巡る環境を混迷させている。

 具体的には今年2月1日以降、中国で活動するすべての宗教は宗教関係取締法によって縛られ、宗教団体の登録、宗教活動の場所の確定などが義務化された。そして、中国政府・国務院の国家宗教事務局に、登録の任免権、祈祷の場所の許認可権などが与えられた。さらに、宗教団体・組織の教職員についても同局に報告することが求められることになった。加えて、同法47条では、宗教に関係する情報サービスのインターネットによる提供も、当局の検閲、許可が必要、と定め、献金の徴収についても規定が設けられた。

 香港中文大学・崇基学院の曾思瀚・神学部長は、信者たちに、新たに導入された規制に対抗するために「自分たちの権利の守り方をもっと知る」ことを強く促している。たとえば、同法57条では、宗教団体・組織が、宗教活動のための献金を国内外で受けることが認められているが、献金の総額が10万元(約1万⁵⁹⁰⁰㌦)を超えた場合、当局の検査、承認を受けることが義務付けられている。。

(注・「カトリック・あい」=習近平・国家主席は昨年10月の”愛国教会”の代表も参加した中国共産党全国代表大会で、圧倒的な支持のもとに確固たる地位を確立、主席が進める宗教とカトリック教会に対する事実上の党による統制を、「中国化」と表現することも支持された。こうした流れの中で、同党の中央統一戦線工作部は3月、宗教監視・監督の任務を、中国政府国務院の国家宗教事務局から移譲されている。権限の委譲は「党指令の執行」という厳格なものだ。)

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

 

2018年5月26日

・「教皇がロヒンギア和平会議を検討」とミャンマーの枢機卿語る

Myanmar cardinal says Pope Francis considering Rohingya conference

Cardinal Charles Bo in a file photo. (Credit: Andrew Medichini/AP.)

 (2018.5.23 CRUX  Contributor Nirmala Carvalho
ムンバイ(インド)発―教皇フランシスコがミャンマーの「ロヒンギア危機」に対処する会議の開催実現に支援を検討している。同国のカトリック教会指導者、チャールズ・マウン・ボー枢機卿が今月初め、同国司教団を率いてバチカン定例訪問し、教皇と会見した結果を明らかにした。
 ボー枢機卿は2003年からヤンゴン大司教を務めており、2015年に人口5000万人の同国初の枢機卿に選ばれていた。同国では昨年8月以降、2015年の総選挙でノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー女史が主導する民主政権が発足して以来最悪の政治・社会的危機が続いている。その中で、軍主導のロヒンギア地区に住むイスラム系少数民族に対する弾圧により、70万人以上が故郷を捨てることを余儀なくされ、難民となって隣国バングラデシュに逃げ込み、悲惨な生活をおくる事態が深刻化している。
 23日Cruxとの会見に応じたボー枢機卿は、バチカン定例訪問について語る中で、教皇がロヒンギア危機の解決を助けるための和平会議の実現を支援していることを示唆し、「ロヒンギア地区の深刻な状況について、教皇は憂慮されています。人々は国を追われ、ミャンマー、バングラデシュ、インド、インドネシア、そしてマレーシアをさまよっている。その数は全部で約200万人にもなる。どの国も彼らを進んで受け入れようとしません。イスラム系のメディアは強い影響力がある。しかし、彼らを受け入れるかどうか、と問われると、口をつぐんでしまう」と訴えた。
 そして、枢機卿は、教皇との会見で、現状打開のための教会としての取り組みについて、教皇に次のように問いかけたことを明らかにした。「バチカン国務省を通して、悲惨な状況に置かれている人々を支援するための、国連、欧州連合を含めた関係国、関係機関を含めた会合を招集することが可能でしょうか」。そして、「今のところ、誰もがミャンマー政府、軍と仏教徒を非難しているように見えますし、(紛争解決への)支援と提案を考える人は誰もいないのです」と訴えた。枢機卿がCruxに語ったところによれば、教皇は、国務省に、そのような会議の開催が可能かどうか、聞いてみる、と回答されたという。
 教皇はかねてから、ロヒンギアの状況について深く憂慮されており、公の場でたびたび、この問題について言及されている。昨年暮れのミャンマー、バングラデシュ訪問では、バングラデシュ領内で難民生活を送っているロヒンギアの人々の代表とお会いになり、彼らの置かれた悲惨な境遇に深く同情され、「すべての人々、あなた方を迫害している人々、誤ったことをしている人々、そして何よりも、この世界の無関心について、私はあなた方に赦しを乞います」「私たちが求める赦しを与えてくださるように、あなた方の寛大な心に訴えます」と彼らに呼びかけていた。
 ボー枢機卿によると、教皇はミャンマー司教団との会議で、昨年の訪問の際に示してくれた暖かい歓迎と気配りについて感謝を述べたが、枢機卿は「教皇の訪問は、聖霊の働きによるもの」とし、「もともとは、インドが訪問先に予定されていました。しかし、(インド政府から)前向きの反応が得られず、その時、ミャンマー訪問の必要性を直観されたのです。訪問先を変えたことを、教皇は喜んでおられた」という。そして、ミャンマー訪問にあたって、教皇は、軍の指導者や強硬派の仏僧を含めて誰との会見の拒まれなかった。
 また、「我が国の政治状況に関連して、ある司教はミャンマーのために、特にカチン県の紛争について祈るように希望しました」。カチン県はミャンマーの最北部にあり、キリスト教徒が人口の大半を占めているが、武装勢力が過去数十年にわたって、独立を目指す闘争を続けている。今年4月にも、少なくとも7400人が自宅を追われ、5月には国連が、同県で平和を求めるデモ隊が逮捕された問題を取り上げ、政府に警告する報告書を発表している。「教皇は、司教の希望を受け入れ、司教団にご自分に対する提案を文書にしてくれるように求められました」と枢機卿は説明した。さらに、枢機卿はこの会議で、教皇に「ご訪問は、ミャンマー全土に勇気を与えていただきましたが、今なお、教皇の支援と指導を必要としています」と訴え、ミャンマーの指導者たちに「あなた方には、この国の平和に責任があります」とする旨のメッセージを送ってくれるように希望を述べた。
 会議では、また教皇は中国における教会のおかれている状況について言及された。中国はミャンマーと国境を接しており、歴史的にミャンマーに影響力を持っている。「教皇は『いつの日か、中国で、苦しみを受けている兄弟姉妹と会えるように、と祈っています』と話された」という。枢機卿は、カトリック教会と中国の関係を進めるには、バチカン国務省を通した外交、個人的な友好関係、そして文化交流、の三つの道がある、とも述べた。

 最後に、この会議では、教皇の日常生活についても話題になり、ある司教が教皇に一日のスケジュールを聞いたところ、教皇は「ええ!毎時間、私がしていることを教えろ、というのですか?そう、私はとても元気です。夜の10時には電気を消し、朝の4時に起きます。私の歳では(睡眠6時間で)十分。ぐっすり眠り、一日、喜々として働いています。時には、よく眠れないことがありますが、そんな日は、ちょっと元気がありません」とお答えになった。

 別の司教は「教皇が居宅にされているサンタ・マルタの家での毎朝のミサでの説教が素晴らしい、よく、この説教を(自分の説教に)拝借しています」と述べたのに対しては、「霊感を受けたと感じる時に、お説教をします。でも、聖霊が私に働かない時には、黙っています」と答えつつ、「説教の拝借」の告白について「税金をかけますよ!」と冗談を言われた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

2018年5月24日

☩「困難の中でも神を信頼して」教皇、中国の信者たちのために祈る

教皇フランシスコ、5月23日、バチカンでの一般謁見で(バチカン放送)

中国・北京の「無原罪の御宿り」のカテドラル大聖堂で祈りをささげる中国の信徒たち(今年1月撮影・ CNS/Roman Pilipey, EPA)

Pope calls for prayers for Catholic Church in China

(2018.5. 24 Tablet James Roberts)

 前教皇ベネディクト16世が24日を「世界が中国の教会の為に祈る日」と定めて10年。教皇フランシスコはその日の前日、23日の一般謁見で、世界の信徒たちに「中国の信徒たちが、教皇と完全な一致のもとに信仰に生きることができるように」と祈ることを求めた。

 教皇は、聖ペトロ広場でのこの一般謁見の終わりに、24日の記念日は「私たちを、中国に住むカトリックの信仰を持つすべての人と霊的につながるように招く日」であるとし、中国の人々が「寛大さと落ち着きをもって信仰生活を送る」ことができるように、「聖ペトロの後継者(教皇)との完全な一致の中で、友愛と調和と一致の具体的な行為の仕方を知る」ことができるように、聖母マリアに祈ることを求めた。

 そして、「中国にいる親愛なる主の使徒たち、世界の教会はあなた方と共に、あなた方のために祈ります。困難の最中にあっても、神のご意志に信頼を置き続けますように」と祈りをささげた。

 中国の教会のために祈る日が定められて10年、バチカンと中国政府の非公式交渉が何か月も続けられている。バチカンは交渉で、教皇に忠誠を誓う”地下教会”と中国政府・共産党の管理下に置かれた”愛国教会”の一致が実現することを希望している。

 現在の交渉の最大のポイントは、中国国内の司教の最終的な任命権をバチカン、中国当局どちらに帰属させるかだが、伝えられるところでは、中国側が候補3人を選び、教皇がその中から一人を司教に決めることで話し合いが進んでいる、と言われている。このような妥協に動きについては、多くの批判の声が世界の教会関係者から出ており、前香港司教の陳日君・枢機卿は、中国側に教会の管理をこれまで以上に委ねることにつながる、と強く反対している。また、これと関連して、”地下教会”の司教二人が、中国側が任命した司教二人にポストを譲るよう求められ、強い反発が起きている、とも伝えられている。

 中国政府・共産党は最近になって、国内で活動するすべての宗教の管理・規制を従来以上に強化する法令を施行し、さらに交渉を巡る環境を混迷させている。

 具体的には今年2月1日以降、中国で活動するすべての宗教は宗教関係取締法によって縛られ、宗教団体の登録、宗教活動の場所の確定などが義務化された。そして、中国政府・国務院の国家宗教事務局に、登録の任免権、祈祷の場所の許認可権などが与えられた。さらに、宗教団体・組織の教職員についても同局に報告することが求められることになった。加えて、同法47条では、宗教に関係する情報サービスのインターネットによる提供も、当局の検閲、許可が必要、と定め、献金の徴収についても規定が設けられた。

 香港中文大学・崇基学院の曾思瀚・神学部長は、信者たちに、新たに導入された規制に対抗するために「自分たちの権利の守り方をもっと知る」ことを強く促している。たとえば、同法57条では、宗教団体・組織が、宗教活動のための献金を国内外で受けることが認められているが、献金の総額が10万元(約1万⁵⁹⁰⁰㌦)を超えた場合、当局の検査、承認を受けることが義務付けられている。。

(注・「カトリック・あい」=習近平・国家主席は最近、”愛国教会”の代表も参加した中国共産党全国代表大会で圧倒的な支持のもとに確固たる地位を確立、大会は、主席が進める宗教とカトリック教会に対する事実上の党による統制を「中国化」と表現することを支持した。また同党の中央統一戦線工作部は3月、宗教監視・監督の任務を中国政府国務院の国家宗教事務局から移譲されている。権限の委譲は、「党指令の執行」という厳格なものだ。)

 

 

2018年5月24日

・「司教任命権、中国との交渉難航」教皇、台湾側に(毎日新聞)

 (2018.5.18 毎日新聞 台北・福岡静哉)フランシスコ・ローマ法王が14日にバチカン(ローマ法王庁)で台湾のカトリック司教団と会談した際、関係改善に向けて協議中の中国との間で司教の任命権を巡り双方が折り合わず、交渉が難航していると説明したことが判明した。

 会談の出席者が毎日新聞の取材に明らかにした。法王は中国との関係改善に積極的で、欧米メディアは早ければ3月末にも合意に達する、と報じていた。

 法王は台湾司教団に対し「私たちは妥協しない。バチカンは司教任命権を手放さない」と説明したという。

 バチカンはどの国でも司教任命権は法王にあるとの立場だが、中国は国内の司教を独自に任命することを主張。双方に受け入れ可能な任命方式を巡る交渉が続いている。香港の陳日君・枢機卿らカトリック幹部からも法王が中国に妥協するのではないかとの懸念が出ている。法王の発言はこうした懸念を打ち消す狙いもあるとみられる。

 バチカンと外交関係がある台湾では、バチカンと中国が関係改善で合意すれば、最終的にバチカンとの断交に追い込まれるとの懸念もある。

 台湾側は法王の台湾訪問を招請したが、法王は笑顔を見せただけで回答を避けたという。

 

 

cjcpres
2018年5月22日

☩教皇が、インドネシアの教会での爆破テロ犠牲者に哀悼の意

(2018.5.14 カトリック・あい)インドネシアのジャワ島東部にある同国第2の都市スラバヤで13日朝、キリスト教の教会3か所で自爆テロがあり、警察によると、少なくとも7人が死亡、43人が負傷したが、教皇フランシスコは13日正午のお告げの祈りの後で、この惨事を取り上げ、深く哀悼の意を表すとともに、憎しみと暴力の連鎖を断ち切るよう次のように強く呼びかけた。

 「親愛なる兄弟姉妹の皆さん。私は、愛するインドネシアの皆さん、中でも、祈りの場で襲われ、深刻な打撃を受けたスラバヤ市のキリスト教共同体の方々に、特別に思いを寄せます。犠牲になられた全ての方々、その親族の方々のために祈ります。皆さんと共に、こうした凶暴な行為を止めるように、神に心から祈ります。嫌悪と怒りではなく、和解と親愛の心を持つように。黙とうを捧げます」

 なお、現地の警察当局によると、実行犯の6人はスラバヤに住む夫婦とその9歳から18歳の子供4人で、全員が死亡した。一家はイスラム過激派組織「イスラム国」を支持する武装グループの構成員とみられ、「イスラム国」系のアマク通信も同日、犯行声明を出した。インドネシア政府は、各地の教会に警察官を配置したほか、空港の警備も強化するなど、テロへの警戒を強めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2018年5月14日

・フィリピンで司祭が射殺、タグレ枢機卿が強い批判(CRUX)

 

Father Mark Ventura, the priest murdered in the Philippines on April 29. (Credit: Archdiocese of Tuguegarao.)

 フィリピンのルソン島北部、ツゲガラオ大司教区の教会で29日、日曜のミサ直後に司祭が複数の暴漢に襲われ、射殺された。ガッタラン・カトリック教会のマーク・ベンツラ神父は同日、ミサを終え、受洗の祝いを始めようとした際、集まっていた信徒たちの前で襲われたという。

 30日、マロロス市での司教叙階式に出た同国のカトリック教会の指導者であるルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、犠牲となったベンツラ神父に深い哀悼の意を示すとともに、「人々が神からの賜物としての命に、もはや価値を置かない、これはそのしるしです」と警告し、「彼が司祭でなかったとしても、人です。彼は神からの賜物ではないのですか?誰かを殺し、投げ捨てることが、今ではたやすいことなのですか?」と人々に問いかけた。

 またフィリピンのカトリック司教協議会会長のロムロ・バレス大司教は、声明を発表し、「司教たちは強い衝撃を受けるとともに、この殺人は『邪悪な行為』と見なしている」とした。

 フィリピンの人権団体、カラパタンのクリスチーナ・パラバイ事務局長は「ベンツラ神父は、対人地雷反対運動や原住民社会の支援をしており、それが襲撃された理由ではないか」とし、「教会が弱い者の見方をすると、関係する人々が襲撃の標的にされる」「人権擁護の立場に立つ教会の信徒たちが迫害を受ける傾向が強まっているのは間違いない」と説明した。

 フィリピンでは司祭の殺害が目立っており、昨年12月にもマルチェリト・パエズ神父が殺害されたばかりだ。同国のカルメル修道会の正義と平和委員会は「フィリピンの『罰せられない文化』が殺人の連鎖を起こしている。このような文化は、教会の人々、貧しく、搾取され、見捨てられ、拒絶された者たちを助けようとする人々も容赦しない。実際に、私たちは、助けを求める人々を支えようとする神の意志を行おうとする人々が弾圧される現実を目にしている」と訴えている。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

2018年5月2日

☩「希望が失望に変わらぬように」教皇が南北首脳会談結果に言及

(2018.4.30 「カトリック・あい」)

 教皇は29日、正午のお告げの祈りに続いて、「朝鮮半島の完全な非核化」と年内に休戦中の朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を目指すことで合意した27日の韓国と北朝鮮の南北首脳会談について言及。「会談の建設的な成果と、半島の非核化への真摯な対話の道を進むという両首脳の勇気ある約束に、祈りとともに、共に歩みます」とされたうえで、「主に祈ります。平和な未来とさらなる兄弟愛への希望が失望に変わることにないように。そしてこのような協力が、愛する朝鮮半島の人々と全世界のために良い実を結び続けますように」と祈られた。

 27日の南北首脳会談の会談後に署名された「板門店宣言」は、朝鮮半島の非核化について「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と明記したが、北朝鮮が開発済みの核兵器の廃棄を検証する方法や時期など具体策には触れておらず、両首脳は宣言署名後、共同記者発表を行ったが、北朝鮮側は非核化に言及しなかった。このため、非核化の具体的な成否は、6月初旬までに予定される米朝首脳会談に委ねられることになった。

 教皇が、一部関係者に見られる手放しでの評価に流されず、「希望が失望に変わることのないように」と釘を刺したのは、このような”成果”に対する冷静、客観的な判断があるとみられる。

(バチカンの教皇のお告げの祈りとその後のメッセージの現地時間29日の公式発表分をもとに「カトリック・あい」がまとめました)

 

2018年4月30日

☩「朝鮮半島と世界の平和へ具体的プロセス開始を」教皇、南北首脳会談前に訴え

教皇、韓国と北朝鮮の首脳会談に向けてアピール

教皇フランシスコ、4月25日、バチカンでの一般謁見 – REUTERS

(2018.4.25 バチカン放送)

 韓国と北朝鮮による南北首脳会談を前にした25日、教皇フランシスコが会談を機に和解と平和が推進されるよう訴えるアピールを出された。

 教皇は同日バチカンで行われた一般謁見の席で、27日に板門店で開かれる韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による南北首脳会談に言及。「この会談が、朝鮮半島と全世界に平和を保証するための、透明性ある対話と、和解と兄弟愛を再び構築するための具体的プロセス開始のまたとない機会となるように」と期待を表明された。

 さらに、平和を熱望する朝鮮半島の人々に、ご自身の祈りと、カトリック教会全体の精神的一致を約束された。そして、「両国民の間の出会いと友好を目指し、より良い未来を築くあらゆる有益で誠実な取り組み」を支持する姿勢を示された。

 そして、両国指導者など政治に責任を負う人々に向け、「平和を作り出す人として、希望の勇気を持ち、すべての人の善を目指す歩みを信頼をもって進むように」と訴え、最後に「神はすべての人の父、平和の父である」と述べた教皇は、朝鮮半島の人々のために「主の祈り」を信者と共に唱えられた。

2018年4月26日