・新潟教区・成井大介師の司教叙階式は9月22日に

(2020.7.7 カトリック・あい)

 教皇フランシスコから第8代新潟教区司教に任命された成井大介被選司の叙階式の日程が決まった。9月22日(火曜・秋分の日)午前10時から、新潟市のカトリック新潟教会で行われる。

 新型コロナウイルス感染予防のため、参加者は60人程度とし、叙階式の模様は当日、インターネットで中継される予定。

(2020.6.1 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが5月31日、新潟教区司教に、神言修道会のパウロ成井大介師を任命された。新潟教区司教のポストは、2017年10月に、当時新潟教区司教だった菊地功師が東京大司教に任命され、同年12月16日に就任て以来、空白が続き、菊地大司教が新潟教区の管理者も兼務するという変則的な状態が続いていたが、2年半ぶりにそうした状態が解消することになる。Narui01

 日本の教区では、これまで東京大司教区の補佐司教、新潟司教が2年半もの間、空席を続け、福岡、仙台の両司教も、多くの国で見られるような「前任者の退任を受けた速やかな新司教任命」がされずにいる、という”異常”な状態になっていた。

 だが、日本など”宣教地”の司教の選任について、実質的に大きな権限を持つバチカン福音宣教省の長官にフィリピン出身で日本にも深い理解を持つアントニオ・タグレ師が昨年末に就任して以来、4月に一年間空席が続いていた福岡司教にクラレチアン宣教会のヨゼフ・アベイヤ師が任命され、さらに今回、二年半空席だった新潟司教に成井師が任命されたことで、こうした異常状態の解消に弾みがつくことが期待される。

 新潟教区の新司教となる成井師は1973年生まれの46歳、愛知県出身。現在、ローマの神言修道会総本部で正義と平和部門の責任者を務めている。1986年、神言会小神学校に入り、2000年、終生誓願。2001年、司祭叙階。2006年から2013年まで、カリタスジャパン秘書。東日本大震災被災地の復興支援活動に深く携わった。2013年より、神言修道会総本部の正義と平和・環境問題部門担当。2015年、同部門責任者。日本の司教で神言会出身は、菊地大司教に次いで二人目となる。

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(2020.5.31 菊地大司教の日記)

新潟教区に新しい司教任命

 新潟教区の皆さん、二年半も、よく辛抱して待ってくださいました。みなさまのお祈りのおかげです。

 教皇様は、5月31日午後7時(ローマ時間お昼)、2017年12月から空位であった新潟教区司教に、パウロ成井大介(なるい・だいすけ)神父を任命されました。

 パウロ成井大介被選司教は、神言修道会の会員で、1973年11月24日愛知県生まれの、現在46歳。2001年に名古屋で司祭に叙階され、秋田教会で3年間ほど働いたことがあります。現在は、神言修道会のローマ総本部で、修道会全体の正義と平和コーディネーターをされています。

 詳細は追って新潟教区から発表されることになります。

 パウロ成井大介被選司教様、おめでとうございます。

2020年7月7日

・ミャンマー鉱山事故170人以上の死者は「強欲と不正」の犠牲、と枢機卿が批判

A mass grave of the dead bodies of people killed at a jade mine in Kachin state, Myanmar, July 4, 2020. A mass grave of the dead bodies of people killed at a jade mine in Kachin state, Myanmar, July 4, 2020   (AFP or licensors)

 ミャンマー北部カチン州パカンのヒスイ鉱山で地滑りが発生、採掘労働者たち170人以上が亡くなったが、アジア司教協議会連盟会長でヤンゴン教区長のチャールズ・ボー枢機卿は4日、現地のフランシス・ドータン司教にメッセージを送り、「パカンの鉱山事故で多くの若者たちが命を落としたニュースに、強い衝撃を受けています」と哀悼の意を表した。

 そして、「亡くなった方々は、地すべりの土砂の中に埋もれただけでなく、”不正の地すべり”によって埋められたのです」とのべ、鉱山の責任者の過失と傲慢がこの災害を引き起こしたとして、強く非難した。

 枢機卿はメッセージの中で、教皇フランシスコが「世界中の貧しい人たちに対する”経済的、環境的な不正の終わりのない津波”を強く批判する声を上げられた」ことを思い起こし、「今回の鉱山事故で亡くなった方々は、貧しい人々に非人道的な扱いを続けている企業の過失と傲慢によって、”貪欲の祭壇”で犠牲として捧げられたのです」と鉱山業者の不正を糾弾した。

 また枢機卿は、世界中で大感染が続いている新型コロナウイルスの影響で、ミャンマー国内でも数百万人が職を失っており、「新型ウイルス大感染の悲劇の中で、(ヒスイなどを採掘する)大企業のブルドーザーから落ちるヒスイの粉を拾うことを貧困層に強いている」とし、今回の悲劇は「ミャンマーの宝は、ミャンマーの多くの人々の物。神から与えられた自然の宝を皆で共有しなければならないことを、強く訴えている」と強調。「(ヒスイなどミャンマーの天然資源で)利益を得ている人々が、労働者たちに思いやりと正義を示さなければ、非人道的な悲劇は終わらない」と警告した。

 同国の指導者、アウンサンスーチー女史も3日、今回の惨事に哀悼の意を表した。そして、犠牲者たちが、正規雇用の仕事を得ることが困難な中で違法就労していた労働者たちだったことを指摘し、正規雇用の創出を国の最優先事項とする必要を改めて確認した。国連のアントニオ・グテレス事務総長も、犠牲者たちの遺族に哀悼の意を表し、「国連としても、新型ウイルス感染の影響を受ける人々の要請に応える努力をせねばならない」と約束した。

 またNGOのGlobal Wittnessは、ミャンマーのヒスイ採掘は「軍事関連企業、武装グループ、および何年もの間、効果的な社会的および環境的制御なしで活動することを許されてきた人々によって支配されてきた」とし、今回の惨事を「無謀で無責任な採掘慣行を止めさせる行政の失敗によるもの」とミャンマー政府の失政を強く批判している。

 ミャンマーは世界有数のヒスイ産出国で主な輸出先はカチン州に隣接する中国。ヒスイの他、木材、金、琥珀(こはく)などが天然資源が豊富で、数十年にわたる内戦状態の中で、カチン族武装勢力とミャンマー軍の双方の資金源となっている。

 多くの危険を伴う露天掘りヒスイ鉱山の多くがあるパカンでは、これまでも特に雨季に大量の豪雨で地滑りによる惨事が多発。貧困にあえぐ少数民族の人々がヒスイ採取後に残った屑を拾って犠牲になることも多い。出稼ぎの鉱山労働者も多く、特に雨季には豪雨で犠牲者が出ることが頻繁にあり、2015年にも100人を超す死者が出ていた。

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2020年7月5日

・「香港国家安全維持法」施行-香港教区Tong枢機卿は「教会の団結が最優先」(VaticanNews)

(2020.7.2 「カトリック・あい」)

 英国の香港の中国への返還の条件だった「一国二制度」の約束を無視する形で、中国政府は7月1日に、中国本土、あるいはそれ以上に厳しい言論・民主活動統制を狙った「香港国家安全維持法」を施行し、欧米を中心に民主主義国から強い批判があがっている。

 だが、Vatican News によれば、香港のカトリック教会のトップは「信徒の結束」が第一とすると言い、「香港の”憲法”で信教の自由が保障されている」と言明している。

 一部信徒も含めた、人権と信教の自由など民主主義の基本ルールが侵されつつあることに抗議の声を上げている香港の人々が新法施行直後から、次々と逮捕される中で、あるいは、中国本土で中国政府・共産党の統制を拒否する”地下教会”に対する弾圧が激しさを増していると伝えられる中で、「自分の教会さえ安全ならいい」と言っているようにも受け取られるこうした姿勢に、疑問を呈する関係者もいるようだ。

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(2020.7.2 Vatican News  Sr Bernadette Mary Reis, fsp)

 英国からの香港返還23周年を祝う7月1日になる一時間前に「香港国家安全維持法」が発効した。

 同法によって、中国本土と香港特別行政区での反政府言論、テロ、外国の介入を抑えることを、中国政府は目指している。

 これに対して、カトリック教会の香港教区管理者である湯漢・枢機卿のメッセージは、「羊飼い」の立場からのものだ-彼の頭にある最優先事項は(注:羊-信徒ーたちの)「結束」である。

 6月28日付けの教区機関紙 Kung Kaoで、枢機卿は、イエスが死の前の夜に、結束について祈られたことー「聖なる父よ、彼らが一つであるように」(ヨハネ福音書17章11節参照)を引用し、香港市民が立場の違いはあっても「結束できる」との希望を示した。

 この日より前のインタビューで、枢機卿は、信教の自由について言及し、「国家安全維持法は、信教の自由に対して否定的な影響を与えることはないだろう」との考えを述べていた。その根拠として、「香港の”憲法”である基本法(注:中国人民共和国香港特別行政区基本法)の32条が、宗教を信じることの自由と公の場での説教、宗教的活動としての行動、参加の自由を保証している」ことを挙げていた。

 加えて、教会には香港市民の「社会的な事柄」に参加することができるべきであり、基本法141条は「地方政府は宗教団体の内部の案件に干渉せず、宗教活動を規制しない。宗教団体が学校や社会事業の運営を継続してもよい」ことを保証している、と述べている。

 また、香港教区とバチカンとの関係については「多くの人が心配しているかもしれません」としたうえで、その関係は「カトリック教会の内輪のこと」と見なされるべきであり、まして「外国勢力との衝突」などと見られるようなものではない、と強調。中国とバチカンの関係では「友好的な意見の交換が行われており、私たちのカトリック教会の関心は、霊的側面と教区信徒の司牧にある」と説明していた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2020年7月3日

・香港国家安全維持法38条で「中国政府を正当に批判する外国人も逮捕される」(BW)

Stanley Prison, one of six maximum security prisons in Hong Kong.
スタンレー刑務所-香港に6つある”重犯罪者刑務所”。我々はここで一生を終えさせられるのか? (Credits) 

 中国返還から23年となる7月1日、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」が施行された。

 香港に、中国本土の“出店”である国家安全保障局(维护国家安全公署)が設置され、この役所に容疑をかけられた人は中国本土で裁かれ、最高刑は無期懲役とされることなどは、以前から問題にされているが、あまり注意が払われていないのが、同法38条の規定だ。

 第38条には「本法は、香港に永住権を持たない者が、香港以外から、香港特別行政区に対して行った犯罪行為に適用される」と規定している。この条項は、分かった、と言うまえに、もう一度、読み返す必要がある。この条項が本当に言おうとしているのは、中国政府、いやむしろ中国共産党が、この地球ーそしておそらくは他の惑星もーに住む、すべての人間に対して「司法・裁判権」を持つ、ということなのだ。

 筆者は香港に永住権を持っていないが、この条項によって、毎日のように犯罪者とされるのではないか、と心配している。筆者は、香港、チベット、新疆ウイグルに住む人々歴史的、文化的、宗教的独自性を維持する権利を支持する記事をいつも書いているから、この法律の20条にある「分離主義」として処罰の対象となる可能性があり、下手をすれば、「重大な性質」の犯罪として、無期懲役になりかねない。

 中国共産党の絶対的な権力とイデオロギーに基づいて構築された「中華人民共和国の基本的な制度」を批判し、したがって「弱体化」を狙っているから、筆者はしばしばこの法律の第21条に違反することになる。同条にはこのような「系統だった重大な犯罪」については、無期懲役に処する、とあるからだ。

 さらに悪いことには、筆者は同法29条にも引っかかるかも知れない。29条を根拠に、一般的にどこでも知られていないような、中国の「国家の安全保障」を損なうような情報を、BitterWinterで入手、公開した罪に問われ、これも最高で終身刑にされてしまうかも知れない。

 常識的な人であれば、「香港問題で何を発信しようと、イタリアの市民で、欧州から記事を発信している筆者が、中国の国内法について心配することはありませんよ」と言うだろう。だが、そのような”常識”は通用しない。先の38条には、「香港の永住権を持たない」すべての者に適用することが明記されているのだ。

 このことは、私がいるイタリアに、中国共産党がやってきて裁こうとするのを、意味するのだろうか? 多分、そうではなかろう。

 だが、中国の法律に詳しい有力専門家、ジョージワシントン大学のドナルト・クラーク教授はこう書いているー38条は「中国本土の刑法よりも広範囲で適用されるとしている。中国本土の刑法のもとでは、中国でなされた、あるいは結果をもたらすものでないかぎり、外国人が罪に問われることはない、としているが『香港国家安全維持法』には、そのような適用制限の定めはない」。

 具体的には、「中国のチベット支配は非合法」と批判した米国の新聞のコラムニスト、あるいは、どのような理由であれ、「中国や香港の当局者の気分を害した」外国人は、38条の規定の対象になり得る。つまり、本人が香港に足を踏み入れた途端に、逮捕される可能性がある、という。

 それだけではない。 「あなたが中国のやることを批判する記事を書く新聞コラムニストで、香港ではなく、北京に旅行するとしまように要請したらどうなるか?本土側は、要請に応じるでしょう」と教授は警告する。しかも、「中国の領土」には、中国および香港が管理・運行する航空機(しょう。中国の刑法ではなく、香港国家安全維持法に基づいて違法行為者とされ、香港当局が中国本土の司法当局にあなたを逮捕して、香港に身柄送致する新法で明示的に言及されている)と世界中の中国大使館が含まれまることを、忘れてはならない。

 海外に司法管轄権が及ぶ、という新法は、明確に世界的な常識を欠いており、国際法に違反している。だが、そのようなことを言っても無益なことだ。38条は、中国共産党を批判する人が、(注:香港も含めた)中国の領土に足を踏み入れた瞬間にも逮捕される可能性がある、という事を意味しているのだ。

 「そんなことは、実際には起きない」と考えるなら、カナダ人の「二人のマイケル」(注:スパイ容疑で中国当局に逮捕され、一年以上拘留されているマイケル・コブリッグ、マイケル・スパボル両氏のこと。カナダの検察当局が、米国の要請を受け、対イラン経済制裁に違反して金融機関を不正操作した容疑で、中国ファーウエイの副会長、孟 晩舟を逮捕し、米国に引き渡そうとした直前に、中国国内にいる所を”報復”的に逮捕された)の事件をみれば、ありえないことでないのが理解できるだろう。個々のケースで具体的な逮捕容疑などは違っても、同じ論理だ。

 「香港と新疆ウイグルで基本的人権が侵犯されている」との英国の国連人権理事会での声明を支持、共同提案に署名した国がわずか27か国(このほか国際人権規約に署名していない米国も支持)のみにとどまっているのは、恥ずべきことだ。一方で、国名が公表されていない53か国は、中国を支持するキューバが起草した声明に署名することで、”恥の枢軸”のメンバーになってさえいる。

 自由と人権を支持して署名した国の名前は公表する価値がある。その国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ベリーズ、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、アイスランド、アイルランド、ドイツ、日本、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マーシャル諸島、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、パラオ、スロバキア、スロベニア、スウェーデン、スイス、イギリスだ。

 賢明なBitter Winterの読者は、民主主義国といわれている国の中で、どの国がこのリストに入っていないのか、なぜなのか、をご存じだろう。そうした国も、自分の国民が中国で捕まり始めたら、おそらく、立場を変えるだろう。

 

2020年7月3日

・ミャンマーの司教団、政府と武装勢力に、コロナ禍でも続く”内戦”の終結を訴え

 

People in Myanmar's Rakhine State fleeing fighting between the military and the Arakan Army.ミャンマーのラカイン州にも”内戦”で家を追われた国内難民が…  (AFP or licensors)

  (2020.6.30 Vatican News Robin Gomes)

 ミャンマーのカトリック司教協議会(CBCM)が29日、声明を発表し、新型コロナウイルスの世界的大感染の中でも、止まることなく続いている”内戦”の早期終結のため、交渉のテーブルに就くよう、ミャンマー政府と武装勢力の双方に強く訴えた。

 ミャンマーの”内戦”については、教皇フランシスコや国連のグチエレス事務総長がかねてから、政府と武装勢力に対し、紛争終結へ交渉を始めるよう求めているが、進展がない。

 29日の声明は、バングラディシュなど国外に脱出を余儀なくされた数百万とも言われる難民以外に、長期の紛争で故郷を追われ国内難民となった人たちが25万人近くに達し、彼らの故郷、カチン、シャン、カイン、ラカイン州でなお戦いが止まないことに、深い憂慮を表明した。

 ラカイン州では、州政府がラテダウン地区の住民たちに、反政府武装勢力に対する軍の軍事行動が計画されているので、同地区から離れるよう警告したのを受けて、40以上の村から避難を余儀なくされる人々が続いている、という。

 声明で、「避難を余儀なくされ、国内難民キャンプに身を寄せている人たちは、最も弱い立場に置かれており、彼らの権利は守られなければなりません」とし、「彼らから土地を奪ってはならず、不正に没収した資産は、正当な所有者に返す必要がある」と訴えた。

 そして、ラカイン州は特に酷い状況に置かれており、「何千人もの罪もない住民と国内難民が、ただでさえ、飢餓のリスクにさらされてきた」が、降雨と新型コロナウイルスの大感染が、さらに事態を悪化させている、とし、「彼らへの人道支援が、現在、最優先してすべき仕事」であり、ミャンマー政府と軍は、国民の権利を守る責任を自覚し、”内戦”飲早期終結とともに、彼らの救済に全力を尽くすよう、強く求めた。

 ミャンマーには素晴らしい自然と人的資源があり、戦いではなく、それらを育てるために投資が行われれば、「東南アジアで最も豊かな国の一つになれる、と信じている」と未来への期待も示しつつ、「ミャンマーはこれまで60年に及ぶ内戦を経験しているが、その勝者はいません」と指摘。罪のない人々に対する殺戮と強制退去が続く一方で、「若者の世代は欲求不満の中で、力を失い… 内戦はわが国の”不治の病”のようになっている。絶対に止めねばなりません」と強調した。

 具体的には、武装勢力に対し、政府との交渉のテーブルに戻るように求める一方、政府と軍に対して、”軍事的解決”を目指すのを控えるよう訴え、「紛争の原因を除くような政治的対応策を見つけ、平和的手段を通じて望ましい解決を目指すことで、人々に新たな希望を与える必要がある」とし、「新型コロナウイルス感染という、共通の脅威が、皆がともに平和に共存することを求めている… 平和は”解毒剤”です」と述べ、「和平の実現は可能です。それが私たちがとるべき唯一の道です」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2020年7月1日

・カリタス・バングラデシュ、新型コロナ危機のロヒンギア難民へ救援訴え

Rohingya refugees in a makeshift camp in Cox's Bazar, Bangladesh, receiving aid. Rohingya refugees in a makeshift camp in Cox’s Bazar, Bangladesh, receiving aid.  

*新型ウイルス以外にも様々な災害

 バングラデシュのロヒンギア難民キャンプのうち最大規模、数十万人を収容すると言われるコックス・バザールでは、1部屋に10人以上が生活を余儀なくされており、共同トイレや給水施設、食料を受け取るスペースも十分にない。このため、新型ウイルス感染に対して、効果的な予防措置をとることも、保健衛生上の措置も満足に取れない。

 彼らが被害を受けているのはそれだけではない。ミャンマー国内の自分たちの故郷を暴力的に追い出されたことによる深い心の傷、新型コロナウイルス以前に赤痢や水痘などの感染症に悩まされ続け、さらにサイクロンなどの自然災害にも繰り返し襲われている。そうした脆弱な状態の中での、新型ウイルスの”襲撃”だ。

 

*110万人のロヒンギャ難民に対して医療・衛生環境は…

 バングラデシュには推定110万人のロヒンギャ難民がいる。その大半が、故郷のミャンマー・ラカイン州で武装勢力による攻撃を受け、国境を超えて非難を余儀なくされた人々だ。彼らは、イスラム教徒の少数民族で、1982年以来、ミャンマーでの市民権を否定され、仏教徒が大多数を占めるミャンマーで差別を受け続けてきた。

 ビスワス氏は、難民キャンプの医療施設がこのような人々の数に対して、まったく不十分だ、と言う。「以前は、新型ウイルスに感染して危篤状態になった難民は、ウヒヤ総合病院やコックスバザール医科大学に収容してもらえました。しかし、バングラデシュ国内の感染拡大の中で、バングラデシュの国籍を持った人に受け入れが限定されてしまった」。

 さらに、基本的な問題として、新型ウイルスについての正確な情報を持っている人が極めて少ないことがある。カリタス・バングラデシュは、各地の難民キャンプで、数万人に予防対策を指導し、数千人の家庭に石鹸と衛生キットを提供。また、公共の場やトイレの近くに手洗いステーションを設置するなど、感染防止拡大防止のための具体的な対応を進めているが、キャンプ内の貧弱な給水設備や衛生設備の抜本的な改善までなかなか手が回らない。

モンスーン

 バングラデシュはこれからが本格的なモンスーンに季節だ。豪雨による地滑りや洪水が、難民キャンプを襲う危険も高まる。キャンプ内の道路が分断されれば、人々が特定の地域に密集し、感染拡大の危険や、暴力被害などの危険も高くなる。

 「国際社会は、ロヒンギャ難民の窮状にもっと注意を払う必要があります。彼らにも、尊厳をもって生きる権利があるのです。私たちは、彼らの苦しみに終わりが見えるようにするために、あらゆるレベルで取り組む必要があります」とビスワス氏は訴えている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2020年6月28日

・聖職者性的虐待の実話「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」7月17日から全国で上映

(2020.6.27 カトリック・あい)

  第69回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した「Grace a Dieu」(フランソワ・オゾン監督)が、邦題「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」として7月17日から、全国31の映画館で公開されることになった(一部の劇場は上映開始が遅れることもある)。

 聖職者による未成年者性的虐待が欧米を中心に世界的に問題になっているが、この映画はフランスで起き欧州全土に衝撃を与え、現在も裁判が続いている「プレナ神父事件」の実話をもとに、ドキュメンタリー・タッチで描いたもの。

 性的虐待を繰り返す司祭の行為を多くの司祭や信徒が見て見ぬふりをする中で、一人の勇気ある男性が幼少期に性的虐待を受けたことを司祭の名とともに告発。それを契機に、80人以上の被害者が名乗りを上げ、問題司祭が教区を変えつつ、長年にわたって信徒の子供たちを性的に虐待していた事実が白日にさらされる…

 被害を受けてからも長きにわたって性的虐待のトラウマに苦しむ男たちが、名乗りを上げ、加害者の司祭の告発に踏み切るまでの内的葛藤、教会や家族との軋轢などよる苦悩、それを乗り越えて告発することで生まれる救いと希望を描く。

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 上映は、北海道・札幌から沖縄まで31劇場で予定されている。北海道地区は札幌のサツゲキ、東北地区は青森のシネマディクト、仙台のチネ・ラヴィータ、関東地区では、新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座、ヒューマントラスト・シネマ渋谷、立川高島屋と横浜みなとみらいのkino cinema、イオンシネマ浦和美薗など、中部市区では名古屋センチュリー・シネマ、イオン・シネマ新潟南など、近畿地区ではテアトル梅田、アップリンク京都、シネリーブル神戸など、四国・中国地区ではイオンシネマ岡山など、九州沖縄地区では、福岡のkino chinema天神、長崎セントラル劇場、沖縄・桜坂劇場ホールなど。劇場によっては上映開始が7月17日よりも遅くなるところもある。

https://youtu.be/McAZiiTgsyY
2020年6月27日

・中国当局、”地下教会”の司教を理由を明確にしないまま再拘禁、一方で司教就任容認

(2020.6.24 カトリック・あい)

    カトリック系のニュース・メディアAsiaNewsが23日付けの北京発で伝えたところによると、河北省の”地下教会”教皇に忠誠を誓い、中国政府・共産党の管理・監督下に入ることを拒否している教会)宣化教区の教区長、 Agostino Cui Tai司教(70)=写真=が19日、公安警察に再度、逮捕・拘禁された。拘禁場所は不明、という。

 司教は、中国のカトリックの高位聖職者として最も長期、13年にわたる断続的な拘禁の後、今年1月に、中国正月を理由にいったん釈放されていた。AsiaNewsの取材に対し、教区のある信徒は「聖アウグスチヌスのように素晴らしい方が、法律に反したこのような扱いを受けるのは悲しいこと… (注:地下教会の指導者たちの)投獄は今や中国では日常茶飯事になっているが、司教の繰り返しの投獄はひどすぎる。”生贄の子羊”にされている」と訴えている。

  AsiaNewsによると、Tai司教は1990年に司祭叙階し、2013年に高齢の宣化教区長、 Tommaso Zhao Kexun司教のもとで補佐司教に教皇から任命された。同教区は中国に共産党政権が立てられる以前の1946年にバチカンが開設したが、共産党・政府は1980年にこれとは別に張家口教区を設け、宣化、西灣子の二つの教区をこれに併合した。バチカンは張家口教区を認めていない。

 そうした中で、Tai司教は2007年以降、当局の”付き添い”で”休暇”の名目で、強制的に秘密の拘禁場所や宿泊施設に拘禁され、旧正月と中秋の祭りの期間だけ一時釈放されて姉の元に行くことが認められたものの、それ以外は当局の監視のもとに置かれ続けていた。

 また、アジアを拠点にするカトリック系のニュース・メディアUcanewsによると、昨年3月にTai司教が再拘禁されたのは、宣化教区の前司祭、 Francesco Zhang Li神父が「司教は、中国とバチカンが2018年秋に合意した司教任命に関する合意を守っていない」と当局に”告発”した後だった。Li神父は、中国政府・共産党の管理・監督を受け入れた”天主愛国協会”に所属している。

 なお、香港のカトリック教会は、これまでもTai司教の釈放を繰り返し求めてきている。

中国政府・共産党、教皇に忠誠を誓う司教の就任認める

 一方、カトリック系のUCA Newsが23日、香港発で伝えたところによると、中国陝西省の鳳翔教区では、教皇が司教に任命しながら、中国側がこれを認めていなかった”地下教会”のPeter Li Huiyuan神父(55)の司教就任式が同教区の聖ヨゼフ大聖堂で、中国政府・共産党の管理下にある「中国天主愛国協会」副事務総長の Dang Mingyan司教が司式て行われた。

 UCA Newsによれば、Peter Li Huiyuan司教は、バチカンと中国が2018年秋に司教任命について暫定合意した後に、中国政府・共産党が司教就任を認めた”地下教会”司教としては4人目となる。

 また、司教就任式のミサで、Peter Li Huiyuan司教は、「中国憲法を順守し、祖国中国と社会の調和を堅持し、国と宗教を愛する」ことを誓い、自身と信徒たちは「教会自身の独立と、中国のカトリックの方向に沿って、国家と力の偉大な復活という『中国の夢』実現に努める」と約束した、という。

 同司教の就任を中国政府・共産党が認めたのは、今月9日に福建省福州教区の”地下教会”のPeter Lin Jiashan神父(83)を同教区の補佐司教に認めたのに続くものだ。

 UCA Newsはこのことに関連して、2018年秋の中国国内での司教任命に関するバチカン・中国暫定合意について、この9月に見直しが行われる予定とされ、バチカン側は改めて司教任命の権限を主張しており、司教任命の実質権限を巡る行方は流動的としている。

 このため、今回明らかになった、一方で”地下教会”の司教を再度、逮捕・拘束し、一方で、教皇が任命しながら棚上げしていた”地下教会”司教就任の容認をする、という一見、筋の通らない中国政府・共産党の対応は、内部の判断の不一致、あるいはバチカン側に譲歩を求めるかく乱作戦のいずれか、と見る向きも、関係者の間にあるようだ。

2020年6月24日

・チベットの人々の「魂」-祈りの旗「タルチョー」-の撤去を中国共産党が開始(BW)

( 2020.6.23 Bitter Winter MASSIMO INTROVIGNEA )

 チベット仏教の象徴でチベット文化の核ともいえる「タルチョー」(祈りの旗)の撤去に、中国共産党が乗り出した。各村ごとに、強制的な取り外しが進められている。

 タルチョーはの順に五色の旗で構成され、それぞれが、すなわち五大を表現する。経文が書かれ、これを飾り、風になびくごとに、読経したと見なされるチベットはもちろん、ブータン、ネパール、モンゴルなどで、多くの人々にとって、日々の暮らしに欠かせない、神聖で、大切なものだ。

Prayer flags in Tibet

 ところが、中国の自治区とされたチベットで、中国共産党は、その信仰と文化の核となる「タルチョー」の廃絶に手を付けている。この動きは10年前から始まったと言われるが、習近平・主席の下で急速に激しさを増している。

  インドのダラムサーラに本部を置く「Tibetan Centre for Human Rights and Democracy」(TCHRD)が6月16日に発表した2019年版報告によると、中国共産党による宗教迫害が酷さを増しており、特に男性僧侶、尼僧、そして一般の仏教徒に対する拷問が増加、2019年一年だけで「何千人」もの人々が逮捕、拘禁された、としている。

 2019年8月に施行された新法では、家族や友人と祈ることを含めて宗教活動に参加して逮捕された元公務員の年金の支給を停止する、と定めており、中国共産党は「近代的、社会主義的な仏教制度しか存続を認めない」と通告した。

 中国共産党の当局者が村々を回り、丘の頂上や村内に掛けられた「タルチョー」を、住民が大切にしている物への敬意も払うことなく、引き降ろし、公安警察に渡すよう強制している。

 その動きは、中国青海省のゴロク・チベット族自治州のチャンド(注:1950年に中国が武力で支配下に置いた)に始まり、Radio Free Asiaによると、他の地域にも広がっている。「環境浄化」を名目にしているものの、共産党自体が「非中国的、非社会的な仏教」の「行動的改革」と言ってはばからない。

 信徒にとって、これは自らが信じるものに対する犯罪であり、冒涜だが、こうした共産党の行動に抗議の声を上げる人々は直ちに逮捕され、拷問されている、とTCHRDはその報告で述べている。「タルチョー」はチベットの人々にとって「魂」。仏教徒でない人々さえも、この「文化虐殺」の新たな示威行動に抗議すべきだろう。

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2020年6月24日

・東京教区、21日の公開ミサ条件付き再開を前にー緊急事態下における聖体拝領について

(2020.6.19 カトリック東京教区ニュース)

 カトリック東京大司教区のみなさま「緊急事態下における聖体拝領について」カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

 6月21日から段階的に教会活動が再開され、毎週、とはいかないまでも、ミサにあずかり、聖体拝領する機会を持っていただくことができるようになります。長い期間、教会活動が停止されていたことで霊的な渇きの中で苦しまれ、犠牲をささげてくださった多くの方々に、心から感謝いたします。

 日本は他の国に比べれば感染者数も少なく、死亡された方も少ないのは事実ですが、その理由は解明されておらず、また感染自体も終息したわけではありません。加えて、高齢の方にあっては、感染者は少ないものの、重篤化して死に至る方の割合が高く、予防法や治療法が確立していない現在、しばらくは、慎重に対応する必要がある、と判断しています。

 教会活動の再開にあたっては、通常とは異なるさまざまな制約をお願いしていて、大変心苦しいのですが、私は、できる限り教会に来られる、どなたも祈りの時に感染したり、死のリスクにさらされたりしないことを、心から願っていますし、そのために、緊急避難的にさまざまな措置を講じて、徐々に通常の状態に持って行くことができればと思います。

 皆さまお一人お一人の良識ある判断に信頼しておりますが、自分が新型コロナウイルスに感染しないこと以上に、他人にウイルスを感染させないことを、常に心にとめていただければと思います。また信徒の方々もそうですが、高齢者の多い司祭団の生命も、リスクにさらすことのないように、心配りの中で制約をしばらくの間忍んでいただければと思います。ミサの再開には、一人ひとりが常に、「自分は感染している可能性がある」という自覚を持つことが、欠かせません。教会の定めているさまざまな制約は「禁止事項」ではなく、互いの命を守るための「共通善に基づいた配慮ある判断」をお願いしているものです。

 社会全体の状況を見ながら、できる限り早急に、通常の状態に戻すことができるように、日々検討を続けておりますので、しばらくの間は、不便を忍んでくださるように、重ねてお願いいたします。

 さてその中での、聖体拝領に関してのお問い合わせが相次いでおります。もとより、現在の日本の教会では手による聖体拝領を主としていますが、当然口による聖体拝領が禁止されているわけではありません。通常時にあっては、そうなのですが、以下に掲げる理由から、再開の初期の段階では、できる限り手での拝領としてくださるようにお願いしております。もちろん、口での拝領を希望される場合は、司祭にご相談の上、別途ミサの時ではない拝領の機会を設けていただいてくださって構いません。

 WHO(世界保健機構)によれば、ウイルスに汚染された表面に手で触れることと、せき・くしゃみ・近距離の会話による唾液の飛沫に接触することが新型コロナウイルスの主要な感染源であるとされています。つまり、手も口もウイルスに汚染されている可能性はゼロとはいえず、厳密には現時点で聖体拝領そのもの再開することは安全でないと指摘する医療関係者もおられます。

 しかし、新型コロナウイルスはアルコール消毒によって死滅することが報告されており、手指はアルコールで簡単に消毒することが可能です。実際、公開ミサの再開にあたっては、信徒の皆さまには、聖堂に入る前にアルコールで手指の消毒をすることをお願いしています。また、司式司祭と聖体奉仕者には、聖体授与の前に再度手指をアルコール消毒することを勧めています。また状況に応じて、奉仕者が、拝領の列に並ぶ皆さんの手指を、聖体拝領直前にアルコールで消毒することも可能となります。

 ミサの前、あるいは聖体拝領の直前に、全てのミサ参加者が口腔内を薬剤で洗浄することは、現実的とはいえません。つまり、手指とは異なり、口腔内を消毒した状態で聖体拝領に臨むことは不可能であります。

 新型コロナウイルスに関する最新の学術論文「唾液:2019-nCoVの潜在的な診断価値と感染」(International Journal of Oral Science article number 11,2020)には、次のように記されています。

・唾液は新型コロナウイルスの濃厚接触感染の原因となる(陽性患者の90パセーント以上の唾液からウイルスが検出されている)。
・ウイルスを含んだ唾液飛沫は、せきやくしゃみだけでなく、呼気の中にも含まれている。
・医療用マスクをしていたとしても新型コロナウイルスは目の粘膜からも感染する可能性がある。

 また国立感染症研究所感染症疫学センターの「濃厚接触」の定義によれば、マスクなどをして短時間、感染した方と一緒にいただけでは濃厚接触となる可能性は低いのですが、「患者(確定例)の気道分泌物もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者」は濃厚接触と見なされる可能性を持っています。

 以上から、現時点で口での聖体拝領を行うことは、聖体を授ける司祭、聖体奉仕者の生命を著しく危険にさらすリスクが、手での聖体拝領よりも高いと判断せざるを得ません。

 私が参考にしている米国のカトリック医師会の指針などにもありますが、仮に口で聖体拝領をしていただくためには、そのたびごとに司祭または聖体奉仕者の手指を消毒するなどの措置が必要となります。従って、上述のように、口での拝領はミサの聖体拝領時ではなく、別途司祭に相談の上、例えばミサ終了後などに拝領され、司祭や奉仕者がその都度手指を消毒できるようにご配慮いただきますことを、切にお願い申し上げます。

 どうかどうか、人数も少なくなり高齢でもある司祭の生命を守ってくださるように、また奉仕してくださる信徒の方をリスクにさらすことのないように、ご配慮いただきますように、お願い申し上げます。

 信徒の皆さまにおかれましては、「他者の健康と生命を脅かさないこと」を十分念頭においた上で、お互いに十分な心配りの中で、再開されたミサ聖祭にご出席いただくようお願いいたします。

2020年6月20日