・若いリーダーを育てる必要性を確認-日韓司教交流会で

日韓司教交流会@議政府教区(2018.11.17 菊地東京大司教の「司教の日記」より)

 第24回目となる日本と韓国の司教団の交流会が今年は韓国のソウルの北にある議政府教区(ウィジョンブ)にある「ハンマウム(一つの心)」青少年センターで13日から15日まで開かれました。Nikkan1805

 毎年交互にそれぞれの国を訪れ、お隣同士の教会が互いに抱える福音宣教の課題について、学び、分かち合い、さらに相互の理解を深めるために行われており、今年は「青少年たちの現実と司牧の展望」と題して勉強会が行われました。ちょうど青少年をテーマにしたシノドスが開催され、そこに参加した司教が日本にも韓国にもいることから、時宜に適ったテーマとなりました。

 日本と韓国には同じ数の16の教区がありますが(韓国は15教区と軍教区で16)、教会の規模は韓国の方が遙かに大きいので、補佐司教の数も多く、参加者は日本から全員の18名(引退された郡山司教も参加)、韓国から24名(ベネディクト会大修院長を含む)となりました。

 初日には駐韓教皇大使のシュエレブ大司教も参加され、ご挨拶をいただきました。大使は数年前まで、教皇様の個人秘書を務めておられた方です。

 初日には韓国と日本、それぞれの青年たちの主張と希望をまとめたビデオも上映され、さらに二日目には韓国科学技術情報研究院のパク・ヨンソ博士が、「第四次産業革命時代のAIと将来の展望」と題して、めまぐるしい科学技術の発展と、これからのAI時代の見通しについてお話しくださいました。

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 また二日目午後には、信徒が先導した韓国カトリック教会の発祥の地でもあるマジェの聖地を訪問し、聖堂でミサをささげることもできました。またここでは、著名な両腕を失っている義手の芸術家による即興の水墨画作成の披露もありました。

 規模を違うとはいえ、日本でも韓国でも教会における青少年との関わりには共通の課題も多く、また技術革新が激しく進む中で、私を含め高齢者の多い教会の指導層は肝心のコミュニケーションから取り残されているようなところもあり、これからの時代の新しい若いリーダーたちを見いだし育てていくことの重要性も、互いに確認しました。

 来年の記念すべき25回目の交流会は、日本で開催されますが、会場は未定です。

2018年11月18日

・国連委、北朝鮮の拉致など人権侵害を非難する決議を採択、中国は(日経)

 (2018.11.16 日本経済新聞)【ニューヨーク=平野麻理子】国連総会で人権問題を扱う第3委員会は15日、日本と欧州連合(EU)が提出した北朝鮮による人権侵害を非難する決議を採択した。決議の採択は14年連続。今年の決議案では「拉致被害者やその家族の長年にわたる苦しみ」と明記し、全ての拉致被害者の早期帰還を求めた。北朝鮮や中国、ロシアなどは決議に加わらなかった。

 前年に続いて、無投票で合意による採択となった。12月中旬に国連総会本会議で正式に採択される見通し。

 北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は「金正恩(キム・ジョンウン)委員長のおかげで全国民が完全に自由と権利を享受している」と主張。日本は従軍慰安婦問題などを解決していない「犯罪国家」だと非難し、採択前に退席した。

 別所浩郎国連大使は委員会でのスピーチで「日本の拉致被害者と家族は高齢化している」と指摘。「この問題の緊急性を強調し、全ての被害者の即時帰還を求める」と話した。

2018年11月17日

・浙江省で司教がまた拘束‐暫定合意後も続く中国当局の「地下教会」圧迫

(写真は、当局に拉致された浙江省温州教区の趙注明・司教)

(2018.12.13 ucanews)

 9月のバチカンと中国政府の司教任命に関する暫定合意以来、地方政府・共産党当局による「地下教会」と信徒に対する締め付けがかえって厳しさを増している、との指摘があるが、中国東部の浙江省では今月、温州教区の司教が拘束された。

 アジア地域の有力カトリック系インターネットニュースucanews.comが13日伝えたところによると、温州教区の「地下教会」の責任者、ペトロ趙注明(?)司教が9日、宗教規制当局によって連れ去られた。同司教は55歳、1999年以来、これまで7回にわたり繰り返し拘束されてきた。

 地元の関係者がucanews.comに語ったところによると、同司教は9日朝、楽清市民族・宗教局の係官に連れ去られたが、当局は逮捕の理由を明らかにせず、10日か15日で教区に戻れるだろう、とだけ説明した。

 だが、逮捕は、温州の司祭、信徒たちが、2009年10月に亡くなったヤコブ林錫黎・司教の17回目の司教叙階記念式をしたことと関係がある、との見方が強い、という。

 林司教は、1992年に温州教区の初代司教として、中国政府・共産党の同意を得ずに密かに叙階されていた。記念式は11月4日に楽清市の林司教の墓所で司祭、信徒約500人が参加して行われ、趙司教と3人の司祭がミサを捧げたが、楽清市民族・宗教局の係官が現場で監視しており、ミサが終わった後、趙司教と司祭のうちの1人が係官に呼ばれ、何故それほど多くの信徒が参加したのか、問いただしていた」という。

  この追悼行事は毎年11月の1日から8日まで、温州教区の信徒たちが楽清市の墓所で行われてきたもので、係官の介入は予想されていなかった。中国共産党中央委員会が最近、宗教監察班を同市に派遣したことと関係がある、との見方もある。

 林司教の前回の拘禁は今年1月3日まで半年以上続き、当局は彼に対して、政府・共産党の管理・監督下にある「中国天主教愛国協会」に加盟するよう再三働きかけたが、彼は、同協会がカトリックの教義に反しているとして加盟を拒んできた。浙江省は中国でカトリック教会にとって最も重要な地域であり、約200万人のキリスト教徒がいるとされ、15万人の信徒がいる市は「中国のエルサレム」として知られ、それだけ当局による監視が厳しく、抑圧の対象ともなってきた。

(翻訳・編集:南條俊二)

 

2018年11月15日

・”暫定合意”に希望をかける中国のカトリック教徒もいる、と中国通の修道会前総長(Tablet)

(2018.11.12 Tablet  Tablet  Christopher Lamb)

Chinese Catholics ‘hopeful’ following Vatican deal with Beijing

A Chinese priest celebrates Mass

 バチカンと中国政府の暫定合意を受けた教会の新設許可で、中国のカトリック信徒たちに”希望”が生まれている。

 9月にバチカンと中国政府の間でなされた中国国内での司教任命に関する暫定合意は、話す人によって評価が割れている-いわく、「カトリック教会に、世界最大の人口を抱える国で福音宣教の基盤が与えらえる、素晴らしい外交的な成功」、そしていわく、「お人好しの教皇フランシスコの、中国共産党指導者に対する勇気を欠いた屈服」…

 米有力紙ニューヨークタイムスは先月、陳日君・枢機卿(86)-中国との合意に長い間反対を続けてきた前香港司教-のために一面をさき、暫定合意が「中国における真の教会の絶滅」への一歩だ、という判断について説明の場を提供した。中国共産党内部の派閥の権力闘争が行われる中で複数の司祭が逮捕されたという報道もあった。

 だが、暫定合意の影響を公平に評価するためには、実際に現場で何が起きているのかを知る必要がある。中国という広大で多様な国で正確で信頼できる情報を得るのが困難だ、という前提付きだが。

 現在、香港在住で、台湾と中国本土で布教経験を持ち、中国全土に幅広い情報網をもつケビン・オニール前聖コロンバン会総長がTabletに語ったところでは、彼が接触した人々は、教会が「絶滅」するとは見ておらず、暫定合意はまだされたばかりであるものの、総じて希望を持っている、という。

 彼は最近、教皇に忠誠を誓い、中国政府の監視・統制を拒否する”地下教会”に属しながら、最近、中国政府の指示に従って登録をしたある教区の管理者と連絡を取り合ったが、「その教区では、近年、政府から教会のために5か所の敷地を与えられ、聖堂四つと司牧センター一つを建てた」「近いうちに五つ目の聖堂の建設を始める予定」との説明を受け、これは素晴らしい前進だ、とその管理者は言っていた、という。

 そして、「中国のカトリック信徒たちは、先のバチカンとの合意をどのように実行していくのかについて、当然ながら気にかけています」とオニール師は語った。

 最近中国政府が導入した政策によって、中国全土の教会は目立つ場所に中国国旗を掲げ、さらに習近平国家主席の意向で、教会の門かフェンスにも国旗を掲示するように指示されている。オニール師の友人のような教会指導者たちにとって、この指示は、教会の使命を損なうことなく”シーザーのものはシーザーに”と”神のものは神に”の間の均衡を図るのを難しくしている。例えば、共産党職員が国旗が十分に目立つ場所に立てられているかの点検をする、というようなことだ。

 オニール師は記者に対して、彼が連絡を取った現地教会の指導者は「国旗がはためき、聖堂の前のフェンスに掲示されることで、(注:それと引き換えに)イエスが証しされ宣言された神の統治のよき知らせを分かち合う教会の福音宣教の使命が前に進むことができることを希望している」とし、陳枢機卿は悲観的な展望を語っているが、中国の現場で働いしている彼の友人は「楽観的で希望を持ち続ける必要が、自分たちにはある、と言っていました」と語った。

 中国のカトリック教会について、「愛国、あるいは共産党の教会」と「ローマに忠誠を誓った」地下教会、という言われ方がされているが、彼は「中国に(共産党の)教会というものは存在しない」と言う。

 前教皇のベネディクト16世は2007年に、中国のカトリック信徒たちに手紙を出した。その中で、ベネディクト16世は、教皇の同意を得ずに叙階され、その後に教皇の承認を求め、認められた司教たちがおり、教皇の同意なしに叙階され、その後も教皇の承認を望まず、ローマの権威の外で活動している司教もおり、そして、中国政府の圧力や脅しを受けないように「内密に聖別」を受けた”地下司教”がいる、としたうえで、「内密に、というのは、教会活動の正常な姿ではない」「通常のバチカンの承認なしに司教を叙階する選択肢も含めて、地下教会が秘密に活動する特別の承認を取り消す」とし、そうした措置はもはや必要がない、との判断を下した。

 前教皇は、中国における統一された教会への期待が強く、2007年には、破門された司教たちが「教皇と全司教との霊的交わり」に加われば、「素晴らしい霊的な豊かさが生まれるでしょう」とも述べていた。

 中国のカトリック信徒たちにとっての未来がどうなるにせよ、「ローマの承認を望まなかった司教たちの破門を解除する」という中国政府との合意に署名することで、教皇フランシスコは、ベネディクト16世が2007年に示した希望を満たしたのだ。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

2018年11月14日

・「AI時代の青少年の現実と司牧」日韓カトリック司教団交流会、13日から

(2018.11.12 カトリック・あい)

 韓国カトリック司教協議会の発表によると、同司教協議会(会長:金ヒジュン光州大司教)は、13日から15日までの3日間、同国議政府(ウィジョンブ)教区のハンマウン青少年修練院で、「韓国の教会の青少年の現実と司牧の見通し-AI時代を迎えて」をテーマに、韓日司教交流会を開く。

 教皇フランシスコのリーダーシップのもとに先月1か月にわたって開かれた「若者シノドス」の成果を受けて、両国レベルの取り組みについて理解を深めようとするものだが、積極的な取り組みを進める韓国側に対して、全国的な取り組みさえ定かでない日本側の差は、交流会の予定を見ても歴然としており、交流会で日本の司教団がどこまで”刺激”を受け、今後の対応に役立てることができるか注目される。

 出席を予定するのは、韓国側から廉(ヨム)スジョン枢機卿(ソウル大司教)、司教協議会会長の金ヒジュン大司教など司教23人、日本側から前田万葉枢機卿(大阪大司教)、司教協議会会長の・高見三明大司教(長崎大司教)など司教18人。

 13日午後に金ドンヒ神父(議政府教区青少年司牧局長)が、14日午前に朴ヨンソ博士(前韓国科学技術情報研究院長)がそれぞれ基調講演を予定している。金ドンヒ神父は、自国の教会における青少年教育の変化の過程、議政府教区の青少年司牧研究小委員会の紹介と委員会活動の結果をもとにした青少年司牧の方向などについて発表する。金・神父の発表後に日本側から、大阪大教区で準備した映像資料の説明がある予定だ。

 韓国と日本の司教団は、1996年から毎年、韓国・日本交替で、両国の司牧の情報交換と各界の交流支援について議論する交流の会合を続けており、今回が24回目となる。

(「カトリック・あい」翻訳・高橋哲夫、編集・南條俊二)

2018年11月12日

・2月の性的虐待対策・全世界司教協議会会長会議を前に韓国の対応

(2018.11.12 カトリック・あい)

 欧米を中心に教会に対する信頼を大きく傷つけている聖職者による未成年性的虐待問題について、教皇フランシスコは来年2月に全世界の司教協議会会長を招集し、抜本策を協議する。各国の司教協議会では具体的な対応が始まっており、アジア地域でも、韓国ではすでに具体的な取り組みが進んでいる。日本の司教協議会では議論の対象にすらなっていないようだが、本当に「そのようなことは全くない」と自信をもって言い切れるのだろうか。2月の世界会議にはどのような意見、姿勢で臨むつもりなのだろうか。

 韓国司教協議会のホームページなどによると、同協議会は、3月に開いた春季定期総会で、最近のカトリック司祭の性暴行事件に関して韓国カトリック教会としてとるべき対策を議論し、司祭の性犯罪と性的キャンダルを制度的に防止するため、司教協議会会長を委員長に、司教、聖職者、修道者、一般信者(女性を含む)の専門家など10人前後で構成する「教会内性暴行防止特別委員会」(仮称)を新設するなど4項目にわたる具体策の実施を決めている。今後さらに、性暴行発生時の加害者に対する厳重な処罰と教育、被害者の人権保護と支援方案なども検討している方針という。

 特別委員会設置のほかの3項目は、①各教区別に教会内性暴行被害を受付ける単一の窓口を教区庁に設置。信者が性暴行被害を申告する電話番号と電子メールアドレスを用意し、申告内容を教区長の司教が直接に処理できる体制をとる②性暴行発生時の加害者に対する厳重な教会法的、社会法的な処罰に関する教会指針と規定を定め、司祭に積極的に教育する③神学生の教育と司祭の生涯学習過程の中で、性犯罪の深刻性を徹底して熟知させ、全ての司祭を対象に、これに関する教育を各神学校と教区別に徹底して実施。教区長は、司祭聖化の日、司祭研修と黙想などの機会を利用して、良心の省察と告解の定期的な実施し、司祭の職務と生活に対する教会の諸般の規定を強化する-だ。

 この決定を受けて、各教区は申告・相談窓口を設置、ソウル大教区の場合、「司祭の性暴力被害受付所」を開設し、大司教区のホームページから申告・相談の手続きがとれるようにしている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」高橋哲夫)

2018年11月12日

・18日に、幼児・児童虐待の犠牲者を悼み、虐待の無い社会を訴える集会

(2018.11.12 カトリック・あい)

 児童虐待、幼児虐待は年々激しさを増し、無責任な親たちが幼い子供たちを死に至らしめるケースも後を絶たない。厚生労働省のまとめによると、2017年度に全国の児童相談所での虐待の相談対応件数は前年度比1万1203件増の13万3778件と過去最悪を記録、統計を取り始めた1990年度から27年連続の増加となった。虐待によって子どもが死亡する事件が社会問題化し、通報が増加していることも影響しているとみられる。

 そうした中で、特定非営利活動法人 児童虐待防止全国ネットワークが主催、内閣府、文部科学省、厚生労働省、東京都、一般社団法人日本子ども虐待防止学会、読売新聞社などが後援して、「 第16回子どもの虐待死を悼み命を讃える市民集会」が18日12時15分から、銀座ブロッサム・中央会館ホール(東京都中央区銀座2-15-6)で開かれる。(参加費無料、事前申込不要)

 集会・行事は3部からなり、第1部では「虐待死を悼み、命を讃える」と題し、虐待死した子どもの名前を読み上げ、参加者全員で黙とうを捧げる。第2部は、講演で「走れ!相川健太-漫画『ちいさいひと青葉児童相談所物語』に込めた願い」、講師は小宮純一氏(ジャーナリスト、NPO法人埼玉子どもを虐待から守る会理事)。

 この後、第3部として、子ども虐待防止を訴える「鎮魂の行進」を予定。会場の銀座ブロッサム(京橋公園付近)から、外堀通り(数寄屋橋交差点通過)、新橋手前を経て、日比谷公会堂に至るコースで、子ども虐待のない社会づくりをアピールする。

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 なお、特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワークは、2011年6月に設立。「子ども虐待のない社会」の実現に向けて、子ども虐待の実情や原因、対応策、子どもに与える影響、社会的コストなどを社会全体に周知・啓発し、ソーシャル・アクションを通じて、子ども虐待をめぐる状況の改善をめざして活動し、社会全体が子ども虐待の重大さを理解し、子ども虐待の予防や対応、虐待された子どもへの支援などに関する施策がさらに充実し、子どもが健全に成長し、子どもの権利が守られる社会、親が安心して楽しく子育てできる社会が実現することを目指している。具体的には、広く一般市民を対象として、子ども虐待の防止、人権擁護及び子どもの健全育成のための啓発事業、子ども虐待防止法制度にかかる施策推進のための事業及び関係団体の活動にかかる連絡、助言及び援助に関する事業を進めており、今回の集会もその一環。ホームページはttp://www.orangeribbon.jp/zenkokunet/

 

2018年11月12日

・香港名誉司教の陳枢機卿が中国問題で教皇に”直訴状”

Zen presents letter to pope warning him on China

   Cardinal Joseph Zen Ze-kiun says underground church clergy have cried to him recently after being pressurized by Chinese authorities to join the open church. (ucanews.com photo)

(2018.11.10 カトリック・あい)

 バチカンと中国政府が同国内のカトリック司教任命について「暫定合意」して2か月近くたつが、具体的な合意内容も、「正式」合意の見通しも、いまだに双方から明らかにされておらず、中国国内では教皇に忠誠を誓い、政府・共産党の管理・支配を拒む”地下教会”に対する、地方当局による圧力がむしろ高まっていると伝えられている。

 そうした中で、自身も中国国内で布教経験があり、現在も中国の信徒たちと強いパイプを持つ香港名誉司教の陳日君・枢機卿が10月29日から11月1日にかけてバチカンに飛び、教皇フランシスコに、中国の「地下教会」が直面している危機的状況を十分に配慮するよう求める7ページにわたる”直訴状”を手渡した。

 アジア地域の有力カトリック系インターネットニュースucanews.comが9日付けで明らかにしたもので、書面では、先の暫定合意後、中国政府・共産党の「地下教会」への対応は厳しさを増しており、活動資金の没収や、信徒の逮捕・投獄などが続いていること、中国の教会の実態として、司教選出の自由は与えられていないこと、など実情を詳しく説明している。

 陳枢機卿は8日、ucanews.comのインタビューに答え、「9月のバチカンと中国政府の”暫定合意”以来、『地下教会』の司祭たちは私のところに苦難を訴えてきています」とし、具体的には「政府・共産党が彼らに(注:中国政府・共産党の管理・支配を受け入れる)中国天主教愛国協会への加盟と、『教皇が中国・バチカン暫定合意に署名した』ことを理由に司祭であることの証明書を(注:政府から)取得することを強要されているのです」と説明した。

 また、枢機卿は、「暫定合意」の具体的な内容が彼らに知らされていないため、「地下教会の兄弟姉妹は、自分たちがどのように対応したらいいか分からず、当惑し、所属教会から逃亡したり、姿を消す信徒も出てきている」と訴えた。さらに「教皇は、中国のカトリック教会の人々は預言者であるべきであり、時として政府を批判すべきだ、と言われましたが、中国の現状をあまりにもご存じない発言に、とても驚きました。教皇は中国の教会がたどってきた歴史も現状もご存じない」とし、その原因は、パロリン国務長官などバチカンにいる人々が中国の教会が置かれている実際の状況を教皇に説明していないからでないか、と強い懸念を改めて示した。

2018年11月10日

・「多様性における一致は、司祭たちから」-新教区長初の東京教区司祭集会

東京教区ニュース第357号(2018.11.8)より

 10月24日から26日にかけて、富士箱根ランドで、司祭集会が開催された。菊地大司教が教区長に就任して、初めての司祭集会であり、5月に発表され

 た大司教の宣教司牧指針「多様性における一致を掲げて」の理解と展開のために、司祭たちが時間を共有した。1-2

 今回の司祭集会は、司祭たちの分かち合いのプログラムを中心に進められた。外国人信徒の司牧の課題、養成の課題(9月より始まった入門講座担当者の養成だけでなく、教区全体の養成も含めた)、宣教協力体の課題、典礼の課題、災害時の対応の課題などを中心にグループに分かれ、意見を出し合った。

 どの課題も大きな問題なので、すぐに取り組めるというものではないが、教区全体の意見を吸い上げての具体化が期待される。

 菊地大司教の誕生日は11月1日、それに加え、今年は60歳の還暦を迎えることもあり、25日の夕食時にはサプライズプレゼントが贈られた。

 最終日の締めくくりのミサの中で、大司教は司祭たちに向けて「自分の司教職は『司祭、修道者、信徒たちと共に歩む資質』と理解しています。急激な変化というよりは、時間の経過を振り返って変化を感じるものが理想。そのためには当然のことながら、司祭団の協力が必要です。その一つの機会として、今回の司祭集会に感謝しています。特に叙階の秘跡を受けた者に求められる『神と人と信仰に対する誠実さに結ばれている意識』を色々な機会に確認しましょう」と呼びかけた。

*中国との「暫定」合意 最近のバチカン動向について(菊地大司教から)

 このところ、教皇様やバチカンの動向に関連して、いくつかの事柄が日本の一般のニュースでも取り上げられています。一つは、教皇様の来日の可能性について、そしてもう一つが中国政府との司教任命に関する合意についてです。

 教皇様の来日の可能性については、最終的にはバチカンと日本の政府間の交渉ごとになるため、教皇様の意向は示されましたが、政府間での最終的な決定は、まだ行われていません。いまは期待を込めて、その行方を見守っているところです。

 中国政府との合意は「暫定」合意と言われており、その内容が公開されていませんので、報道されていること以上のことは、まだわかりません。ただバチカンと中国政府との間では、長年にわたって外交交渉が続けられているのは事実であり、そこには複雑な歴史的背景もありますから、バチカンと中国の交渉の歴史について詳しい、前カトリック中央協議会職員の松隈康史さんに解説をお願いしました。

『バチカンと中国政府は北京で9月22日、司教の任命方法をめぐる暫定合意に署名しました。同日バチカンは、教皇の指示なく「叙階」されていた8人(うち1人は昨年死去)の中国人司教を認めたとも発表しました。

 中国のカトリック教会は長い間、政府公認と非公認の2つの教会共同体に分かれていました。政府公認の教会は独立自主を掲げ、教皇による司教任命に反対し、独自に候補者を選び、「叙階」するのが建前でした(実際にはバチカンが承認している人がほとんどでしたが)。しかし8人は、本当にこの方法で「叙階」され、うち3人は破門の状態にあったのです。倫理的に資質を疑問視されている人すらいます。

 ある報道によると、暫定合意では司教候補者を教区の聖職者、修道者、信徒の代表からなる選挙で選び、結果は中国当局に知らされることになっています。これは長い間続いてきた政府公認の方法ですから、特に驚く内容ではありません。しかし今回目新しいのは、その結果が外交ルートを通してバチカンに伝えられ、調査を経て、教皇が最終的に決定するという点です。

 中国や香港の教会内部では「宗教への締め付けを強める政府にバチカンが屈した」と失望の声が広がっていますが、中国政府にとっても極めて敏感な合意と言えます。なぜなら中国の法律では、宗教団体は外国勢力の支配を受けないと規定されているからです。にもかかわらず今回、中国政府は教皇の最終決定権を認めたというのです。

 教皇がフランシスコになって以来、両国は実務的な対話を重ねてきました。他にも台湾問題など難題がありますが、司教任命こそ最難関でした。非難も多い合意ですが、これで中国の全司教が教皇と結ばれることになりました。(以上、松隈記)』

 果たして今回の合意が、中国本土に1200万人はいると言われるカトリック信徒の信仰の自由と教会の福音宣教の自由を保障することにつながるのかどうかは、まだ定かではありません。また、中国における現政治体制や、教会のこれまでの長年にわたる苦難の歴史を考えるのであれば、簡単にすべてが解決するとも思われません。

 教皇様ご自身は、「この暫定合意は、長く慎重な対話の歩みの実りであり、中国のカトリック教会の善と、社会全体の調和のために、教皇庁と中国当局のより前向きな協力を容易にすることを目的としたものです」と述べられました。

 教皇様の意向にあわせ、中国にいる兄弟姉妹に信仰における平和がもたらされるように、ともに祈り続けたいと思います。

2018年11月9日

・冒とく罪で死刑判決受けたキリスト教徒女性、最高裁で無罪-パキスタン

(2018.10.31 バチカン放送)

 パキスタンで、8年前、冒とく罪で死刑判決を受けたキリスト教徒女性が、10月31日、最高裁で無罪となった。

 パキスタンの最高裁判所は10月31日、イスラム教への冒とく罪で2010年に死刑判決を受けた、キリスト教徒の女性、アーシア・ビビさんに無罪判決を下した。

 ビビさんは2009年、イスラム教徒の女性同僚たちとの口論で「預言者ムハンマドの名を侮辱した」との容疑で逮捕され、2010年に死刑の判決を受け、8年間、死刑囚として収監されていた。

 ビビさんの死刑判決に対し、早くからキリスト教共同体や人権擁護団体は、ビビさんを擁護し、その無罪を支持すると共に、宗教的少数派に対する圧力や迫害を非難してきた。

 最高裁における無罪判決に、ビビさんの家族やキリスト教共同体、支援者たちは大きな安堵と喜びを表したが、首都イスラマバードでは、ビビさんの無罪に対する抗議集会が計画され、300人の警官が最高裁の周りで警戒態勢をとり、公官庁などの保安維持のために軍隊も派遣されている。

 教皇フランシスコは今年2月、バチカンでビビさんの夫と娘に面会。前教皇ベネディクト16世も、2010年にビビさんの即刻解放を願うアピールを発表していた。

2018年11月4日