教皇、カブールでのテロ犠牲者のために祈る

 教皇フランシスコは28日正午のお告げの祈りに続いて、アフガニスタンの首都カブールで100人を超える犠牲者を出したイスラム過激派によるテロを非難し、犠牲者とその家族のために会衆とともに次のように祈った。

以下、バチカン広報が28日発表したイタリア語原文の英語訳

Yesterday from Afghanistan came the painful news of the terrible terrorist massacre carried out in the capital Kabul, with more than a hundred dead and numerous wounded. A few days ago another serious attack, always in Kabul, had sowed terror and death in a large hotel. How long will the Afghan people have to endure this inhumane violence? We pray in silence for all the victims and their families; and we pray for those in that country who continue to work to build peace.

カブール自爆テロ事件 死者103人に

 アフガニスタンの首都カブールで27日に起きた大規模な自爆テロ事件は、死者の数がさらに増えて103人となり、治安の悪化に歯止めがかからない現状に、市民の間では不安が広がっています。

 アフガニスタンの首都カブール中心部で27日に起きた、爆弾を積んだ車両による自爆テロの被害は、その後も拡大し、アフガニスタン内務省は、これまでに103人の死亡が確認され、235人がけがをしたことを明らかにしました。カブールでは去年5月にも150人以上が死亡した大規模な自爆テロが起きていて、今回はそれに次ぐ規模となっています。

反政府武装勢力タリバンは犯行声明を出し、「警察官を狙って自爆攻撃を行った」としていますが、警察官だけでなく多くの市民も巻き込まれているということです。このテロに対し、国際社会からも非難の声が上がっていて、現地の国連アフガニスタン支援団のトップを務める山本忠通事務総長特別代表は声明を出し、「どのような条件下でもこうした攻撃は正当化されない。残虐行為でしかなく、実行犯は裁かれるべきだ」と強く非難しました。

アフガニスタンでは、タリバンに加えて、過激派組織IS=イスラミックステートの地域組織がテロや攻撃を繰り返し、治安の悪化に歯止めがかからない状態が続いていて、政府が有効な治安対策を打ち出せない中、市民の間では不安が広がっています。

2018年1月28日

 増加する若者のカトリック教会離れ-米国の調査結果(Crux)

 (2018.1.17 Crux  Christopher White)

  ニューヨーク発― 教会離れがかつてない規模で、どの宗教よりもカトリックで多く起きている―若者たちの求めについて世界の教会が関心を払うように教皇フランシスコが強く訴える中で、ミネソタ州の聖マリア出版がジョージタウン大学の使徒職における応用研究所(CARA)と共同で実施した「若いカトリック信者の棄教の動き」の実態調査結果が今週、明らかになった。

     調査は無作為抽出した1500人の若者たちについて行われたが、この分析結果は、今年秋にローマで予定する「若者」をテーマにした全世界司教会議(シノドス)での議論の有益な材料となりそうだ。

 調査結果によると、カトリック信徒の数は近年、米国の総人口の伸びとともに増えている。だが、増加している信徒の数よりも、信仰を捨てるカトリック信徒の数は、かつてないほど多く、他の(プロテスタントなどの)キリスト教を奉じる人々の棄教者数を上回った。「減少者の大部分は、スペイン系の人々が米国へ移民することで埋め合わされているものの、主要宗教の中で、カトリック教会は最多の信徒を失っている」という。

 ワシントンに本拠を置くピューリサーチセンターの2015年の調査によると、米国の総人口に占める宗教団体に属していない人の割合は2007年現在で16.1パーセントだったのが2015年には22.8パーセント、推定で1900万人に増えている。どの宗教も信じていない人は米国で推定5600万人に達している。

 今回発表された調査分析の担当者は「米国の18歳から25歳の若者たちの12.8パーセント、15歳から17歳の少年少女の6.8パーセントが、元カトリック信徒だと推定している。実際の調査対象となった1500人のうち、元カトリック教徒の74パーセントが10歳から20歳の間に信仰を捨てている。そうした若者たちの動機は様々だが、大部分は、信仰や宗教行為が多くの選択肢の中の一つとされるようになった世俗化が進む社会の中で、彼らが、深く考え、自覚し、意図的に選択している」としている。

 また、若者たちがカトリックから離れるケースは大きく分けて三つあるという。それは、傷ついた場合、立ち位置を見失う場合、反抗心を持つ場合、だ。傷ついたのは、家庭ないしは教会で体験するもので、それが信仰の葛藤を呼び、離れることに結びついている。そうした体験の具体的な中身は家庭や教会の人々の離婚、病気、あるいは死であることが多い。調査担当者は、このような状況に置かれた場合、信仰は耐え忍び、希望を抱く力となるものだが、教会とのつながりを断つ契機にもなり得る、としている。

 立ち位置を見失う若者たちは、現実の社会での経験と教会の「意味のないルールや儀式」と彼らが呼ぶものとの間に徐々に乖離が生じることで、教会から離れていく。彼らの多くにとって、両親の振る舞いが重要な意味を持つ。「若者たちは無意識のうちに、両親の振る舞いをわがものとする」と調査担当者は言う。

 立ち位置を見失う若者たちが教会に対して「だからどうなの?」という態度をとるのに対して、反抗心を持つ若者たちは教会の教えに積極的な反感を示す。同性婚、避妊、堕胎等の問題についての教会の教えに対する反感が一般的だが、救済、天国、地獄と言ったカトリックの根本的な教義を受け入れない場合もある。

 この調査結果によれば、回答者の35パーセントはいかなる宗教的な団体とも関係を持たず、29パーセントはプロテスタントでないキリスト教の団体、14パーセントは無神論者か不可知論者、9パーセントはプロテスタントだ。

 この調査をもとにした分析によると、教会から離れる原因は大きく分けて六つある。教会のある儀式あるいは一連の儀式への疑問、文化的な世俗化の進展、信仰を捨てた後にくる新たな自由の感覚、強制されて信じ込まされた信仰の拒否、宗教を持たずに倫理的な生活ができるという確信、道理にかなった議論や証拠を示されたことで起こる信仰を再評価する意欲-だ。

 調査結果の執筆者の一人で聖マリア出版局の責任者、ジョン・ビテク氏は「この調査の狙いは、若者たちが『自分たちの言葉で、チェックやフィルターを通されずに』自分についての話ができる場を提供することにありました」と説明する。そして、この調査結果が、教会を去った若者たちについて二つの問いかけ―自分たちは彼らについてその生きざまの深い部分までしっているのか?教会を出ていった彼ら一人一人を惜しんでいるのか?-を自らにするよう、教会の司牧責任者たちに促すことを期待している。

 実際のところ、教会を離れた若者たちの声を振り返るための問題を提起し、その基盤を提供することは、米国の教会だけでなく、全世界の教会の将来にとって重要な事なのだ。

(翻訳「カトリック・あい」岡山康子)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

 

2018年1月19日

 パキスタンのカトリック教会、少女の暴行殺害事件を強く批判(Crux)

 (2018.1.13 CRUX CONTRIBUTOR Nirmala Carvalho )Catholic Church condemns rape and murder of 7-year-old in Pakistan

A girl lights a candle during a memorial for Zainab Ansari, a 7-year-old girl who was kidnapped, raped and murdered last week in Kasur, Pakistan. (Credit: B.K. Bangash/AP.)

  インド・ムンバイ=パキスタンのカトリック指導者たちはパンジャブ州東部、カス―ル市で起きた7歳の少女の暴行殺害に対し、「パキスタンは、またもや自国の子供たちを守れなかった」とパキスタン司教協議会の下部機関「全国正義と平和協議会(NCJP)」が非難声明を出した。

 ザイナブ・アンサリちゃんは、先週、家の近くにコーランの勉強に行ったまま行方不明となり、火曜日に彼女の遺体がカス―ル市のごみの山から縛られた状態で発見された。当局によると、拷問されたことも報告されている。

 NCJP議長のジョセフ・アシャド大司教は「亡くなった方、ご家族、そしてほかの犠牲者たちのために祈ります。国中がこの犯罪のために泣いています。私たちにとって恥ずべき遺憾な犯罪です。このような犯罪が二度と繰り返されないために私たちはあらゆる手段を講じ、何としても子供たちの命を守る勇気が必要です」と述べた。

 カス―ルの市民は、一連の児童殺害について、警察が解決に向けた努力を十分にせず、犠牲者の家族に対しての配慮にも欠ける、と非難し、10日、この少女の死をきっかけに、市民と警察との間で衝突が起き、少なくとも2人が死亡、3人が負傷した。

 NCJPは、パキスタンは世界で11番目に児童への性的暴力が多く、女性にとって3番目に危険な国だ、と指摘している。カス―ル は2015年にパキスタンで最も大きな児童虐待事件のひとつがあった場所だ。10年以上にわたり児童ポルノ犯罪者の一団が活動しており、パキスタンの児童保護局によると、2017年だけで5歳から8歳までの小さな少女の暴行殺人が12件報告されている。

 マスメディアがアンサリちゃん殺害と抗議の動きを精力的に報道し、犯人逮捕に至ったが、NJPCは声明で、「警察当局は他の児童虐待事件にも配慮し、犯罪者をしっかりと裁判にかけてもらいたい」と要求するとともに、政府に対し、担当部局である児童保護局が地域レベルでの活動を強化すること、警察当局は児童の保護に強い関心を払い児童誘拐などを優先の捜査対象とすること、被害者の家族に協力しない地元の警察官、政治家や政府の役人に対して解雇など厳しい措置をとること、児童虐待及び児童ポルノ取り締まり関係法の改正委員会を発足させること、などを強く求めた。そして、「子供たちは我々の国家の未来である。子供たちを守るために、政府は子供の人権擁護に向けて、社会的、道徳的国際的に取り組まねばならない」と関係者・機関に訴えるとともに、「パキスタン政府が、国内のすべての子供たちの保護と安全のために、真剣に取り組むことを希望する」と要請した。

 アシャド大司教はCruxのインタビューに答えて、「私たちは、幼児虐待にとどまらず、パキスタン社会全体の問題に関心を持っている」とし、「個々の事件の状況は異なっており、政府は法律やその他の手段で国家レベルで適切な対応をとらねばならない」と述べたうえで、若者の高い失業率が社会不安や犯罪の背景にあることを指摘して、「若者に雇用の機会を作ることも大きな課題です」と指摘した。

 パキスタンは人口の96パーセントはイスラム教徒で、ヒンズー教徒、カトリック教徒はそれぞれ人口の2パーセントで少数派だ。最近ではイスラム過激派によるテロも起き始めている。大司教によると、キリスト教徒の若者が暴力や搾取の対象になっているケースも出ており、「ある地域では、ヒンズー教やカトリックの若い十台の少女が誘拐され、強制的に結婚させられている」といい、「政府と宗教的指導者とが協力して、弱い、無垢な子供たちへのこの憎むべき犯罪をやめさせなければなりません。国民が、そして、社会が、人間の尊厳について教育し直されなければなりません」と訴えた。

 大司教はまた、「支配体制が腐敗している。怠慢に陥っています。国民が圧力をかけないと、非常に緩慢にしか行動しない」と政治体制の問題も指摘し、警察を含めた官僚がプロ意識をもって職務を遂行すべきことを強調した。

(翻訳「カトリック・あい」岡山康子)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2018年1月18日

 世界中で殺害されたキリスト教徒は昨年3000人以上、前年の二倍(Tablet)

( 2018.1.11 Tablet  Megan Cornwell)

 昨年一年間に、世界中で前年の二倍、3000人以上のキリスト教徒がその信仰ゆえに殺害された。キリスト教徒の迫害問題の解決に取り組んでいるNPO「Open Doors」が”World Watch List”年報の最新版で明らかにしたもので、年報の発行を始めてから26年で最悪の水準だ。

 ひどい迫害が行われている50か国の中で、最もひどいのは11か国。最悪は北朝鮮で過去17年間、迫害国のトップを続けている。イスラム過激派武装集団‶IS(イスラム国)″による恒常的な迫害が続くアフガニスタン、ソマリアがこれに続く。

 それ以外の国では、エジプトとトルコでの迫害が2017年は目立ち、大部分が正教徒の中東最大のキリスト教徒人口をもつエジプトでは、200人が家を追われ、128人が殺害された。年報は、米露などの軍事攻撃を受けたイスラム系テロリストがイラクやシリアから周辺国に逃れ、エジプトなど周辺国にテロが拡散している、という。バングラデシュやフィリピンなどにも広がっている。

 「Open Doors」の英・アイルランド支部代表は「エジプトのキリスト教徒達は、差別や脅迫の集中砲火を浴びながらも、彼らの信仰を捨てません。英国やアイルランドにいる私たちの想像を絶することです」とし、「彼らが受けている迫害は、職場での監視、計画の却下、教会に行く際に標的にされるなど様々です」と説明した。

 このほかの国では、インドやネパールのヒンドゥー教の過激主義者とともに、マレーシアのイスラム過激主義者による東南アジアでの迫害が目立つ。アフリカでも迫害が増え続けており、スーダン、ソマリア、エリトリア、リビアなどがワースト・テンに入っている。

 (翻訳・「カトリック・あい」山田恵子・南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

2018年1月13日

 コンゴ全土で反大統領派弾圧、各地の教会に催涙弾(CJC)

 【2017.1.1 CJC】AFP=時事通信などが国連筋よるとして伝えるところでは、アフリカ中部のコンゴ(旧ザイール)で12月31日、ジョゼフ・カビラ大統領退任を求めるカトリックを中心にした反大統領派の集会を治安部隊が全土で弾圧し、8人が死亡した。カトリックによる31日の抗議を察知した政府は集会を禁じたが、無視された。

 ミサのため信者が集まった各地の教会に催涙弾が撃ち込まれ、銃声が響き、逮捕者が相次いだ。キンシャサの大聖堂では、野党指導者の到着と同時に治安部隊が催涙弾を放ち、聖職者が連行される中、「カビラを倒せ」と信者が合唱した。

 カビラ大統領は2016年暮れに任期が切れたが、居座っている。17年中に選挙を行う約束は破られ、大統領選は18年12月23日に予定されている。

2018年1月5日

 教皇、カイロ近郊でのコプト教会襲撃の犠牲者たちに哀悼

(2017.12.31 )教皇フランシスコは31日、聖家族の祝日の正午の祈りに続いて、エジプトの首都カイロ近郊のコプト教会と商店で週末に相次いで発生した武装集団による襲撃事件で犠牲になったコプト教会信徒たちに哀悼の意を表した。そして、「主が亡くなられた方々の霊をお受けになり、負傷された方々、家族と共同体を支え、襲撃者を回心させてくださるように」と祈りをささげた。(バチカンの公式発表を基に「カトリック・あい」が翻訳・編集しました)

 

エジプト教会襲撃9人死亡―カイロ近郊「テロ」と政府

 

 【2017.12.29 カイロ共同】エジプトの首都カイロ近郊ヘルワンで29日、キリスト教の一派コプト教の教会を銃で武装した男らが襲撃し、教会の玄関などに向けて銃を乱射した。この直前に付近の商店も襲撃された。保健省報道官は「テロリスト」の犯行と断定し、コプト教徒ら計9人が死亡、5人が負傷したと発表した。教会警備の警官隊が応戦し、犯人1人を現場で殺害した。

犯行声明は出ていない。エジプトではコプト教徒を狙ったイスラム過激派のテロが続発しており、政府は来年1月7日のコプト教クリスマスを控え警備を強化したばかりだった。今後も同種事件が起きる恐れがある。

I express my closeness to the Coptic Orthodox brothers of Egypt, struck two days ago by two attacks on a church and a shop in the suburbs of Cairo. May the Lord welcome the souls of the dead, support the wounded, the family and the whole community, and convert the hearts of the violent.

 

 

2017年12月31日

「エルサレム」問題で世界は緊張緊張感漂うクリスマス【CJC】

 【2017.12.25 CJC】イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区ベツレヘムの聖カテリナ教会で12月24日深夜から25日未明にかけて、恒例のクリスマス・ミサが行われた。

 ドナルド・トランプ米大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と承認したことに世界各国は衝撃を受け、例年と比べて緊張感漂うクリスマスとなった。聖カテリナ教会に隣接する、キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた『聖誕教会』前の広場に大きなクリスマスツリーが飾られたが、観光客は減っている。現地時間の午前0時ごろから恒例のクリスマスのミサが始まり、各国から大勢の巡礼者が集まって祈りをささげた。教会の前では、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに抗議する垂れ幕が掲げられるなど、例年とは異なる雰囲気。

 自治区では連日、デモ隊とイスラエル軍の衝突が続き、パレスチナの赤十字組織にあたる赤新月社などによると、6日以降、12人が死亡、4000人以上が負傷している。

     ◇

 韓国では、全土の教会でキリストの誕生を祝う礼拝が行われ、プロテスタントの韓国キリスト教総連合会はクリスマスのメッセージを発表、「寒さと苦痛の中にいる人たちのことを忘れずに、謙遜の姿勢で他人に配慮する生活を実践しよう」と述べた。

     ◇

 ウクライナは、正教会の伝統にしたがって1月がクリスマスの祝日だが、ロシアとの対立を背景にヨーロッパとの接近を図る中、ことし初めて12月25日もクリスマスの祝日となり、首都キエフの広場は大勢の人でにぎわった。カトリック教会では、24日夜、多くの信者が参加してクリスマスのミサが行われた。また、キエフ中心部の広場には、高さが30メートル近くもあるクリスマスツリーがライトアップで彩られ、大勢の人でにぎわっている。

     ◇

 24日午前、ローマは透き通った青空。深夜にとり行われる教皇フランシスコ司式の降誕祭のミサに先立ち、同日正午、教皇による日曜の祈りの集いがバチカンのサンピエトロ広場で行われた。広場のオベリスクの近くには、毎年のように、クリスマス伝統のツリーとプレゼピオ(イエスの降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が飾られている。今年のツリーは、ポーランドから贈られた28メートルのオウシュウトウヒで、イタリア各地の小児科病院に通院・入院中の子どもたちとその両親たちが手がけた飾り玉や星でデコレーションされている。

 教皇は正午の祈りの集いで、平和の君であるイエスの降誕を待つこの時、全世界、特に戦争下にある地域に平和の恵みを祈るよう呼びかけた。また、この機会に、拉致された司祭、修道者、信者らの解放を改めて訴えた。教皇は同日夜、サンピエトロ大聖堂で、クリスマスイブ恒例のミサを行い、苦境にある各地の難民らに対する思いやりを持ち続けるよう訴えた。教皇は、ベツレヘムを訪れた聖母マリアとヨセフが泊まる場所を見つけられなかったことに触れ、難民らを受け入れる心を持つよう呼びかけた。教皇は「土地を追われ、愛する人と離れざるを得ない多くの人々がいる」ことに言及し、ベツレヘムを訪れた聖母マリアとヨセフが泊まる場所を見つけられなかったことに触れ、支援の大切さを指摘し、「クリスマスは恐れを慈しみに変える時だ」と強調した。ミサには1万人の信者が聖堂で参列したほか、外の広場にも大勢の人々が集まった。

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◎パレスチナ自治区ガザの抗議デモ、死者11人に

 【CJC】共同通信が、パレスチナ自治区ガザの保健当局は12月23日、ドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに対する17日の抗議デモで、イスラエル軍の銃撃を受けて負傷した男性1人が死亡したと明らかにした、と報じている。同軍の銃撃やガザへの空爆による死者はこれで計11人になった。トランプ氏が6日に「首都認定」を発表して以降、抗議デモはエルサレムやパレスチナ自治区などで断続的に行われ、イスラエル軍との衝突が激化している。□

 ◎トルコのエルドアン大統領がクリスマスの祝福メッセージ

 【CJC】トルコのレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が、クリスマスを控え、12月23日、祝福メッセージを発信した。TRT通信が報じた。大統領は、「キリスト教徒のトルコ国民をはじめ、すべてのキリスト教世界のクリスマスの宴を祝福する」と語り、東部のアナトリア地方は、軍事衝突、弾圧、戦争から逃れるすべての人々にとって、常に安全な場所であり続けてきたと述べた。エルドアン大統領は、トルコの伝統は思想、信仰、基本的人権への敬意を礎としているとして、「この地には、様々な宗教や文化が存在し、今日も価値ある豊かさとして認められている」と語った。トルコではクリスマスの宴が異なる宗派や教会に属するキリスト教徒によって祝福されていると強調した大統領は、「クリスマスの宴が、トルコにおける連帯を広げるきっかけとなるよう願っている」と述べた。□

◎イラン外相がイエス・キリストの生誕日に際し祝辞

 【CJC】イランのウエブサイト『パース・トゥデー』(日本語版)が、同国のモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相が12月23日、平和をもたらす預言者イエス・キリストの生誕日に際し、祝辞を述べた、と報じた。ザリーフ外相は、ツイッター上で、コーラン第3章イムラーン章イムラーン家のある節を引用し、「天使たちは(聖母)マルヤムに対し、“神は自分の言葉で汝らに吉報を与える。それは、マルヤムの子イーサー・マスィーフの誕生である。この子は、現世でも来世でも、名誉あり、神の側近でもある」と記した。ザリーフ外相はまた、「イエス・キリストの生誕日に際し、全ての人々に喜びや平和を祈り、新年において、全ての人々がイエスによる平和のメッセージを受け入れるよう希望する」と語った。□

2017年12月25日

 パキスタンでキリスト教会襲撃「イスラム国」の犯行か死傷60人以上(日テレ・ニュース24)

 (2017年12月18日 08:44 日テレ・ニュース24)

 パキスタン中部のクエッタにあるキリスト教の教会が17日、武装した男2人に襲撃され、60人以上が死傷した。過激派組織「イスラム国」系の通信社が戦闘員による犯行だと伝えている。

教会の出入り口に設置されたカメラには、実行犯が押し入る様子を捉えている。銃などで武装した男2人のうち1人がゲートをよじ登って侵入し、内側から鍵を開けた。別のカメラには、侵入者に驚いて一斉に逃げ出す人々の姿も映っている。

ロイター通信によると、男らは教会の敷地内でキリスト教徒らに向かって発砲し、1人は自爆ベルトを爆発させ、もう1人は警察によって射殺されたという。この襲撃で少なくとも9人が死亡、56人がケガをしている。当時、教会ではクリスマスを前にした礼拝が行われていて、400人近くがいたという。

これについて「イスラム国」系の通信社は17日、戦闘員2人による犯行だと伝えた。

2017年12月18日

「神は誘惑しない」と仏カトリック教会が「主の祈り」改定(CJC)

 【2017.12.11 CJC】フランスのカトリック教会が12月3日、「主の祈り」の改定を発表した。フランス語では、「主の祈り」を「ノートル・ペール」と呼ぶ。

 「主の祈り」で、日本のプロテスタント教会の多くが「我らをこころみにあわせず」と祈るところを、フランスでは「我らを誘惑に従わせないでください」と訳したものを1966年から使用してきた。しかし、これまでにも、信者が罪を犯すよう神が誘惑していると誤解されることがあった。そこでカトリック教会は改定を検討し、「待降節」(アドベント)初日の12月3日から、「われらを誘惑に入らせないでください」という訳で祈っている。プロテスタント教会にも、これを承認したところもあるという。

 カトリック教会の典礼責任者ギー・デ・ケリメル司教(グルノーブル教区)は、AFP通信に「訳自体は間違ってはいなかったが、解釈はあいまいだった」として、人々が新しい文言に慣れるまでは「しばらくは幾分かの不平が出るだろう」と語った。英紙『ザ・テレグラフ』が紹介している。

 新訳についてフランスでは少数派プロテスタントの福音主義協議会(CNEF)は、「神が人を誘惑する」という考えを避けることには同意するが、新しい「主の祈り」は「神の主権を水で薄めている」と指摘する。

 日本では、プロテスタント教会は「我らをこころみにあわせず」という文語訳を使用しているところが多い。カトリック教会と聖公会は2000年に共通の口語訳を制定し、「わたしたちを誘惑におちいらせず」という訳を用いている。正教会は、主の祈りを「天主経(てんしゅけい)」と呼び、「我等を誘に導かず」としている。

2017年12月12日

 英国で無宗教者が過半数にCJC】

(2017.12.4 CJC)イギリスの『国立社会調査センター』が発表した「信仰している宗教」に関する調査によると、現在イギリスで何の宗教も信じていないという人の割合が、半数以上の53%に達した。前回2015年調査の48%から5%増えたことになる。

 イギリスでは、無宗教の人の割合は、調査を始めた1983年当初には31%だったが、それ以降は増え続けている。

 特に若い人たちの間で宗教を信じる人の減少が顕著だ。2016年には、18~24歳層の71%が、何の宗教も信じていないと答え、前年の62%から急増している。

 同期間で、すべての年齢層で宗教を信じている人の数は減少しているが、高齢者はまったくの無信仰という人は少ない。65~74歳の4割は無信仰と言うが、75歳以上になると27%。

 特定の宗教を信仰している人の減少は、特に英国国教会に打撃を与えている。自分は国教会派だと考えている人はわずか15%で、2000年当時の半分になった。若者に限ってみると、18~24歳ではわずか3%。75歳以上の40%に比べると非常に低い。

 同センターのロジャー・ハーディング氏は、この状態は、長期的に宗教かい離がますます進む傾向につながる、と指摘している。□

2017年12月4日

 聖地でのキリスト教会の活動を制限する動きにキリスト教各派が危機感(Tablet)

(2017.11.10 Tablet Ruth Gledhill)聖地エルサレムにおけるキリスト教の活動がイスラエル国会の新たな立法で大きく制約される危険が高まっているが、その危機訴えているギリシャ正教のテオフィロス・エルサレム総主教に対して、英国のカトリック高位聖職者たちが支持を表明した。

 支持を表明したのは、ウエストミンスター大司教のビンセント・ニコラス枢機卿とカンタベリー大司教のジャスティン・ウェルビー師。

 ニコラス枢機卿は10日のロンドンでの総主教たちとの会合の後で、「エルサレムにおけるキリスト教会の既存の立場は尊重されなければならない。エルサレムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地であり、キリスト教徒は、その共同体社会で重要かつ不可欠な存在。聖地の各宗教の人々の橋渡しをする存在として、平和な暮らしを望むすべての人たちにとって欠かすことができない」と強調、現在のイスラエル議会における動きを批判した。

 ウェルビー大司教も「私も、キリスト教各派の指導者とともに、エルサレムにおけるキリスト教の立場を尊重し、それを弱めるような動きに反対する呼びかける加わる。聖地におけるキリスト教徒の存在をこれまで通り続けることは、極めて重要だ。エルサレムは、宗教を信じるすべての人が共に暮らし、反映する場所であり続けねばならない」と言明した。

 イスラエルの国会はクネセトと呼ばれ、一院制で定数は120議席。現在、そのうち40人の議員が今年7月、エルサレムの聖公会司教区を含むキリスト教会各派にこれまで認めてきた権限を制限する法案に署名し、クネセトに提案している。

 こうした動きに懸念を強めるエルサレムのキリスト教各派のリーダー格であるテオフィロス総主教は、先日、ローマで教皇フランシスコとも会見したが、教皇も総主教を支持、「聖地エルサレムにおけるキリスト教会の立場は守られ、維持されねばならず、すべての人が平和に暮らせる場所である必要がある。さもなければ、すべての人にとって嘆き苦しみの際限ない連鎖を招くことになる」と関係者に警告した。

 総主教はまた、「クネセトに提出されている法案は、過去2000年にわたって聖地におけるキリスト教徒の活動を支えてきた教会の自由と独立を著しく侵害する内容になっている。この法案が成立すれば、教会の既存の立場を侵し、国際的な様々な取り決めに違反することになる」と訴え、さらに、この機に乗じて、ユダヤ人過激派の入植者たちがキリスト教徒をエルサレムから追い出そう動いており、教会の資産をひそかに奪おうとしている、と糾弾している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2017年11月13日

 教皇フランシスコ「キリスト教徒は、欧州の『再活性化』に努めよ」(TABLET)

2017.10.30 Tablet  Christopher Lamb in Rome)教皇フランシスコは30日、バチカンで開かれた‶欧州再考会議‶で講演し、欧州では若い世代が裏切られ、人々は「生まれる権利」を否定され、追求すべき目標がもはや「共通善」ではなくなっている、として、キリスト教徒たちに、そのような欧州を「再活性化」の努力を求めた。

 講演で教皇はまず、「欧州の顔が文化と宗教の多様性によって特徴づけられるようになり、その中でキリスト教が多くの人々にとって過去のもの、異質で時代遅れのもの、とされている現在、私たちの責任とは何でしょうか」と問いかけ、欧州において、政治が「反対者同士がぶつかり合う場」となり、批判と要求の叫び合いが「対話」に取って代わっている現状に、遺憾の意を表明した。

 教皇は「最優先目標はもはや『共通善』ではない、という認識を持つ市民がますます増えている。過激派や大衆迎合主義者の集団は、沢山の国々に自分たちの主張が育つ豊かな土壌を目にしています。彼らは、建設的な政治的な具体案を示さずに、政治的なメッセージを発信します。市民の共存を脅かす不毛な敵対や民主主義の経験を妨げる政治的な力が、『対話』に取って代わっています。一方では橋が焼かれ、また一方では壁が立てられます。そして欧州は、その二つとも経験しているのです」と危機的な欧州の現状を示した。

 そのうえで、「キリスト教徒には、空間を占有することによってではなく、社会に新しい活力を目覚めさせるような手順を作り出すことによって、欧州を再活性化させ、欧州の良心を回復させることが、求められています」と訴えた。

 欧州再考をテーマとするバチカンでの会議は、欧州大陸の未来に向けた対話を促すのが狙いだった。聖座は、欧州統合計画の初期段階に強力な支持者であり、ピオ13世は、欧州経済共同体(EEC)創設したローマ条約が署名された際、ローマ市内の教会に歓迎のベルを鳴らすように命じていた。だが、最近では、バチカン内部には欧州共同体(EU)がキリスト教のルーツを忘れてしまった、という見方が増えている。教皇ヨハネ・パウロ二世の治世では、欧州憲法草案に「キリスト教」という表現を入れないことが大きな問題となった。だが近年になって、欧州の人々は、難民の大量流入などの問題に直面して、非欧州人で初の教皇であるフランシスコの話を聴くことに意欲を見せている。昨年には、教皇は欧州の一致を推進した人に贈られる権威ある「カール大帝賞」を受賞している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

欧州の低出生率に教皇が警鐘、若い世代への支援強化求める(CJC)

 【2017.10.30 CJC】教皇フランシスコは、欧州の出生率が低水準にある現状に警鐘を鳴らし、将来社会で生きていく道を準備している若い世代への支援を強化するよう促した。AFP通信が報じた。

 教皇は『欧州カトリック司教会議委員会』(COMECE)が催したプログラム「欧州再考」で、「欧州がコミュニティーとしての自らを再発見することが、欧州自身と世界全体の発展の源となるのは間違いない」と述べた。 その上で教皇は、欧州は「劇的な不妊の時期」に悩まされていると指摘。「原因は欧州の少子化や、出生の権利を否定された子どもが多すぎることばかりではなく、若い世代が将来に向き合う上で必要な物質面や文化面の手段が伝わっていない状況も一因だ」と語った。

 さらに欧州が「多数の文化や宗教が存在する点でますます際立つようになっている」とする一方、移民の同化に関しては「無関心や恐怖の壁」ができるリスクがあると警告し、移民は「負担というよりもむしろ資源である」との認識を教皇は示した。□

2017年10月31日

「貧困の世代間連鎖を断ち切るために直ちに行動を」世銀、貧困撲滅国際デーに

(2017年10月17日  世界銀行・ワシントン– 親の社会的地位が子供の将来に大きな影響を及ぼす事は、今も50年前と変わっていない-世界銀行が近く発表する報告書「平等は保たれているか?世界的に見る教育と社会格差の関連」は調査結果(暫定)としてこう指摘している。貧困撲滅のための国際デー」の25周年に当たる本日、世界銀行は 同報告書の予告版を発表し、貧困と格差の緩和や成長促進に不可欠な社会階層の固定解消に何ら前進が見られないことに警鐘を鳴らした。

 予告版は、上位の経済階層への移動を教育面から論じており、ある世代が受けた教育がいかに次の世代の成否を決定し得るかを分析している。そこで注目すべきなのは、育った環境にかかわらず、すべての子供が潜在能力を100%開花させることができる平等な機会を提供する公共政策の重要性である。2018年初めに発表予定の報告書本体では、市場の役割や経済改革の広範な影響力を含むさらに広い視点から、上位の所得階層への移動の推進力について検証する。

 「我々は今、人的資本危機の只中にある。全ての子供が希望通りの人生を送る機会に恵まれるよう、できる限りの努力をしなければならない。得られる機会が親世代次第で既に決まってしまい、そのため潜在能力が生かされずにいる人が何億もいる。幼児への投資を進め、若者に希望を与え、彼らの大いなる希望が叶うように支援し、次の世代が生まれや育った環境にかかわらず豊かな人生を歩めるよう、あらゆるレベルで取り組まなければならない」と、ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁は述べた。

 次世代の教育レベルを前の世代より押し上げるという取り組みには、この半世紀、成果が見られない。1980年代に途上国に生まれた人の内、自分の親よりも教育レベルが上がった人の割合は2人に1人であったが、この割合は1960年代に生まれた人との比較でも変わっていない。子供たち、特に恵まれない環境で育つ子供への投資の在り方を変えない限り、10年後に状況が改善しているとは考え難く、2030年を目標とする貧困撲滅の達成はさらに困難になるだろう。

 教育レベルの改善が芳しくない傾向は、途上国、サブサハラ・アフリカ地域においてとりわけ顕著である。例えば、サブサハラ・アフリカ諸国では、若年成人(1980年代に生まれた層)の内、自分の親よりも教育レベルが上がった人はわずか12%に過ぎないが、東アジアの一部では80%以上に上る。教育レベルが親のそれと密接に結びついている15カ国はすべて途上国だ。

 同報告書は、前の世代よりも上の経済階層への移動を促進するための3つの道筋を提示している。

 子供たちのための機会均等: 早期幼児開発、教育アクセスと質の高い教育、母子保健、栄養、インフラ、水と衛生をはじめ、乳幼児に対する基礎的サービスへの投資が、上位の階層への移動と人的資本構築にとって不可欠である。例えば、5歳児の発育阻害(年齢相応より低い身長、慢性栄養不良の兆候)の割合が低い国、及び公的資本による教育投資が多い国ほど、上位の階層への移動が多い傾向が見られる。

 先月発表された「世界開発報告(WDR)2018:教育と学び」は、学習と質の高い教育への投資が貧困からの脱却につながると強く主張している。また、世界銀行グループはこのほど、包摂的な経済成長の促進と極度の貧困撲滅への重要なステップとして、各国による人へのより有効な投資の拡大を加速する人的資本プロジェクトを立ち上げた。

 願望: 貧困からの脱出が叶わないと感じた人は、そのために必要な行動を起こさなくなる傾向がある。つまり、どう感じたかによって願望が損なわれ、貧困から脱け出せなくなるのだ。開発プロセスで取り残されてきた人たちに支援の手を差し伸べるため、政策やプログラムの策定の際に、こうした行動面の実態に配慮し対処する事が不可欠である。

 現場での取り組み: 生まれた環境が、親の社会的地位と共に大きな意味を持つ。地域からコミュニティまで、現場レベルでの取り組みが貧困の連鎖を断ち切るために不可欠である。貧困層が暮らす貧困地域では、学校教育は不十分で、インフラは崩壊しつつあり、質の高いサービスへのアクセスが難しく、犯罪が多発する傾向にあるため、子供が学びながら成長し、豊かな人生を送る事が困難となる。

貧困撲滅のための国際デー

 世界は今、2030年までの極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という2大目標に向かって歩を進めている。持続可能で包摂的な経済成長の促進、人的資本への投資、ショックへの強靭性構築という3つの分野に資源を重点的に充てて取組み、その進捗状況を測定する事により、目標達成は可能になるはずだ。年に一度の 「貧困撲滅のための国際デー」は国際社会にとって、今一度目標に向き合い、その達成に必要な行動に対して、政府や市民、市民社会、民間セクター、開発機関と協力して支援を確立する機会となっている。

詳細はwww.worldbank.org/povertyで。

2017年10月20日

 聖地管理800周年を迎えたフランシスコ会を教皇が評価、激励(CRUX)

(2017.10.18 Crux Staff)

 フランシスコ修道会が聖地エルサレムのカトリックの領域管理を託されて800周年の記念の年を迎え、教皇フランシスコが17日、声明を発表し、修道士たちを「神の民全員の代表たち」と讃えた。

 聖地のカトリックの領域のフランシスコ修道会による管理は1217年に、アッシジの聖フランシスコに託され、その100年余り後の1342年に同修道会が教皇クレメンス6世によって聖なる神殿の管理者と公式に認められたが、教皇は声明で、聖地のフランシスコ会の果たしてきた役割について「歓迎と導きを通して世界各地からの巡礼者の歩みに進んで寄り添ってきた」と評価した。

 現地エルサレムでの記念式典に出席した同修道会のマイケル・ペリー総長は「私たち修道会がここで活動しているのは、全てのキリスト教徒のためだけではなく、すべての人類のため。全人類のためなのです」と述べ、さらに、別のインタビューで、「これは、アッシジのフランシスコの思いでもありました。彼は聖地訪問を望み、当時非人道的な行為が行われていたエジプトの港、ダミエッタ(当時、第五次十字軍のキリスト教徒の騎士たちが占拠していた)まで旅をしました。今日も、世界には非人道的なさまざまな行為がされています。管理者である彼の思いは、人々の間に対話と調和をもたらし、人類に欠かせない発展が実現することにあったのです」と強調した。

 フランシスコ会は現在、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、シリア、レバノン、エジプトの一部地域、キプロス、ギリシャのロードス島で活動しており、12の教会をもち、エルサレムの聖墳墓教会とベツレヘムのキリスト生誕教会をギリシャ正教会、アルメニア・カトリック教会と共同管理している。また、聖地で多くの小教区、学校を運営し、現地のキリスト教徒共同体を支援している。

 このような活動の実績を受けて、教皇は声明で「私たちの兄弟たち、とくにもっとも貧しく、弱い者たちを、あなた方が喜んで支え続けられるように、激励します。平和の無い状態が続く中で希望を失いそうになる若者たちを教育し、お年寄りを歓迎し、病の人を世話するなど、日々の生活の中で具体的なやり方で慈しみの業をすすめていくように」と期待を述べられた。

 (翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。

2017年10月19日

 ドイツ司教団、前教皇下の旧指針によるミサ典礼書の新独語訳作業中止(Tablet)

(2017.10.9 Tablet  Christa Pongratz-Lippitt )

 ローマ・ラテン典礼書を忠実に‶翻訳‶することを命じたバチカン典礼秘跡省の2001年指針による独語の新訳作業を、ドイツの司教団が取りやめたことが明らかになった。独国司教協議会の議長、ラインハルト・マルクス枢機卿が明らかにしたもので、枢機卿はこの指針を‶袋小路‶と呼んだ。

 指針に従ったミサ典礼書の新訳はまだ同国の司教協議会の賛同を得ておらず、教皇フランシスコが(「カトリック・あい」注・2001年指針を否定する形で)9月に現地の司教たちに翻訳の主導権を委ねる旨の自発教令「マニュム・プリンチピウム(重要な原則)」を出したことから、この新独語典礼書が日の目を見ることはなくなったようだ。

 司教団は秋の全体会議の最終報告でこれについて触れていないが、マルクス枢機卿は会議後の記者会見でこの問題について「ドイツ司教団は、教皇フランシスコが9月に出された自発教令で‶すっかり楽に‶なり、教皇にとても感謝しています」と語った。

 さらに、2001年指針は「あまりにも視野が狭い」と常々考えていたといい、(英国の司教団が)新英語訳の作業をその指針に従って進めようとするのも、自分は「行き過ぎ」と思う、とローマ・ラテン典礼書に固執する姿勢を暗に批判し、何人かの英国の司教たちが自分に助言を求めてきたので、新英語訳の祈りの原案で試しに祈ってみたが、‶とても受け入れられない‶祈りの文句だったことも明らかにした。

 そして、枢機卿は「教皇フランシスコが現地の司教協議会により自由な現地語翻訳を認めてくれたことはとても喜ばしい」としたうえで、「ローマは教義にかかわる翻訳に責任があるが、様式に関する翻訳には責任はない」と強調した。さらに、ミサ典礼書の翻訳は(時代や社会の変化に合わせて)4,50年ごとに改定していく必要は認めつつ、現時点で、新独語訳の作業を急ぐ必要はない、との見方を示した。現在の翻訳は1976年にされたもので、「それほど悪いものではない」が、司教協議会の典礼委員会が次の会議で新独語訳への対応を話し合うと述べた。

 新典礼書の独語訳で最も議論を呼んだのは前教皇ベネディクト16世が特に要求し、2001年を”すべてにわたって”ではなく、‶多くの箇所で”適用するよう求めたものだった。“Gotteslob”(神の賛歌)と題する最新の独語典礼聖歌集2013年版には、(祈り方などを含む)ミサ典礼の進め方全般も入っており、ドイツ語圏の各国すべてで使用されているが、前教皇の要求した翻訳も含まれている。だが、300万部以上も印刷されたこの本には「新独語訳はまだ正式決定したものではなく、従来の独語版をすべての教会で使うことができる」という特別の注意書きが入っている。

 なお、英国では新英語訳で、これまでミサで使われてきた表現 “and also with you”を “and with your Spirit” とすることが議論を呼んでいるが、ドイツはフランスと同様に、これまでも英語で訳せば“and with your Spirit” という表現が使われているので、この部分に関する限り問題は起きていない。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

2017年10月12日