・福音宣教省が「新求道共同体の道」神学院の院長、副院長任命

(2018.9.16 「カトリック・あい」)

 バチカンの福音宣教省が、日本の司教団との事前協議なしに「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の司祭を養成する神学院の東京への設置を一方的に通告して関係者の間に物議をかもしているが、同団体に所属する司祭が14日付けの自身のブログで明らかにしたところによると、神学院の名称は「アジアのためのレデンプトーリス・マーテル神学院」で、院長にダビッド・シケル神父、副院長にアンヘル・ルイス神父が任命された、という。設置場所はどこか、すでに開設されたのかなどは、明らかにされていない。

(再録)

 ネオカテクーメナートは1964年にスペイン人信徒、キコ・アルグエイオによって始まった運動。キコは、ジプシーやマドリッドの社会から疎外された人々を対象に、片手にギター、片手に聖書をもって福音宣教を開始。多くの司祭や修道者たちの賛同を得て「共同体」として発展、現在は1万を越える「共同体」が世界各地に存在すると言われる。だが、典礼その他で創始者や共同体の方針、指導を優先する傾向もみられ、英ランカスター教区でそのミサ典礼に規制をかける動きなども出ている。

 ⇒ネオカテクーメナートの特徴とされているのは、小教区の信徒の信仰養成、信仰生活の刷新を基本目的とし、週に二回定期的な集会、聖書の勉強と黙想、分かち合い、土曜日の夜は共同体のための感謝の祭儀(ミサ)を行うこと。聖書解釈には原理主義的な傾きがあり、過度に禁欲的、一般社会から閉鎖的、信徒の義務(たとえば、収入の十分の一の月定献金の義務)に関して厳格、などの指摘もある。個人の内的な改心にアクセントを置くあまり、社会に開かれた実践的信仰に消極的、何事においても創始者や新求道共同体の方針や指導を優先する傾向が強く、地域の教会の宜教司牧の方針に耳を傾け、心を開いて、積極的に協力しようとする姿勢は乏しい、ともいわれる。主任司祭が新求道共同体のメンバーであり、その祭儀を小教区のミサとして位置づける時は、それについていけない一般信徒にとって苦痛となる。それは小教区の分裂をおこす引き金になりうる。事実、典礼がもとで 新求道共同体と主任司祭を含めた小教区共同体と対立してしまったケースは、世界のいくつかの小教区でみられる。

 日本では、ネオカテクーメナートの神学院が高松教区に設立されていたが、小教区に派遣されたネオカテクーメナート共同体の司祭たちが、独自の司牧を展開し、信徒たちの間に深刻な分裂をもたらした結果、日本の司教団が閉鎖を求め、2009年に閉鎖された。

 閉鎖を求めた理由として当時説明されたのは「現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題」「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」「権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」ということだった、と報道されている。

 さらに、日本の司教団は、ネオカテクーメナートの責任者に対し、活動を5年間停止して、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とし、「5年経過した後に、司教側はネオカテクーメナートと問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るな、と言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」としていた。

 だが、このような求めに対して、当事者であるネオカテクーメナートの責任者やバチカンの福音宣教省から、誠意のある説明が日本の司教団にあった、あるいは突っ込んだ話し合いがされた、とは伝えられていない。そうした中での、一方的ともいえる神学院の再設置は、自身がこの共同体のメンバーと言われる、福音宣教省長官の一方的な”強行”と見られてもしかたがない。

 日本の司教団は今年2月、これまで全国一本だった司祭養成の体制を、東京、福岡2キャンパスからなる一つの「日本カトリック神学院」によるものから、「東京、福岡の二つ東京、大阪両教会管区11教区、長崎教会管区5教区)諸教区共立神学校」という別々の二つの司祭養成の体制に変更することを決め、司祭養成は事実上の「分裂」状態になろうとしている。その中での、バチカン福音宣教省直轄の神学院設立という今回の事態で、小さな日本のカトリック教会共同体は、司祭養成という極めて重要な分野で、三つの体制が乱立し、「日本の一つの教会」の理想からかけ離れ、さらなる危機を迎える可能性がある。

2018年9月16日

・北海道胆振東部地震被災への支援について(札幌司教区)

カトリック札幌司教区 信徒、修道者、司祭の皆さまへ 2018 年9 月14 日 カトリック札幌司教区 司教 勝谷 太治

✞主の平安 今回の地震の被害にあわれた方々に心からお悔みを申し上げますとともに、復興に向けて頑張っておられる方々に札幌教区としてできる限り支援していきたいと考えています。

先般、教区事務局長から第一報として教区の支援に関する概要をお知らせしていますが、ここに改めまして第2報として次の通り皆様にお願いいたします。

1. 被災地へのボランティア支援についてこのお知らせと共に札幌教区サポートセンターから発行された別紙、北海道胆振東部地震被災への支援についての「札幌教区ボランティア派遣要綱」をご覧いただき、皆様のご協力をお願いします。

2. 被災地復興支援への支援金のお願い

① カリタスジャパンは今回の地震被害に関する緊急募金は行わずに手持ち金で、被災地全般への支援をしていくことになりました。しかし、教会施設の被災に関しましてはカリタスジャパンの支援対象外となります。従いまして、教会の被災建物や構築物(墓石など含む)の被害に対する支援金を札幌教区独自に募ることが必要となります。度重なるお願いとなりますが、皆様からのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。支援方法等の詳細は、同送の札幌教区サポートセンター発行文書をご覧下さい。

② 災害支援手持ち資金の有効活用について
2011年4月8日付の「東日本大震災について(第3報)」に記載し、4月11日から札幌教区で行うボランティアなど被災者支援のための活動や、救援物資のため「札幌教区災害支援募金口」を開設し支援金を募りました。教区でのボランティア活動が終了したら、今後の全国の状況を見て優先すべきところがあれば、そこの援助に振り分けることを記してあります。しかし、東日本大震災以後、国内だけでも熊本地震災害や西日本豪雨災害、関西台風災害などと続いています。つきましては、東日本大震災支援をきっかけに始め皆様に協力いただいた支援金の手持ち金を、東日本大震災の支援と共に、その後起きた災害やこれからおこる災害の支援のために有効活用させていただければと考えています。これから募る支援金も含め、適時、札幌教区が行う教区内外の様々な災害支援に振り分けていきたいと思います。皆様のご理解をよろしくお願いします。
神様の恵みが皆さんの上に豊かにありますようお祈り申し上げます。

カトリック札幌司教区 信徒、修道者、司祭の皆さまへ  札幌教区サポートセンター長 カトリック札 幌 司 教 区事 務 局 長 佐 藤 謙 一

✞主の平安 別紙の通り、勝谷司教様から皆様に今回の災害への支援についてお知らせがなされましたが、その詳細について次の通りお知らせいたします。司祭・代表者の方々には皆さま方への告知よろしくお願いします。

1.被災地復興支援への支援金のお願いについて:カリタスジャパンは今回の地震災害に関して緊急募金は行わず手持ち金で賄うことを決めました。また、札幌教区ではカリタスジャパンの支援対象外である教会関係施設の修復等に必要な資金およそ1千万円の支援金を募ることに致しました。三教会の被害と、特に三カ所のカトリック墓地の被害が地震前の台風の余波と重なり樹木の倒壊、墓石の倒壊とひどい状態です。教区で募る災害支援金への皆さんのご協力をお願いします。
【支援金の振込先】郵便振替 02740-8-35329 札幌カリタス ※ 通信欄に「災害支援」「北海道震災支援」「胆振東部震災支援」などと明記

2.被災地へのボランティア支援について:現地社協要望や先遣隊の報告に基づき、次の内容でボランティア活動を行っていきます。

<札幌教区ボランティア派遣要綱>

① 期間: 現時点では9月末までを目途と考えておりますが、被災地の厚真町の状況によって延長などについて判断します。今週は先遣隊派遣として、来週月曜日(9/17)から送迎車両(⑤の項目参照)を運行します。

② 対象: 個人参加といたします。 (北海道在住の方に限定されています)

③ 申込: 活動日前日の正午までに、厚真町社会福祉協議会(厚真町災害ボランティアセンター)へ、電話かメールで申し込むことが必要です。住所: 厚真町本郷283-2(旧かしわ保育園)電話: 090-7647-6583 E-mail:atsumavc@yahoo.co.jp

※ 厚真町災害ボランティアセンターWeb ページやフェイスブックから最新状況を確認して申し込むことをお勧めします。
④ 申込内容: 活動日、氏名、年齢、性別、居住地、移動手段、過去の災害ボランィア経験、保険(天災型)加入の有無。

⑤ 送迎: 現地への交通手段がない方は、司教館発の送迎を9月17日(月)から開始します。送迎が必要な方は、前日の現地への申込が済んだ時点で連絡下さい(連絡先は⑩の項目を参照)。

※ 現時点での運行予定日: 9 月17 日(月)19 日(水)21 日(金)22 日(土)24 日(月)26 日(水)27 日(木)28 日(金)30 日(日)

⑥ 送迎の際の日程(札幌司教館からの発着となりますのでご留意下さい)7:00 札幌司教館出発⇒ 9:00 オリエンテーション⇒ ボランティア活動⇒ 15:30 頃厚真町出発⇒ 17:00 頃札幌司教館到着

※ 上記時間は予定で混み具合によって異なります。参考として、司教館から現地まで車で、司教館⇒千歳インター⇒36号線⇒茂田石油左折⇒安平町から厚真町のルートで、1時間40分程度かかります。※ 前後の宿泊が必要な方は教区カトリックセンターに宿泊可能です。シーツ2枚と洗面具関係をご持参ください。

⑦ ボランティア保険の加入: 各自で加入して下さい。(現地社協でも申込可能ですが、できるだけ居住先の社協で加入して下さい)

⑧ 現地での宿泊: 宿泊施設はありません。野営、車中泊も遠慮願うとのことです。

⑨ 活動に必要なもの: 動きやすい服装、着替え、上靴、タオル、帽子、軍手、雨具、マスク、飲み物、昼食、ヘルメット(無くても大丈夫そうです。司教館に備品有)。

⑩ 連絡先・問合せ: 電話 080-9616-0185 担当:佐久間神父 E-mail caritas.sapporo5943@gmail.com 以上

2018年9月15日

・インド枢機卿、”強姦司教”の問題をバチカンと連携して取り上げへ(CRUX)

(2018.9.13 

ムンバイ(インド)-インドでカトリック司教が修道女を強姦した事件が大きな問題になっているが、同国のカトリック教会の最高責任者が、バチカンの担当者とともにこの問題に対処することを明らかにした。

 ボンベイ大司教でインド・カトリック司教協議会会長のオズワルド・グラシアス枢機卿が13日、Cruxとのインタビューで明らかにしたもので、近く、バチカン福音宣教省のフェルナンド・フィローニ長官とこの問題について話し合う予定だ。グラシアス枢機卿は教皇の枢機卿顧問会議のメンバーの一人で、前日まで開かれた同会議に出席のため、ローマに滞在している。

 インタビューで枢機卿は「(フィローニ長官とは)フランコ・ムラッカイ司教の問題を話し合う」と述べた。ムラッカイ司教は、2014年から2016年にかけて一人の修道女を繰り返し強姦した、として訴えられている。被害者の修道女は6月29日に彼女が住むケララ州の警察に被害を届け出、警察が捜査を開始しており、「私には司法権がないが、インドのカトリック教会にかかわる問題なので、バチカンの福音宣教省で取り上げられることになるでしょう」と説明した。グラシアス枢機卿はインド司教協議会のトップだが、個々の司教の規律に関する問題はバチカンに権限があるからだ。

 ムラッカイは北西部、パンジャブ州のジャランダ―司教。修道女が所属するイエス宣教修道女会の本部も同州にあるが、性的暴行があったとされるのは、ケララ州の同会修道院だった。彼は容疑を強く否認し、「彼女は自分が既婚男性と関係をもったという苦情を調べられた腹いせに、私を訴えたのだ」と主張している。

 ケララ州はインドで最もキリスト教徒が占める割合の高い州で、多くの司祭や修道女などを輩出している。問題の修道院は、同州出身の司祭が宿泊する施設を持っており、ムラッカイも同州を訪れた時に利用していた。

 ムラッカイは8月13日に居住地のジャランダ―で警察当局の捜査班から事情聴取を受けているが、警察当局は12日、ムラッカイに対して19日に出頭するよう求めた。担当刑事は「この事件には多くの矛盾があります。口頭の証言がもとになった古い事件です。多くの矛盾を検証しています。私たちの仕事は被害者と証人を保護することです」と語っている。

 ムラッカイはまた、11日のある会見で、訴えた修道女を「嘘つき」と呼び、警察当局の捜査には協力する、と述べた。ケララ州最大の都市、コチ市では被害者の仲間の修道女たちが、8日以来、ムラッカイに抗議する活動を続けているが、被害者が所属する修道会は10日に声明を発表し、ムラッカイを「申し立てで十字架につけられた『無実の魂』」として擁護している。

 被害者の修道女は今月初め、警察に被害を届け出るため、修道院の彼女のオートバイに乗ろうとして、ブレーキが壊されているのを発見した。また、届け出の後、電話で繰り返し殺害予告の脅しを受け、彼女の姉妹も脅された、という。このため、警察は12日に、彼女を保護下に置く措置をとっている。ケララ州政府の高官は「州政府は被害者の側に立ちます。心配する必要はない。適当な時に正しい判断をします。警察は証拠を集め、犯人たちを特定します。捜査は進んでいます。女性の謙虚さを損なうようなことは、誰にもさせません」と言明した。

 なお、グラシアス枢機卿はCruxに対して、自分がインドに帰国した後、司教団がこの問題について協議、調査することになる、と述べた。

 ムラッカイの問題は、現在、世界のカトリック教会に深刻な打撃を与えている一連のスキャンダルーチリでの多くの高位聖職者が関与した性的虐待隠ぺい問題、米ペンシルバニア州の大陪審が発表した何十年にもわたる多くの聖職者による性的虐待の調査結果、そして先に枢機卿の称号をはく奪されたセオドール・マカリックに対する司祭や神学生との性的関係の噂に加えての、幼児性的虐待の訴えーの一つに過ぎない。

 グラシアス枢機卿は12日まで行われた枢機卿顧問会議での聖職者による性的虐待の問題に関する議論に加わったが、教皇はこの会議の終わりに、全世界の司教協議会の会長たちによるこの問題についての会議を来年2月21日から24日まで開くことを提案し、決定した。

 枢機卿は、会議ですべきこととして「まず、この問題の深刻さを認識すること。次に、これまでの問題がどのように扱われ、被害者をどのようにケアしてきたのか、を議論し、最後に、これが最も重要ですが、今後、このような事態が起こらないようにする対策を考えることです」とCruxに語った。現在も生存している被害者のケアに関する文書の発出も話し合われるだろう、としている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2018年9月13日

・ 国連人権理事会 ミャンマーの責任追及訴え、国際刑事裁判所 ロヒンギャ迫害で予備的調査

 人権理事会は、国連ヨーロッパ本部で10日から始まり、新たに人権高等弁務官に就任したチリの前の大統領のバチェレ氏がミャンマーからの避難を余儀なくされている少数派のロヒンギャの人たちについて発言しました。この中でバチェレ氏は、「人権理事会の調査団は大量虐殺が行われた疑いを明らかにした。今も迫害が行われているおそれがあり、ミャンマーは裁かれなければならない」と指摘して、国際刑事裁判所など国際的な枠組みで責任を追及すべきだと訴えました。

 人権理事会をめぐっては、アメリカがことし6月、「慢性的なイスラエルへの偏見を抱えている」として離脱を表明していて、今回からはアメリカに代わってアイスランドが参加しています。

 理事会は今月28日まで行われ、中国政府が新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族の人たちをテロ対策を名目に不当に大勢拘束しているとされる問題など世界各地の人権問題が議論されます。

【関連記事】

国際刑事裁判所 ロヒンギャ迫害で予備的調査へ

 ミャンマーの治安部隊が、国内の少数派ロヒンギャの人たちを迫害した疑いについて、国際刑事裁判所は、この事案を取り扱う権限があると判断し、裁判所の検察官による予備的な調査が始まることになりました。

 ミャンマー西部では、少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの武装勢力と政府の治安部隊の衝突で、これまでに推計で70万人以上のロヒンギャの人たちが、隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされています。国際社会からは「少数派の迫害だ」として、国際刑事裁判所への付託を求める声が上がっていましたが、ミャンマーが国際刑事裁判所に加盟していないため、取り扱う権限があるかどうかが焦点となっていました。

 こうした中、国際刑事裁判所は6日、「犯罪の一部は加盟国のバングラデシュで行われた。人道に対する罪が疑われる行為を取り扱う権限がある」と発表し、裁判所の検察官が予備的な調査を始めることになりました。

 この問題をめぐっては、先月、国連が現地で調査した結果、ロヒンギャの人たちに対する無差別な殺害や暴行、それに村の焼き打ちが繰り返されていたことが確認されたとして、ミャンマー軍の幹部らを訴追するよう求めていました。

2018年9月12日

・インド・ケララ州で修道女たち「強姦司教」の逮捕求めデモに参加

(2018.9.11 「カトリック・あい」)

Kerala nuns seek arrest of bishop accused of rape

Nuns of the Missionaries of Jesus congregation demonstrate in Kochi on Sept. 8 seeking the arrest of Bishop Franco Mulakkal, who is accused of raping a nun member of their congregation. (Photo by T.K. Devasia/)

 バンコクに本拠を置くカトリックのインターネット・ニュース「ucanews.com」が10日付けで報じたところによると、修道女を強姦したとして訴えられているインド南部ジャランダール教区長のフランコ・ムラッカル司教を警察当局や教会が不当に擁護しているとして、司教の逮捕・厳正な処罰を求める大規模な市民の抗議デモ、ハンガーストライキが8日、ケララ州のコーチ市で行われ、これにカトリックの修道女たちも加わった。
 強姦の訴えは2か月前に警察当局に出されている。それによると、問題の司教は2014年から2016年にかけて、自分が担当するパンジャブ州の教区から、ケララ州にある女子修道院に出かけ、13回にわたってある修道女を繰り返し強姦した。司教はこれをねつ造だとして否定した。
 だが、ucanews.comによると、訴えを起こした修道女の親類で同じ修道院の修道女は「私たちは、この問題をバチカンを含めてあらゆる教会の関係機関に相談しようとしましたが、私たちの正義を求める請願にどこも応じてくれませんでした」とし、今回の抗議デモに踏み切った理由を説明している。
 抗議デモのリーダーも、同州で政治的な影響力を持つカトリック教会の反発を買うのを恐れた州政府が警察当局に圧力をかけ、問題の司教を守ろうとしている、と批判しているが、警察当局は、この事件については、司教を拘留するに足る十分な証拠は必要で、今も捜査を続けている、と反論している。
 また、この問題を傍観している、と批判を受けているインドのカトリック司教協議会も、事務局長のセオドール・マスカレナス司教が、この問題に対する司法権を持たない司教協議会への批判は正当ではないし、被害者とされている修道女が我々のところでなく、警察当局に問題を持ち込んだ以上、警察当局の捜査が終わるまで待たねばならない、としているという。
2018年9月11日

・北海道胆振東部地震の被害状況について(第 3 報)

✞主の平和
今回の地震の被害の中でライフラインはほぼ復旧してきていますが、被害を受けた家や建物の復旧はこれからです。心よりお見舞い申し上げます。ほぼ全道の電気が復旧しておりますので、電話やメールでの確認ができました。あらためてご報告いたします。9 月10 日16 時現在の状況です。

苫小牧教会・・・内・外壁に一部損傷あり  室蘭ブロック・・・損傷なし  静内、岩見沢、江別、大麻、北広島、花川教会・・・損傷なし
恵庭教会・・・裏の建物の煙突損傷、倒壊の恐れあり  札幌市内教会・・・損傷なし  白石本通墓地・・・墓石、墓誌の倒壊あり  里塚霊園・・・墓石の倒壊多数あり
北海道カトリック学園の幼稚園・・・損傷なし  札幌マリア院、花川マリア院、ベネディクト修道院・・・損傷なし  旭川地区・・・損傷なし  釧路地区・・・損傷なし
函館地区・・・損傷なし  北見地区・・・損傷なし
恵庭教会横の元コックさんの家の煙突が2 つに割れていて倒壊の恐れがあります。白石墓地ではマリア像横の教区所有の墓誌が倒れております。もう 1 つも倒れる危険性があります。里塚墓地は個人のお墓が多数倒壊しています。一部倒木の枝がかかっているお墓もあります。所有者の方は現地を確認してみてください。人的被害については、いまのところ入っておりません。

(カトリック札幌教区事務局)

2018年9月11日

・中国・弾圧強化に対し”家庭教会”で信仰を守る動き

(2018.9.7 「カトリック・あい」)

 中国ではキリスト教会など宗教団体の活動に対する締め付けが厳しさを増しているが、そうした中で、カトリックの有力国際ニュースネット「La Crox」が北京からの報告として7日付けで伝えたところによると、河南省中部では、カトリック信徒たちが礼拝のための”仮の教会”として、自分たちの家を使い、家族全員が参加する形で抵抗している。

 同省の代表的な都市、南陽市に住むある女性信徒は、バンコクに本拠を置くカトリック・ニュースサービス「ucanews.com」に、州政府の締め付けに、信者たちは連帯を強めることで抵抗し、使用する家を次々と変えながら、家族全員が参加して礼拝を続けられるようにしている、と説明。「それぞれの家族が家の中で信仰活動を続け、神との強いきずなを保ち続けています… 迫害がどれだけひどくなっても、私たちの主への信仰を打ち壊すことはできないのです」と語った。家庭集会には、司祭たちも来て、若者たちに教会の教えを説き、信仰を強めてくれている、という。

 中国では今、習近平政権が宗教を政府・共産党の支配下に置こうとする動きを強める中で、若者世代が、家族が代々保ち続けてきたキリスト教から締め出される恐れが強まっている。河南省では最近、未成年者が宗教を学ぶ集まりに参加することを禁止する通達を出すなど、圧力を一段と強化した。

 ある報道によれば、高齢の村民たちが信仰を捨てなければ、年金など社会保障を受けられなくする、と脅され、いくつかの地方では、公務員や教員が、教会での礼拝に参加するのを止めなければ、彼らの家族がさまざまな処罰を受ける、と脅されている、と訴えている。

 またある最新の報道では、いくつかの地方のプロテスタント教会が建物に立てた十字架を壊され、河南省安陽市の司教座聖堂は十字架を取り外し、代わりに、愛国者の印として中国国旗を掲げるよう命じられた。さらに、規制当局は、その聖堂の司教と司祭たちに、小教区がどこで宗教的な印刷物を入手しているか申告するように強要、複数の教会が、宗教的なポスターなど印刷物の掲示を取りやめるよう命じられた、という。

 こうした政府・共産党の締め付けの強化に対して、河南省商丘市のある女性信者は、キリスト教会共同体は今、信仰を自分の子供たちに伝える責任を負わねばない、それを隠れた形でやるしか、他に選択肢がないと感じている、としている。「中国ではそれが一般的な流れになってきており、それを止める手段はありません」。

 政府非公認の”地下教会”のある男性信者は、子供のころ起きた文化大革命(1966-76)の時の宗教弾圧を思い起こしながら、「今は当時の状態に戻っていくように見えます。私たちの子供も、同じ経験をしなければならないでしょう」「でも、過去の歴史を見ても、迫害は教会を強くし、信徒たちの信仰を強めるだけ。外からの打撃で、人の内なる信仰を壊すことはできません」と強調する。

 河南省西部の教区で働いている司祭は ucanews.comの取材に、教会の入り口に未成年者立ち入りの掲示をすることを拒否したところ、当局が赤いペンキで✖印を書いていった、そして、教会に未成年者が入らないように公安が見張っている、と説明。「今は、親たちが、一時的に重荷を背負い、子供たちを信仰に導かねばなりません」と語っている。

(「La Crox とucanews.comの報道をもとに、「カトリック・あい」が編集しました)

2018年9月10日

・ソウルで、アジアの教会指導者も参加して「平和分かち合いフォーラム」-日本の教会は?

(2018.9.8 「カトリック・あい」)

 ソウル平和民族分かち合い研究所主催によるカトリック・ソウル大司教区国民和解委員会「2018年平和分かち合いフォーラム」が1日から4日にかけ、韓国・ソウルで開かれた。

 今年で3回目を迎えるフォーラムには、国外から、アジア司教連合会長のオズワルド・グラシアス=インド・ムンバイ大司教、国際カリタス議長のルイス・タグレ=フィリピン・マニラ大司教、チャールズ・マウン・ボー=ミヤンマー・ヤンゴン大司教の各枢機卿、セバスチャン・フランシス・ショー=パキスタン・ラホール大司教など、アジア各国から教会リーダーが招待され、貧困と差別の環境の中で愛と正義を実現し、迫害の中で和解と平和を達成するためのアジアのカトリック教会の努力を共有する場となった

  31 日の前夜祭で幕を開けたフォーラムは、9月1日の人間の尊厳と平和韓半島の道」をテーマとした本会議で、ソウル大司教のヨム・スジョン枢機卿が基調演説を行い、「2014 年に訪韓された教皇フランシスコは、民族の和解と一致のために祈りと対話、対北朝鮮人道支援に一層努力するよう励まされました。その努力の一環として、ソウル大教区は祈りの運動、世界青年平和巡礼、そして今回のフォーラムを開催しました」とし、「今回の会合がアジアにおける人間化、福音化のための教会の連帯と協力の場になることを期待します」と語った。

 続いて開かれた「人間らしい生活をテーマにした第1-2 のセッションでは、アジア各国の教会指導者たちが、貧困と差別の環境の中で愛と正義を実現して迫害の中で和解と平和を達成するための各国教会の取り組みを紹介した。

 さらに「共に生きる」「平和な暮らしをテーマにした第3-4 セッションでは、この分野の学者や専門家活動家が、人間の尊厳が保障される真の平和を作るために、国際社会と教会がどのような役割をすべきかを議論

  日は「ともに見る平和の夢をテーマに、各国の教会指導者が対立と葛藤の現場で、教会が平和と人権を拡大しキリストの精神を実践するためにどのように努力してきたのか、朝鮮半島での経験から得た教訓と共有できるものは何か-について特別対談が行われた。

 また、4日には、海外から参加したグラシアス、ボー両枢機卿とショー大司教が南北朝鮮国境の板門店を訪問、南北首脳が同地で会談し、記念植樹した場所などを見て回った。夕には、参加者全員で民族の和解と一致のためのミサを捧げ、半島の平和のためアジアの教会全体の願いを込めて祈った。

・・・・・・・

 また、9.7付けのucanewsによれば、今回のフォーラムの一連の会議で取り上げられた問題は、ミヤンマーからバングラデシュに脱出する大量のロヒンギア・イスラム教徒難民の問題から、パキスタンにおける過激派宗教集団による暴力、朝鮮半島の和平の動きまで、現在起きている多岐の問題にわたり、とくに不利な立場に置かれている少数派の差別、対立をなくすにはどのような努力が出来るか、について議論が集中した。

 パキスタンのショー大司教は、国内で起きている異宗派や少数派に対して振るわれている暴力、イスラム教徒が国民の大部分を占める同国で何十年にもわたって繰り返されているキリスト教徒迫害、教会放火、最近でも4月にキリスト教徒の家族4人がイスラム武装集団に殺害されたことなど、現状を説明しつつ、教会が、平和を作り、人々を癒す存在として、宗教間対話を推進し、少数派を守る社会の実現に努めている、と説明。

 インドのグラシアス枢機卿はこれを受ける形で、「平和は、すべての人と国が追求すべき普遍的な価値を持つ…イエスの弟子として、私たちは、私たちの社会に秩序を取り戻すために橋を架け、調停者として働く必要がある」と述べた。フィリピンのタグレ枢機卿は、平和は人間の尊厳に対する大きな敬意を伴うもの、と指摘し、「このような視点で、(人と人、国と国の)関係構築が極めて重要になります。『私はあなたを必要としない』と言ったら、戦争になってしまう。真の平和を作るために、私たちは忍耐強く、赦しの姿勢を持たねばなりません」と強調した。

 民主政府成立後も軍部のイスラム教徒少数派への弾圧など強権政治が正されないミヤンマーのボー枢機卿は「キリスト教徒は、平和のために声を上げるのを、恐れるべきではない」とし、「弱く、傷つきやすい人々の代弁者として、キリスト教共同体は、不都合な真実を明らかにする必要がある…。持続可能な平和のために、私たちは人々の人間的な尊厳を守り、社会の不正と不合理を無くすために戦わねばならないのです」と訴えた。

  (写真はカトリック・ソウル大司教区国民和解委員会)

(以上の記事は、ソウル大司教区広報委員会の発表と、ucanewsの9月7日付けの報道をもとに、「カトリック・あい」が編集しました)

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「カトリック・あい」評論:韓国のカトリック教会が、アジア地域の平和のために、各国教会指導者の連帯と協調の場を作っているのに、日本のカトリック教会はそうした地域平和のための主導的役割を果たすどころか、この隣国で行われたフォーラムでも存在が伝えられていない。

 少なくとも報道されていない。日本の教会関係者の中には、「教会法では一国の司教団が他国の問題に口出すようなことを禁じている」との説明もあるようだが、その根拠としていると思われる教会法459条では「司教協議会の関係、とくに隣接する司教協議会との関係は、より大きな善(the greater good)を推進し、保護するように、育てられねばならない」としているだけだ。

 現在のような、国境を越えたテロ、暴力、迫害、宗教弾圧などが深刻化している世界で、他国の、他地域の、人々、教会、信徒が危機に瀕している時に、「他国のことだから」といって、ひたすら”干渉”と見られるのを避け、何もしないのが、「the greater good」なのだろうか。お互いの抱えている問題を率直に分かち合い、互いに助言し、人権の保護と平和な社会実現へ可能な分野で協力し合うことこそ、「the greater good」であると思う。今回のフォーラム開催もその第一歩だろう。

 生半可な政治・社会の現状認識のもとに、内外の環境が激変する現在もなお、十年一日のごとく「反憲法改正」「反現政権」など政治問題に踏み込み、実現可能な具体的対案もなく、それが教会の総意であるかのように叫ぶ方が、よほど、”greater good”とかけ離れているように思われるが、どうだろうか。

 

2018年9月8日

・中国、「新植民地主義」に反論-アフリカ投資に慎重姿勢もバラマキ外交継続(産経、NW)

 【北京=西見由章】経済支援をテコにアフリカで影響力を強める中国に対し、欧米メディアでは「新植民地主義」と批判する動きが広がっている。習近平指導部もこうした国際世論を警戒しており、北京で開催された今回の「中国アフリカ協力フォーラム」では中国側の反論が目立った。

 「アフリカで植民統治をしてきた国が、厚顔無恥にも中国を悪くいっている」。ボツワナのマシシ大統領は3日放送された中国国営中央テレビ(CCTV)の単独インタビューで、中国側のいらだちを代弁してみせた。

念頭にあるのは、償還が困難な負債を抱えた途上国が中国の政治・軍事的な要求に応じざるを得なくなる「債務のわな」との批判だ。

中国の巨大経済圏構想「一帯一路」事業をめぐっては、大型インフラを整備したアジア・アフリカなどの発展途上国が過剰債務を抱える問題が顕在化している。中国主導で全長480キロの鉄道を建設したケニアは、全債務のうち7割を中国が占めるとされる。

中国マネーに依存させ、事実上の植民地化を進めているとの批判に対し、習氏は開幕式の演説で、アフリカへの支援について「いかなる政治条件もつけない」「政治的私利を図ることはない」とことさら強調。「中国とアフリカの協力の善しあしは、その人民に発言権がある」と牽制した。

ただアフリカなどの一部の途上国で政府債務が顕著に膨らんでいる事態は中国にとっても無視できないリスク要因だ。習氏は演説で新たな600億ドル(約6兆6千億円)の支援に加えて、「最貧国」などの一部債務を免除する姿勢も示した。2013年にピークの34億ドルだったアフリカへの直接投資は昨年31億ドルと高水準を維持しながらも鈍化傾向をみせており、中国側の慎重な姿勢もうかがわせる。

中国アフリカ協力フォーラムで世界制覇を狙う──後押ししたのはトランプの一言

2018年9月4日(ニューズウイーク電子版) 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
 9月3~4日、アフリカ53カ国が出席して北京で中国アフリカ協力フォーラムが開催された。まるで「新国連」を形成したような勢いである。結束力を高めたのはトランプの一言だ。日本がどんなに拠出額で対抗しても勝てない。

まるで「新国連」を立ち上げたような勢い

9月3日に北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラムは、まるで習近平国家主席が宗主国となって、中国が頂点に立つ異形の「新国連」を設立したような勢いだった。中国と国交を結んでいない唯一の国、エスワティニ(旧称:スワジランド)を除いたアフリカ53ヵ国の首脳らが人民大会堂を埋め尽くしたその姿は、「圧巻」という印象を参加者に与えたにちがいない。

すっかり中国に取り込まれている国連のグテーレス事務総長が習近平を絶賛する形でアフリカ53ヵ国に呼びかける演出も、「異形の新国連」を彷彿とさせた。

特に体型的に堂々たる巨漢ぞろいのアフリカ諸国の首脳たちが座る座席は、中国で毎年開催される全人代(全国人民代表大会)の時の着座間隔と違い、3人に1人くらいの幅を持たせている。前後にも何割増しかの奥行きがある。ふんぞり返るのに十分だ。さながら王座に座っているような感を与える。

「いま新しい世界が開けた」と習近平は挨拶で述べたが、それは絵空事ではないという危機感を覚えた。習近平はアメリカの「一国主義」に対抗して「多国間の自由な貿易」を呼びかけている。アフリカ53カ国が中国側に付けば、国際社会における発言権も違い、世界制覇も夢ではない。

アフリカへの拠出資金も今年は600億米ドル(約6兆6000億円)。この数値を習近平が口にした時には、すべての列席者の目が輝き、どよめきが起きた。拍手が最も大きかったのは、習近平が「中国アフリカの団結を誰も破壊できない!中国アフリカは運命共同体だ!」と叫んだ時だった。

トランプの一言「くそったれ国家!」がアフリカ諸国の背中を押した

トランプ大統領は今年1月11日、ホワイトハウスで移民制度について議員らと協議した際「くそったれ国家(shithole countries)から、なぜ多くの人がここに来るのか」などと侮辱する言葉を使い、アフリカ諸国やカリブ海の島国ハイチから来る移民の多さに不満を示した。アメリカのメディアが出席者の話として伝えた。

トランプは翌日、「これは私が使った言葉ではない」とツイッターで否定したが、しかし一方では、「アフリカなどではなく、ノルウェーのような国からもっと人を招くべきだ」と指摘したとされ、明らかに「白人は歓迎するが、黒人は歓迎しない」と明言したことは否めない。

 トランプのこの「くそったれ国家」発言に対して全アフリカ諸国54カ国の国連大使が緊急会合を開催して、1月12日、「常軌を逸した人種差別的な発言だ!」と非難し、謝罪を求める共同声明を発表した。また、アフリカ連合(AU)の報道官は「くそったれ国家」発言について、「多くのアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れて行かれたという歴史的事実に照らせば、到底受け入れられるものではない」として在米のアフリカ系住民にも抗議活動を呼びかけた。

 全米各地でも抗議デモが起きたが、アメリカとアフリカ以外の国で、これを「チャンス」とばかりに大きく取り上げたのが、ほかならぬ習近平なのである。

だからこそ習近平は9月3日の中国アフリカ協力フォーラムの開会挨拶で、「アフリカ諸国の皆さんは、中国の永遠の友人だ。私は皆さまとの友情を大切にしたい。この熱い団結を誰も破壊することはできない!」と呼びかけたときには、拍手が鳴りやまず、挨拶が終わると、3000人を超える着席者が立ち上がりスタンディング・オベーションが広い会場を揺り動かした。こうして、習近平はアフリカを自らの傘下に収めることに成功したのである。

習近平を始めとした新チャイナ・セブン(中共中央政治局常務委員7人)の全てと王岐山国家副主席が出席したことからも、習近平が如何にこのフォーラムを重視しているかがうかがわれる。

「新植民地主義ではない」と自ら否定した習近平

習近平は開会挨拶の中で、自ら「世間では中国の善意を新植民地主義と非難する声があるのを知っている。しかし中国には決してそのような意図はなく、返済能力に見合った貸付しかしないし、そもそも拠出金600億ドルのうちの150億ドル(約1兆7000憶円)は無償援助と無利子借款である」として、中国による援助で途上国が債務返済に苦しむということはないと主張した。

南アフリカのラマポーザ大統領も「中国を中傷しようとしている者たちが唱えるような新植民地主義がアフリカに広がりつつあるという見方には賛成できない」と挨拶で述べ、国連のグテーレスも「中国がいかに開放的で、開発途上国のために貢献しているか」と絶賛はしたが、果たしてそうだろうか。

新植民地政策であることは、随所で垣間見られるが……。

ジブチにアフリカ最大の国際自由貿易区

たとえば、中国は東アフリカのジブチにアフリカ最大の自由貿易区を創っている。世界屈指の活発な交易ルート上に位置する戦略的要衝という利点を活用し、世界の貿易・物流ハブとなることを目指す。7月5日に落成式を執り行ったが、中央テレビ局CCTVは、毎日のようにジブチと中国の結びつきの重要性をがなり立てるように報道している。

ジブチは「アフリカの角」と呼ばれるように、スエズ運河の南方で紅海の入り口にあり、角のように飛び出している形をした国だ。国際自由貿易区は総面積48平方キロメートルで、アフリカでは最大だ。落成式の時点では、まだ240万平方メートルしか完成していないが、10年後には完成する計画で工事が着々と進んでいる。

中国にとっては「一帯一路」大経済圏を結ぶ要衝となっており、ジブチには中国の海外軍事基地もある。そこには「五星紅旗」が晴れがましく翻っているではないか。

これでも「新植民地主義ではない」と主張する気だろうか。それには無理があろう。

世界制覇を目指す中国にすり寄る日本

ここまでの危機的状況が目前に迫っているというのに、安倍政権はその中国にすり寄ることに熱心だ。まるで習近平に会えることが「勲章」であるかのごとく位置付けている。

トランプの「くそったれ国家」発言で、アフリカ諸国をしっかりと「我が物」にしてしまった習近平は、それを意識してかアフリカ諸国の首脳らの前で、いやに低姿勢を演出している。全人代の時のような傲慢な表情もすっかり影を潜め、終始穏やかな笑みを浮かべるという演技まで絶やさない。

片や日本。安倍首相は「ドナルドと100%共にいる」とトランプ側に立ちながら、2016年にアフリカ諸国に300億ドルを拠出するとした。しかしアフリカ諸国が結束して反対しているトランプ側に立ち、中国の半額しか出さないとなると、どんなに日本国民の血税を注いだところで、アフリカ諸国は日本側を向きはしない。アフリカ諸国は漁夫の利を得てホクホクだろうが、長期的視点に立つならば、日本はここで中国にすり寄るのが賢明な戦略なのか否かを考えなければなるまい。

それよりも、本当に「ドナルドと100%共にいる」のならば、ドナルド・トランプに「日米に不利益を招く発言を控えるよう」アドバイスすべきだし、また対中包囲網を形成して何とか中国の一党支配体制と世界制覇を打ち砕こうとしている「ドナルドと100%共にいるべき」ではないのか。

なぜ、中国の世界制覇に手を貸すような矛盾する行動をとるのだろう。日本には確固たる対中戦略が存在するのか、そして安倍首相は本気で「ドナルドと100%共にいる」気はあるのか、ないのか、なんとも歯痒いのである。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

2018年9月7日

・バチカン福音宣教省が新求道共同体神学院の東京への設立を”強行”+関係資料

(2018.9.2 「カトリック・あい」)(改定)

 教皇庁福音宣教省が、「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の司祭を養成する神学院を東京を本拠地として設立、同省による直轄運営とすることが、このほど明らかになった。東京教区の菊地大司教が8月24日付けで、小教区に送った文書で説明したものだ。

 ネオカテクーメナートは1964年にスペイン人信徒、キコ・アルグエイオによって始まった運動。キコは、ジプシーやマドリッドの社会から疎外された人々を対象に、片手にギター、片手に聖書をもって福音宣教を開始。多くの司祭や修道者たちの賛同を得て「共同体」として発展、現在は1万を越える「共同体」が世界各地に存在すると言われる。だが、典礼その他で創始者や共同体の方針、指導を優先する傾向もみられ、英ランカスター教区でそのミサ典礼に規制をかける動きなども出ている。

 ⇒ネオカテクーメナートの特徴とされているのは、小教区の信徒の信仰養成、信仰生活の刷新を基本目的とし、週に二回定期的な集会、聖書の勉強と黙想、分かち合い、土曜日の夜は共同体のための感謝の祭儀(ミサ)を行うこと。聖書解釈には原理主義的な傾きがあり、過度に禁欲的、一般社会から閉鎖的、信徒の義務(たとえば、収入の十分の一の月定献金の義務)に関して厳格、などの指摘もある。個人の内的な改心にアクセントを置くあまり、社会に開かれた実践的信仰に消極的、何事においても創始者や新求道共同体の方針や指導を優先する傾向が強く、地域の教会の宜教司牧の方針に耳を傾け、心を開いて、積極的に協力しようとする姿勢は乏しい、ともいわれる。主任司祭が新求道共同体のメンバーであり、その祭儀を小教区のミサとして位置づける時は、それについていけない一般信徒にとって苦痛となる。それは小教区の分裂をおこす引き金になりうる。事実、典礼がもとで 新求道共同体と主任司祭を含めた小教区共同体と対立してしまったケースは、世界のいくつかの小教区でみられる。

 日本では、ネオカテクーメナートの神学院が高松教区に設立されていたが、小教区に派遣されたネオカテクーメナート共同体の司祭たちが、独自の司牧を展開し、信徒たちの間に深刻な分裂をもたらした結果、日本の司教団が閉鎖を求め、2009年に閉鎖された。

 閉鎖を求めた理由として当時説明されたのは「現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題」「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」「権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」ということだった、と報道されている。

 さらに、日本の司教団は、ネオカテクーメナートの責任者に対し、活動を5年間停止して、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とし、「5年経過した後に、司教側はネオカテクーメナートと問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るな、と言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」としていた。

 だが、このような求めに対して、当事者であるネオカテクーメナートの責任者やバチカンの福音宣教省から、誠意のある説明が日本の司教団にあった、あるいは突っ込んだ話し合いがされた、とは伝えられていない。そうした中での、一方的ともいえる神学院の再設置は、自身がこの共同体のメンバーと言われる、福音宣教省長官の一方的な”強行”と見られてもしかたがない。

 日本の司教団は今年2月、これまで全国一本だった司祭養成の体制を、東京、福岡2キャンパスからなる一つの「日本カトリック神学院」によるものから、「東京、福岡の二つ東京、大阪両教会管区11教区、長崎教会管区5教区)諸教区共立神学校」という別々の二つの司祭養成の体制に変更することを決め、司祭養成は事実上の「分裂」状態になろうとしている。その中での、バチカン福音宣教省直轄の神学院設立という今回の事態で、小さな日本のカトリック教会共同体は、司祭養成という極めて重要な分野で、三つの体制が乱立し、「日本の一つの教会」の理想からかけ離れ、さらなる危機を迎える可能性がある。

 これまで、日本社会や周辺国で起きている「不都合な現実」から目をそらし、反憲法改正、反安保、現政権の政策非難など、本来の教会の主要な責務から外れた”安全”な行為に終始してきたともいえる日本の司教団が、今回の日本の教会の将来にかかわる重大な試練にどう対応するのか、”真価”が問われている。

関係資料①

福音宣教省直轄の「Redemptoris Mater」神学院設立についてカトリック東京大司教区の皆様へお知らせ

 主の平和

 教皇庁福音宣教省は、このたび、アジアにおける福音宣教のため、「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の司祭を養成する「アジアのためのレデンプトーリス・マーテル神学院」を、東京を本拠地として設立され、同省の直轄運営とすることを決定されました。私宛に福音宣教省長官フェルナンド・フィローニ枢機卿から書簡をもって通知がありましたので、東京大司教区の皆様にお知らせいたします。

 私が7月末日に受領した福音宣教省長官からの書簡によれば、福音宣教省はアジアにおける福音宣教の重要性を説く歴代教皇の示唆に学び、同神学院の設立を決定されたとのことです。残念ながら私は、同神学院の設立検討のプロセスに関わっていないため、東京における実際の設立の場所や規模、養成開始時期など、具体的な事項に関して、現時点でお知らせできる情報はこれ以上ありません。

 なお同神学院は教皇庁福音宣教省が直接運営にあたる直轄事業ですので、宗教法人カトリック東京大司教区が行う活動の一環ではありません。

 教皇様のアジアにおける福音宣教への熱意が、よりふさわしい形で具体化されるよう、聖霊の導きを心から祈っております。

                               2018年8月24日 カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

(教区事務局から各小教区に、8月24日にファックスで送信した内容を転載しました)

関係資料②(コラムから再掲)

「フィローニ枢機卿が読み上げた親書の気になる点は」

*「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」を示唆する言及

  この度、福音宣教省の長官フィローニ枢機卿が、来日し、一週間の日程で東京、長崎、大阪、仙台と司牧訪問し、9月24日、離日した。

 日本のカトリック教会は、宣教国として福音宣教省の監督下にあり、日本の各教区の司教人事も、福音宣教省で検討されているので、長官は、ある意味で、日本のカトリック教会の上司とも言える。その上司が、日本の到着早々、その日の夕刻、ヴァチカン大使館で、迎えに出た日本の9人の司教たちの前で、教皇からの親書を読み上げたのである。

 その親書は、日本の社会の問題点を的確に分析、指摘しており、その内容に敬意を示すことに私はやぶさかではないのだが、後半の部分で気になるものがあった。それは、新しい運動体に言及し、その働きを高く評価し、それを受け入れるように、日本の司教たちに暗黙の内に指示しているような印象を与えていたからである。

 「最後に聖座が承認している教会運動について話したいと思います。これらの運動の福音宣教熱とそのあかしは、司牧活動や人々への宣教においても助けとなりえます(中略)これらの運動にかかわりをもつ司祭や修道者も少なくありません。彼らもまた、神がそれぞれの宣教使命を十全に生きるよう招いている神の民の一員です。これらの運動は福音宣教活動に寄与します。私たちは司教としてこれらの運動のカリスマを知り、同伴し、全体的な司牧活動の中でのわたしたちの働きへ参与するよう導くように招かれています」。

 その文言が私の心にひっかかってしまったのは、フィローニ枢機卿が「新求道共同体の道(ネオカテクーメナート)」の熱心な信奉者・擁護者としてとして、良く知られていたからである。

  恐らく、そこに居合わせた司教たちも、私と同じように、その文言から、四国から去って行かざるを得なかったネオ・カテクーメナートに言及している、と受け取ったに違いないと思うのである。日本のカトリック教会は、運動体に比較的開放的である。しかし、日本のカトリック教会は、新しい運動体に対して決して閉鎖的でなかったことは、事実である。

  過去を振り返ってみれば明らかなように、ヴィンセンシオパウロ会、レジオマリア、クルシリヨ、聖霊運動、フォコラーレ、聖エジディオ共同体、エンマヌエル共同体などなど、数多くの運動体が日本に入ってきて、それなりの活動を展開してきているのである。個人的には、司教たちにも、それぞれの運動体に対しては好き嫌いという個人的な好みがあるかも知れない。しかし、そうした活動団体がそれぞれの会の精神に沿って主体的に活動することに関しては、日本の司教たちは、細かく干渉したり、否定的に介入したりしたという事実は、これまでなかったことは確かである。また気になる点があっても、ほとんどの司教たちは見て見ぬ振りをして、寛容に振る舞ってきているのである。

 むしろ、小教区の指導や活動では物足りない信者たちが、そうした運動体に触れ、生き生きとし、活気づけられ、キリスト者として熱心に生きている姿を見て、喜び、歓迎していた、とも言えるのである。

*しかし、ネオ・カテクーメナートに対しては・・・!!

 日本の司教たちの多くが拒絶反応を示した運動体は、私の知る限り、唯一ネオ・カテクーメナートだけである。司教たちが、高松教区に設立されていたネオ・カテクーメナートの神学院に否定的な断を下し、閉院を求め、日本から去って行ってもらったことは、紛れもない事実である。

 なぜ、司教たちのほとんどが、ネオ・カテク~メナートの運動に否定的だったのか、その理由の一つは、小教区に派遣されたネオ・カテクーメナート共同体の司祭たちが、独自の司牧を展開し、信徒たちの間に分裂をもたらしてしまったことにある。

 独自な司牧とは、小教区の中で、独自のカテキズムを教え、その実行を求めたり、土曜の午後や復活の大祭日などに自分たちの仲間だけを対象とした独自の形のミサを行ったりして、小教区の中に、もう一つ別の小教区共同体をつくるような結果を招いてしまったのである。

 当然のように、ネオ・カテクーメナート共同体の司祭に従う信者たちと一般の信徒たちの間に軋みが生じ、その分裂の苦情は、早い時期から、司教たちに寄せられるようになってしまっていたのである。

 問題点は、ネオ・カテクメナート共同体の司祭たちが分裂に心を痛めた教区司教たちの指導には従わず、あくまでもネオ・カテク―メナート共同体の精神にそって行動し、その長上たちの指導に従ってしまったことである。

 こうした苦い経験を持つ司教たちが中心になって、ネオ・カテクーメナートに対する反対の声が高まり、一般の教区司祭の間でもネオ・カテクーメナート共同体に対する不信感が拡がって行ってしまったのである。

*ネオ・カテクーメナートの神学院の設立に関しても・・・!!

 当時の高松教区の教区長深掘司教が、ネオ・カテクーメナートの神学院の創設をはかろうとした際に、多くの司教たちは憂慮し、緊急の司教会議を招集し、その是非について議論したのである。

 それまで、日本の司教たちは、教区神学生の養成に関しては、福岡と東京の二つの神学院に任せると言うことに合意し、修道会が、それぞれの会の神学生の養成に固有の神学院を持つことに関しては納得し、認めてきていたのである。

 ネオ・カテクーメナートの神学院の創設に多くの司教たちが否定的だったのは、その神学院が、小教区で働く司祭の養成を目指したものであったからである。したがって、高松教区内に新たな神学院設立することは、司教たちの間にあった合意に背くことだったのである。

 将来日本の小教区で司牧することを目指したものであるならば、福岡か東京の神学院で学べば良いはずである。そうすれば、司祭になってからともに働くことになる日本人の神学生たちとも交わり、日本人の固有な感性や伝統・風習などを身につけていくことも出来るはずである。司教たちの何人かは、そのように説得を試みたのだが、ネオ・カテクメナートは、それを拒み、独自に養成に拘ったのである。

 また、教区内に神学院を設立することは、教会法上は、あくまでも教区長の権限に属するため、ほとんどの司教たちが反対であるにもかかわらず、高松教区長は設立に踏み切ってしまったのである。

 そして、その神学院を卒業し、高松教区内の各小教区に派遣された司祭たちが、その小教区の中に分裂を引き起こし、社会問題として一般紙にも取り上げられるようなってしまい、多くの一般信徒の心に深い傷を与えてしまったことから、司教たちが心配し、改めて話し合い、バチカンに訴えたりなどして、ようやっとその閉鎖に辿り着いて、今になっているのである。

*なぜ、高松教区の教区長が、設立に踏み切ったのか・・・?

 なぜ、当時の高松教区の教区長がネオ・カテク~メナートの神学院の設立に踏み切ったのか、同情すべき理由はある。それは、召命不足、司祭不足だったのである。実に、長年にわたって、高松教区には、召命がなく、司教は、活動出来る司祭の不足に苦しんでいたのである。

 教区長は、近隣の教区に事情を訴え、司祭の派遣を求めたが、どの教区にも余裕がなく、最後に溺れる者が藁をもつかむような思いで、ネオ・カテクーメナートからの司祭の派遣と神学院の設立の申し出に、飛びついたと言う事情があったのである。

*結び

  司祭の召命の不足、そして司祭の高齢化は、高松教区だけでなく、すべての教区に共通する深刻な問題である。その問題に、他の誰よりも頭を抱え悩んでいるのは、司教たちであることはいうまでもないことであるが、それは、司教たちだけではなく、すべての信者が真剣に考えていかなければならない重大な問題なのである。

 それを、目先の解決に飛びついて、安易に解決しようとすると、同じ轍を踏むことになる。同じような過ちを繰り返さないためには、拙速は避けつつ、日本のカトリック全体で考えて行くべきことである。私の個人的な願望だが、第一回全国福音宣教推進会議(ナイス)のような、日本のカトリック教会のこれからのありようを考える場を、再び開催できたら・・・と思うのだが、無理なことだろうか。

(森一弘=もり・かずひろ=司教・真生会館理事長)(2017.9.29付けで「コラム・森司教のひとこと」に掲載した内容を再掲しました)

関係資料③・・「カトリック・あい」作成

「英ランカスター司教、『新求道共同体への道(ネオ・カテクーメナート)』の典礼に規制」

 (2017年6月13日CJC)英カトリック教会ランカスター教区のマイケル・キャンベル司教は6日、運動体「新求道共同体への道(ネオ・カテクーメナート)」に対する典礼規範を発表した。同団体の活動に対する「懸念が増大している」ためという。カトリック・ヘラルド紙が報じた。キャンベル司教の発表は、ミサは教会、聖堂の祭壇だけで行われるべきであり、信徒は聖体を受けたら「遅滞なく」食すべきだというもので、7月1日から実施するという。

 今回の指示は、ネオ・カテクーメナートで行われている「信徒がすべて聖体を受けてから食す」という独自の方法に関するもの。キャンベル司教は「司祭たちはそれぞれの小教区(各個教会)で行われる特別な典礼に制限を加える権限がある」としているが、新求道共同体側は「このような規制が行われるのは、完全に驚き。実施方法やその理由について説明させてほしい、と司教に要請しているのに」と反発している。

関係資料③・・「カトリック・あい」作成

 「日本司教訪問団、『新求道共同体への道(ネオ・カテクーメナート)』に5年間の活動中止を要請」  

 (2010年12月20日 CJC=東京)日本カトリック司教協議会のバチカン訪問団は、「問題」続きの年月だったとして、「新求道共同体への道(ネオ・カテクーメナート)」に今後5年間、活動を中止するよう要請した。高見三明・長崎大司教が長崎から電話でカトリック通信CNAに12月15日語ったところでは、司教側の提案は共同体のキコ・アルグエリヨ創設者に直接行なったが、受け入れられなかった。教皇ベネディクト16世は、司教側の計画に満足していないと見られる。ただバチカンも共同体当局者も会談や提案について公式なコメントは出していない。

 ローマのレデンプトリス・マーテル神学校副校長のアンゲル・ルイス・ロメロ神父は、CNA通信に、自身も主任の平山高明司教も、現段階で意見を明らかにするのが賢明とは思っていない、と語っている。ロメロ神父は、日本神学校プログラムに登録している学生は21人。ローマに移籍以来、日本人とイタリア人の2人が司祭に叙階され、現在ローマで活動中と語った。

 高松の神学校閉鎖の際、バチカンは共同体が日本で活動を継続する際の管理方法を決定するため司教団と協力する教皇代理を任命した。当時、バチカンは、神学校が将来、「日本の福音化のために最も適当と見られる方向で貢献を続けられるよう」との「信頼」を表明していた。しかし高見大司教は、問題解決は難しいと見ている。共同体は「長年の間、高松教区で問題を数多く引き起こしてきた」と言う。大司教は、ネオ・カテクーメナートのある司祭との経験や、他の司教からの同様な問題に対する聞き取りで、自分の教区では共同体の宣教を許可しないことに決めたと語った。

 共同体の司祭は、現地の司教と東京にいる上長の双方に従属することが、大きな問題だ、と大司教は説明する。「彼らは、活動している教区の司教に従いたいとは言うものの、それを全く実行していない。とにかく十分でも正当な方法でもない」と言う。問題は、権威に関することだけでなく、行なわれるミサの方法にもある。共同体の司祭は、ミサで日本語を使うが聖歌などは異なる。「彼らは全てキコ創設者の霊性に従うが、それは私たちの文化は心情からは全くかけ離れている」と高見大司教。

 さらに、教区司祭が執行するミサを「不完全」として、ネオ・カテクーメナートのメンバーが自分たちのミサを優れたものとして推進しており、これも教区内に分裂をもたらした、と言う。財務面の問題もある。共同体は財務を教区から独立させており、官庁への収支報告を困難なものにし、また教区の力を削いでもいる

 司教側は、ネオ・カテクーメナートの日本でのあり方に指針を設ける方法を探っている。高見大司教は、今回の教皇と司教団との会談で何が討議されたか正確に把握してはいないが、「日本の全司教が今回の会談に深い関心を寄せていることは確か」と言う。大司教は、日本の司教がネオ・カテクーメナートの日本における将来について教皇の決定に従おうとしていることでは結束していることを強調した。

 高見大司教は、キコ創設者に出した提案が、ネオ・カテクーメナートの活動5年間停止と、その期間を「日本における活動を反省するためのもの」とすること、と言う。「5年経過した後に、司教側はネオ・カテクーメナートと問題の議論を始めたい。私たちは、彼らに立ち去って、二度と戻るな、と言いたいのでは決してない。望ましい形で活動して欲しい。日本語と特に日本文化を学んでほしいのだ」と語った。

 (なお、高松にあった「高松教区立国際宣教神学院」は2009年3月31日付で閉鎖、と当時、報道されている「カトリック・あい」)

(2017.9.29付けで「コラム・森司教のひとこと」に掲載した内容を再掲しました。また当該団体の表記を新求道共同体への道(ネオ・カテクーメナート)』に統一しました。(「カトリック・あい」)