改新・2022年の日本の信徒数―10年で5%弱の減少だが、主日ミサ参加者は4割弱、新規受洗者が3割弱、聖職者などが2割強も大幅減少、”コロナ”の影響も 

(2023.8.8 カトリック・あい)

 カトリック中央協議会がこのほど、 2022 年度版「カトリック教会現勢」を発表した。これはもともとバチカンに報告を義務付けられているもので、日本の信徒や司祭が日本の教会の現状を理解し、今後の在り方を考える資料として役立てることを目的としていない(本来そのためのデータであるべきだが)ため、「カトリック・あい」で改めて過去のデータなどと合わせて、以下に分析を試みた。

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 まず、発表データを10年前に発表されたデータと合わせて算定すると、2022 年 12 月末現在の日本の聖職者、一般信徒などを合わせた「信者数」は」42 万 2450 人で、10 年前の 2012 年の 44 万 4441人より 2万1991人、 4.95%減った。日本の総人口に占める割合は2022年が 0.335 %、2012 年は 0.351 %で、毎年、小幅ながら日本の総人口の減少を上回る減り方を続けている。またミサ参加者は、日本でコロナ大感染が始まる直前の2019年と比べて、主日、復活祭、クリスマスともに4割前後も激減しており、信者減少に対する長期的な取り組みと共に、コロナ禍で激減したミサ参加者、教会を離れた信徒を、どのように回復するのかも、教会にとって大きな課題となっていることが明瞭に浮かび上がっている。

*日本の信徒数は41 万 6315 人で10年で2万355人減、聖職者等は6135人で同1636人減

 信者数のうち一般信徒は 41 万 6315 人で、2012年の43 万 6670 人から 4.66%、 2万355人減の一方で、聖職者・修道者・神学生の合計は 6135 人で、 7771 人から  21.05%、1636人も減っている。この発表データには無いが、聖職者・修道者の高齢化も明らかに進んでおり、司牧活動が困難な聖職者も増えていることは、現実に認識されていることを合わせれば、司牧活動可能な聖職者はこの数字よりもさらに減少していると推定される。

*主日ミサ参加者は6 万 5878 人、コロナ直前2019年より4万1037人も減っている

 

 主日のミサ参加者数は 6 万 5878 人で、2012 年の 10 万 6481 人より 4万603人、38.13 %の大幅な落ち込み。信者総数に占める参加者の割合は100に当たり15.6人。信者数の減り方よりも、主日のミサに出ない、教会に足を運ばない人が大幅に増えていることを示している。同様の傾向は新規受洗者数にも明確に出ており、2022 年一年間の受洗者数は 4089 人で十年前の 2012 年の5694人から28.19パーセント、1605人減。

   2020年に日本で始まったコロナ大感染の影響について分析したデータは「現勢」には皆無だが、直前の2019年のデータを引き出して、ミサ参加者を見ると、主日は10万6915人、復活祭は17万965人、クリスマスは21万7664人となっており、2022年はそれぞれ38.38%、40.71%、34.17%の減少となっており、10年前と比べた減少率を上回る大幅な落ち込みだ。明らかにコロナの影響で、ミサが中止になったり、参加が制限されたり、あるいは自主的に参加を控えたりする信徒が増えたことが主たる原因と判断される。

*教区別で10年間の信徒数減少が最大は長崎教区の4808人、受洗者数の落ち込みも目立つ

 

 また、全国で16ある教区別に見ると、信徒数が最も多いのは東京で9万2001人、これに長崎の5万6826人、横浜の5万2929人、大阪の4万6817人が続き、最も少ないのは高松の4208人など、1万人未満が大分、那覇、新潟、仙台、鹿児島をあわせて6教区もある。2012年から10年間で減り方が最も大きいのは仙台の11.04%で、これに札幌9.70%、大阪9.20%、鹿児島8.22%、それに長崎の7.80%が次いでおり、減少数では長崎が4808人と最も多くなっている。ちなみに東京は2.38%の減少にとどまり、那覇とさいたまは、それぞれ4.16%、2.43%の増加。特に後者は、外国人の顕著な流入が影響していると見られる。

 聖職者・修道者・神学生の減り方を教区別に見ると、大幅な減少率の中で、教区によるばらつきがみられ、最も大幅な減少率を示したのは仙台で44.03%、ついで、新潟、福岡、鹿児島、高松が30%を超えている。

 大きく落ち込むなかでもばらつきがみられるのは、2022年までの十年間の主日のミサ参加者の減り方で、東京が51.92%と半減しているほか、札幌が48.15%、横浜が46.17%、鹿児島が41.87%、長崎が41.58%を4割を上回る減少。対して、大阪は12.17%の減少にとどまっている。

 年間の受洗者数を見ると、2022年の全国総数4089人のうち、トップは東京の996人、ついで横浜527人、名古屋503人、大阪419人で、信徒数で2位の長崎は237人にとどまっている。2012年に比べた受洗者の減り方もっとも大幅なのは鹿児島で64%、次いで新潟60.52%、長崎が52.88%で三番目に大きい落ち込み。対して、広島2.75%、名古屋2.90%、さいたま3.85%と小幅の落ち込みにとどまる教区もある。

 以上の教区別の動きを見ると、特に日本のカトリック教会の中心教区の一つとされてきた長崎が、信徒数の減少、主日のミサ参加者の減少、新規受洗者の減少率がそろって大幅になっているのが目立つ。その原因として考えられることについて、ここでは明らかにすることは避けるが、当事者も含めて心当たりの方も少なくないだろう。一言で言えば、信頼回復の努力が急務、だということではなかろうか。

 

 

*東京・麹町教会の信徒数よりも少ない教区が7つもある、高松教区は麹町の4分の1

 ちなみに、日本の小教区で信徒数が最も多いのは東京教区の麹町教会で1万7152人(2019年12月末現在。次が長崎教区の浦上教会で約7000人と言われている=公表データが見つからない)。麹町教会一つよりも信徒数の少ない教区は、札幌(1万4958人)、仙台(9196人)、鹿児島(8420人)、新潟(6676人)、那覇(6132人)、大分(5607人)、高松(4208人)と7つもある。麹町教会よりも信徒数が少なく、しかも東京教区の10分の一以下の信徒数しかいない教区が6つもある現状は、信徒数も、司祭の数も減り続ける中で考え直す必要があるようだ。

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 以上の比較は、「2022年現勢」だけでは、分からないデータもあり、まして10年前との教区別比較などは出ていない。このデータをどのように読むかも、今後の教会の在り方を考えるうえでの評価、分析も書かれていない。このため、「カトリック・あい」では「2012年現勢」を参照し、増減数、増減率なども独自に算出し、少しでも役立つように努めた。また、2012年との比較で大幅に減っていても、他の年と比べれば異なる数値が出てくる可能性もあるが、10年前という節目となる区切りで算出した。また、算出に誤りがあることも考えられるので、お気づきになったら「カトリック・あい」読者の声、までご連絡いただきたい。

 

 

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2023年8月8日