「エルサレム」問題で世界は緊張緊張感漂うクリスマス【CJC】

 【2017.12.25 CJC】イエス・キリストの生誕地とされるヨルダン川西岸のパレスチナ暫定自治区ベツレヘムの聖カテリナ教会で12月24日深夜から25日未明にかけて、恒例のクリスマス・ミサが行われた。

 ドナルド・トランプ米大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と承認したことに世界各国は衝撃を受け、例年と比べて緊張感漂うクリスマスとなった。聖カテリナ教会に隣接する、キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた『聖誕教会』前の広場に大きなクリスマスツリーが飾られたが、観光客は減っている。現地時間の午前0時ごろから恒例のクリスマスのミサが始まり、各国から大勢の巡礼者が集まって祈りをささげた。教会の前では、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことに抗議する垂れ幕が掲げられるなど、例年とは異なる雰囲気。

 自治区では連日、デモ隊とイスラエル軍の衝突が続き、パレスチナの赤十字組織にあたる赤新月社などによると、6日以降、12人が死亡、4000人以上が負傷している。

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 韓国では、全土の教会でキリストの誕生を祝う礼拝が行われ、プロテスタントの韓国キリスト教総連合会はクリスマスのメッセージを発表、「寒さと苦痛の中にいる人たちのことを忘れずに、謙遜の姿勢で他人に配慮する生活を実践しよう」と述べた。

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 ウクライナは、正教会の伝統にしたがって1月がクリスマスの祝日だが、ロシアとの対立を背景にヨーロッパとの接近を図る中、ことし初めて12月25日もクリスマスの祝日となり、首都キエフの広場は大勢の人でにぎわった。カトリック教会では、24日夜、多くの信者が参加してクリスマスのミサが行われた。また、キエフ中心部の広場には、高さが30メートル近くもあるクリスマスツリーがライトアップで彩られ、大勢の人でにぎわっている。

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 24日午前、ローマは透き通った青空。深夜にとり行われる教皇フランシスコ司式の降誕祭のミサに先立ち、同日正午、教皇による日曜の祈りの集いがバチカンのサンピエトロ広場で行われた。広場のオベリスクの近くには、毎年のように、クリスマス伝統のツリーとプレゼピオ(イエスの降誕の場面を再現した馬小屋の模型)が飾られている。今年のツリーは、ポーランドから贈られた28メートルのオウシュウトウヒで、イタリア各地の小児科病院に通院・入院中の子どもたちとその両親たちが手がけた飾り玉や星でデコレーションされている。

 教皇は正午の祈りの集いで、平和の君であるイエスの降誕を待つこの時、全世界、特に戦争下にある地域に平和の恵みを祈るよう呼びかけた。また、この機会に、拉致された司祭、修道者、信者らの解放を改めて訴えた。教皇は同日夜、サンピエトロ大聖堂で、クリスマスイブ恒例のミサを行い、苦境にある各地の難民らに対する思いやりを持ち続けるよう訴えた。教皇は、ベツレヘムを訪れた聖母マリアとヨセフが泊まる場所を見つけられなかったことに触れ、難民らを受け入れる心を持つよう呼びかけた。教皇は「土地を追われ、愛する人と離れざるを得ない多くの人々がいる」ことに言及し、ベツレヘムを訪れた聖母マリアとヨセフが泊まる場所を見つけられなかったことに触れ、支援の大切さを指摘し、「クリスマスは恐れを慈しみに変える時だ」と強調した。ミサには1万人の信者が聖堂で参列したほか、外の広場にも大勢の人々が集まった。

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◎パレスチナ自治区ガザの抗議デモ、死者11人に

 【CJC】共同通信が、パレスチナ自治区ガザの保健当局は12月23日、ドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことに対する17日の抗議デモで、イスラエル軍の銃撃を受けて負傷した男性1人が死亡したと明らかにした、と報じている。同軍の銃撃やガザへの空爆による死者はこれで計11人になった。トランプ氏が6日に「首都認定」を発表して以降、抗議デモはエルサレムやパレスチナ自治区などで断続的に行われ、イスラエル軍との衝突が激化している。□

 ◎トルコのエルドアン大統領がクリスマスの祝福メッセージ

 【CJC】トルコのレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領が、クリスマスを控え、12月23日、祝福メッセージを発信した。TRT通信が報じた。大統領は、「キリスト教徒のトルコ国民をはじめ、すべてのキリスト教世界のクリスマスの宴を祝福する」と語り、東部のアナトリア地方は、軍事衝突、弾圧、戦争から逃れるすべての人々にとって、常に安全な場所であり続けてきたと述べた。エルドアン大統領は、トルコの伝統は思想、信仰、基本的人権への敬意を礎としているとして、「この地には、様々な宗教や文化が存在し、今日も価値ある豊かさとして認められている」と語った。トルコではクリスマスの宴が異なる宗派や教会に属するキリスト教徒によって祝福されていると強調した大統領は、「クリスマスの宴が、トルコにおける連帯を広げるきっかけとなるよう願っている」と述べた。□

◎イラン外相がイエス・キリストの生誕日に際し祝辞

 【CJC】イランのウエブサイト『パース・トゥデー』(日本語版)が、同国のモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相が12月23日、平和をもたらす預言者イエス・キリストの生誕日に際し、祝辞を述べた、と報じた。ザリーフ外相は、ツイッター上で、コーラン第3章イムラーン章イムラーン家のある節を引用し、「天使たちは(聖母)マルヤムに対し、“神は自分の言葉で汝らに吉報を与える。それは、マルヤムの子イーサー・マスィーフの誕生である。この子は、現世でも来世でも、名誉あり、神の側近でもある」と記した。ザリーフ外相はまた、「イエス・キリストの生誕日に際し、全ての人々に喜びや平和を祈り、新年において、全ての人々がイエスによる平和のメッセージを受け入れるよう希望する」と語った。□

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2017年12月25日