・東京カテドラル聖マリア大聖堂献堂60年!(菊地枢機卿の「週間大司教」)

菊地枢機卿の「週間大司教」2024年12月 8日 (日) 

 

東京カテドラル聖マリア大聖堂献堂60年

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 東京カテドラル聖マリア大聖堂は、1964年12月8日に献堂され、無原罪の聖母に奉献されました。今日で献堂から60年となります。

 献堂された1964年というのは、ちょうど教会が第二バチカン公会議の真っ最中であった頃です。第二バチカン公会議は1962年から始まり1965年まで続きました。献堂後の1969年には第二バチカン公会議の典礼改革による新しいミサ典礼が発表され他、ちょうど典礼変革の時代でした。

 戦争中に焼け落ちた旧聖堂に代わり、カテドラルを再建することは当時の土井枢機卿様をはじめ教区の願いでしたが、ケルン教区の支援の申し出もあり、第二バチカン公会議が始まる直前、1962年5月締め切りで設計コンペが行われ、丹下健三氏のデザインが採用されました。その経緯から、基本的に、現在でも当初の丹下健三氏の設計に手を加えることなく聖堂は建っております。

 本日は献堂60年の記念となる主日ミサですが、わたしが枢機卿親任式などのためローマに出かけているため、主日ミサで、小池神父様にメッセージの代読をお願い致しました。以下に、そのメッセージを記します。

 

【待降節第二主日C 東京カテドラル聖マリア大聖堂献堂60周年 2024年12月8日】

 今年は12月8日の無原罪の聖母の祭日が日曜日にあたり、待降節第二主日と重なりました。通常、典礼上の祝日が主日と重なる場合、主日が優先されますが、無原罪の聖母は重要度の高い祭日であることから、今年の典礼の暦では、明日の12月9日が無原罪の聖母の祭日とされています。

 東京教区にとっては、12月8日の無原罪の聖母の祭日は司教座聖堂(カテドラル)の献堂記念日であり、聖マリア大聖堂の名前をいただいた「聖マリア」こそは無原罪の聖母です。加えて今年は献堂からちょうど60年の節目の年でもありますので、本日の主日ミサの中で、共にカテドラルの献堂を記念したいと思います。

 そもそも「カテドラル」というのは、司教座が置かれている聖堂のことであり、教区における神の民の一致の目に見える象徴として、教区の母教会という意味を持っている聖堂です。その意味で、献堂記念日は関口教会だけのお祝いではなく、教区全体にとってのお祝いであり、あらためてカテドラルが象徴する司教との交わりのうちに一致する教会共同体のあり方を見つめ直すときでもあります。

 1891年に大司教区として設置された東京教区は、当初のカテドラルを築地教会に定めました。その後、1900年に関口小教区が設けられ、1911年にはその構内に現在も残るルルドの洞窟が宣教師によって建設され、1920年には、大司教座が築地から関口に移され、関口教会がカテドラルとなりました。104年前のことです。

 関口教会の聖堂は戦争中に東京大空襲で焼失しましたが、戦後、ドイツのケルン教区の支援によって再建が決められ、故丹下健三氏の設計により、1963年に工事が始まり、1964年12月8日に完成して献堂式が行われました。

 この東京カテドラル聖マリア大聖堂が建設された経緯を振り返るとき、わたしたちはケルン教区が具体的に示した「ケルン精神」を思い起こさせられます。

 先日のミャンマーデーの際にも触れましたが、「ケルン精神」というのは、戦後のドイツの復興期にあって、ケルン教区が掲げた自己犠牲と他者への愛を意味しています。ドイツも敗戦国であり、1954年当時は復興のさなかにあって、決して教会に余裕があったわけではありません。にもかかわらず海外の教会を援助する必要性を問われた当時のケルンのフリングス枢機卿は、「あるからとか、余力があるから差し上げるのでは、福音の精神ではありません」と応えたと記録されています。この自らの身を削ってでも必要としている他者を助けようとする精神は、当時のケルン教区の多くの人の心を動かし、ケルン教区の建て直しにも大きく貢献したと伝えられています。

 その「ケルン精神」の最大のシンボルが、この東京カテドラル聖マリア大聖堂です。この大聖堂の中に祈りのうちにたたずむとき、わたしたちはまず第一に、この「ケルン精神」を思い起こし、心に刻みたいと思います。

 さらに言えば、その「ケルン精神」その後、ケルン教区と東京教区が一緒になっていまでも続けているミャンマーへの支援に繋がりました。その歴史を顧みるときに、ケルンと東京とミャンマーの教会は、長年にわたってシノドス的な教会であろうとしてきたことが分かります。

 私たちは、共に歩み、互いに耳を傾けあい、互いの必要に応えて助け合い、共に祈りを続けながら、聖霊の導きを見い出そうとしてきました。その意味で、東京カテドラル聖マリア大聖堂は、いま教会が歩もうとしているシノドスの道のシンボルの一つです。教会のシノドス性を豊かに表すこの聖堂を、司教座聖堂として与えられていることに、感謝したいと思います。

 昨日12月7日、私はバチカンの聖ペトロ大聖堂において、教皇様より枢機卿の称号をいただきました。枢機卿は単なる名誉職ではなく、教皇様の顧問団の一人として、教会全体において何らかの役割を果たしていくことが求められる立場です。その求められている役割を果たすには、自分が十分ではないことをよく自覚し、恐れの中で震えております。私が忠実に務めを果たすことができるように、これからも皆様のお祈りによる支えをお願い申し上げます。

 今日の主日は、バチカンにおいて教皇様と共に感謝のミサを捧げておりますので、その中で、日本の教会のために、特に東京の教会のためにお祈りさせていただきます。

 洗礼者ヨハネの出現を伝えるルカ福音は、イザヤ書を引用しながら、ヨハネが救い主の先駆者であることを教えています。洗礼者ヨハネは「荒れ野」で、「主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ」と叫ぶ声だと記されていますが、その響き渡る声によって、「人は皆、神の救いを仰ぎ見る」と福音は記します。

わたしたち教会も、現代社会という「荒れ野」に生きています。いのちを奪う暴力がはびこり、戦争が続き、利己的な価値観が支配する、「いのちの荒れ野」に生きています。その現代の「いのちの荒れ野」のただ中にあって、教会は「主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ」と呼びかける声であり続けたいと思います。

 枢機卿がいただく正装の色は深紅です。それは福音のために殉教すらいとわないという決意を象徴しています。ですからわたし自身が教会の先頭に立って、現代社会に向かい、「主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ」と叫ぶ覚悟を持たなくてはなりません。同時にそれは教会全体の務め、すなわちキリストに従う皆さんとともにある教会の務めです。

 教皇フランシスコは、使徒的勧告「福音の喜び」の終わりに、「聖霊と共にマリアは民の中に常におられます。マリアは、福音を宣べ伝える教会の母です」と記しています。

 その上で教皇は、聖母マリアは、福音宣教の業において「私たちとともに歩み、ともに闘い、神の愛で絶え間なく私たちを包んでくださる方です」と指摘されています。

 聖母マリアは。この「命の荒れ野」のただ中に立つ教会と歩みを共にしてくださいます。共に闘ってくださいます。傷ついた私たちを神の愛で包み込んでくださいます。私たちと共に、「主の道を整え、その道筋をまっすぐにせよ」と叫ぶ声になってくださいます。

 共に歩んでくださる聖母の取り次ぎに信頼しながら、これからも共に、荒れ野に響きわたる先駆者の声であり続けましょう。

(編集「カトリック・あい」)

2024年12月9日

・「恐れず、福音を宣べ伝えよう」-シンガポールでのミサ中の神父刺傷事件で、ゴー枢機卿が信者たちに訴え

(2024.11.12 La Croix International staff)

 シンガポールのカトリック教会指導者、ウィリアム・ゴー枢機卿は12日、声明を出し、ミサ中に司祭が刺された事件で揺れるカトリック教会に、司祭の速やかな回復を祈るとともに、神の導きを信じて逆境を回復力に変え、恐れずに福音を宣べ伝え続けるよう訴えた。

 シンガポールのアッパー・ブキ・ティマにある聖ヨセフ教会で9日土曜日、子供たちのための夕べのミサ中、聖体を配っていた57歳のクリストファー・リー神父が男に刺された。シンガポール大司教区によると、神父は国立大学病院に搬送され、手術を受け、現在容体は安定しているという。犯人は、警察が到着する前に、大司教区緊急対応チームを含む信徒が加害者を取り押さえた。警察当局によると、加害者が薬物乱用や傷害などの重犯罪歴があることを確認し、初動捜査では単独犯であり、現在のところテロの可能性はない、という。

 ゴー枢機卿は、ミサ中に司祭が刺された事件に関して、カトリック共同体の悲痛な思いを表明。「このような暴力は深い不安を与えるが、警戒を促す痛烈な注意喚起であると同時に、教会の回復力の証しでもある」と強調した。A man stabbed 57-year-old Father Christopher Lee while he was distributing communion during the Novそして、 「この事件が私たちの最も神聖な空間で起こったことに、私たちは過度に驚くべきではない、というのが真実です。 宗教的指導者、あるいは誰であれ、教会が襲撃される可能性はある」とし、 テロリズムや狂信主義から、個人的な不満や精神衛生上の問題まで、潜在的な動機を挙げた。

 また、ゴー枢機卿は、「起こりうるすべての暴力行為を防ぐことは不可能だが、教会とそのメンバーは精神的にも運営面でも備えなければならない」と述べた。2016年に大司教区緊急対応作戦協議会が結成されたことを強調し、「この協議会が小教区全体の教会警備の調整と強化に役立っている」と述べた。

 一方でゴー枢機卿は、「礼拝者を疎外しかねない対策を実施することで悲劇に過剰反応すること」に注意を促し、 「過剰な安全対策は、信者が礼拝に来る意欲をなくす可能性がある。 安全を確保することは不可欠ですが、教会は、精神的な安らぎのための避難所としての役割を維持し、アクセスしやすく、歓迎された存在であり続けなければなりません」と強調。

 「警戒は恐怖に身を委ねることではなく、むしろ慎重に生きることを意味します… 私たちは、現実的な予防策を講じ、互いに気を配りながら、通常の生活を続けなければならない。宗教指導者は、公人として一定のリスクを負っていることを認識しなければなりません 」と述べ、「警備を軽視してはならないが、聖職者は勇気をもって聖職を続けねばならない」とも語った。

 また枢機卿は信者たちに対して、リー神父の回復のためだけでなく、加害者のため、そしてより広い地域社会の平和のためにも祈るよう求め、 「神は十字架上の死を通して私たちを癒すために来られました。 「神の憐れみと赦しを示すことによって、神は私たちの傷ついた心を癒してくださいます。この事件は、私たちの教会をより強くし、信仰と祈りによ

って私たちの人々をより親密にしました」とし、「 教会が前進するには、分裂と恐れを拒絶し、警戒と団結をもってそうしなければならない」と述べた。

 シンガポールのカトリック教会は、多民族・多宗教国家であるシンガポールの中で重要な宗教共同体だ。 シンガポール統計局による2020年の国勢調査によると、カトリック教徒は居住人口の約3.7%を占め、同国の人口570万人のうち約15万人がカトリック教徒である。 シンガポールの教会はシンガポール大司教区のもとで運営されており、32の小教区が礼拝、教育、社会奉仕活動を通じて多様なコミュニティに奉仕している。 カリタス・シンガポールなどのカトリック慈善団体は、恵まれない人々の支援に欠かせない存在である。

 教皇フランシスコは今年の9月11日から13日にかけてシンガポールを訪問され、5万人が参加したミサを捧げ、多民族国家であるシンガポールの団結を称賛されるとともに、宗教間の対話と社会正義の強化を呼びかけておられる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.
2024年11月13日

・シンガポールのカトリック教会で、司祭がミサ中に刺される

SingaporeSingapore  (AFP or licensors)

(2024.11.10 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

   治安が行き届いているはずのシンガポールの市内のカトリック教会で9日夕、ミサを捧げていた司祭が、暴漢に刺され重傷を負った。神父は国立病院に運ばれ、治療を受けているが、容態は安定している、という。

 事件があったのは、高級住宅地のブキッ・ティマにある聖ヨゼフ教会で、クリストファー・リー神父(57)が土曜夕方のミサを捧げていた最中に37歳のシンガポール人の男に刺された。

 シンガポール警察によると、犯人は、信徒たちによって武装解除された後、駆け付けた警察官に逮捕された。警察当局のこれまでの調べでは、単独犯と見られ、今のところテロ行為とは見ておらず、「この事件の背後にある動機を確認するため、さらに捜査をすすめている。一般市民は冷静になり、推測を控えるように 」と呼びかけている。

 シンガポールのカトリック教会のトップであるウィリアム・ゴー枢機卿は、「神の家でミサを捧げていた私たちの愛する司祭の一人に暴力が振るわれたことに衝撃を受け、深く悲しんでいる 」と述べた。

 そのうえで、「この事件が私たちの子供たちや、この事件を目撃したすべての人々に与えたかもしれない心理的影響を非常に懸念している」とし、「信者の皆さんに対して、冷静さを保ち、事件について推測したり、すべての事実を知らずに判断を下したりしないようお願いする」と自制を求めた。

 また、シンガポールのローレンス・ウォン首相もフェイスブックへの投稿で、教区民がこの 「トラウマ的な出来事 」から癒されることを望む、と述べ、「シンガポールに暴力は存在しない 」と強調。また、「何よりも、私たちは礼拝所の安全と神聖さを守らなければならない。冷静に、団結し、シンガポール人としての特質である調和と回復力の精神で支え合おう」と呼びかけた。エドウィン・トン・文化コミュニティ青少年相も、この襲撃事件を非難し、リー神父のために祈りを捧げた。

(以上の記事はChannel News Asiaの報道をもとにした)

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年11月11日

・カトリック東京教区の千葉寺教会と西千葉教会の統合について、菊地大司教が公示

(2024.9.28 カトリックあい)

 菊地・東京教区長・大司教は9月1日付けで、「千葉寺教会と西千葉教会の統合について」と題する公示をし、10月1日付けの教区ニュース10月号で説明があった。公示の全文以下の通り。

 なお、以下に出てくる「岡田大司教による千葉中央宣教協力体の小教区統合の提案」とは、前教区長の故岡田大司教が、教区司祭の減少が続いていることを深刻に受け止め、具体的方策として、教区のそれぞれの小教区をおおむね地域ごとに設定する「宣教協力体」に統合・再編成するというものだった。だが、発表後、わずか3年で破綻し、その後、菊地大司教の代になっても、教区全体としてのこれに代わる具体的方策も、宣教協力体の役割などの見直しの結果も、その前提となる小教区再編統合の是非も含めた全体像も示されずに現在に至っている。

 そうした中での、今回の両教会の統合。「公示」は単なる二教会の統合の経過説明にとどまっているが、教区ニュース10月号で菊地大司教は、両教会の信徒役員に書簡をもって示した内容を引用する形で「東京教区における司祭総数の減少それ自体は、小教区統廃合の理由とはならない…仮に小教区共同体が規模や経済的問題から継続が困難と判断されるのであれば、それは統廃合の理由の一つにはなりえます」とする一方、「2020年12月に発表した宣教司牧方針においては、宣教協力体のあり方の見直しには触れていますが、小教区の統廃合には一切、触れていません」としたうえで、「現時点において、教区が主導して計画を作り、小教区の統廃合を進めることは考えていません」とだけ述べている。

 

【公 示】

 カトリック東京大司教区大司教タルチシオ菊地功は、教会法515条に従い、2025年1月1日をもって、1956年12月に創設され聖コロンバンを保護者としていただくカトリック千葉寺教会を廃止し、1954年8月15日に創設され被昇天の聖母を保護者としていただくカトリック西千葉教会に統合することを宣言し、ここに公示します。

 これまでカトリック千葉寺教会の司牧範囲とされていた地域は、統合の日から、カトリック西千葉教会の司牧範囲となります。それに伴って、カトリック千葉寺教会の洗礼台帳などの記録、小教区会計、その他事務的な記録はすべて、カトリック西千葉教会に移管します。

 また統合の日をもって、カトリック千葉寺教会の土地建物は、カトリック東京大司教区本部事務局が管轄するものとし、教会活動のすべてを、カトリック西千葉教会に移管します。

 カトリック千葉寺教会とカトリック西千葉教会は、2018年7月28日の両教会信徒役員と両小教区主任司祭である福島一基神父と共に、教区本部において大司教との会談を行い、それに基づいて同年8月20日に、大司教名で二つの小教区信徒に宛てた書簡で合意点を確認しました。その上で、二つの小教区には2020年末頃をめどに、「この地域におけるこれからの福音宣教にいったいどのような選択肢があるのか」、また「教会の諸施設の維持管理に関してどのような選択肢があるのか」の合意形成をお願いしたところです。

 2023年9月2日付けで、千葉寺教会より、西千葉教会への統合の提案があり、二つの教会の意向確認と、司祭評議会、顧問会での検討を行いました。その結果、統合を進めることがふさわしいと判断いたしましたので、調整の結果、上記の通り決定いたしました。

 2011年の岡田大司教様による千葉中央宣教協力体の小教区統合の提案に始まり、13年に及ぶ様々な方面からの検討に取り組んでくださった、カトリック千葉寺教会とカトリック西千葉教会の皆さまに、心から感謝申し上げるとともに、これからの統合された小教区のさらなる発展をお祈りします。

 いつくしみ深い御父の御名において。

 カトリック東京大司教区 大司教 タルチシオ 菊地 功

2024年9月28日

☩「ミャンマーの現状は黙っていられない、スーチー氏をバチカンで受け入れる用意」-教皇、氏の子息に(LaCroix)

2017年11月28日、ネピドー(ミャンマー)でのフランシスコ法王とアウンサン・スー・チー氏。(EIDON/MAXPPP)

(2024.9.24 La Croix ・AFP)

2017年11月28日、ネピドー(ミャンマー)でのフランシスコ法王とアウンサンスーチー氏。(EIDON/MAXPPP)

 イタリアの日刊紙Corriere della Seraが24日付けで報じたところによると、教皇フランシスコがこのほど、ミャンマーの民主派指導者で軍事政権によって刑務所に入れられているアウンサン・スー・チー氏の子息とバチカンで会われた際、彼女の釈放を強く希望するとともに、その場合、彼女をバチカンで受け入れる用意があることを表明された。

 教皇は今月上旬に東アジア・オセアニア4か国を歴訪され、各国のイエズス会士たちと私的な会合を持たれたが、その内容について教皇に同行したバチカン文化教育省のアントニオ・スパダロ局長が、同紙に記事を掲載したもの。

 教皇は、会合で、「私はアウンサン・スー・チーの釈放を希望しており、ローマで彼女の子息に会った際、バチカンに彼女の”避難所”を提供する用意がある、と伝えました」と語られた。

 そして、「今日のミャンマーの状況について、黙っているわけにはいきません。私たちは何かをしなければならない!… この国の未来は、すべての人の尊厳と権利の尊重、そして誰もが共通の利益に貢献できる民主的なシステムの尊重に基づく平和なものであらねばなりません」と強調された、という。

 1991年にノーベル平和賞を受賞したスー・チー氏(78)は、彼女がリーダーだった民主政権をクーデターで倒した現在の軍事政権の裁判所で、汚職から新型コロナウイルス関連規制違反などの罪を犯したとしての27年の刑を受けた。2021年のクーデターで軍に逮捕されて以来、ほとんど公の場から姿を消しており、地元メディアによると、彼女は健康問題に直面しているという。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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2024年9月25日

・「ミャンマーの内紛激化で、ロヒンギャの難民がさらなる危機に追い込まれている」国際援助機関が国際的な支援強化訴え(CRUX)

(2024.8.21 Crux  Managing Editor  Charles Collins)

   紛争が長期化し、多くの難民が発生を続けているミャンマーで、国軍と反政府勢力の抗争が一段と激しさを加え、双方から攻撃の対象となっているロヒンギャ族の人々が国境を越え、すでに満杯状態のコックスバザールの難民キャンプへの避難を余儀なくされている。

 現地で活動する国際医療NGOの「国境なき医師団」(Médecins Sans Frontières=MSF)や英国のカトリック司教協議会の公式援助機関CAFOD(Catholic Agency for Overseas Development ) が、彼らを深刻な危機から救うため、さらなる国際社会の支援を訴えている。

 英国営BBCによると、8月5日、マウンドーの町ナフ川岸付近で、非武装のロヒンギャの人々が爆弾攻撃を受けた。被災者たちはBBCの取材に、「爆弾のほとんどは無人機から落とされ、迫撃砲や銃も使われた」と語った。

 攻撃は、ミャンマーのラカイン州の大部分を支配しているミャンマー最強の反政府武装組織、アラカン軍によって行われ、まず集落が襲われ、住民たちが川に逃げようとして、また襲われた、という。

 BBCのビデオには、川岸が血まみれの死体で覆われている様子が映っており、その多くは女性と子供だった。目撃者によると、この攻撃で最大200人が殺されたとみられるが、アラカン軍のスポークスマンはBBCに対し、「事件は我々が支配する地域では発生していない」と自軍の関与を否定した。

・・・・・・・・・・・

 ロヒンギャ族は仏教徒が多数派を占めるラカイン州に住むイスラム教徒の少数派で、長い間抑圧と差別を受け、1982年以降は、ミャンマーの市民権さえ与えられなくなっている。バングラデシュのキャンプにいるロヒンギャ族のほとんどは、ミャンマーのラカイン州で反政府勢力による一連の攻撃があった後、国軍が掃討作戦を開始した2017年8月以降にミャンマーから避難してきた人々。2021年2月にミャンマーで起きた軍事クーデターで、彼らに対する国軍、さらに反政府勢力による抑圧はさらに増した。

 

 難民キャンプの人口密度は驚異的だ。1平方マイルあたり約10万3600人で、世界で最も人口が密集している国の一つであるバングラデシュ全体の平均人口密度の40倍以上になっている。難民は隣り合ったビニールハウスの小屋で暮らしており、それぞれの広さは100平方フィート強で、そこに12人ほどが住んでいるところもある。

 「国境なき医師団」は、8月5日のアラカン軍による攻撃後にミャンマーからバングラデシュに逃れてきた極めて多くのロヒンギャ族の人々を治療ている、と声明で発表。バングラデシュ事務所のオーラ・マーフィー代表は、「ここ数日、ミャンマーから国境を越えるロヒンギャの負傷者数が増加している。私たちの医療チームが治療している負傷の状態をみても、紛争がロヒンギャの人々に与える影響に懸念が高まっていると言えます」と述べ、「ミャンマーの民間人が安全に暮らせる場所は日々狭まっているのは明らか。人々は戦闘に巻き込まれ、安全を求めてバングラデシュへの危険な旅を強いられている」と危機的な現状を説明した。

 コックスバザールで長年、難民の支援にあたっているイングランド・ウェールズ・カトリック司教協議会の公式援助機関CAFODのバングラデシュ駐在、フィル・タルマン氏も、ミャンマーとバングラデシュの国境沿いでロヒンギャの人々に対する暴力が増加していることに深い懸念を示している。

 「カリタス・バングラデシュは、CAFODの支援を受けて、妊婦と子どもに水と衛生、栄養、避難所、保護、一部のプライマリーヘルスケアなどの基本的なサービスを提供していますが、ニーズは膨大です。現在、バングラデシュには100万人近くの難民がおり、資金が不足しています。2024年の共同対応計画は、必要とされる資金の35%しか調達されておらず、5億5400万ドルの不足が生じています。資金不足によって、難民キャンプでは深刻な飢餓と不満が生じており、バングラデシュ政府に過度の負担がかかっている。難民の人々の安全な帰還が可能になるまで、国際社会に持続可能な支援をするよう、強くお願いします」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年8月23日

・2027年「世界青年の日」開催都市ソウルの大聖堂の庭で大司教ら聖職者と若者600人が”キャンプ”交流

Archbishop Peter Soon-Taick Chung of Seoul cheering with his team. Photo by Committee for Communications, Archdiocese of SeoulArchbishop Peter Soon-Taick Chung of Seoul cheering with his team. Photo by Committee for Communications, Archdiocese of Seoul 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年7月2日

(評論)千葉寺教会と西千葉教会の統合の背景にある課題―小さな”告知“で済むものか?

*11年ぶり、菊地大司教になって初の小教区統合、削減

 

 カトリックの千葉寺教会と西千葉教会の統合開始のミサが今年の待降節第一主日(12月1日)に西千葉教会で行われる、という〝告知“が、6月号の東京教区ニュースの3ページ目の下段に教区事務局長名の小さなコラムでなされた。

 二つの教会の関係者はともかく、多くの教区信徒にとって初耳のこの統合で、東京教区の小教区は現在の76から75に減る。東京教区の小教区は最近では、2016年にそれ以前の74から75に、2017年に76に増えていたが、削減は、2013年にそれまでの75から74となって以来11年ぶり、菊地大司教が2017年12月に就任して初めてとなることは、「カトリック・あい」の既報の通りだ。

 止めようもなく進む司祭の高齢化、減少に小教区の再編も含めて具体的にどう対応するか―ここ20年、いや30年以上にわたり、日本の教会、そして、その中心となる東京教区にとって、最大と言っていい課題であり続けている。そうした視点から見て、今回の二つの小教区の合併・統合は「たまたま」とか「個別の事情」では済まされない、教区の全信徒、司祭に説明する必要がある、と言えるのではないだろうか。

 

*故岡田大司教は20余年前に「宣教協力体」への小教区再編成計画、3年で断念

 前東京教区長の故岡田大司教は2000年9月に着座当初から、司祭の高齢化、減少を深刻に受け止め、対処策の一つとして、小教区レベル、ブロックレベルそして教区レベルに至る広範な信者の議論のうえで、2年半後の2003年2月に「カトリック東京大司教区 宣教協力体のための指針」を発表し、「東京教区では小教区再編成の最初の段階として、2003年復活祭(4月20日)から宣教協力体を発足させることになりました」と言明。76の小教区を22の宣教協力体に分け、これまでの小教区を「聖堂共同体」として、再編統合を進めようとした。

 だが、わずか3年後の2006年3月に「カトリック東京大司教区 宣教協力体の今後について」という文書を出し、「宣教協力体を発足させ… 丸3年が過ぎようとしていますが… 小教区を越えた信徒・司祭の交流と協力が…ほとんど交流や協力が進まなかった協力体もあり…小教区間で交流や協力はできても、共通の「宣教課題」を見いだすことが困難だと感じられた宣教協力体も多かったようです。当初、宣教協力体が一つの小教区になることを目指すと謳いましたが、今の時点ではこの方針通りにはいかないと感じていますと」断念を表明。

 さらに「この3年間で、予期せぬ速さで司祭の高齢化・働ける司祭の減少が進み、司祭の定住しない聖堂共同体の数が増えました。このことを考えるとき、司祭間の協力の新たな可能性(「共同宣教司牧」など)をもう一度真剣に検討する必要もあると考えられます」とも述べたが、その後、全く具体的な検討は進まず、課題は構想断念から11年予後の2017年12月に新教区長に就任した菊地大司教に引き継がれた。

 

*空白の20年、菊地大司教は「新宣教司牧方針」で「宣教協力体」の見直しを約束したが…

 

 菊地大司教は2020年12月に、就任前から信徒の間で出されていた「宣教協力体」の抜本見直しを求める声などを受けて、2年にわたる教区の司祭、信徒の意見を聞いたうえで2020年12月に「新宣教司牧方針」を発表。その中で、「宣教する共同体」、「交わりの共同体」、「すべてのいのちを大切にする共同体」を宣教司牧方針の三本の柱とし、「宣教する共同体」をめざす具体的取り組みとして、「宣教司牧評議会の活性化」「小教区運営に関する規約基本要綱の作成」「宣教協力体の意義と目的を明確にし、現状に見あった宣教協力体へと再編成」の実施を約束した。

 しかし、その後3年半を経過するも、宣教協力体の抜本見直しも、これと関連した小教区運営規約基本要綱の作成もいまだに果たされていない。つまり、前教区長が言明しながら3年で断念した、司祭の高齢化、減少への対処策としての「小教区の再編統合を目指す宣教協力体」構想に変わるものが、18年たっても何ら提示できていない。

 

*司祭の高齢化、減少が加速、東京の教区司祭は2000年末の83人から2022年末に69人、小教区数下回る

 

 そうしている間にも、故岡田大司教が「小教区再編成を前提とした宣教協力体」の実施を断念した際に「予期せぬ速さで司祭の高齢化・働ける司祭の減少が進み、司祭の定住しない聖堂共同体の数が増える」事態は、一段と加速している。

 日本のカトリック教会の司祭数は、中央協議会の「カトリック現勢」をもとに、2000年末現在と最新の2022年末現在を比べると、1719人(うち教区司祭517人)から1292人(475人)に25%(8%)減少だが、東京教区も414人から317人に23%減、修道会の司祭を除き、教区司祭だけでは83人から14%減の69人にまで減っている。単純に言えば、教区司祭の数が76ある小教区の数を下回った、ということだ。

 

*修道会に大きく依存するも、一人の主任司祭が三つの小教区を兼務する事態に

 実際には、日本最多の信徒数1万7000人強をもつ麹町教会(聖イグナチオ教会)はイエズス会が運営し、ほかにも田園調布教会(フランシスコ会)、吉祥寺教会(神言会)、碑文谷教会(サレジオ会)、上野毛教会(カルメル会)、渋谷教会(ドミニコ会)など、大きな教会で修道会の宣教師が主任司祭を務めていることでカバーされてはいるものの、その修道会も会員の減少、高齢化の波をかぶっている。

 しかも、教区司祭の69人(2022年末現在)の中には高齢者、あるいは本来ならゆっくり療養すべき病気を抱えている方もおり、さらに、「信徒に不適切な行為」を働いて謹慎処分を受けたり、麻薬取引に関与した疑いで一か月近く逮捕・勾留(弁護士の働きもあって期限前に釈放、不起訴となったが)されたりする、司祭としての適格を疑われる者もいることを考えると、司祭としてまともに奉仕することのできる数は極めて限られるとみていい。実際、今年4月の教区司祭人事では、7人の神父が二つ以上の教会の主任司祭兼務、うち3人は三つの教会の主任司祭兼務を命じられている。

 

*東京教区信徒は外国人流入などで増えているが、主日のミサ参加者は20年余の間に半減

 

 信徒数は同じ期間に全国合計で43万5944人から4.5%減の41万6315人。東京教区は8万4733人から9万2001人と8.6%増えているが、主日のミサ参加者は2万2105人から1万322人に半減しており、事実上、急速に教会離れが進んでいるとみることもできる。新型コロナの影響もあるかも知れないが、この減り方は尋常ではない。

 それならなおさら、主任司祭が先頭に立って、信徒と共に、現代社会の人々の悩みに応え、人々を惹きつける努力を重ねるが必要があるし、一人の司祭に二つの小教区、さらには三つの小教区の主任を兼務させるのは、そのような努力を妨げることにならないか。

*司祭高齢化、減少に具体的、計画的な対応策が急務

 社会人も含めて若い信徒司祭を希望するような教会環境づくりを前提として、修道会との連携、ベトナムなどアジアの国の教会との連携による組織的、制度的な小教区への司祭受け入れ、それと並行した小教区の再編など、総合的な戦略を立て、全司祭・信徒に明示し、共に協力して具体的に取り組んでいくことが喫緊の課題だ。

 今回の千葉寺、西千葉の小教区合併のようにあたかも「個別の問題」として、十分な説明もなく、「教区ニュース」の小さなコラムに載せる、あるいは、教区人事として複数の小教区の主任司祭を兼務させるのでは、課題の先送りとなり、その間にも事態を深刻化させることになる、というのは杞憂だろうか。

 

*新たな教会、新たな小教区を司祭、信徒が全力で作った経験からー小教区削減の重さ

 

 筆者は、1970年代の終わり、首都圏のある教区の新興住宅地でカトリック幼稚園の小さな講堂を借りて主日のミサをしていた分教会に所属していた。若い夫婦や子供たちが毎日曜あふれかえり、「きちんとミサに与れる自分の教会が欲しい」との強い声に押される形で、司祭と当時30代から40代の私たち信徒有志で教会建設委員会を結成し、それぞれ週日は仕事で多忙な日々をおくりつつ、わずかに残された週末の家族と過ごす時間を犠牲にして、用地の確保、金策、そして聖堂建設へと駆け回った。

 手元資金はほとんどゼロ。分教会に所属していた75世帯が子育てやローン返済で苦しい家計の中で一世帯平均で当時の金で20万円から30万円以上の負担を約束し、それを元手に、司教を説き伏せて資金援助と融資を引き出し、教区南部の教会をまわって資金協力を仰ぎ、大手銀行幹部や自動車メーカーから多額の景品をいただいて盛大なバザーも開いた。そして、約2年後、そうした司祭、信徒挙げての物心両面で一体となった努力の結晶として聖堂が出来上がり、正規の小教区が実現したのだった。

 このような形で聖堂を作り、新たな小教区を発足させた経験をもつ司祭や信徒が、今、東京教区の現役の中にいるとは思われないし、彼らは新たな聖堂を作り、小教区を作ることの重さも喜びも実感することがないかもしれない。では、失う場合はどうだろう。

 それにしても、「教区ニュース」6月号での教区事務局長(本来なら大司教が説明すべき事柄だが)による二つの小教区の合併、一つの小教区の廃止の”告示“は、何度読み直しても、あまりにも軽すぎるように思われてならない。読者の皆さんはどのように受け止めておられるのだろうか。

(「カトリック・あい」代表・南條俊二)

2024年6月7日

・カトリック東京教区で11年ぶりの小教区統合ー千葉寺教会と西千葉教会


(2024.6.1 カトリック・あい)

 カトリック東京教区の千葉寺教会と西千葉教会が統合されることになり、今年12月1日、待降節第一主日に西千葉教会で統合開始のミサが行われる。カトリック東京教区ニュース412号(6月号)で教区本部事務局長・浦野雄二神父が二段組みの小コラムの形で伝えたもの。

 コラムには説明がないが、今回の統合で東京教区の小教区は現在の76から75に減る。カトリック中央協議会の「カトリック教会現勢」の各年版をもとにすると、東京教区の小教区は最近では、2016年にそれ以前の74から75に、2017年に76に増えていたが、削減は、2013年にそれまでの75から74となって以来11年ぶり、菊地大司教が2017年12月に就任して初めてとなる。

 また、コラムにはないが、二つの教会の信徒数は千葉寺が約680人、西千葉が約1800人。千葉寺教会が旧聖堂を完成したのは1956年、西千葉が現在の場所に「西千葉教会」として開設されたのは1954年。いずれも千葉市中央区にあるが、最寄り駅は千葉寺教会がJR本千葉駅、西千葉教会が西千葉駅と離れている。

 このコラムは、教区の公式のお知らせというよりは、事務局長のこの小教区統合へ”第三者の立場”から”期待”を表明する、簡単な”解説”と言ってもいい内容であり、タイトルの「教会の使命のさらなる展開のために」も説明不足で意味がよく分からない。

 司祭の減少、高齢化の中で、再編成も含めてこれからの小教区教会をどうするかは、前東京教区長の故岡田大司教が2003年2月に小教区の再編統合を前提とした「宣教協力体」計画を発表し、わずか3年後の2006年3月に再検討を表明、再編統合を事実上断念して以来、東京教区のみならず日本の教会の大きな課題だ。そう考えれば、常識的にはまず、教区長の菊地大司教が、就任後初となるこの小教区の合併・統合の理由や狙いなどについて、就任からほどなくして発表した「宣教司牧方針」で約束した「宣教協力体」の在り方などの抜本見直しとの関係も含めて、千葉寺、西千葉両教会の信者、そして教区の信者向けに説明するのが筋ではないだろうか。

 浦野事務局長のコラムの内容は以下の通り。

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「教会の使命のさらなる展開のために」 教区本部事務局長 浦野雄二 東京教区ニュース412号

 千葉寺教会と西千葉寺教会は、2025年に統合されることになった。二つの教会は、来年度以降、西千葉教会を信仰生活、宣教活動の拠点として、新たな歩みを始める。両教会の統合によって、千葉地区の宣教が強化されていくことが期待されている。

 二つの教会の統合ということは、ある意味で画期的なことである。それぞれの働きを集約して、託された使命に応じようとする、積極的な決断ということができる。

 今年の待降節第一主日(12月1日)に西千葉教会で、統合スタートのミサが予定されている。この日で、全てが西千葉教会に集約されてしまうわけではなく、最終的な統合の完了には、しばらく時間が必要となるが、統合に向かっての準備の報告も発信してもらいながら、両教会の積極的な決断を、側面から支援し、見守っていきたい。

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2024年6月1日

・東京教区、感染症対応の指針を5月19日聖霊降臨の主日をもって全廃、教会活動を2020年1月以前に戻す

(2024.5.11 カトリック・あい)

 東京大司教区では、新型コロナの世界的な大感染に対応して2020年2月以来実施してきた小教区での感染症対応の指針を、5月19日の聖霊降臨の主日をもって全廃し、2020年1月以前の教会活動と同じ状態に戻すことを決め、菊地大司教名で8日付けで各省教区に告知した。告知の全文以下の通り。

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 東京大司教区における今後の感染症対策に関して    東京大司教  菊地功

東京教区の皆様

 世界規模の新型コロナウイルス感染症の大流行に伴い、東京教区でも、2020年1月以降、公開ミサの中止を含む、様々な感染症対策を教区の皆様にお願いして参りました。この間、東京教区の教会を起源としたクラスターの発生は一件も報告されておりません。皆様のご協力に心から感謝申し上げます。

 さて、2023年5月8日に国による新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類相当から5類に変更され、「政府として一律に日常における基本的感染対策を求めることはない」とされてから1年が経過しました。その間、東京教区内の教会においても、深刻な感染症の発生は見られなかったことから、5月19日の聖霊降臨の主日をもって、教区から小教区にお願いしていた感染症対応への指針を全て廃止し、2020年1月以前の教会活動と同じ状態に戻すことといたします

 今後は各小教区内でよく話し合った上、それぞれの共同体で必要とされる感染症対策に努めてください。その際、マスク着用の有無など、意見の違いによって共同体の分裂や排除が起こることのないよう、小さな声に耳を傾けることを大切にしていただければと思いま

2024年5月11日

・ロヒンギア難民の危機が忘れられている、彼らは「国際的無関心」の犠牲者だ

A Rohingya refugee walks at a refugee camp in Cox's BazarA Rohingya refugee walks at a refugee camp in Cox’s Bazar 

 

 

 

 

*劣悪な環境に、災害が重なっている

 こうしたことに加えて、バングラデシュが世界で最も災害の起こりやすい地域の一つであることを、ベガム氏は指摘する。キャンプはかつて森だった場所に作らているため、 「雨が降ると、丘の上に竹などで建てられた小屋は、流される可能性があります。 洪水が起きます。そして、すでに悲惨な衛生状態をさらに悪化させます。大勢が住むキャンプでは、病気が大きな問題で、子供たちや家族はデング熱などの多くの病気に非常に敏感です」。加えて、多くの子供たちは極度の栄養失調に陥っている。

 彼らは故郷に戻ることもできず、長期にとどまっているコックスバザールでの生活は絶望的だ。 難民たちは無国籍であり、「パスポートを持っておらず、ほとんどの政府が認めていない地域で避難生活を送っていますが、このことは、難民には支援を提供する法的義務が関係国にないことを意味します」。

*暴力、児童労働、人身売買、児童婚のリスクにさらされている

 実際、彼らはとても弱い立場にある。「暴力、児童労働、人身売買、児童婚のリスクにさらされている。おまけに、移民として扱われ、移民法違反で拘留されたり、国外追放されたりすることもあります」とベガム氏は言う。

 難民たちは、ほぼ完全に人道援助に依存して生活せざるを得ないのだが、 昨年、食糧援助が削減された後、「絶望したロヒンギャ難民は、『生き残るため』という理由だけで、大量の少女を結婚させたり、少年を働かせたりすることに頼ろうとしている。特にバングラデシュからインドネシアやマレーシアなどの国へ、危険な船旅に出る者も増えている。より良い人生を導き、働くことを望み、場合によっては家族と再会することを望み、命を危険にさらすのです」。

 昨年だけで、そうした人々約600人が死亡している。 「船に乗るということは、人身売買業者の言いなりになり、虐待や搾取の危険にさらされることを意味します。 船に詰め込まれていることが多く、密航業者の手によって身体的虐待を受けることもよくあります」と言う。

 ベガム氏が生き残った14歳の少年から聞いた話によると、「 何百人もの難民を乗せた船が上陸地点に着く数日前に食料と水が尽きそうになってていたにもかかわらず、航行を続け、現地の当局が水と食料の補給のために一時的に上陸を許可された際、難民たちは接岸前に下船させられ、海岸まで歩かされた。

  周辺国は、これらの人々を救い、支援し、思いやりを示さなければならない。しかし、 国際社会 は、ロヒンギャ難民の状況について、もはや理解しようとしていない。 危機の解決のカギはミャンマー軍事政権が握っているが、周辺国など国際社会はさまざまな分野で重要な役割を果たすことができるはずだ。バングラデシュはロヒンギャ難民を受け入れているが、バングラデシュそのものが貧しい国であり、支援には限界がある。他の国々も責任を分け合い、人道支援を通じてバングラデシュを助ける必要がある。

 

*「故郷に戻りたい」にどう応えるのか

 難民キャンプにいる人々は故郷に戻ることを希望しているが、そのためには、安全に暮らすための基本的な権利、市民権が保障され、生き残るためのサービスなどを利用できることが必要だ。だが、今のミャンマーの政治・社会状況は、とてもそのような条件を満たせない。「条件が整うまで、弱い立場にある彼らを支えるか役割は、国際社会にかかっている。国籍もなく、ビザもなく、難民として認められなければ、彼らは非常に困難な状況に置かれ続けるしかないのです」とベガム氏は訴える。

*教皇フランシスコの祈りが届くか

 教皇フランシスコは、これまで何度もロヒンギャのために祈っており、7日の水曜恒例一般謁見でも祈られた。「教皇のような方がロヒンギャ難民の声を代弁してくださるのは、非常に重要。国際社会がロヒンギャを忘れていないことを、難民たちに知ってもらうだけでなく、何よりも、ロヒンギャの状況に、国際的な関心を再び引き付ける必要があるからです。世界で最も弱い立場にある集団の一つである彼らには、声を上げる権利があり、それを受けて、世界の人々は世界の指導者たちに援助を与え、政治的解決策を見つけるよう圧力をかける必要がある。

 

2024年2月11日

・ミャンマー国軍が学校を空爆し、生徒19人以上が死傷

(2024 .2.11  カトリック・あい)

 UCAnews network が9日付けでタイに本部を置く人権団体 Karenni Human Rights Group(KHRG)から得た情報として伝えたところによると、軍事政権の少数民族弾圧が続くミャンマーで、キリスト教徒の多く住むカヤ州の学校が国軍に空爆され、生徒4人が死亡、15人以上が負傷した。

 空爆を受けたのは同州デモソ郡区にあるDaw Saw Ei学校で、死傷したのは12歳から14歳This photo taken on Oct. 29, 2023 shows children praying in a temporary church at a camp for internally displaced people in Demoso township in Myanmar's Kayah stateの少年だった。同じ日には、この学校から3キロ離れた村も襲撃され、1人が死亡、子供5人を含む7人が負傷し、教会と住宅5軒も被害を受けた、という。

 これに関連して、亡命ミャンマー統一政府は6日の声明で、 2021年2月に国軍の軍事クーデターによって選挙で選ばれた民主政府が倒されて以来、ミャンマーでは、少なくとも52の学校が空爆を受け、199の学校が他の理由で被害を受けた、と非難した。 2022年9月にザガイン地方での攻撃で学生11人が死亡した際には、教皇フランシスコが深い哀悼の意を表されている。

2023年10月29日に撮影されたこの写真には、ミャンマーのカヤー州デモソ郡区にある国内避難民キャンプの仮設教会で祈る子供たちが写っている。 (写真:AFP)
2024年2月11日

・カトリック名古屋教区の能登半島地震被害の報告と対応④「のとサポートセンター」開所

能登半島地震被害についての報告と対応(4) 名古屋教区「カリタスのとサポートセンター」が活動を始めました!

+主の平和

 すでにお知らせしたとおり、1月20日(土)より金沢教会内に設置されたサポートセンターが活動を開始しました。これまで続けてきた初動の支援活動を、今後はセンターを中心に計画的な息の長い支援活動へと展開していくことになります。

 私たちは、このセンターの名称を「カリタスのとサポートセンター」としました。これは、カリタスジャパンのセンターではなく、あくまでもカトリック名古屋教区のセンターですが、このセンターを中心に行う活動の中で、教会外の支援活動にかかる費用はカリタスジャパンから出されます。

 その意味で、地域の人々への支援は実質カリタスジャパンが行っているとも言えますし、一般社会にとっては信頼を持たれる団体として認知されていますので、対外的にも「カリタス」の名称をつけることにしました。従って、今後、表題通り「カリタスのとサポートセンター」として活動します。

 一方、教会関連施設や被災した信徒や共同体のため、また特に被災したカトリック幼稚園のために支援をするのも、このセンターの中心的な支援なので、名古屋教区に寄せられた募金はこのために使わせていただくことになります。

 なお、サポートセンターが開設されましたので、今後、現地の状況や活動報告はセンターからさまざまな手段を使って皆さまにお届けすることができるようになります。

 すでに多くの方々、団体からの募金が届いており、感謝の言葉もありません。特に、輪島教会は土地も建物も壊滅的で手の施しようもなく、隣接する海の星幼稚園も、たとえインフラが復旧して開園できたとしても、子どもたちを外で遊ばせることもできません。今後も皆さまのお祈りとご支援をよろしくお願いします。

 1月17日は29年目の阪神・淡路大震災の日でした。東日本大震災の被災者の方々は今も厳しい状況に置かれた方々がおられます。能登半島地震の被災者への関りを通して、こうした人々のことも含めて忘れずに祈り続けたいと思います。

感謝のうちに

2024年1月20日 名古屋教区司教 松浦悟郎

 

*カリタスのとサポートセンター開設と今後の活動について

1.カリタスのとサポートセンター開設

 1月20日、カトリック名古屋教区は能登半島地震災害対応のための拠点として、カトリック金沢教会に「カリタスのとサポートセンター」を開設しました。
*センター長:片岡義博神父 スタッフ:ERSTメンバー、現地スタッフ及びボランティア
*住所:〒920-0962 石川県金沢市広坂1-1-54 カトリック金沢教会内
*携帯電話:1)070-1220-7495、 2)070-1220-7497 *メールアドレス:noto.saposen@gmail.com
*定休日:木曜日 *開所時間:9:00-17:00
*募金受付:

 名古屋教区:教会関連施設とその被災者、および地域被災者支援
 郵便振替口座:00810-5-50605  加入者名:カトリック名古屋教区
 通信欄に「のと地震」や「NOTO」などとお書きください。
カリタスジャパン:カリタスのとサポートセンターを中心とした地域の被災者支援
 郵便振替口座:00170-5-95979 加入者名:宗教法人カトリック中央協議会 カリタスジャパン

2.今後の活動について

a. カトリック幼稚園再開のための水支援

 能登半島地域には2つのカトリック幼稚園があります。
 その一つ「聖母幼稚園」がある七尾市では、電気・ガスは復旧していますが、いまだ断水がつづいており、完全復旧までに2~3か月はかかるとのことです。聖母幼稚園では断水の中、日中、保護者の方がお仕事などで不在の家庭を中心に園児を受け入れ、幼稚園を再開しています。現在はすべての園児の受け入れを開始していますが、保護者が園の状態に遠慮して、子どもを幼稚園に通わせることをためらっているケースも多いとのことです。
 保育に必要な水は、職員の先生方が近くの井戸水を汲みに行き、トイレ、手洗いなどに節約しながら使用しています。

 そこで、幼稚園の運営のために必要な水を支援することを決定しました。水を支援することで、安心して給食や衛生管理を行うことができ、また水を汲みに行かれている職員の方々の負担を軽減し、本来業務である保育に専念していただくためです。水の心配なく保育を行うことで、今まで通りすべての園児が戻ってきてくれることを希望されています。
 主な水支援は、以下の通りです。

  • 給水タンクによるトイレ、手洗い等の水支援 ・ウォーターサーバーによる飲料水支援

 トイレなどへの給水も、「のとセン」スタッフが行い、先生方の負担を軽減します。

 また、輪島市の「海の星幼稚園」では、まだ電気、水道が復旧していないため、幼稚園再開には時間がかかることが予想されますが、こちらも再開に向けての物資支援や水支援を行っていく予定です。

b. みんなが集まれる場作り「じんのび食堂」

 「じんのび」とは七尾の方言で「のんびり」という意味です。
 幼稚園の保護者や地域の方々が温かい食事を食べながら、ゆっくり交流する場として、聖母幼稚園駐車場で炊き出しを行います。炊き出しというよりは、地域の交流のための食堂というイメージです。毎週末行うことを計画しています。
 園に戻ってくることをためらっているご家庭がこの場を通して、幼稚園に戻ってくるきっかけ作りになればと幼稚園の先生方も期待されています。
 幼稚園関係者だけでなく、広く地域の方々、どなたでも参加していただき、ほっと一息つきながら、交流する機会となればと思っています。
 また、交流の中から聞こえてくる、お困りごとなどにも今後、応えていきたいと考えています。 以上

                                         センター長 片岡義博

2024年1月21日

・名古屋教区の能登半島地震被害についての報告と対応③

名古屋教区「のとサポートセンター」について

+主の平和

 皆さまのお祈りとご支援に心から感謝申し上げます。

 これまで、教区はERST(中央協議会・緊急対応支援チーム)の協力を得て、初動の活動をしてきました。この間、多くの方から支援などについての連絡をいただきましたが、現地での支援の難しさや教区側の体制が整っていないこともあり、皆さまの思いに応えられない状態でした。
 こうした中、教区としてこの度、金沢教会内にサポートセンターを立ち上げる運びとなりましたのでお知らせします。正式な開設は今週末になります。

 なお、サポートセンター準備スタッフより、現地の報告とお願いが届きましたので、下記をご覧ください。

 カトリック名古屋教区「のとサポートセンター」(1月20日開設)

    • センタ―長: 片岡義博神父 ・スタッフ : ERSTメンバー、その他ボランティア
    • 住 所 : 〒920-0962 金沢市広坂1—1—54 カトリック金沢教会内
    • 携帯電話: ① 070-1220-7497 ② 070-1220-7495
    • メールアドレス:noto.saposen@gmail.com
    • 定休日:木曜日
    • 《振込先》郵便振替口座番号:00810-5-50605 加入者名:カトリック名古屋教区(通信欄に、「のと地震」または「のと」や「NOTO」などとお書きください)。
2024年1月15日 名古屋教区司教 松浦悟郎

 

現地報告

 地震発災から約2週間が経過し、被災地では慣れない避難所生活や在宅避難などで不安な生活を送られている状況が続いています。しかし、被災地へ向かう道路は少なく、またその道路も地震により亀裂や隆起、土砂崩れなどの影響で通れなくなっており、特に輪島市や珠洲市に向かう道路は非常に限られています。

 そのため、より迅速に緊急物資や緊急車両を被災地に送るため、ボランティアの乗り入れを控えるよう行政から要請が出ています。

 また、特に被害の大きかった輪島市、珠洲市などにお心お寄せいただいている方も多いと思いますが、道路状況は非常に厳しく、また続く余震や冬季の悪天候によりいつ土砂崩れが起きてもおかしくない状況にあります。

 ボランティアセンターが開設されておらず、ボランティアが物資支援や家屋の片づけなどの支援に入れない状況であること、ボランティアを控える要請が出ていることなど、今回の災害に関しては、異例の状況が続いているということを、何卒ご了承いただき、以下のお願いにつきまして、ご理解いただけますようお願いいたします。

1.ボランティア募集について

 上記の通り、被災されたすべての市町で、社協(社会福祉協議会)ボラセン(ボランティアセンター)が開設されておりません。そのため、社協を通した避難所での支援や倒壊した家屋の片づけなどの支援に入ることができないという状況です。のとサポートセンターでは、そのような中で、名古屋教区にできることを模索し、被災地のカトリック教会や幼稚園を通した支援を検討していますが、社協ボラセンが開設されていない今、全国から多くの方にボランティアにお越しいただける状況ではありません。           

 大変もどかしい状況ではありますが、ボランティアに来ていただける状況になりましたら、のとサポートセンターを通してすぐにお知らせいたします。ボランティアの問い合わせ等も含めて、のとサポートセンターからのお知らせをお待ちいただけますようお願いいたします。

2.物資支援について
 物資支援につきましても、ボランティア募集と同様に現在は七尾教会や聖母幼稚園、輪島教会・うみの星幼稚園からの要請に応えた緊急物資支援を行っておりますが、大型の物資要請がないこと、また金沢市内でほとんどの物資が購入可能であることから、現在、物資の募集は行っておりません。

 物資のニーズが入りましたら、のとサポートセンターから告知をいたしますので、それまでは問い合わせを含め、物資の送付はお控えいただけますようお願いいたします。

3.視察について

 多くの皆様が今回の震災について大きな関心をお寄せいただいています。支援につなげるために、被災地の視察を行いたいと検討されている方も多くいらっしゃると思いますが、「のとサポートセンター」のある金沢市から輪島市までは車で約5時間とかなり遠いこと、また、冬の間は雪も多く、道路の状態が非常に悪い中、雪道の走行は亀裂などが見えなくなり走行ができなくなるなどの2次被害の危険性も多いため、視察を目的とした被災地への乗り入れは「のとサポートセンター」としては、行っておりません。

 限られたスタッフで運営をしており、視察のために安全に約往復10時間の道のりを案内するスタッフの精神的、肉体的負担も軽減したいと考えています。

 本来ならば、被災地を視察していただきたいところではございますが、このような状況でありますので、ご了承ください。

 なお、いつか状況が改善し、視察が可能となりましたら、またお知らせします。以上

金沢サポートセンター準備スタッフ

2024年1月16日

・ミャンマー軍政の刑務所で昨年、34人が死亡している(RFA)

Burmese inmates are seen at Lashio Prison in Myanmar’s northern Shan state, Aug. 5, 2020. Photo by RFA

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年1月12日