☩「子供たち、弱い人々の苦しみの中に、性的加害者がイエスの眼差しを見るように」中南米未成年保護研修委員会の代表たちに

File photo of Pope FrancisFile photo of Pope Francis  (Vatican Media)

 

2023年9月27日

・「2023年3月まで一年間で性虐待の申し立ては4教区、5件」とは―”ガイドライン”決定から2年半かかって「日本の教区における性虐待に関する監査報告」

(2023.9.23 カトリック・あい)

 日本カトリック司教協議会が19日、「2022年度日本の教区における性虐待に関する監査報告」をカトリック中央協議会のホームページで発表した。世界で聖職者による性的虐待が大きな問題になる中で、日本の司教協議会は2021年2月になって「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」決定、公表した。それによれば、「日本カトリック司教協議会は、各教区における本ガイドラインの遵守状況を確認し、監査結果を公表する」としているが、どのようなペースで監査を実施し、いつ発表するのか、定かでなかったが、ガイドライン決定から2年半たって、ようやく一回目の監査結果が明らかになった。

 ただ、その内容を見ると、「各教区から提出された確認書によれば、2022年4月から2023年3月の間に性虐待の申し立てがあったのは4教区、5件であった。司祭・修道者の研修を実施した教区は10教区、性虐待被害者のための祈りと償いのミサを実施した教区は15教区、教区内における性虐待防止に関する行事・研修会を実施した教区は5教区であった」とするだけで、具体的な教区名、申し立ての内容などは明らかにされず、「性虐待の申し立てのあった各教区には、監査役から提出された調査報告書に記載された所見を通知し、ガイドラインに基づいてさらなる対応をするよう求めた」とあるだけで、どのような「所見」と通知したのか、「さらなる対応」はどのようなものなのか、まったく判然としない。まさに、木で鼻をくくったような表現の羅列ではないだろうか。

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 「ガイドライン」には冒頭で、「教皇ヨハネ・パウロ二世は2002年4月23日、米国の枢機卿と司教協議会代表にあてた声明で、子どもに対する性虐待は「いかなる基準によっても悪であり、社会から正当に罪悪と見なされるものであって、神の目には忌まわしい罪である」と述べました。未成年者と弱い立場におかれている成人(以降、未成年者の表記に含める。)を守ることは、教会の使命の不可欠な事柄です。日本の司教協議会もこの使命を真摯に受けとめ、2002年以来、さまざまな形で取り組んできました2。わたしたちは、この歩みをさらに徹底するために本ガイドラインを作成し、日本の教会に委ねられている未成年者のいのちを守る使命を果たしていきます」と約束していた。

 そして「おわりに」で、「教会における性虐待、性暴力を根絶できるかどうかは、司教や修道会責任者をはじめ、信徒を含む教会全体の強い責任感と意志にかかっています。わたしたちは、今も苦しみの中にいる被害者への寄り添いを大切にするという姿勢を徹底しながら、キリストが望まれる教会共同体建設を目ざし、弱い者の側にたつキリストの生き方に徹底的に従う教会のあかしを目に見えるものにしていく努力をしなければなりません」と述べ、「同時に、組織内だけで問題を解決しようとする内向きの姿勢を変えていくことも喫緊の課題です。そのためにはしかるべき情報を公開し、教会内外を問わず多くの人の意見に耳を傾け、その協力を仰いで、教会としての決断に反映させるシステムを作る必要があります… 私たちの決意を込めたこのガイドラインが、日本における『すべてのいのちを守るため』の教会と社会づくりに寄与する指針となることを願ってやみません」と決意を語っていた。

 今回の監査報告に、そのような約束、決意が具体的に読み取れるだろうか。長崎教区では、聖職者から性的虐待を受け、さらにその問題に関する高位聖職者の心無い言葉でPTSDを発症した女性に対して、長崎地方裁判所から被告の教区に対し損害賠償命令が出された。仙台教区では、性的虐待被害者の女性の訴えを受けた仙台地方裁判所が、原告の女性と仙台教区に和解協議に入るよう命じたものの、1年以上経ても、教区側が原告が求める誠実な謝罪を拒み続け、9月初めに再び公判が再開する事態になっている。この二つに共通するのは、ガイドラインの言う「今も苦しみの中にいる被害者への寄り添いを大切にするという姿勢を徹底しながら、キリストが望まれる教会共同体建設を目ざし、弱い者の側にたつキリストの生き方に徹底的に従う教会のあかしを目に見えるものにしていく努力をしなければなりません」とは程遠い実態でなかろうか。

  監査報告をまとめた「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」運用促進部門に、内容表現に限界があるとすれば、監査報告に書かれたこと、書かれていないことも含めて、司教協議会として、「今も苦しみの中にいる被害者」そして多くの関係者に、日本全国の信者に対して、「弱い者の側にたつキリストの生き方に徹底的に従う教会のあかしを目に見えるものにしていく努力」を改めて表明するとともに、具体的な姿勢を表明する必要があると思われる。

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(2023.9.19 カトリック中央協議会ニュース)

 日本カトリック司教協議会は、未成年者の保護に関する教会法、関連する教皇庁文書、教皇庁未成年者保護委員会のガイドライン、児童福祉法、児童虐待の防止等に関する法律等を参考に、2021年2月、「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」、2022年2月「『未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン』監査細則」を作成した。

 日本カトリック司教協議会は、ガイドライン「9.監査」の規定に従って、2023年3月、全16教区に対してガイドラインの遵守状況を調査し、確認書を司教協議会会長宛に提出するよう依頼した。同年6月、監査細則第2条に基づいて選出された2名の監査役による監査(1)を実施。

注:1. 「ガイドラインに示す『監査』とは、日本カトリック司教協議会が、各教区におけるガイドラインを遵守しているかを確認することである」(「『未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン』監査細則第2条」。2. 性虐待の申し立てについては、事案の発生は必ずしも2022年度内とは限らず、それ以前に発生した事案も含まれる。

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参考*未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン 2021/12/17

未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン

はじめに

1.目的と適用範囲
本ガイドラインは、日本カトリック司教協議会の管轄する地域の教会活動において、未成年者の権利擁護ならびに保護を確かなものとするために、教会のあらゆるレベル──司教協議会、教区、奉献生活の会、使徒的生活の会など──における取り組みを促進するための方針を示したものである3

本ガイドラインの運用により、教会が虐待や暴力のない安心・安全な居場所となるよう努力し、互いの尊重や思いやりに溢れた教会共同体を確立し、維持する。

本ガイドラインの実施において、未成年者の保護に関する教会法4ならびに日本の法令5を、厳密に遵守し、関連する教皇庁文書6、「児童の権利に関する条約」7に基づく保障を確実にしなければならない。

本ガイドラインの適用範囲は、日本のカトリック教会で宣教や司牧に携わるすべての人──教区、修道会・宣教会、神学校ならびにカトリック関連施設で奉仕する聖職者(司教、司祭、助祭)、修道者、職員、ボランティアを含む──である8

2.用語の定義

  1. 虐待

    本ガイドラインにおいて、「虐待」とは、未成年者に対する身体的虐待(殴る、蹴る、叩くなど。)、性虐待(後記(2)項で定義する。)、ネグレクト(家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にするなど。)および心理的虐待(言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱いなど。)をいう9

  2. 性虐待

    本ガイドラインにおける性虐待に関する定義は、教会法10ならびに教皇庁関連文書11を基本とする。

    性虐待(性的搾取を含む。)は、未成年者に対して行われる神の十戒の第六戒に反する犯罪である12。具体的には、暴力または脅迫、権威の濫用により他者に性的行為を行うように、もしくは受けるように強要すること、合意のあるなしにかかわらず、未成年者と性的行為を行うこと、性的な意味をもった身体的接触、露出、自慰、児童ポルノ素材の制作・公開・所持・頒布、売買春への誘導、各種コミュニケーション手段を用いたものも含む性的な会話及び提案を行うことであり、加害者が聖職者や修道者である場合、より重大な犯罪として、教理省に留保される13

このガイドラインにおいては、用語を以下のとおり定義する。

  • 未成年者:18歳未満の全ての人または法律によってこれらの人と同等とみなされる人。

  • 弱い立場におかれている成人:18歳以上の身体的、精神的な疾患や障がいによって、あるいは事実上、一時的であっても、理解したり、意思を表したり、侵害に対して抵抗することなどが制限されている個人の自由を欠く状態にある全ての人。

  • 児童ポルノ素材:使用される手段(媒体)を問わず、現実または仮想上いずれかの明白な性的行為に関係している未成年者の表現、もしくはもっぱら性的な目的を有するあらゆる未成年者の性器に関する表現。

3.未成年者保護のための担当者
教区司教、修道会・宣教会の上長は、未成年者保護のための窓口となる担当者を任命しなければならない。この担当者は、未成年者の権利を尊重し、あらゆる虐待や搾取14の根絶に向けて配慮する共同体となるために、ガイドラインが適切に履行されるよう対処する。さらに担当者は、司牧活動に携わる人々の虐待に関する予防と研修を実施し、被害を訴える人とその家族を受け入れ支えるよう特別に配慮しなければならない。

4.適性判断と養成

  1. 聖職者、修道者ならびに志願者の召命の識別と養成

    ① 司教ならびに修道会・宣教会上長は「召命を正しく識別する」という責任を持っている15。召命を正しく識別し、志願者、聖職者、修道者を健全に人間的、霊的に養成するために、使徒的勧告『現代の司祭養成』で示された規定と教皇庁当該機関の指針に基づき、堅固な養成を継続的に行わなければならない16

    ② 聖職者、修道者が、人事異動により他の教区へ派遣、または移籍する場合、該当者の経歴などの情報が、派遣先、移籍先の司教と完全に共有されなければならない。神学生、志願生も同様である。

    ③ 司牧者の選定は、適切な調査を通して、その適性が確認されなければならない。

    ④ 司牧者は、未成年者の性虐待、虐待、搾取の危険性について、またそれらの犯罪を特定し防止する方法について、適切な養成を受けなければならない。

  2. 教会ならびにカトリック関連施設の職員、奉仕者、ボランティアの人選と養成

    ① 司牧活動、教育機関、カトリック関連施設に携わる者の選定や雇用においては、適切な調査を通して、その適性が確認されなければならない。

    ② 司牧活動に携わる者、教育機関、カトリック関連施設の職員は、未成年者の性虐待、虐待、搾取の危険性について、またそれらの犯罪を特定し防止する方法について、適切な養成を受けなければならない。

    ③ 司牧活動に協力する者、奉仕者、ボランティアは、未成年者と関わる際の注意事項および禁止事項を知らなければならない。

5.意識啓発

  1. 未成年者の人権と尊厳を擁護し、虐待防止のための意識啓発、ならびに安全な居場所作りのために、教区や学校内での共同体教育への取り組みを実施しなければならない。

  2. 教区ならびに修道会、宣教会においては、特に日本カトリック司教協議会が定めた「聖職者による性虐待被害者のための祈りと償いの日」のミサ、その前後の行事を通して、虐待防止に向けて取り組まなければならない。

6.司牧活動での遵守事項

  1. 未成年者と関わる司牧活動では、未成年者の保護が優先される。したがって、その活動においては、司牧者は以下のことを守らなければならない。

    •  慎重さと尊敬をもって接すること。

    •  未成年者の模範となること。

    •  未成年者といるときは、必ず第三者から見えるようにすること。

    •  潜在的であったとしても、危険な行動が見られた場合は、担当者17に報告すること。

    •  未成年者のプライバシーを尊重すること。

    •  活動内容と取り決めについて、保護者に事前に通知すること。

    •  電話やソーシャルネットワークなどを用いて未成年者とコミュニケーションをかわす際は、しかるべき注意を払うこと。

  2. 司牧者が未成年者に対して以下のことを行うことは、固く禁じられる。

    •  体罰を科すこと。

    •  特定の未成年者と優先的な関係をもつこと。

    •  精神的あるいは身体的に危険となりうる状況に未成年者を置くこと。

    •  不快な態度、不適切または性的なことを示唆する行動を取ること。

    •  特定の個人やグループを差別すること。

    •  未成年者に秘密を守るよう強いること。

    •  特定の個人に贈り物をするなど、グループ内で差別化を図ること。

    •  個人的な目的で、未成年者の写真や動画を撮影すること。

    •  未成年者が特定できる画像を、ウェブやソーシャルネットワークなどで、保護者の同意なしに公開したり配布したりすること18

  3. 司牧活動は、未成年者の年齢と発達段階に応じた場で行われなければならない。未成年者が目の届かない場所や危険なところに立ち入ったりとどまったりしないよう、司牧者は特別に注意を払う必要がある19

  4. 未成年者間での不適切な行動やいじめには、たとえそれが犯罪を成立させるものでなかったとしても、公平かつ慎重に対処しなければならない。

7.保護者のインフォームド・コンセント20

  1. 未成年者が活動に参加する際には、保護者の同意が必須である。また、活動内容、責任者の名前と連絡先情報を、保護者に知らせなければならない。

  2. 未成年者の写真や動画の撮影、未成年者が写っている写真やビデオの公開、電話やソーシャルネットワークを通じて未成年者と直接連絡を取ること、そのいずれの場合も保護者の同意が必要である。

  3. 重要な個人情報を含む同意書は、慎重かつ厳重に保管されなければならない21

8.性虐待、虐待の申し立ての取り扱い

  1. 宣教司牧に携わるすべての人22は、未成年者が性虐待、虐待の被害を受けたとの情報を得た場合、直接または担当者23を通して、当該責任者24に報告しなければならない25。また、当該被害者あるいは被害を受けたと思われる者が18歳未満の場合、法律に基づき、市町村、都道府県が設置する福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない26

  2. 性虐待、虐待の被害を訴える者およびその家族は、受け入れられ、守られる権利を有する。適切な霊的支援、彼らの名誉とプライバシーおよび個人情報の保護を確実にしながら、教会共同体の責任者は、直接または担当者を通して、彼らの訴えに耳を傾け、被害を訴える者および関係者が精神的ケアや霊的同伴を受けられるよう配慮する。

  3. 支援者27は、虐待やその被害者への応対についての知識と経験があり、理解している信徒が望ましい。支援者は訴えの進行状況に関する情報を、被害を訴える者に提供し、適切な支援が受けられるように助言する。

  4. 被害を訴える者には、有益な法律情報をはじめ、急を要する治療や心理的支援を含む医療支援および社会的支援も提供されなければならない。

  5. 被疑者が聖職者、あるいは修道会・宣教会の会員である場合、担当者は直ちに責任者に報告しなければならない。責任者は、被害が起きた教区の司教に報告する義務がある。

  6. 未成年者への虐待の事例について教区司教は、教区対応委員会または修道会・宣教会の担当者に、報告書の作成を要請する。

  7. 訴えが事実に基づかないことが明白でない限り、事案が集結するまでの間、被害を訴えているものを保護し害が及ばないようにするため、責任者は自己の権限において、被疑者の活動を制限するなど、必要な措置を講じなければならない。

  8. 訴えに対応する過程で、以下のことが注意されなければならない。

    •  直ちに適切な方法で、被害を訴えている者の証言を得ること。

    •  被害を訴えている者を心身両面でサポートする適切な機関を紹介すること。

    •  自ら、あるいは代理人を通して証言したり質問に答えたりすることも可能なことも含めて、被害を訴えている者に保証されている権利やその行使の方法を説明すること。

    •  被害を訴えている者が望む場合、手続きの各段階の結果を知らせること。

    •  被害を訴えている者に、弁護士や教会法の専門家の支援を利用するよう勧めること。

    •  被害を訴えている者やその家族を、脅迫や報復から保護すること。

    •  被害を訴えている者の名誉やプライバシーをはじめ、個人情報を保護すること。

    •  すべての関係者の精神的ケアに努めること。

  9. 予備調査、教会裁判等の手続きについては、教理省『聖職者による未成年者への性的虐待事例を扱う手続きにおけるいくつかの点に関する手引き書』28に準拠する。

  10. 被疑者の名誉を保護するため、無罪の推定がつねに保証されなければならない。これに反する重大な理由がない限り、被疑者は自身を守るため、告訴や告発について知らされなければならない。弁護士や教会法の専門家の支援を受けるよう勧められるべきであり、霊的、精神的支援も提供されなければならない。

  11. 調査の結果、犯罪が行われた可能性が高いと判断された場合、修道会・宣教会の上長は、当該教区29の司教に報告しなければならない。なお、教区司教、修道会・宣教会の上長は日本カトリック司教協議会会長ならびに教理省に報告しなければならない。無罪と判断された場合は、裁治権者は訴えを却下することを正式に指示し、調査内容とその結論に至った理由を記録する書類を、記録保管庫に保存しなければならない。

  12. 犯罪が繰り返されると信じるに足る理由がある場合、直ちに適切な予防措置を取らなければならない。

9.監査
日本カトリック司教協議会は、各教区における本ガイドラインの遵守状況を確認し、監査結果を公表する。

おわりに
教会における性虐待、性暴力を根絶できるかどうかは、司教や修道会責任者をはじめ、信徒を含む教会全体の強い責任感と意志にかかっています。
わたしたちは、今も苦しみの中にいる被害者への寄り添いを大切にするという姿勢を徹底しながら、キリストが望まれる教会共同体建設を目ざし、弱い者の側にたつキリストの生き方に徹底的に従う教会のあかしを目に見えるものにしていく努力をしなければなりません。
同時に、組織内だけで問題を解決しようとする内向きの姿勢を変えていくことも喫緊の課題です。そのためにはしかるべき情報を公開し、教会内外を問わず多くの人の意見に耳を傾け、その協力を仰いで、教会としての決断に反映させるシステムを作る必要があります。
以上の提言と私たちの決意を込めたこのガイドラインが、日本における「すべてのいのちを守るため」の教会と社会づくりに寄与する指針となることを願ってやみません。

*本ガイドラインは、2021年度定例司教総会において、日本カトリック管区長協議会および日本女子修道会総長管区長会代表の参加のもと、日本カトリック司教団により、2021年2月17日に承認された。

2023年9月23日

・元イエズス会士による性的虐待の被害者たちが教皇に公開書簡ー「”Zero Torelance(容赦ない処罰)”はPRキャンペーンに過ぎない」(Crux)

(2023.9.20  Crux Staff)

 ローマ – 元イエズス会士で著名なスロベニア人芸術家、マルコ・ルプニク神父による性的虐待の被害とされる女性5人がこのほど、教皇フランシスコやイタリア司教協議会長、バチカンで修道会を管轄する責任者などに宛てた連名の公開書簡を発表。

 「最近の教会関係者の対応は、聖職者による性的虐待に対して教皇フランシスコが強調する”Zero Torelance(容赦ない処罰)”が、単なるPRキャンペーンに過ぎないことを明らかにしている。醜聞を頻繁に隠し、虐待の当事者のために支援、もみ消しさえしている」と強く抗議した。

 公開書簡は、9月15日に教皇がルプニクを擁護するイタリアの神学者を謁見したこと、さらに、18日にカトリック・ローマ教区が声明で、ルプニクが設立した「セントロ・アレッティ」は「健全な共同体生活を育んでいる」と讃えたことを批判し、イエズス会がルプニクを、性行為の相手の女性を赦免するために告解室を利用したとして短期間だけ破門したことにも異議を唱えた。

 そして、このような教会や修道会の対応に「私たちは言葉を失い、もはや抗議の声を叫ぶ気力も失った… 教皇のルプニク支持者謁見とローマ教区の声明は、教会は被害者や正義を求める人々に全く関心がないことを示している」と批判した。

 また、教皇は8月下旬から「世界青年の日」大会出席のためポルトガルを訪問した際、「誰でも、どんな人も、教会は歓迎します」と主張しているが、「教会には、不快な真実を思い出す人々の居場所はない」と言明。

 さらに、ルプニクを間接的にかばうようなローマ教区の声明について、「性的虐待の犠牲者の苦痛だけでなく、高位聖職者たちの、頑なで傲慢な対応によって致命傷を負った教会全体の苦痛をも嘲笑するものだ」と述べた。また、ルプニクの長年の同僚で現在はセントロ・アレッティ会長を務めるマリア・カンパテッリに教皇謁見が認められたことは、「これまで教皇が、ルプニクによる性的虐待の犠牲者とされる人物の誰にも会っていない、という事実とは、全く対照的だ」とも批判した。

 また、ルプニクの活動と関係のあった女子修道会Loyola Communityの現会員と元会員が教皇あてに出した4通の手紙にも返答しておらず、 「被害者たちは、こうした対応による新たな虐待に声にならない叫びをあげるしかない」とも述べた。

  ルプニクによる性的虐待については、これまでに約20人の女性が、30年以上にわたるさまざまな形の性的、精神的、心理的虐待で本人を告発している。 68歳のルプニクは7月にイエズス会修道会から追放されたが、依然としてカトリックの司祭だ。だが、ルプニクが今後どこに活動の拠点を置くのか、また他の懲戒処分が今後されるのかどうかは明らかではない。

 また、修道女たちが虐待される場になったとされるLoyola Communityの元総長、シスター・イヴァンカ・ホスタに対しても、公開書簡は「ルプニクの残虐行為を30年間、隠蔽し、彼の計画に反対する人々を精神的奴隷に貶めてきた」と批判しているが、彼女に対する調査、処分はこれまでどこからも全くされていない。

2023年9月22日

・「破産申請の可能性が極めて高い」と米サンフランシスコ大司教が表明―聖職者の性的虐待訴訟の重圧で

Cathedral of St. Mary of the Assumption in San FranciscoCathedral of St. Mary of the Assumption in San Francisco. | Credit: Sundry Photography/Shutterstock

(2023.8.8 カトリック・あい)

 米国の有力カトリック・ニュースサイトCNAが5日付けで伝えたところによると、同国のサンフランシスコ教区長、サルバトーレ・コルディオーネ大司教が4日、教区に対して起こされている数百件の聖職者による性的虐待訴訟により、近い将来、破産申請する「可能性が非常に高い」ことを明らかにした。

 サンフランシスコ大司教区はサンフランシスコ市を中心に88の小教区に44万人の信徒をもち、初代大司教就任から200年近い歴史を持つ米国の拠点教区の一つ。

 米国では2002年に、聖職者による未成年などへの性的虐待がメディアによって明るみに出されたのをきっかけに、虐待被害者やその家族などから損害賠償訴訟が相次いで起こされ、敗訴したり、和解したりすることで重い賠償負担を抱えて、破産に追い込まれる教区が増えている。CNAによると、これまでに米国内で破産を申請したカトリック教区は20を超えているという。

 だが、米国で古い歴史を持つ基幹教区が性的虐待訴訟で破産に追い込まれる事態となったのは初めてと見られ、性的虐待がもたらしている事態の深刻さを改めて浮き彫りにしている。

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 コルディオーネ大司教は4日、教区のウエブサイトで、このことを明らかにしたが、その中で、「特定の性的虐待申し立ての時効が2019年カリフォルニア州法で撤廃されたのを受けて、被害申し立てが急増し、500件を上回る民事訴訟が起こされている」とし、「訴訟の対象となっている性的虐待の容疑の大部分は1960年代、1970年代、1980年代に起きたもので、関与したとされる司祭は既に死亡しているか、司牧活動を止めている。また、匿名の個人、あるいは大司教区が感知しない名前のある個人が関与したものもあるが、これらの申し立てを解決する最善の選択肢を模索している」と説明。

 そのうえで、「熟考と祈りの結果、破産法第11章に基づく教区財政の再建が行われる可能性が非常に高いことをお知らせしたい」と述べ、破産申し立てにより、「大司教区が一度に1件ずつではなく、数百件の事件をまとめて処理できるようになり、数百人の被害者にとってより速やかな解決がもたらされると考える。公正な補償が行われ、その結果として、平和と決着がもたらされるのを願っている」と教区民の理解を求めている。

 

 *コルデリオーネ・サンフランシスコ大司教の声明全文は次の通り

2023年8月8日

・性的虐待で訴訟中の元米司教が結婚を”宣言”、バチカン・ルールに構造的欠陥?(CRUX)

(2023.8.2 Crux By Crux Staff)

   米国のニューヨーク州で7件の性的虐待の訴えを受けて公判中のカトリックの元司教が、バチカンから訴訟が解決するまで待つよう指示されたのを無視して、女性と民法上の結婚をした。

 この振る舞いは、聖職者による性的虐待への対処という深刻な問題を抱えるバチカンを困難な立場に追い込み、高位聖職者による性的虐待と虐待や隠ぺいの申し立てに対処するためにバチカンが最近導入した制度の構造的欠陥と、バチカンの指示に従わず勝手な行動をとる聖職者への教皇の対応の困難さを浮き彫りにしている。

 問題の元司教は、1977年から2014年までニューヨーク州の首都オールバニーの教区長を務めていたハワード・ハバード、84歳。自らの性的虐待についての虐待疑惑は否定しているものの、教区長時代に、司祭による性的虐待について訴えを受けていたにもかかわらず、これを隠ぺいしていたことは認めている。

 ニューヨーク州では他の多くの州と同様に、未成年者に対する性的虐待についての民事,刑事いずれの申し立ても、時効を一時解除する措置をとっているが、2022年の裁判所による事情聴取で、ハバートは、司祭による性的虐待について訴えを受けたことを警察に報告しなかった理由について、「 法律でそうすることを義務付けられていないと思った。醜聞が表ざたになるのを避け、司祭職を尊重する考えによるものだ」と”釈明”していた。

 教皇フランシスコは、2019年に聖職者による未成年に対する性的虐待に対処する教会法上のルールを明示した使徒的書簡 『Vos estis lux mundi(あなたがたは世の光)」を出しており、これに基づいて、ハバートに制裁を課すことも可能だったはずだ。

 だが、バチカンはこれまで、このルールを積極的に活用することをせず、ニューヨーク州が未成年性的虐待の時効を一時解除した2022年に、ハバードは聖職者としての役務を停止するか否かを判断するよう指示するにとどまった。

 ハバードがバチカンに聖職離脱を申し出たのは、民事訴訟の棚上げ停止後の2022年秋だった。バチカンは彼に、民事訴訟がすべて決着するまで、離脱を待つように求めたのに対し、 ハバードは声明を出し、「私を助け、世話し、信じてくれるた素晴らしい女性と恋に落ちました」とし、その女性を「この旅の愛情深い支えとなる仲間」と呼び、「自分はそうすることができる」と述べた。

 訴訟が決着する前に、彼は91歳か92歳になる可能性がある。 アルバニーの現教区長、エドワード・シャーフェンバーガー司教は、ハバードが民法上結婚したというニュースを「想定外。まだ対応を始めたばかりだ」としたうえで、 「教会は(ハバードの)の結婚を有効なものとして認めていない」と言明している。

 オールバニー教区は、ニューヨーク州が未成年性的虐待の時効を一時停止したことに伴い、虐待被害者などから数百件の損賠賠償請求訴訟を出され、教区財政は賠償負担に耐えられないとして、今年初めに破産を申請している。

  ハバードの今回の「性的虐待訴訟中の婚姻」について、これまでのところバチカンからコメントは出ていないが、ハバードが懲戒処分の対象となる可能性がある。ちなみに、 この事件を担当することになるとみられるバチカン司教省の長官は、先に教皇から枢機卿に指名され、9月に叙任される、ハバートと同じ米国人のロバート・プレボスト大司教だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2023年8月3日

・米司教団が未成年性的虐待など2022年・年次報告ー年間の被害訴え1998人、2704件に“減少”だが

File photo of a US bishop praying during an annual meeting of the USCCBFile photo of a US bishop praying during an annual meeting of the USCCB 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年7月19日

☩「聖職者による性的虐待に対処するため、『償いの霊性』を深めて」教皇、Servants of the Paracleteの会員たちに

2023.06.23 Artisti partecipanti all'incontro promosso in occasione del 50° anniversario della inaugurazione della Collezione d'Arte Moderna dei Musei

(2023.6.24  Vatican News  Lisa Zengarini)

 教皇フランシスコは24日、 Servants of the Paraclete in the Vaticanの総会出席者と会見され、聖職者による虐待の悲劇を想起し、個人的な問題を抱える司祭に寄り添い、支援するこの会の会員たちに、「『償いの霊性』を深め、司祭たちが霊的生活の素晴らしさを取り戻せるように助けることで、(聖職者による性的虐待が引き起こしている)現在の危機に対処するように」と促された。

  は、個人的な問題を抱える司祭を支援するために 、米国ニューメキシコ州で1947 年に設立された修道者の会。具体的には、霊的指導、個人およびグループセラピー、監視付きの生活、継続的な指導と育成を通じて、聖職者として立ち直るように、霊的分野を含む総合的なプログラムを提供し、アルコール中毒や性的障害などの問題を抱える司祭や修道者を助けることを使命とする。現在、英国、フランス、イタリア、フィリピン、アフリカ、南米諸国を含む世界の多くの国で活動している。

  教皇フランシスコは、使徒宮殿の会議室で、同会の司祭、修道者約55人を前にした講話で、まず、会のモットーである “pro Christo Sacerdote”を取り上げ、「『同伴者である聖霊の導きのもとで司祭としてキリストに仕える』というあなたがたの特別な使命を、よく表現しています」と指摘された。

 そのうえで、「現在、このモットーは、性的虐待がもたらしている悲劇のゆえに教会が経験しているものを浄化する、特別に取るべき道をも意味しています」とされ、「罪は醜いものであり、私たち自身、あるは私たちの兄弟の司祭たち、司教たちの誰かが、悪徳、腐敗、あるいはさらに酷い、人生を台無しにする犯罪の底なしの穴に落ちる時、私たちは苦痛と屈辱を味わいます」と強調。

 そして、「このような状況であるからこそ、Servants of the Paracleteの役割は、今一層、重要になってきています。このような状況の中で、『Servants of the Paraclete』であるためには、問題を抱えた司祭や助祭などの兄弟に同行し、禁欲、回心、聖職者として再生するための道を歩むことが出来るように、専心する必要がある。善きサマリア人の心と行為をもって、彼らの傍らに立ち、彼らと日々の生活と祈りを分かち合ってください。そして、何よりも、彼らを共同体、祈りの共同体に参加させることが、聖職者としての使命の危機に対処する調和のとれた生活を取り戻すのに役立ちます」と勧められた。

 講話の最後に教皇は、会員たちに対して、「神の民の牧者としての聖性の奉仕において、『浄化の必要』から始まる『償いの霊性』を深める」ことを勧められた。そして、「聖霊が、叙階された聖職者たちの生活の支持者であるときに、司祭として成熟する、ということを認識するなかで、霊的生活の素晴らしさを再発見できるよう助けることの重要性」を強調。不誠実は容認されてはならない。聖霊の光によって明らかにされるべきです。 神だけが私たちを背信から救ってくださいます… イエスの目で、イエスの愛と優しさで、一人一人(の司祭)を見ることができるよう、聖霊が助けてくださいますように」とされ、Servants of the Paracleteの会員たちに「慈しみの福音の証人としての良い旅」が出来るように願われ、聖母マリアが、会員たちと共に歩み、守ってくださるよう祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年6月25日

・バチカン未成年者保護委員会、世界の教会に向けた性的虐待防止の新指針策定開始

Pope Francis addresses a meeting with the members of Pontifical Commission for the Protection of MinorsPope Francis addresses a meeting with the members of Pontifical Commission for the Protection of Minors  (Vatican Media)

 委員会が同日発表した声明によると、新指針は、「教会全体で、子供たちや弱い立場にある人々にとって安全な環境を作り出す取り組みを強化」することを目的とし、「世界のすべてのカトリック教会で導入、実施される保護基準の規範」を目指す。

 そして、新指針の役割として、「安全確保についての良い慣行に従って教会における虐待からの保護を促進するのに役立つこと」を強調し、虐待によって衝撃を受けた人々の支援に焦点を絞ること、虐待に対して適切な対応をすることの重要性も指摘している。

 また、これまでの作業で、委員会は「過去10年の間に教会と市民社会が行った活動の分析に基づき、世界の現地の教会のそれぞれの安全保護指針と対策を支援するための新指針の基本原則をまとめているが、さらに、全世界の司祭、一般信徒を対象にウエブサイトを利用した4つの言語による”オンライン調査”を実施する。教皇フランシスコは2016年の使徒的書簡「As a Loving Mother」で、「(性的虐待からの)保護の義務は教会全体に委ねられている」とされており、寄せられた回答は、年末に向けて委員会で検討の上、新指針に反映される。そして新指針は、世界のすべての教会に通知され、現在、各教会がもっている保護指針を新指針に従って更新し、それを委員会に送り、審査を受けることになる、という。

 声明ではまた、新指針では、世界の各現地教会に対して「教皇フランシスコの使徒的書簡 『Vos estis lux mundi(あなたがたは世の光)』の指示に従って、虐待の訴えを受け付け、管理するための、また、特に虐待の影響を受けたすべての人、特に被害者を支援するための体制を確立することを求めることになる」としている。

 声明で述べられている、新指針の他のポイントは、「虐待によって影響を受けた人々、共同体への寄り添い」「教会全体に安全環境を確実にする文化面での配慮」「(被害訴えなどについて)利用しやすい手順の明記」「弱者保護と責任の取り方について、教会指導者の明確な誓約」「教会のすべての聖職者に対する、リスク防止のための継続的な指導、訓練、『保護の文化』への司牧の。 能力の構築 」などだ。

 さらに声明は、未成年者保護委員会は「教会全体の保護指針を更新するプロセスを主導することに加えて、新指針の実行を確実にするための財政的あるいは人的資源が不足している現地教会の支援を行う」と言明。それに沿って、「関係機関と連携して、現地教会の安全防護指針の策定と実施の確実にするための能力構築プログラムを作っている。プログラムは、『誰も、助けを得ないまま、取り残されることはない』という聖母への祈りにちなんで「Memorare」と呼ばれている、と説明している。

 また、「新指針の策定と教会全体の能力構築の進捗状況は、教皇が委員会に要請された『保護政策と手順に関する年次報告書』で明らかにする」とし、 年次報告書の概要は今年 10 月に、世界の現地教会からの報告も含めた完全版は来年 10 月に、それぞれ発表される予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年6月25日

・カトリック中央協議会がホームページに「各教区のハラスメント対応窓口」を掲載

(2023.6.22 かとりっく・あい)

 今さら、というべきか。カトリック中央協議会のホームページに6月22日、日本の各教区に置かれている”ハラスメント等”対応窓口の一覧表が掲載された。肝心の担当者あるいは責任者の名前もなく、どのように対応するかの説明もない。先の長崎教区や仙台教区のような”加害者側に立った対応”を改めたのか、どこまで、公正に被害者の立場に立って対応しているのか、あるいはこれから対応しようとしているのか、も不明である。このような「カトリック・あい」の説明に不服があれば、正々堂々と弁明してもらいたい。

教区 窓口名 受付日
札幌 札幌教区 聖職者によるハラスメント被害ホットライン
080-2879-3168
火-金 12:00-16:00
(祝日、指定休業日を除く)
仙台 仙台教区 子どもと女性の権利を守る委員会相談窓口
090-5187-4959
月-金 10:00-16:00
(不在時は折り返し電話で対応)
新潟 新潟教区 セクシャル・ハラスメント相談窓口
080-8912-8758
火 13:00-14:00  (祝日を除く)
さいたま
さいたま教区 子どもと女性の人権を守るための対応委員会
070-4367-9876
火・木 10:00-17:00
東京
東京大司教区 こどもと女性の権利擁護委員会 受付窓口
080-9046-9200
月-金 9:00-12:00  13:30-16:00
横浜
横浜教区 子どもと女性の人権を守るデスク電話相談窓口
045-663-5359
火 10:00-13:00
金 13:00-16:00 (祝日,休暇日を除く)
名古屋
名古屋教区 セクシャル・ハラスメント対応委員会ホットライン
080-2625-4681
月-金 10:00-17:00
京都
京都教区 ハラスメント防止対策委員会 相談窓口
080-9750-6408
水・木・金
10:00 – 12:00  13:00 – 17:00
大阪
大阪大司教区 セクシュアル・ハラスメント 相談窓口
06-6941-9718
月・火・金 10:00-16:00
(祝日を除く)
広島
広島司教区 子どもと女性の人権擁護デスク
082-221-6613 or 080-9795-3676
月・火・木・金
9:30-12:00 13:00-17:00
高松
高松司教区 子どもと弱者の権利を守る会
087-831-7760 または 087-831-6659(教区本部事務局)
火-金 12:00-16:00
(祝日、指定休業日を除く)
福岡
福岡司教区 セクシャル・ハラスメント相談窓口
080-2694-4182
月-金 10:00-12:00 13:00-16:00(祝日を除く)
長崎
長崎大司教区 子どもと女性の人権相談室
095-865-7829
月-金 10:00-16:00
(不在時、留守番電話対応)
大分
大分教区 セクシャル・ハラスメント相談窓口
097-533-9831
水 09:00-17:00(祝日除く)
鹿児島
鹿児島司教区 子どもと女性の人権相談室
090-3418-2729
月-金 10:00-22:00(祝日除く)
那覇
那覇教区 子どもと女性の権利を擁護するデスク
098-863-2020
火・水・木 13:00-17:00
2023年6月22日

・イエズス会が、修道女など複数の女性虐待容疑の著名な芸術家の会士を除名

Father Marko Ivan Rupnik. (Credit: Screenshot/Vatican Media.)

Jesuits expel prominent artist accused of absuing women

(2023.6.15 Crux  Senior Correspondent   Erise Ann Allen

 

ローマ発 –教皇フランシスコも会員となっている世界最有力の男子修道会、イエズス会が15日、複数の女性に対する性的虐待などで訴えられている著名な芸術家のイエズス会士を、「自己の規律に関する誓願」を破ったとして除名することを決定した。

 同会でこの問題を担当するヨハン・フェルシューレン師は15日の声明で、「イエズス会総長は6月9日付けで、悲痛な思いを込め、マルコ・イワン・ルプニク神父をイエズス会から除名した。服従の誓いを守ることを彼がかたくなに拒否したことに対する、教会法上の措置である」と発表している。

 ルプニク神父は、ローマで活動する著名なカトリック芸術家、壁画家で、その作品はバチカンやフランスのルルドにある有名なマリア聖堂など世界中の礼拝堂や神社を飾っている。だが、昨年、修道女たちに対する性的虐待が発覚し、司法当局の取り調べを受けており、公的な活動を禁じられている。

 フェルシューレン師は声明で、ルプニクに対する訴えに関するイエズス会の担当チームの調査によって「あらゆる種類の数多くの苦情が、全く異なる情報源から寄せられ、過去30年以上にわたる期間の出来事が明らかにされた」とし、「会の上長たちは、報告や目撃された内容の信頼性は非常に高いと判断し、調査チームの勧告や提案に従うことを決めた… この判断に基づき、ルプニクに対し、現在居住しているイエズス会の施設から他の施設に移り、過去の過ちを認め、自身が傷つけた多くの人に、真実の道に戻る明確なしるしを示すための、イエズス会に残る最後の機会として新たな職務を受けるよう命じた」と説明。だが、ルプニクがこの命令に従うことを拒否したため、「残念ながら私たちに残された道はただ一つ、イエズス会からの除名だった」とし、ルプニクに6月14日付けで会から去ることを命じた、としている。

 イエズス会の調査チームの報告書は2月に出ていたが、今、除名措置に踏み切ったのは、会が彼に対して、ローマのあるラッツイオ州を離れたり、公的な活動をすることを禁じていたにもかかわらず、ボスニアとクロアチアを訪れ、美術修復プロジェクトに従事している、との最近のマスコミの報道が引き金になったとみられる 

 バチカンとイエズス会が、ルプニクにどう対処するかは、ここ数か月の間、カトリック関係者の間で注目の的になっていた。それは、彼が現代カトリック芸術家の一人として欧米で高く評価されている人物であり、教皇フランシスコを筆頭に多くのバチカン高官と同じイエズス会士だったからだ。

 ルプニクをめぐる問題が注目されるようになったのは昨年12月、イタリアのブログやウェブサイトが一斉に、彼の故郷であるスロベニアの修道女たちを何年にもわたって精神的に虐待し、性的違法行為を働いたとして告発された、と報じたことによる。スロベニアの女子修道会「スクプノスティ・ロヨラ」などに所属する修道女たちが被害に遭ったのは、彼が霊的指導の担当司祭だった1990年代にまで遡る。

 以前、ルプニクに関する報道が広まり始めた後、イエズス会は、ルプニクを「教会の最も重大な犯罪の一つを犯した」―性的関係を持った女性を赦免するために告解の場を利用した-として、2020年に短期間破門したことを認めた。破門は、ルプニクが”悔い改め”たとして、わずか1か月後に解かれたが、その1年後、9人の女性から、ルプニクが1990年代に自身が共同設立したロヨラ・コミュニティで性的、心理的、精神的虐待を行ったとの告発がなされた。

 当時、イエズス会はバチカンに教会法に基づく措置を取るよう求めたが、イエズス会士ルイス・ラダリア枢機卿が長官を務める教理省はそれを「時効」を理由に拒否、捜査もできないと通告。このため、 ルプニクの犯罪の解明も進まず、多くのバチカン関係者が、「教皇がイエズス会士で、聖職者の性的虐待問題を担当する教理省の長官もイエズス会士であることから、同じ会のルプニクをバチカンが守ろうとしているのではないか」との疑問を抱くことになった。

 このような中でイエズス会も、彼の公的活動やラッツイオ州を離れることを禁じる一方、彼の被害者は積極的に申告するよう広く呼びかけ、その結果、新たな被害の訴えが約15件出て来た。

 フェルシューレン師は声明で、ルプニクが司祭職そのものをはく奪される可能性などについて明らかにしなかったが、仮にルプニクが上訴を認められた今後30日の間にそれを断念するか、上訴して却下され、除名が確定した後に、その問題が出てくることを示唆している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2023年6月17日

・「性的虐待による危機を脱するには、教会の”文化”を変えねばならない」仏司教協議会会長が言明(La Croix)

(2023.6.14  La Croix   France  Arnaud Bevilacqua and Christophe Henning)

   フランスの教会での性的虐待に関する独立委員会(CIASE)が、国内の多くの人々に衝撃を与えた報告書を発表して1年半以上が経過した。

 司祭や修道会の会員を含む多くのカトリック教徒が今でも衝撃から覚めず、加害者たちに怒りを感じ続ける中で、フランス司教協議会(CEF)とフランス男女宗教者会議(CORREF)は、CIASEの報告書をもとに、改めて調査、分析を行い、虐待や虐待への対処方法に関するCIASEの提案の多くを取り上げ、再発防止策を策定してきた。

  CEF会長のエリック・ド・ムーラン=ボーフォール大司教とCORREF会長のドミニコ会シスター・ヴェロニク・マルグロンは、虐待の危機が教会の文化的変革の必要性を示している、との見解で一致している。 LaCroixの独占会見に応じた二人は、CEFとCORREFが、そのためにどのような努力を重ねているかについて、以下のように語った。

*会見の一問一答など詳細はLaCroixのページでご覧になれます⇒ https://international.la-croix.com/news/religion/catholic-leaders-say-abuse-crisis-shows-church-must-change-its-culture/17967

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。 LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2023年6月15日

・一審無罪だが原告が控訴中の性的虐待容疑のインドの司教の辞表、教皇が受理(Crux)

(2023.6.3  Crux   Contributor  Nirmala Carvalho)

ムンバイ発 – 教皇フランシスコは1日付けで、インド北部のジャランダル教区長、フランコ・ムラッカル司教の教区長辞任の届け出を受理した。ムラッカル司教は、2014年から2年間に修道女に対して13回にわたって性的暴行を働いたとして被害者から訴えられ、逮捕され、2022年にケララ州の地方裁判所で無罪判決となったものの、原告側が不服として高等裁判所に控訴中だ。

 教区長としての職務を解いたことについて、駐印バチカン大使館は声明で、解任は懲戒処分ではなく、教区の”治癒”を進めることを目的としていることを示唆し、「ムラッカル師は引き続き司教の座にとどまり、活動に教会法上の制限は課されない」と説明している。

 ムラッカル司教は2013年からジャランダル教区長を務めているが、現在59歳で、司教定年とされている75歳よりもはるかに若い。本人は、友人や関係者に送ったビデオメッセージで、「教皇は、私が上司との話し合いと祈りをもって書いた辞表を受理された。喜びと感謝の気持ちを込めてこのことをお知らせする」とし、「この機会に、私は直接的、間接的に経験したすべての苦しみと、それが十字架につけられた主の足元に引き起こした困難を捧げます。 神のご加護がありますように」と述べている。

 ムラッカル司教はインド南部ケララ州出身。裁判で原告となった修道女は、2014年から2016年の間に司教が教会を訪問中に13回も性的暴行を働いた、と訴え、彼は、強姦罪で逮捕されたインド初のカトリック司教となった。

 同州の他の5人の修道女も原告を支持したが、これに対して司教は「原告の修道女は自分が不倫を働いた相手の男性の妻から訴えられた報復として、うその性的暴行被害を訴えたのだ」と反論。ケララ州地方裁判所で 2019年11月から2022年1月にかけて39人が証人として出廷して審理が行われた結果、「原告の証言には『誇張と粉飾』が含まれていた」として、無罪判決を出した。

 この判決に対して、ソーシャルメディア上で抗議が起こり、抗議した人の中には「裁判官が事実上、原告を裁判にかける結果になった」とする女性の権利擁護の運動家も含まれており、 検察側は判決を不服として、原告と原告を支援する人々と共にケララ州高等裁判所に控訴している。

 駐印バチカン大使館は声明で、バチカンは、インドの司法当局の判断に従う、としたうえで、教皇のムラッカル司教の教区長としての辞表受理は、「裁判によるものではなく、『司牧的措置』。ジャランダル教区の”健康”のため。ムラッカル司教をめぐって大きな論争が起き、分裂状況を生み出していることから、新しい教区長が必要となった」と説明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

2023年6月4日

・ブラジルのカトリック教会でも聖職者108人による未成年者性的虐待発覚-氷山の一角?(Crux)

(2023.6.2 Crux  Contributor  Eduardo Campos Lima) 

 サンパウロ 発– ブラジルのカトリック教会でも聖職者による未成年者性的虐待が広範囲にわたっていることが明らかになった。同国のジャーナリスト2人が今週初めに出版した『Pedofilia na Igreja』(「教会における小児性愛」)によると、2000年からこれまでに108人の聖職者が、148人の子供と十代の若者に性的虐待をし、うち60人が有罪判決を受け、懲役刑を言い渡され、さらに数十人が公判中。それでも、これらは「氷山の一角」にすぎない、としている。

 共著者のファビオ・グスマン、ジャンパオロ・モルガド・ブラガ両氏はこの本をまとめるにあたって、同国の裁判所や警察署、公的資料保管所に保管されている数千件の司法関係の文書、未成年に対する性的虐待に関する国際データバンク、ニュース記事などを収集・分析、さらに、数十人の被害者と親族、司祭、検察官、警察職員にも聴取した。

 2人は「ブラジルは世界最大のカトリック国家であり、ここに教会は巨大な規模だが、 ポルトガルやフランスなどの教会が未成年者虐待を精査する第三者委員会を設立しているが、ブラジルではまだそうしたことが行われていない」と述べ、「最近数年間にブラジルの教会は未成年性的虐待に対して前向きな姿勢を強めてきたが、教会として責任を負い、虐待撲滅への姿勢を明確にするためには、まだやるべきことが多くある」と強調している。

 さらにグスマン氏は「性的虐待に関する民事訴訟で教区がとっている対応は、そのことを浮き彫りにしている… ほとんどの教区の法廷での戦略は、「犯罪行為は司祭職とは無関係」「虐待は教会の外で起こった」などを繰り返し主張し、加害者の司祭と被害者を引き離すことにあった。教会、加害者司祭の責任を回避するやり方だ」と批判。

 さらに、約1億2300万人の信徒を擁するブラジルのカトリック教会が、「20年以上にわたる聖職者による性的虐待に対して、被害者への賠償金の支払いを余儀なくされたのはわずか約20万ドルにとどまっている… 約7000万人のカトリック教徒がいる米国の教会が、被害者への損害賠償金など訴訟を解決するために40億ドルを超える金額を支払った、とされているのと、対照的です」とし、「ブラジルの教会が未成年性的虐待との闘いに本気で取り組んでいたら、被害者が訴訟を起こす前に、和解が成立していただろう」と指摘した。

 また著者たちは、ブラジルにおける聖職者による未成年性的虐待の深刻さを、被害を受けた当時、わずか3歳だった少女の例を上げる。「ブラジル南部、サンタ・カタリーナ州にいた彼女は、ウクライナ・カトリック教会の神父と学校の教師から虐待を受けたのです。司祭たちの犯罪を調べると、彼らがいかに巧みで、犯罪を実行するのにどのようにしたらいいかを、正確に知っていることが分かる。そして、彼らは、その結果が『自分たちに何の影響も及ぼさない』と考えているようだ」と言う。

 そして、犯罪実行の一種の”ガイドブック”を書いていたタルシシオ・タデウ・スプリシゴという元司祭の例を挙げた。「 警察に押収された彼の手帳には、シングルマザーに育てられ、音楽教室に惹かれる可能性のある7歳から10歳の貧しい少年たちが”理想的なターゲット”として特記されていた。そして、少年たちを誘惑するための”秘訣”として、『いつも自信を持ち、真面目で、立派で、父親のようであり、決して質問をしないが、常に理解してくれている、と相手が信頼するようにする」ことが書かれ、自身の犯罪行為の説明もされていた」という。

 この神父は、過去15年間に3つの州で性的虐待をし、5歳、8歳、13歳の少年を虐待した罪で有罪判決を受けた。「司祭としての資格はく奪後も、音楽教師として虐待を続けていたことが明らかになっており、このことは、性的虐待に対して司祭の上司や司教が、適切な行動を起こさなかったことを示しているケースもあること」を示している。

 フランシスコ会のパウロ・バック神父を、被害者が虐待の罪で告発することを決めた2012年に、神父の地元、サンタカタリーナ州のフォルキリヒンハ市では既にそのことがよく知られていた。告発されたのを受けて、他の都市からも非難の嵐が殺到。 数十年前に行われた性的虐待までも明らかになった。警察が押収した彼のパソコンを調べたところ、フランシスコ会の上長との間でやりとりされた電子メールが見つかり、彼の行動がすでに修道会の上長と司教の両方に知られていたことが明らかになった。「司教館での会議で、私たちはそこで起こったことすべてを秘密にすることで合意した…」と上長は電子メールメッセージで述べた、とされている。

 バックは逮捕され、懲役26年の判決を受けたが、拘置所にいたのはわずか1年5カ月で、その後自宅軟禁に移された。 グスマン、ブラガ両氏が彼の足取りをたどったところ、2018年現在もサンパウロ州ブラガンサ・パウリスタのフランシスコ会の修道院で司祭として生活していることを見つけた。

 「私たちは、各教区が自らを精査し、責任を問うことができることを望んでいる。 それが教会の信頼回復への唯一の方法だ」とグスマン氏は語り、「地域社会が子供たちを守ることができるよう、虐待した司祭のリストを教区がオンラインで公開すべきだ」と主張した。

 「他の国ではそれがすでに現実となっているが、ブラジルでは遠い話のように思われる。教会だけでなく、ブラジルの機関や組織も慣行を見直す必要がある。 例えば、マスコミは通常、虐待に関する記事をエピソード的に取り上げ、しばらくすると事件を追わなくなるため、教会も一般社会も忘れてしまうのだ」と不満を述べた。

 また、「ブラジルの司法制度では、被害者を保護するために、事件を秘密にしている。そのことが、加害者も”保護”されるという結果になり、被害者が被害を名乗り出ることを難しくしている」とも指摘し、「コミュニティも変わらなければならない。被害者が司祭を告発したところ、教会の信徒たちが、加害者の司祭の側に立つケースもあった。小さな都市や貧しい地域社会ほど、司祭の影響力は非常に大きい可能性があるが、 教区が信者に虐待の状況を適切に知らせれば、性的虐待の再発を防げるようになるだろう」とも語っている。

 著者たちは、「ブラジルでは、ほとんどの性的虐待被害者が、地域社会や教会から放っておかれている。 当然のことながら、被害者やこのような実態を見た信徒たちの多くは、カトリック教会から離れてしまっている」とも述べ、「多くの虐待被害者がこの報告書を読んで、加害者を勇気をもって告発した信徒がいることを知り、ある種の慰めを感じるだろう。 これが教会の変革の始まりになることを期待したい。フラジル社会が教会と司法制度を動員して圧力をかければ、状況は変わる可能性がある」と期待を述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2023年6月2日

・イタリア最大のカトリック信徒団体幹部が未成年性的虐待で逮捕(Crux)

Mirko Campoli. (Credit: Youtube screen capture.)

Abuse scandal in Italy raises issues of lay supervision, disclosure

(2023.5.26  Crux Staff)

 ローマ発 –教皇のおひざ元の イタリアで、新たな性的虐待スキャンダルが発生した。同国最大のカトリック信徒団体の著名な幹部が少なくとも未成年者4人に性的虐待を働いた罪で司法当局に逮捕されたものだ。

 この事件で、 容疑者が聖職者ではなく一般信徒だった場合の責任の所在、説明責任に新たな課題も浮上している。

 逮捕されたのは、「Azione Cattolica (カトリック・アクション)の青少年部門の元責任者、ミルコ・カンポリ(46)。犯行当時10歳から14歳だった少なくとも4人の未成年者に性的虐待をした容疑で5月23日に逮捕された。現在、足首に電子監視ブレスレットを装着することを条件に自宅軟禁の状態に置かれている。

  Azione Cattolica は、1867 年に設立された、伝統あるイタリアで最大のカトリック信徒団体。会員数は 1950 年代後半には 300 万人を超えていたが、 現在は 信徒の”教会離れ”を背景にして、27万人程度になっている。

 カンポリは、2002 年から 2008 年までAzione Cattolica の青少年部門の責任者を務めた後、ローマ郊外のチボリ教区の大規模な高校の副理事長になるとともに、同教区のAzione Cattolicaのコーディネーターも務めた。最近では、ローマにある性的虐待の被害者を持つ家族のための施設で働いていた。また、若者向けの宗教教育に関する出版物を多数執筆し、新型コロナウイルス感染拡大で学校が閉鎖された若者たち向けに信仰教育のビデオを制作。イタリア司教協議会の運営するテレビ放送で教会が運営する青少年キャンプの宣伝にも一役買っていた。

 カンポリ容疑者について、ある検察官は「憎むことのできない人物、第二の父親とも言われる、誰もが知っていて好かれる人物」である反面、「被害者に高価な贈り物をして、訴えを封じるだけでなく、思春期独特の悩みに耳を傾け、なだめ、怒りや不安を無くすことのできる人物」としている。

 イタリアのメディアによると、カンポリを訴えた被害者は4人で、2016年から、学校や協会主催の旅行中に繰り返し性的虐待を受けたという。カンポリに対する性的虐待疑惑は2020年に表面化し、学校副理事長の職を説かれ、教区司教によって宗教教師としての免許も取り消されている。だが、関係者によると、その後、ローマにもどったカンポリは新たな職を得、そこでも性的虐待を繰り返してきた、という。

 チボリのフランチェスコ・メンディット検察官は5月23日の記者会見で、「教会当局が司法当局への報告を十分にしなかった。それがされていれば、この男の犯行をもっと早く止めることができた」と教会の隠ぺい体質を批判した。

 これに対して、チボリ教区は声明を出し、「教区の家族相談センターが、カンポリに性的虐待の疑いがあることを知った時点で、速やかに司法当局に通知している。被害者の両親から告発を受け、それが信頼できると判断した時点で、宗教教師としての免許も取り消した」と反論。イタリア司教協議会のマッテオ・ズッピ枢機卿も25日の記者会見で「チボリ教区の司教は責任を果たしている。隠ぺいの批判を受け入れられない」と述べた。また、イタリア司教協議会は今秋、11月13日から16日まで、未成年者の保護をテーマにした臨時総会をアッシジで開催する予定にしている。

 こうした教会当局に、現地メディアはチボリ教区の評議会が自己のフェイスブックに、カンポリの「ここ数年の働きに心から感謝する」旨のメモを載せ、また同教区のソーシャルメディアチャンネルへのカンポリの投稿は、逮捕時点まで閲覧可能だった、と指摘。

 メンディット検察官は、「教会当局者の対応は、”マフィア”に似ている。親(である教会当局者)は自分の子ども(である信徒たち)が受けたかもしれない暴力が事実であるこを受け入れたくないので、それを隠蔽しようとし、まして未成年者のことを信じようとしない」と重ねて批判し、さらに「多くの場合、被害者やその親たちは教会当局者としか話しませんが、教会当局は内部で状況を管理しようとする傾向があります」と語っている。

 また、ある関係者は、「カンポリ事件」の問題のひとつは、「責任の境界線」が曖昧であることだ、と指摘する。Azione Cattolica、チボリ教区、カンポリが副理事長を務めていた学校、地元の検察と警察、あるいはカンポリの監督や告発に主な責任を負うべき機関が明確になっていないのだという。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2023年5月27日

・バチカンの未成年保護委員会、性的虐待対処の新戦略を発表

Members of the Pontifical Commission for the Protection of MinorsMembers of the Pontifical Commission for the Protection of Minors  (Vatican Media)

*「教皇が求められた事柄を全力で達成する」とオマリー枢機卿

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年5月9日