☩教皇が、インドネシアの教会での爆破テロ犠牲者に哀悼の意

(2018.5.14 カトリック・あい)インドネシアのジャワ島東部にある同国第2の都市スラバヤで13日朝、キリスト教の教会3か所で自爆テロがあり、警察によると、少なくとも7人が死亡、43人が負傷したが、教皇フランシスコは13日正午のお告げの祈りの後で、この惨事を取り上げ、深く哀悼の意を表すとともに、憎しみと暴力の連鎖を断ち切るよう次のように強く呼びかけた。

 「親愛なる兄弟姉妹の皆さん。私は、愛するインドネシアの皆さん、中でも、祈りの場で襲われ、深刻な打撃を受けたスラバヤ市のキリスト教共同体の方々に、特別に思いを寄せます。犠牲になられた全ての方々、その親族の方々のために祈ります。皆さんと共に、こうした凶暴な行為を止めるように、神に心から祈ります。嫌悪と怒りではなく、和解と親愛の心を持つように。黙とうを捧げます」

 なお、現地の警察当局によると、実行犯の6人はスラバヤに住む夫婦とその9歳から18歳の子供4人で、全員が死亡した。一家はイスラム過激派組織「イスラム国」を支持する武装グループの構成員とみられ、「イスラム国」系のアマク通信も同日、犯行声明を出した。インドネシア政府は、各地の教会に警察官を配置したほか、空港の警備も強化するなど、テロへの警戒を強めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2018年5月14日

・フィリピンで司祭が射殺、タグレ枢機卿が強い批判(CRUX)

 

Father Mark Ventura, the priest murdered in the Philippines on April 29. (Credit: Archdiocese of Tuguegarao.)

 フィリピンのルソン島北部、ツゲガラオ大司教区の教会で29日、日曜のミサ直後に司祭が複数の暴漢に襲われ、射殺された。ガッタラン・カトリック教会のマーク・ベンツラ神父は同日、ミサを終え、受洗の祝いを始めようとした際、集まっていた信徒たちの前で襲われたという。

 30日、マロロス市での司教叙階式に出た同国のカトリック教会の指導者であるルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、犠牲となったベンツラ神父に深い哀悼の意を示すとともに、「人々が神からの賜物としての命に、もはや価値を置かない、これはそのしるしです」と警告し、「彼が司祭でなかったとしても、人です。彼は神からの賜物ではないのですか?誰かを殺し、投げ捨てることが、今ではたやすいことなのですか?」と人々に問いかけた。

 またフィリピンのカトリック司教協議会会長のロムロ・バレス大司教は、声明を発表し、「司教たちは強い衝撃を受けるとともに、この殺人は『邪悪な行為』と見なしている」とした。

 フィリピンの人権団体、カラパタンのクリスチーナ・パラバイ事務局長は「ベンツラ神父は、対人地雷反対運動や原住民社会の支援をしており、それが襲撃された理由ではないか」とし、「教会が弱い者の見方をすると、関係する人々が襲撃の標的にされる」「人権擁護の立場に立つ教会の信徒たちが迫害を受ける傾向が強まっているのは間違いない」と説明した。

 フィリピンでは司祭の殺害が目立っており、昨年12月にもマルチェリト・パエズ神父が殺害されたばかりだ。同国のカルメル修道会の正義と平和委員会は「フィリピンの『罰せられない文化』が殺人の連鎖を起こしている。このような文化は、教会の人々、貧しく、搾取され、見捨てられ、拒絶された者たちを助けようとする人々も容赦しない。実際に、私たちは、助けを求める人々を支えようとする神の意志を行おうとする人々が弾圧される現実を目にしている」と訴えている。

 (翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

 

2018年5月2日

☩「希望が失望に変わらぬように」教皇が南北首脳会談結果に言及

(2018.4.30 「カトリック・あい」)

 教皇は29日、正午のお告げの祈りに続いて、「朝鮮半島の完全な非核化」と年内に休戦中の朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を目指すことで合意した27日の韓国と北朝鮮の南北首脳会談について言及。「会談の建設的な成果と、半島の非核化への真摯な対話の道を進むという両首脳の勇気ある約束に、祈りとともに、共に歩みます」とされたうえで、「主に祈ります。平和な未来とさらなる兄弟愛への希望が失望に変わることにないように。そしてこのような協力が、愛する朝鮮半島の人々と全世界のために良い実を結び続けますように」と祈られた。

 27日の南北首脳会談の会談後に署名された「板門店宣言」は、朝鮮半島の非核化について「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と明記したが、北朝鮮が開発済みの核兵器の廃棄を検証する方法や時期など具体策には触れておらず、両首脳は宣言署名後、共同記者発表を行ったが、北朝鮮側は非核化に言及しなかった。このため、非核化の具体的な成否は、6月初旬までに予定される米朝首脳会談に委ねられることになった。

 教皇が、一部関係者に見られる手放しでの評価に流されず、「希望が失望に変わることのないように」と釘を刺したのは、このような”成果”に対する冷静、客観的な判断があるとみられる。

(バチカンの教皇のお告げの祈りとその後のメッセージの現地時間29日の公式発表分をもとに「カトリック・あい」がまとめました)

 

2018年4月30日

☩「朝鮮半島と世界の平和へ具体的プロセス開始を」教皇、南北首脳会談前に訴え

教皇、韓国と北朝鮮の首脳会談に向けてアピール

教皇フランシスコ、4月25日、バチカンでの一般謁見 – REUTERS

(2018.4.25 バチカン放送)

 韓国と北朝鮮による南北首脳会談を前にした25日、教皇フランシスコが会談を機に和解と平和が推進されるよう訴えるアピールを出された。

 教皇は同日バチカンで行われた一般謁見の席で、27日に板門店で開かれる韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による南北首脳会談に言及。「この会談が、朝鮮半島と全世界に平和を保証するための、透明性ある対話と、和解と兄弟愛を再び構築するための具体的プロセス開始のまたとない機会となるように」と期待を表明された。

 さらに、平和を熱望する朝鮮半島の人々に、ご自身の祈りと、カトリック教会全体の精神的一致を約束された。そして、「両国民の間の出会いと友好を目指し、より良い未来を築くあらゆる有益で誠実な取り組み」を支持する姿勢を示された。

 そして、両国指導者など政治に責任を負う人々に向け、「平和を作り出す人として、希望の勇気を持ち、すべての人の善を目指す歩みを信頼をもって進むように」と訴え、最後に「神はすべての人の父、平和の父である」と述べた教皇は、朝鮮半島の人々のために「主の祈り」を信者と共に唱えられた。

2018年4月26日

・中国政府が"宗教白書”、党中央統一戦線工作部が宗教所管-規制強化へ(Tablet)

  「枝の主日」を祝う若い信徒たちの行列(中国河北省で)(CNS photo/Damir Sagolj, Reuters)

(2018.4.5 Tablet  James Roberts)

中国の共産党政権が今週、信教の自由に関する初の「白書」を発表した。この文書は英国政府の「白書」に匹敵する権威付けはされていないが、議会での議論と立法のための政策を提示している。香港中文大学・崇基学院の曾思瀚神学部長は「政策文書や法律ではなく、(政府の)姿勢についての表明、報告に過ぎない」とアジア地域のカトリック・ニュースサイトUCA Newsに語った。

 「白書」が関係者から関心を持たれているのは、中国政府とバチカンの間で進められている中国国内のカトリック教会の司教の任命をめぐる協議に影響を与える可能性があり、協議結果が、政府・共産党に忠誠を誓う”愛国教会”とバチカンに忠誠を誓う”地下教会”に分かれている中国のカトリック教会の将来に大きな影響を与える、と見られるからだ。

 発表された「白書」は、宗教に対する共産党の権威を「中国の独立のために必要なもの」と主張し、キリスト教のような西欧の諸宗教は「長い間、植民地主義者と帝国主義者によって管理され、利用されてきた」と指摘、中国におけるイスラム教指導者は過激な思想から信徒たちを引き離さねばならない、と強調している。

 習近平・国家主席は最近、”愛国教会”の代表も参加した中国共産党全国代表大会で圧倒的な支持のもとに確固たる地位を確立した。大会は、主席が進める宗教とカトリック教会に対する事実上の党による統制を「中国化」と表現することを支持した。

 同党の中央統一戦線工作部は先月、宗教監視・監督の任務を政府国務院の国家宗教事務局から移譲されている。権限の委譲は、党指令の執行という厳格なものだ。

 国家宗教事務局の陳宗栄・元副局長は4月3日、「自分は『司教任命の完全な権限をバチカンに持たせないことが信教の自由を妨げる』という考えには同意しない」としたうえで、UCA Newsによれば「中国政府は中国側が司教候補者を選定するが、教皇は拒否権を持つ内容でバチカンと合意することで、両者が別々に司教を選ぶやり方を終わりにするよう、努力している」と述べている。協議の過程で漏れてきた情報では、具体的な合意の中身として、中国側が特定の教区について3名の司教候補を出し、教皇はその中から一人を選ぶ-という方式を取ろうとしている。

 「白書」のもつ極めて偏向した、懸念される要素は、中国で宗教活動をしている人の数を示した箇所にある。それによれば、中国全土での人数は2億人と、1997年に出た前の「白書」の1憶人の二倍に増えている。だが、宗派別では、カトリック信徒の数は600万人、プロテスタント信徒は3800万人、イスラム教徒は2000万人としており、カトリック教徒の数は通常、1200万人といわれている数字の半分だ。つまり、600万人という白書が示した数字は、中国政府・共産党に忠誠を誓う”愛国教会”の信徒の数字、となる。それは、”地下教会”に属する600万人の信徒の存在を認めないことを意味し、バチカンと中国政府が協議で合意すれば、彼ら一般信徒、司祭・聖職者の運命は不安定なものになる恐れがある、ということだ。

 宗教を所管することになった中央統一戦線工作部が諸宗教の共産党への服従を強化することで、元香港司教の陳日君・枢機卿と他の多くの人々が指摘しているように、「中国の教会の新秩序に従わない”地下教会”の信徒たちにもたらされる恐怖」が現実となる恐れがある。”自宅教会”で礼拝する1000万人のプロテスタントの人々も、白書の統計にある3800万人には数えられておらず、その命運にも不安の影が漂っている。

 Catholic News Serviceによれば、香港の正義と平和協議会のプロジェクト・オフィサーの王陽陽氏は、この白書は「法律に従って宗教活動を管理する」としているが、中国における「法律」は人々の信教の自由を守るためのものではなく、「宗教を監視し、管理するのが目的」と指摘し、中国本土で導入された数多くの規制と法律、特に2月に改定された宗教活動に対する規制は「世界人権宣言で言明された信教の自由の保護」を侵すもの、と指摘。白書は「独立」「自発性」「自己管理」の原則、と美辞麗句を並べているが、「カトリック教会の文化受容、自主性、本質に敬意を払うことよりも、教会の真髄と信仰の原則を破壊することを意図している」と警告している。

 (翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

(関連)中国が宗教対策を政府から党中央直轄へ

 【2018.4.11 CJC】中国はこれまで宗教組織と宗教活動の統制、管理を国務院国家宗教事務局(宗教問題事務局)の管轄としていた。それが3月21日、最高権力機関『全人代』(全国人民代表大会)での決定に伴い、共産党中央統一戦線工作部担当に変わった。カトリック系『アジア・ニュース』が報じた。

中央統一戦線工作部は、共産党と非共産党員との連携、チベットや台湾に対する反党勢力への工作を含めた祖国統一工作などを担う部署。宗教統制の強化によって、信者たちの思想を祖国統一へのパワーに結びつけるのは中国共産党の任務という。国務院から中央統一戦線工作部へ移管するとの決定は、2月に開かれた共産党の最高指導機関『中央委員会』の総会で承認された。移管は2018年内に完成の予定。

今回の移管は、2017年10月の党大会で、習近平総書記(国家主席)が打ち出した宗教管理を強化する方針に沿ったもの。習氏は『全人代』大会初日の18日、党トップとして初の政治報告で、宗教活動を「社会主義社会に適応するよう積極的に導く」と表明した。宗教活動を党の政策や指導方針に適合させる「中国化」を強調、宗教政策を担当する党幹部も「国家の利益や社会の公益に関係する宗教事務の管理を強化する」と明らかにした。国家宗教事務局元副局長の陳宗栄氏は、この機構改革について「宗教の中国化方針を堅持し、統一戦線と宗教資源を統率して宗教と社会主義社会が相互に適応するよう積極的に指導することを党の宗教基本工作方針として全面的に貫徹する」と説明している。

今回の移管で、キリスト者に衝撃を与えたのは、教会堂からの十字架強制撤去を行った浙江省の夏寶龍(シャ・バオロン)前党書記(66)が3月14日、人民政治協商会議(政協)の第13回第1回会議で秘書長兼副主席に選出されたこと。習近平国家主席派で『全人代』環境・資源保護委員会の副主任委員(副委員長)だった夏氏が、党中央への助言組織とされる同会議の権力者の地位に就いたのだ。夏氏が17年4月に浙江省から異動になった時には、引退を待つだけで、政治生命は終わったと見る向きが多かった。浙江省で夏氏は2003年から活動していた。当時の4年間は習近平氏が同省の党書記だった時期に当たる。夏氏は12年から17年4月まで同省党書記だった。その時の3年間、十字架撤去と教会堂破壊が都市計画のためとして行われた。13年末から16年4月まで、プロテスタント教会を中心に約1500の十字架が撤去された。十字架を守ろうとした牧師、信徒は拘留、脅迫、告発され た。その弁護に当たった弁護士も告発された。□

 

 

 

2018年4月12日

・中国政府公認教会団体、「キリスト教中国化5年工作計画要綱」を公布か

【2018.4.5 CJC】中国政府と対立している気功集団『法輪功』系のメディア『大紀元』の伝えるところでは、中国政府公認の中国基督教協会と中国基督教三自愛国運動委員会で形成される『基督教全国両会』が3月28日、『キリスト教中国化5年工作計画要綱(2018~2022)』を公布した。

 同要綱は、中国共産党による指導と「社会主義の核心価値観」を堅持していくと提唱している。また、信者が中国当局の指示通りに「正しい聖書観」を樹立することが重要だ、と主張し、今後聖書の再翻訳・発行、聖書の解釈の再編集も示唆されている。

 中国で販売されている聖書の多くは、基督教三自愛国運動委員会が出版元となっている。□

2018年4月11日

・パキスタンでキリスト教徒の家族4人が暴徒に殺害される(Tablet)

(2018.4.3 Tablet  Rose Gamble)

 パキスタン南部で2日、復活祭を祝うためにバローチスターン州の州都、クエッタ市の知人宅を訪れていたキリスト教徒の家族5人が、武装した暴徒に襲われ、4人が死亡、10歳の少女が負傷した。

 Ucan news agencyによると、家族は、滞在していた知人宅のそばの市場に行く途中で襲われた。地元警察によると、犯人はオートバイに乗った二人組で、「相手を狙ったテロ行為だ」という。イスラム過激派組織ISは自派の通信社 Aamaq を通じて犯行を認める声明を出している。

 クエッタ市では昨年12月に市内のキリスト教会での日曜礼拝を狙った自爆テロと銃による襲撃があり、少なくとも8人が死亡、56人以上が負傷するという惨事が起きたばかり。この時もISが犯行声明を出しているが、ISの犯行かどうかは確認されていない。またこれより前、昨年10月にも同じ地域のユダヤ教の寺院に手りゅう弾が投げ込まれる事件が発生している。

 (翻訳・「カトリック・アイ」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2018年4月6日

・ネット通販から聖書が消えた 宗教統制強める中国(CNN)

以下の記事をCNNニュースから転載させていただきました。

(2018.04.06 CNN) 中国政府が宗教に対する統制を強めている。インターネットの通販サイトでは、キリスト教の聖書が入手できなくなった。

 聖書の販売はこれまでも政府の規制がかけられ、印刷や販売ができるのは国の認可を受けた教会のみとされていた。それでもここ数年は、インターネット通販でも購入できるようになっていた。

 しかしその抜け穴はふさがれたらしい。中国の通販サイト「JD.com」で「聖書」を検索しても、結果は表示されなかった。中国版のアマゾンでは、聖書そのものは見つからず、参考書やコーランが表示された。

 中国最大の通販サイト「淘宝(タオバオ)」で表示されたのは、「離乳食バイブル」「自己免疫疾患治療バイブル」などの検索結果のみ。ただ、子ども向けの聖書の物語のイラスト本など、関連商品はまだ表示されていた。

 ネット通販業者2社はCNNの取材に対し、今も私的なメッセージを通じて聖書を販売することはできるかもしれないと説明した。ただ、淘宝に公然と聖書を掲載することはできなくなったという。

 国際人権団体フリーダムハウスの研究員サラ・クック氏によると、中国当局はハイテク技術を使って宗教に対する統制を強め、インターネットで情報を交換している信者の監視や逮捕を行っているという。

 中国では中国仏教、イスラム教、カトリック、プロテスタント、道教の5宗教が公認されているが、宗教活動は政府による厳しい規制がかけられ、公的機関によって監督されている。

 専門家によると、中国政府による宗教統制は今、大きく転換しつつある。民族・宗教問題の管轄は最近になって、中国共産党の中央統一戦線工作部に引き継がれ、党による社会統制が一層強まった。

 政府はこのほど発行した宗教の自由白書の中で、信教は「社会主義社会に順応しなければならない」と規定した。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの研究員ウィリアム・ニー氏は、「習近平(シーチンピン)国家主席の下で、宗教、特にキリスト教に対する統制を強化する傾向が広がっている」と指摘する。

 中国国家宗教事務局がこのほどまとめた5カ年計画によれば、文言を「中国化」した、新しい中国語版の聖書の発行に向けた取り組みも進んでいる。

 「公式な新解釈を打ち出すために聖書が排除されたとすれば、我々が目の当たりにしてきたイスラム教やチベット仏教などの聖典を能動的に解釈しようとする中国共産党の広範な取り組みと一致する」。フリーダムハウスのクック氏はそう解説している。

2018年4月6日

・インドの二つの教会が復活祭の夜に襲撃、マリア像など破壊される(CRUX)

(2018.4.4  Nirmala Carvalho)

A vandalized statue of the Virgin Mary in Bihabandh, India. (Credit: Father Albert Xess.)

  ムンバイ(インド)発―インドのオリッサ州ルールケラーで、復活祭の日曜日1日夜 、二つのカトリック教会が事前に準備された計画的な襲撃を受けた。

 このうち、ビハバンド村の教会では、聖具室に隣接する教区事務所が焼き討ちにあい、マリア像が破壊された。サランガバハールの教会では入口の門のそばの聖母洞窟が破壊され、マリア像が持ち去られ、幼きイエスの像が壊された。Churches vandalized in India on Easter Sunday

 オリッサ州の住民の93パーセント以上がヒンドゥー教徒で占められいる。キリスト教徒は3パーセントでカトリック教徒の大部分がカースト制度の外側にあって 差別を受けている人々だ。

 ルールケラー教区のキショレ・クマール・クジュール司教はCruxに対して「今回の襲撃は周到に計画されたもので、二つの教会は7,8キロメートルほど離れていますが、1日夜のほぼ同時刻に襲われました。キリスト教徒の共同体に反対する同じグループの犯行です」と説明した。

 オリッサ州の同僚司教への手紙で、クジュール司教は、襲撃は「この野蛮な事件に関与した人々がこの地域の平和を妨げ、キリスト教共同体に対する嫌悪をあおるために行ったのは明白です」とし、「他の人を愛しなさい、というイエスの戒めを守って、キリスト教徒の共同体は平和と愛の中で暮らし、地域の人々、とくに社会の片隅で恵まれない、貧しい生活をしている人々を、慈しみと同情をもって助けてきました。特に貧しい人々の教育支援、病いなどで苦しんでいる人々の世話、慈善活動をしてきました」と理不尽な襲撃を嘆いた。

 司教によると、ルールケラー教区でこのような教会襲撃はこれまで一度もなかった、と言い、「この地域では、様々な宗教、文化、言語の人々が何年も、ともに平和に暮らしてきました。今回のような悪意に満ちた行為が二度と繰り返されないように希望し、信じます」と訴えている。

 ルールケラーはこれまで平和を続けてきたが、オリッサ州そのものは、インドの歴史の中でキリスト教徒を狙った暴動が頻発してきた地域だ。2008年には、東部のカンダマルでヒンドゥー過激派が主導する暴動が相次ぎ、約100人が死亡、数千人が負傷し、300の教会と6000の家屋が破壊され、5万人が家を追い出され、近くの森などに逃げ込んで、飢えや蛇にかまれるなどしてさらに多くの人が命を落としている。

 今回の暴力行為について、カタック・ブンバネシュワール大司教のジョン・バルワ師は「このような襲撃はインド社会では起きてはならない行為であり、私たちの宗教心を傷つける冒涜は続いてはならない」と批判、今年はカンダマル暴動から10周年にあたっていることを指摘したうえ、Cruxに対して、「インドに住む一人ひとりがインド社会の特質を堅持するように力を合わせる必要があります」「インドの片田舎のささやかな地域であっても、宗教の自由、礼拝の自由は尊重されねばならず、人間の尊厳と正義は守られねばなりません。今回のような出来事は、私たちの国の恥であり、不名誉なことでしかないし、絶対に繰り返されてはならない」と強調した。

 大司教によると、4月3日にオリッサ州のナヴィーン・パトナイク知事らと会談の結果、保安部隊がそれぞれの教会に送られた、といい、「また、私は教区の信徒たちに平和を祈るようにお願いしました。私たちは裁判所とインド市民に認められた様々な方法を通して正義を追求し、平和を祈ります」と大司教は語った。

 大司教はまた、今回の惨事を受けクジュール司教に送った手紙で、「苦痛を苦悶の時を通して」ともに祈ることを約束し、「聖なる日に行われた蛮行は、私たちが信仰において成長することで、悪魔が敗北し、あきらめを感じるのを確かなものとするのです」と励ました。

  Cruxに対して、大司教は現在のポストについて7年の間に、信徒たちが苦難と試練を受けながらも信仰を育てているのを目の当たりにしてきた、と述べ、「聖金曜日の教会での儀式には1万5000人を超える信徒が参加し、キリストの受難を黙想して、静寂の時を過ごしました」「私たちの信仰が強まっていくのを見て、サタンは羨望に身を焼かれたことでしょう」と語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

 

2018年4月5日

・中国がバチカン承認の司教を一時拘束(CJC)

 (2018.4.2 CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が中国政府と中国国内での司教の任命権について合意を進める中、バチカンに正式に承認されている中国人司教が福建省にある自身の教区で、当局に一時身柄を拘束されていたことが分かった。

 カトリック教会の関係筋によると、中国南東部・福建省■(門構えに虫)東教区の郭希錦司教(59)は3月26日午後に身柄を拘束され、翌27日午後に住まいに戻ってきたという。拘束された理由は不明。

 『ミラノ外国宣教会』が運営するウェブサイト『アジア・ニュース』は、郭司教が26日に同区の別の職員1人とともに身柄を拘束されたと伝えた。同司教はバチカンは認めているが、中国当局には認められていない。

 中国の地元警察と福建省の宗務当局はAFP通信の取材に対し、拘束については把握していないと述べている。

 『アジア・ニュース』によれば、郭司教は26日午後、宗務当局に出頭を命じられ、夕方に荷物をまとめるために住まいに戻った後、現地時間午後10時ごろに連行されたという。郭司教は昨年も20日間行方が分からなくなっていた。

 香港在住の国際人権団体『国際アムネスティ』職員、潘嘉偉氏はAFP通信の取材に対し、「司教に嫌がらせをし、正当な理由もなく連行するのは恥ずべき行為であり、信教の自由の侵害」だと話した。□

※参考=福建(Fujian)、■(門構えに虫)東(Mindong)、郭希錦(Vincent Guo Xijin)、『アジア・ニュース』(AsiaNews.it)、『国際アムネスティ』(Amnesty International)、潘嘉偉(Patrick Poon)

2018年4月4日