・米州人権委員会が聖職者の性的虐待の調査、被害者の権利擁護に乗り出す(Crux)

(2020.12. 9, Crux Rome Bureau Chief  Inés San Martín /In Church in the Americas)

 米国、カナダと中南米33か国が加盟する米州機構で人権問題を担当する米州人権委員会が、聖職者による性的虐待の実態調査と被害者保護に乗り出した。委員会によると、中南米の少なくとも19か国で被害が報告されているという。

 今月3日に委員会が開いた公聴会で、フラビア・ピオベサン副議長は、被害者に対して、責任をもって対処することを約束した。そして、加盟国が個別に解決できていない聖職者による性的虐待事案についての情報の提供を、委員会の権威をもって求めていく、としている。

 NGO[聖職者の性的虐待を終わらせる会」の法務担当、アダルベルト・メンデス氏は、委員会に対して、個々の加盟国政府は性的虐待の犯罪を隠蔽するのを助け、被害者を守り、正義を行なうのを助けるのに失敗した一連の事例を報告した。「米州人権委員会は、各国政府が未成年に対する聖職者の性的虐待を隠蔽したことで、被害者の権利を侵害した範囲を確認しました」と述べた。子どもの事務的な性的虐待を隠蔽した結果として、侵害された権利の範囲を認めた」とメンデス氏は述べた。

 公聴会の席に、同会は、「宗教施設における児童および青年に対する性的虐待の刑事免責に関する南北アメリカの国々の政府の責任」と題する報告書を提出した。

 アルゼンチンの聴覚障碍児のための学校での性的虐待事件を調べているセルジオ・サリナス弁護士は、「当局は、子供たちが宗教施設で虐待されていても、教会に介入することを怠った」と批判。また、この学校の問題が、解決の方向に向かったとして、なお、米州機構の国々の当局と教会の”結託”して隠蔽している案件は多くある、と指摘。実例として、カナダの先住民社会における聖職者による未成年性的虐待の問題を挙げた。

 「Children Rights International Network」の2019年の報告によると、中南米の少なくとも19か国で、聖職者による性的虐待の事例が報告されており、国別ではメキシコで550件以上、チリで243件、コロンビアで約140件、アルゼンチンで約130件に上っている。しかも、被害の報告件数は増加を続けており、チリの虐待被害者ネットワークには、今年8月時点で360件の申し立てがあり、1月より​​49件増え、その中には虐待事件を隠蔽したとして告発された数人の司教と少なくとも2人の枢機卿が含まれている。

 教皇フランシスコは2018年、バチカンの幹部聖職者2人の捜査官をチリに派遣し、現地調査を実施。調査結果をもとに、チリの司教団をバチカンの召喚。全員が辞表を提出し、教皇はこのうち3分の一に当たる司教たちの辞表を受理した。だが、それから2年経った今も、性的虐待の被害者と支援者たちの間には、バチカンと司教団の対応に疑問を持つ声が少なくない。辞表を受理された司教たちには、いかなる処罰もなく、告発された不正行為を認めることもされておらず、バチカンも、辞表を教皇が受理した理由を明確にしていない。

 バチカンが、米国の元枢機卿セオドア・マキャリックの性的虐待事件について詳細な調査報告書を公表した際、チリの被害者たちは、同国の聖職者による性的虐待とその隠ぺいに関わった司教たちについてのバチカンによる調査報告も公表するよう求めた。

 中南米の総人口の約4割はカトリック教徒で、メキシコやブラジルは一国のカトリック人口が世界でもトップ・クラスだが、その数は年々減少を続けている。

 米州人権委員会によると、主たる目的は、聖職者による性的虐待の隠蔽についての各国政府の責任と、性的虐待によって人権を侵害された未成年の被害者たちに対する正義の欠如を問うことにある。

 公聴会で、メンデス氏は、問題は「信仰の問題」ではなく、「犯罪を犯している聖職者の世俗的問題」であり、被害者を救うことをせず、犯罪を処罰せずにいた各国政府の問題である、と強調し、厳正な対応を委員会に求めた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年12月10日

・ニュージーランド司教団が教会での性的虐待排除へ取り組みを約束

New Zealand Catholic Bishops commit to act to stop abuse in the Church New Zealand Catholic Bishops commit to act to stop abuse in the Church   (©soupstock – stock.adobe.c

(2020.11.30 Vatican News  Lisa Zengarini)

    ニュージーランドのカトリック教会は、政府の王立性的虐待調査委員会と協力して、1950年から2000年まで半世紀にわたる教会関係の性的虐待について調査し、報告することを約束。そのための第一回の公聴会が11月30日オークランドで始まった。公聴会は12月11日まで続けられる。

 王立調査委員会は30日、オークランドでそのための第一回の公聴会を始めるにあたって、次のような声明を出した。

 「ニュージーランドの司教団とカトリック関係団体の指導者たちは、カトリック教会における性的虐待を止めるために活動し、起きたことへの対応の仕方について教訓を学ぶことを約束している。我々は多くの人々に対してなされた被害を認識し、深い悲しみを表明する」。

 委員会は現在、これまでに教会がとってきた救済措置が適切であったかどうか、性的虐待をうけ、あるいは無視された被害者に対する支援として何が必要なのかについて、調査を進めている。

 聴聞会の第一段階は、カトリック教会、英国国教会、救世軍の施設で虐待をうけ、あるいは虐待を受けても無視され、補償や精神的治療、あるいは謝罪が必要な被害者の体験を聴くことから始められる。

 ニュージーランドのカトリック司教と教会の指導者たちは、この調査に加わることを求めた。 「過去の出来事を透明かつオープンに調査し、委員会の最終的な勧告を実施するために協力することを約束しています」と、ウェリントン大司教のジョン・デュー枢機卿は、ニュージーランド司教協議会とカトリック関係団体指導者会議を代表して語った。

 カトリック関係団体協議会のシスター・マーガレット・アンミルズは、自分たちの辛い体験を共有するために聴聞会に出席した虐待被害者たちの勇気を称賛し、「私たちは、彼らの言葉をを注意深く聴き、証拠を把握し、彼らの体験から学びます」と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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日本の教会はいつになったら、この問題に真剣に向き合うのか?

 日本では、東京で修道会の司祭、長崎と宮城両県で教区の司祭から性的虐待の被害を受けたとの訴えが、3人からなされ、司教団の調査でもさらに十数人の訴えがでているが、現在に至っても、具体的な目立った対応がなされていない。そればかりか、司祭などから間接、直接の心理的圧力が加えられ、さらに大きな精神的苦痛を味わわされている例もあると聞く。

 確かに、欧米の膨大な数に上る聖職者による未成年者などへの性的虐待に比べれば、被害者の数は少ないかもしれない。だが、これは人数の問題ではない。これだけ長期間にわたり、世界的に問題が続き、教皇フランシスコも懸命に、再発防止、被害者ケアなどに苦労されている問題に、日本の教会、司教団の対応は、”鈍感”を通り越して”無責任”のそしりを受けても仕方がない状態だ。

 問題は被害者のケアだけではない。性的虐待とそれに対する対応のお粗末さが、日本の少なくない信徒たちの教会に対する信頼をどれほど損なっているのか、知ろうともしない”無神経”さ。このままでは、いくら”命”の大切さを唱えても、説得力をもちえないだろう。

2020年12月2日

・フランスの聖職者性的虐待対策委員会に6500件の訴え(LaCroix)

religion/frances-commission-on-clergy-sex-abuse-has-received-6-500-denunciations

according to France’s Independent Commission on Sexual Abuses in the Church, the majority of victims are men over 50 years of age, and 50% of the cases date back to the 1950s and 1960s. (Photo : ADOBESTOCK)

(2020.11.13 LaCroix  Christophe Henning)

 フランスのカトリック教会の性的虐待に関する独立機関(CIASE)が、18か月近くの関係者への聞き取り調査をもとにした第一次報告を発表した。

 CIASEの責任者、Jean-Marc Sauvéが11日、フランスの男女修道会代表者のオンラインによる会議の席上、発表したもので、調査結果によると、聖職者による性的虐待の訴えは6500件に上り、うち42%が被害者と判定された。被害者に対しては2時間の聴取が120回にわたってなされた。

 それらの結果、被害者の62%は男性で、虐待がされた時期は、1950年代と1960年代が半分を占めたが、1970年代は18%、1990年代は7%、2000年代は3%。さらに2010年代が5.7%を占めている。現在の年令は50歳から69歳が半分を占め、30%が70歳以上だ。

  Sauvé氏は、徹底した被害者への聴取をもとに、「性的虐待は、被害者の人格を壊すなど、ひどい結果をもたらしている。彼ら、彼女らの追った心の傷は深く、見えないもの」と指摘し、被害者の心身の痛みについて個人として、集団として深く認識する必要がある、と強調した。

 調査結果の最終報告の発表は来年秋になるが、「個人的、集団的、制度的な過ちと失敗」だけでなく、調査する必要のある体系的な側面についての反省を行なうべきことは、今回の一時報告で既に明らかになっています… 弱者を保護すべき立場にある権威の失敗、信頼を裏切る行為が目に余る」と強く批判。

 調査結果では、性的虐待の被害者の87%は当時未成年。うち3割は6歳から10歳、35%は11歳から15歳だった。また被害者の13%は若い成人で、その3分の1は神学生または宗教的な訓練中に被害に遭っている。ただ、調査で明らかになった被害者で法的な措置をとった者は14% に過ぎず、それ以外の人々も含めて「何らかの形で被害者に正義を行う必要がある」と述べる一方、これまで彼らに適切な対応がとられたかどうかを完全に知ることは難しい、とも語った。

 さらに Sauvé氏は「虐待は死を運ぶ者、物理的な死をもたらし、命を、おそらく数世代にわたって破壊してしまう可能性があります。それは、人としての存在の無限の荒廃。それほど、深刻な犠牲をもたらすのです」と強調。「私が知っている、被害当時12歳の少年だった人のことを今でも覚えています。苦しんでいるのに何もできないことを疑問に思いましたが、60年経った今、CIASEの責任者になって、自分の疑問が十分に根拠があることに、ようやく分かったのです」と自己の体験を語った。

 一次報告書の発表を受けて、修道会代表者の会議では「被害者たちがどのような種類の補償を受けられるか」をテーマに議論がなされ、300人近くの修道会代表者が昨年11月にフランスの司教団が提案した”金銭面の賠償”を超えた「修復的司法(注:犯罪に関係する全ての当事者が一堂に会し、犯罪の影響とその将来への関わりをいかに取り扱うかを集団的に解決するプロセス)」の様々な側面について、意見が交換された。

 「赦し求める」をテーマにした議論では、修道会が「性的虐待で受けた傷のそれぞれ異なったケース」に着目して、被害者たちそれぞれに必要な対応を考える必要がある、との指摘があった。

 このオンライン会議には、2人の虐待被害者からも話を聴いたが、2人とも、被害者の傷を癒すためには長い時間かけての対応が必要、と強調。そのうちの1人は「教会の道徳的信頼性は粉砕されてしまった」と訴えた。

 この会議を主宰したフランス男女修道会総長連盟議長のシスター・ベロニク・マルグロンは「これは私たち一人一人が旅しなければならない道だと信じています。自分を低くし、美しいものをすべて残し、恥ずかしさを痛感し、許しを懇願します。そして、『すべてをコントロールし、大きく変える』という私たちのこれまでの願いを放棄します」と述べた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年12月2日

・「司祭から性的暴行を受けた」と被害女性が仙台司教区など仙台地裁に訴え

(2020.9.30 カトリック・あい)カトリック仙台司教

 仙台市の女性が宮城県内の教会司祭から性的に暴行され、申告したカトリック仙台教区からも二次被害を受けたとして、9月24日、損害賠償を求める訴えを仙台地方裁判所に起こした。河北新報(本社・仙台市)などが25日付けで報じたもの。聖職者による性的暴行は世界的に教会の信用を失墜させる深刻な問題となっており、訴訟も多くなされているが、日本で、裁判に持ち込まれたのは初めてとみられる。

 同紙などによると、訴えを起こしたのは仙台市青葉区の看護師鈴木ハルミさん(67)で、仙台司教区と暴行したとされる司祭、二次被害を加えたとされる司教に対し合計5100万円の損害賠償を求めている。鈴木さんは1977年、当時、所属していた気仙沼カトリック教会の司祭に、夫の暴力について相談した際、教会の一室で乱暴されたという。

 当時、別の司祭数人に相談したが、相手にしてもらえず、罪悪感にさいなまれ、精神障害を発症するなど、長い間苦しみ続けたが、主治医の助言で被害を認識し、2016年に教区に申告した。申告を受けた教区は第三者委員会に調査を託したが、同年10月にまとめた報告書は「(性的被害が)存在した可能性が高い」としたものの、司祭の責任を問わなかったうえ、司教からは「合意の上でやった」などと言われてフラッシュバックに苦しむようになり、二次被害を受けた、としている。

 原告代理人の弁護士は、鈴木さんが被害に遭ったことを理解したとする15年ごろが起点となるため、請求権はある、としており、教区については、十分に被害調査をしていないことなどが義務違反に当たると主張している。

 河北新報によると、鈴木さんは24日の提訴後に仙台市内で記者会見し、「失った尊厳を取り戻すための裁判。同じように暗闇で息を潜めている被害者に声を届けたい」と語り、仙台教区事務局の担当者は取材に「今後、協議した上で対応していきたい」と述べている、という。

 なお、仙台教区では、2006年3月から教区長を務めていた平賀徹夫司教が、75歳の役職定年で今年3月に退任、現在、教区長が空位となっており、小松史朗師が代行の使徒座管理者を務めている。

2020年10月17日

・「神父による性暴力被害者の会」設立-必要な司教団の真剣な対応(評論)

(2020.6.22 カトリック・あい)

 カトリック教会に半世紀以上も籍を置いて来た者として、このような評論を書かざるを得ないのは、残念であり、情けない、としか言いようがない。教会上層部に多くの愛読者を持つはずの朝日新聞や共同通信、NHKなどが21日までにデジタル版などで報道した「カトリック神父による性暴力被害者の会」の設立である。

*「被害者の会」設立は、教会の誠意を欠いた対応への苛立ちの表われ?

 司祭による性暴力を受けた被害者やその関係者たち約40人が参加して21日、長崎市で集会を開き、問題に対するカトリック教会の対応が不十分と判断、第三者委員会による調査、加害者の氏名公表、処分と被害者へのケア、補償を求め、「被害者に配慮した社会形成の一歩にする」ことを目的に「被害者の会」を発足させた。

 会の中心になった竹中勝美さんは、20年近く前から、自身が幼少期に受けた性的虐待被害について、加害者が属していた修道会や司教団の代表に調査と結果公表、責任の明確化を訴えてきた。だが、いっこうに進展がなく、一昨年に自身の名前を明らかにして、虐待の経緯を公表、昨年3月号の「文芸春秋」の調査報道記事に登場して責任ある対応を繰り返し求め、同年4月に東京で開かれた「虐待被害者の集い」でも、同様の訴えをした。

 この集いには、司教団の代表であるカトリック司教協議会の高見三明会長・大司教も参加し、「私たちが十分なことをできず、苦しい思いをさせていることを本当に申し訳ないと思っている」と竹中さんに謝罪、「世界で起きている様々な性的虐待に教会は立ち向かっていかねばならない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」と約束していた。

 21日の「カトリック神父による性暴力被害者の会」設立は、高見会長が「謝罪」し、具体的な対応を約束したにもかかわらず、目立った進展がみられず、ほとんど”空手形”に終わっていることに対する、深い失望と苛立ちの表われではなかろうか。

 

*「性的被害者のための祈りと償いの日」から一か月遅れた司教協議会会長名の調査結果公表

 「カトリック・あい」は、今年3月13日の日本のカトリック教会の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたって掲載した解説で、(司教団の)中央協議会のホームページをみても、国内16教区のうち9つの教区でミサや祈りの集いなど行事予定だけで、司教協議会から何のメッセージもないこと、昨年5月から司教協議会は始めた児童性的虐待の過去と現在の状況に関する調査の結果もいまだに明らかにされないこと、などを指摘し、教皇が世界の教会に強く求めている「聖職者による性的虐待に対する行動を伴った徹底的な反省と信頼回復」には程遠い実態を批判、反省を求めた。

 調査結果が高見会長名で公表されたのは、それから一か月後の4月7日、文書の日付だけは何故か、「3月13日、聖虐待被害者のための祈りと償いの日」となっていた。

 その内容を見ると、「本調査の目的は、日本の教会が未成年者への性虐待に関する対応についての実態を把握し、今後の対策を検討すること」としているものの、「教会という密接な関わりをもつ共同体の中での犯罪は、被害者が声を上げるのが難しく、「今回調査においての該当件数も、言葉にできた勇気ある被害者の数であり… 性虐待・性暴力全体の被害者の実数は把握しきれない」「事実確認の段階で被疑者が否認や黙秘をしている場合は、教区司教や頂上による謝罪で終わるなど、消極的な対応事例も少なくない」と言い訳のような表現が目立つ。

 

 

*未成年被害訴えは16件、加害否認5件、不明7件。対応は聖職停止2件、「異動」が8件

 そして、肝心の調査結果はと見ると、未成年性的虐待の被害訴えは16件。虐待を否認したものが5件、認めたものが4件、不明が7件。第三者委員会による調査が1件、教会裁判が一件だが、いずれも黙秘か否認。否認した5件のうち、3件には第三者委員会による対応がなされず、内部の対応にとどまった。肝心の処分は、聖職停止が2件に過ぎず、退会1件、日本内外への異動で済ましたのが8件。それ以外は不明、という。現在、加害の事実を否認して、訴えのあった教区で司牧を続けている者が2人もいる。

 

*「前任者からの引き継ぎ無し」「処分を守らない者がいる」「処分が軽く、真の回心、償いに結び付いていない」

 さらに、調査で明るみに出た問題として、「これまで2002年、2012年の調査の内容の事例に関し、当該教区すべてにおいて前任者からの引き継がされなかった」「(性的虐待に関して)処分中にもかかわらず、それを守らずに活動していた聖職がいた… 処分そのものが、制限を設けることや単なる有期的な制裁(活動停止など)にとどまっており、加害聖職者の真の回心や償いに結び付いていない」などが挙げられている。

 調査結果は「今後も、課題解決に向け、修道会・宣教会と協力して取り組み、教育機関、関連施設を含む教会内の性虐待・性暴力の根絶に向けて努力する」とあるが、以上のような内容を見る限り、さっぱり説得力がなく、誠意が見えない。真摯な反省も感じられず、被害者のケアを含めて、問題解決に、誠実に取り組んでいこうとする気概がうかがえない。このような消極的な姿勢を見せつけられては、いくら各教区に相談窓口を物理的に作ったところで、被害者が問題解決への希望と信頼を持って出向くことは考えられないだろう。

 21日の集会には、竹中さんのほか、仙台の看護婦の方からも、配偶者の暴力について相談した司祭から性的暴力を受けた経験が語られ、「真実を話すのはおぞましく、どうしていいか分からなかった」(共同通信)との訴えがあった。この言葉からも、教会の心無い対応へのいら立ちが感じられる。

 

*長崎教区の成人女性の被害訴えへの対応も具体的説明なく…

 この長崎市、高見大司教が教区長を務めるお膝元でも、未成年ではないが50代の女性の被害訴えが最近明らかになっている。

 昨年11月の教皇フランシスコ来日の直前、時事通信が「長崎県のカトリック信徒の女性が、司祭にわいせつな行為をされ、長崎教区に訴えた… 教区は司祭の職務を停止したが、信徒たちには『病気療養中』とだけ説明。女性は心身性ストレス障害(PTSD)で長期入院を余儀なくされた… この問題への見解、対応もいまだに公にされていない」と報じた。

 教皇離日後の27日に会見した長崎教区は、「大変深刻に受け止めている」とし、警察の捜査の推移も見ながら、状況に応じて発表や会見をする予定、と説明。問題の司祭は、強制わいせつ容疑で今年2月に長崎地検へ書類送検された後、4月16日、理由が明らかにされないまま、不起訴処分となった。だが、教区はNHKの取材に「不起訴になった経緯は把握していないし、捜査機関でもない教区で、これ以上の調査は出来ず、事実確認は難しい… (女性から相談があったのは事実で)女性と関係者におわびし、これからも誠実に対応したい… 司祭に対してはしかるべく対応する」と極めて形だけのあいまいな対応に終始したようだ。

 21日の集会には、この女性も登壇し、約17年にわたって家族ぐるみの付き合いをしていた司祭から一昨年5月に性被害を受け、PTSDを発症したこと、警察に被害届を出す際に、教区の司祭から、取り下げを求められたり、親身になって相談を聴いてくれた窓口の職員が教区事務局内部で非難されたこと、などを明らかにし、「教会は、加害神父を守っている。被害者の気持ちになって」と訴えた(朝日新聞)という。

 自らの教区で起きた問題に、日本の司教団のトップとして、聖職者による性的虐待への対応の模範となるような行為がなぜできないのか、首をかしげたくなるのは、筆者だけではないだろう。

 

*欧米などと桁違いの”少なさ”が安易な対応の原因か?新型ウイルスへの対応はどうなのか。

 聖職者による未成年を含めた信徒たちへの性的虐待と高位聖職者による隠ぺいの問題は、欧米を中心としたカトリック教会の信用に大きなダメージを与え続け、教会のミサに出る信徒の減少、賠償金を払いきれずに破産する教会の続出など、いまだに解決のめどが立っていない。たしかに、何千と言う被害者を出し、枢機卿などまで関与して裁判になる海の向こうの国々に比べれば、日本の被害は、確実なことは不明だが、桁違いに小さいのかもしれない。だが、それが、これまで見てきたような、誠意を欠いた、形ばかりの、安易な対応を、教会自らが容認する背景にあるとすれば、見当違いも甚だしい、と言わざるを得ない。

 このことは現在も終息の気配が見えない新型コロナウイルスの世界的大感染を連想させる。アメリカやブラジル、ロシア、そして欧州などの感染者、死者とくらべれば、日本は桁違いに少ない。だからといって、気を抜けば、第二波、第三波の感染爆発を招きかねず、安易な対応は許されないし、政府も自治体も、経済活動や雇用などへのダメージを最小限にとどめつつ、感染拡大防止の努力を具体的に続けている。

 聖職者による未成年性的虐待問題も、これまでのような対応を続けて行けば、教会の指導者たち、そして教会そのものの、信用失墜、困難に満ちた現代社会に希望と勇気の火をともす役割から遠ざかることになりかねない。

 今回の「カトリック神父による性暴力被害者の会」の設立は、そのための警鐘と受け止め、教会として、そして何よりも司教団として、信頼回復につながる誠実で具体的な取り組みのきっかけとすることを望む。”不都合な真実”は黙ってやり過ごす、これまで教会にありがちだった態度は、改めねばならない。

(「かとりっく・あい」南條俊二)

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【参考】NHK 長崎 6月22日放送

 

 カトリック教会の聖職者による性的虐待が国際的な問題となる中で、国内の被害を訴えようと21日、信者らが長崎市で集会を開き、被害者の会を設立しました。

 

集会は、自身も子どものときに被害に遭った東京都に住むカトリック信者の竹中勝美さんが呼びかけて開かれ、この中で、被害者の声をあげやすくするために「カトリック神父による性虐待を許さない会」を設立することを決めました。

集会には、おととし長崎市内の教会の施設内で、神父にむりやり体を触られたなどと被害を訴えた女性も参加し「トラウマでいつパニックになるかわからない状態です。教会にはもっと被害者の気持ちを考えてほしい」と訴えました。

カトリック教会の聖職者による性的虐待は国際的な問題となっていて、日本カトリック司教協議会の調査によりますと、国内では1950年代からことし2月末までに16件の被害が報告されているということです。

 集会を開いた竹中勝美さんは「次の被害者を出さないためには被害を訴えた信者の勇気ある行動を尊重してほしい。そして、被害者を決して排除しないでほしい」と話していました。今後、竹中さんたちは再発防止を求め、カトリック中央協議会に対し被害の実態調査を行うよう働きかけていくということです。

 

被害者の会を設立した、竹中さんは「宗教というのはその人の人生、生き方そのものでその指導者は絶対的な存在です。そうした立場の人から性的虐待を受けるというのは自分の存在そのものを否定されるようなものでなかなか声にできない」と指摘しました。そのうえで、「どのような職場、教会でも立場の差があるところには性的虐待のリスクは潜んでいる。そのときに、被害者の訴えに疑いを持つのではなく、勇気ある行動を尊敬し、次の被害者を出さないために排除しないようにしてほしい」と訴えました。

2020年10月17日

・日本の司教団が昨年実施の「聖職者による未成年者への性虐待の対応に関するアンケート」の結果発表+解

(20204.8 カトリック・あい)

 日本のカトリック司教協議会が昨年実施した「聖職者による未成年者への性虐待の対応に関するアンケート」をまとめ、「調査報告と課題」として、4月7日の中央協議会ホームページに掲載した。

 それによると、2020年2月末日の時点で全16教区ならびに全40の男子修道会・宣教会、55の女子修道会・宣教会から回答を得た。その結果、「聖職者より性虐待を受けた」とされる訴えは16件が報告され、内訳は1950年代1件(女子)1960年代5件(女子1件、男子3件、不明1件)1970年代1件(男子)1990年代3件(女子2件、男子1件)2000年代3件(女子1件、男子1件、不明1件)2010年代2件(女子1件、男子1件)で、残り1件は被害があったが詳細は不明、としている。

 加害聖職者は、教区司祭(日本人)7名、修道会・宣教会司祭8名(外国籍7名、日本人1名)、他一名は不明(外国籍)。加害を認めた件数が4件、否認した件数が5件、不明が7件。加害聖職者の措置(事件発覚時)は、職務停止は2件に過ぎず、退会も1件のみ。異動で済ましたものが8件(国内外含)、ほか5件は不明という。

 アンケートは昨年5月の司教協議会の定例常任委員会で「児童性虐待に対応するために過去の事例と現在の状況についてのアンケート」として、各教区司教に送付し、昨年6月30日までに回答をもらうことを決めていたが、”再調査”が10月まで、さらに追加調査、となって、実施決定から結果報告まで、一年近くもかかった。報告件数自体が、実際に見聞する実態よりもかなり少ないのではないかと思わせるが、一般社会の常識で判断する限り、16件の中途半端な解明に時間がかかりすぎているのではないか。

 3月13日は、司教協議会が決めたはずの「性虐待被害者のための祈りと償いの日」であり、遅くともその日までには結果が公表され、対応も明らかにされるだろうとみた教会関係者も少なくなかったが、当日までの中央協議会のホームページを見ると、1月31日に同協議会子供と女性の権利擁護のためのデスクがまとめ、その後2月28日に修正した国内各教区の行事予定のみ。この日の主催者であるはずの司教団のメッセージもなかった。

 それが、よりにもよって、教皇フランシスコはじめ世界の教会が新型ウイルスの世界的感染に苦闘している今になって、しかも名義上は公表から一か月も前の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」だった「3月13日付け」の、日本カトリック司教協議会会長、髙見三明大司教の名前でのアンケート結果報告公表である。そのセンス自体がいかがかと思わざるを得ないが、果たして、このようなことで、真剣な取り組み、被害者たちが癒されるような取り組み、再発が防止につながる取り組みがなされるのか、疑問を抱かざるを得ない。

 3月13日を振り返れば、教皇フランシスコの全世界の司教団に「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けることを求める通達を受けて、日本の司教団として「四旬節第2金曜日」をこの日と定め、2017年から開始して、今年は4回目だった。新型コロナウイルスの感染拡大で主な教区での公開ミサや大勢が参加する行事は中止を余儀なくされているのはやむを得ないとしても、それに代わる祈りや反省などを呼びかける手だけはいくらもあったはずだ。

 世界の教会のこの問題での取り組みの遅れを強く懸念した教皇フランシスコは昨年2月に、全世界の司教協議会会長による会議を招集、会議の結果をもとに、各司教協議会に対して「聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範」の策定・実施を求める自発教令を出さた。

 これを受けて米国など主要国の司教協議会で新規範の決定するなど、新たな具体的取り組みを始めているが、日本の司教団は、ホームページによると「2002年に日本カトリック司教団として、2012年にデスクとして調査を行っております。しかし、それぞれの調査の目的が異なっていたことから、より正確な調査(現状把握)が必要」として、昨年6月から10月にかけ、司教団として、全教区と全修道会、宣教会に対して再調査を実施し、さらに追加調査をしたはずだった。

 だが、教皇訪日を目前にした昨年11月15日付けの司教協議会の説明で、「教皇訪日に際して、公表の予定はあるかというお問合せが寄せられています。上記のとおり、現在調査を継続しているところですので、教皇訪日に際しての発表は予定しておりません」とわざわざ断ったうえで、「報告できる段階になり次第、カトリック中央協議会のウェブサイトで公表する予定です」としていた。今回の発表まで5か月も経ったわけだ。

 この時の説明では「現在では、全ての教区に対応委員会が設置され、複数の教区にて、相談窓口などのホットラインが設置されています。日本カトリック司教協議会は、今後も様々な課題に対して、一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進していく所存です」とも述べていた。

 今回の報告でも「本調査によって訴えがあがってこなかった教区・修道会・宣教会においても、『被害がない』という短絡的な捉え方をするべきではない。被害者が安心して声を上げられる環境かどうかを見直し、教会全体として、性虐待・性暴力根絶に向けた、たゆまぬ努力が必要である」としているが、では、具体的にどのような工程表を作り、形だけでない内実を伴った取り組みをしようとしているのか、各教区に何を期待するのか、全く見えてこない。

 この問題に取り組む誠実さ、「まごごろ」が伝わってこない、と感じるのは筆者だけだろうか。改めて、真摯な反省と誠意ある取り組みを、司教団に求めたい。

「調査報告と課題」の全文以下の通り。

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【2019年「聖職者による未成年者への性虐待の対応に関するアンケート」調査報告と課題 日本カトリック司教協議会】

 わたしたち司教団は、2002年以来、日本における「聖職者による性虐待の実態調査」を実施してきました。状況把握の困難や調査方法の不備などのため、報告が大変遅くなりましたが、この度、その結果を公表することにしました。
この機会を借りて、日本のカトリック教会における責任者として、被害者と関係者の方々に深くお詫びいたします。
この調査報告には、教会が抱えている問題、そして今後取り組まなければならない課題が多く含まれており、引き続き、真の実態把握への努力を続けていく所存です。
何よりも、わたしたちはこの結果を真摯に受け止め、このようなことを二度と起こさないよう再発防止に全力を尽くす覚悟です。
皆様方のお祈りとご協力をお願いいたします。

    2020年3月13日 性虐待被害者のための祈りと償いの日 日本カトリック司教協議会会長 髙見三明大司教(長崎大司教区)

はじめに

 2002年に米国ボストン教区で明るみに出た聖職者による性虐待事件をきっかけに、日本カトリック司教団は「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」1)を発表し、日本における聖職者による性虐待問題に対応するべく、「司教のためのガイドライン」2)を作成するためのプロジェクトチームならびに子どもと女性の権利擁護のためのデスク(以降、デスクと記す)を立ち上げた。デスクの大きな役割は、ガイドラインに基づいた仕組みづくりと啓発活動である。

 本来、聖職者による性虐待・性暴力の事例は、個々の教区・修道会・宣教会が、その訴えに対して責任を持って対応しなければならない。修道会・宣教会の事例においては、事例に関連する教区の司教に報告を上げ、教区司教は、訴えに関する調査を迅速に行うよう努め、促し、性虐待事例に限って聖座へ報告を行うという手順を踏む。日本においては、聖座への報告と同時に、司教協議会会長への報告を行うよう定めている。現時点では、司教協議会会長への報告が日本の司教協議会への報告(司教団全体が把握する)を意味するものではない。

 デスクは、ガイドラインの更新、聖座の方針や日本のカトリック教会における対応姿勢などを共有するためのマニュアル3)づくり、各教区における体制づくりを、常任司教委員会や司教総会の審議を経て、司教団のもとに進めている。今回の調査では、調査票の作成、データの取りまとめ等を担当した。

 今回の調査は日本のカトリック教会における「聖職者による未成年者への性虐待」に限ったものである。性虐待は、リアルタイムで件数として上がってくることは少ない。被害者は、自分が被害を受けたことを認識するまでに時間がかかることや、加害者から口止めをされることなどがその理由である。

 また性犯罪は、暗数の多い犯罪でもある。とくに教会という密接なかかわりをもつ共同体の中での性犯罪は、被害者が声を上げることがより難しい。公的機関での公表件数然り、今回の調査においての該当件数も、言葉にできた勇気ある被害者の数であり、氷山の一角にすぎない。今もなお声を上げられない人がいる可能性は大きく、性虐待・性暴力全体の被害者の実数は把握しきれない。

 よって、本調査によって訴えがあがってこなかった教区・修道会・宣教会においても、「被害がない」という短絡的な捉え方をするべきではない。被害者が安心して声を上げられる環境かどうかを見直し、教会全体として、性虐待・性暴力根絶に向けた、たゆまぬ努力が必要である。

Ⅰ アンケート調査概要

 2019年5月、教皇フランシスコの意向を受け、司教協議会会長(髙見三明大司教)は全16教区司教に向けて、「未成年者への性虐待の対応に関するアンケート」を実施した。本調査の目的は、日本の教会が未成年者への性虐待に関する対応についての実態を把握し、今後の対策を検討することである。なお、より正確な状況を把握するため、2019年10月に40の男子修道会・宣教会、77 の女子修道会・宣教会に向けても、同様の追加調査を行った。
質問内容は、事例内容の報告(事件発生・発覚時期、被害時の年齢、申告や相談方法、被害内容・対応・結果、加害聖職者(被疑者)の氏名・認否・処分・現在の状況など)、前任者から後任者への事例の引き継ぎの有無、書類保管の状況についてである。

Ⅱ アンケート調査結果

 2020年2月末日の時点で、全16教区ならびに全40の男子修道会・宣教会、55の女子修道会・宣教会から回答を得た。その結果、「聖職者より性虐待を受けた」とされる訴えは、16件報告された。
いずれのケースも、個々の教区・修道会・宣教会の名前と件数は、被害者個人の特定につながるため、公表しない。

1.不明事例について

 不明な点が多い事例について再調査を求めたが、①事件当初より長い年月を経ており、幼少期に性虐待を受けた事実以外特定ができない ②特定できたとしても、現時点で被害者ならびに被疑者が高齢であり、病気や認知症を患っている ③被疑者が死亡している、などの理由で確認が困難であった。これらは、事例の報告、引き継ぎに関する取り決めがなされていなかったことに起因する。

2.被害者について

  1. ①性虐待事件が起きた年代と被害者の性別について

    1950年代に1件(女子)、1960年代に5件(女子1件、男子3件、不明1件)、1970年代に1件(男子)、1990年代に3件(女子2件、男子1件)、2000年代に3件(女子1件、男子1件、不明1件)、2010年代に2件(女子1件、男子1件)の被害があったと報告がなされ、ほか1件は被害があったが詳細は不明である。

  2. ②被害当時の年齢について

    被害時の年齢としては6歳未満が1件、6~12歳が5件、13~17歳が6件、4件が不明である。

  3. ③事件の訴えについて

    被害にあった時から訴えるまでの期間が、最も早くて半年以内、10~30年後が最も多く、50~70年後という長い年月を経て、重い口を開く形になっている。

    多くの事例は、家族や信頼のおける教会関係者からの相談によって、また自らが大人になり、消しがたい苦悩として、教区または修道会・宣教会に訴えがなされている場合が多い。

  4. ④対応について

    多くの事例で、訴えた被害者(関係者含)と当該教区司教(または当該修道会・宣教会の長上)との話し合いが持たれていた。

    被疑者が加害を認めた場合は、被害者の意向に沿う形の対応を行っており、その多くが示談または和解という形が取られていた。

    一方で、事実確認の段階で被疑者が否認や黙秘をしている場合は、教区司教や長上による謝罪で終わるなど、消極的な対応事例も少なくない。

3.加害聖職者(被疑者)について

  1. ①加害聖職者の所属について

    教区司祭(日本人)が7件、修道会・宣教会司祭(外国籍7件・日本人1件)が8件、1件が不明(外国籍)である。

  2. ②加害の認否について

    加害を認めた件数が4件、否認した件数が5件、不明が7件である。

     否認した場合に第三者委員会による調査が入った件数が1件、教会裁判にかけられた件数が1件に留まり、そのいずれも黙秘または否認の状態であった。なお否認の場合に第三者委員会を立てなかった3件は、いずれも内部の対応に留まっている。

  3. ③加害聖職者の措置(事件発覚時)について

    聖職停止が2件、退会が1件、異動が8件(国内外含)、ほか5件は不明となっている。

  4. ④加害聖職者の現在の状況について

    死亡が4件、還俗が2件、他教区異動が3件、同教区内にて司牧が2件(加害否認)、病気療養が1件、不明が4件となっている。

Ⅲ 結果を踏まえての反省と課題

1.国家法の遵守

 性虐待は、児童虐待に該当する犯罪である。児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、児童福祉法第25条4)の規定ならびに児童虐待の防止等に関する法律第6条5)に基づき、すべての国民に、通告する義務が定められているため、児童相談所または各自治体の福祉事務所、警察などに通告を行い、児童虐待防止に資することが必要であるという認識を共有しなければならない。
教皇フランシスコ自発教令形式による使徒的書簡『あなたがたは世の光である』6)(以降『あなたがたは世の光である』と記す)第19条にも、国家法の遵守が明記されているが、今回の調査では、年代の古い事例も含まれており、国家法に基づいた通告事例は見られなかった。

2.報告義務の徹底

  1. ①当該教区司教への報告

    今回の調査で、修道会・宣教会の性虐待事例について、新たに教区司教へ報告された事例もある。事例が発覚した場合は、教区司教への報告を徹底する必要がある。なお、修道会・宣教会本部から本部所在地の教区司教に報告された事例もあるため、事例が発生した土地の教区司教へ報告することを確認する。

  2. ②聖座への報告

    聖座への報告については、『あなたがたは世の光である』第3条に基づき、地区裁治権者への報告義務ならびに聖座への報告義務が課せられるため、それに基づいて対応する必要がある。なお、日本においては、聖座への報告と同時に、司教協議会会長への報告(マニュアル7)参照)も行わなければならない。

3.第三者委員会の設置と招集の徹底

 今回の調査では、4件が加害を認め、5件が否認、不明が7件となっている。否認した件数のうち、第三者委員会にかけられた事例は1件、教会裁判にかけられた事例が1件のみである。
被疑者が加害を否認した場合には、必ず第三者委員会を立ち上げ、被害者の訴えを確認し、加害の有無を判断しなければならない。
なお、第三者委員会は、被害者に立証を求め、合意の有無を確認するなど一般的な裁判の暴行・脅迫要件の基準だけで、加害の有無を判断してはならない。そのためにも第三者委員会構成員には慎重な人選が求められる。

4.司教(長上)による事例の引き継ぎと共有

 今回の調査で、2002年ならびに2012年の調査内容の事例に関する引き継ぎは、当該教区すべてにおいて「前任者からの引き継ぎがなかった」という結果だった。
性虐待に限らず性被害の事例は、今後の加害聖職者の動きを把握するためにも、前任者から後任者への引き継ぎが必須である。たとえ前任司教(長上)からの引き継ぎがなくても、データ保管を確実にして、後任司教(長上)がそのデータを確認できるようにする必要がある。
これらの事例の引き継ぎや共有の徹底は、再発防止ならびに被害拡大防止の点からも重要な意味を持つ。

5.加害聖職者の教会内における処分

 マニュアル8)に示されているとおり「当該聖職者の法的・倫理的責任を明確にし、事件の再発の可能性がある職務からはずし、子どもと接する機会がないような措置を講じる。場合によっては聖職停止処分とする。また重大なつまずきになる場合には、還俗を勧めたり、聖職者身分から追放することもありえる」という項目を遵守しなければならない。

 今回の調査事例では、処分中にもかかわらず、その条件を守らずに活動している聖職者がいたことが報告された。司教ならびに長上は、処分そのものが「制限を設けること」や「単なる有期的な制裁(活動停止、蟄居のような謹慎処分)」に留まっており、加害聖職者の真の回心や償いに結びついていないという現実を受け止め、加害者の処分について検討し、再発防止に努めなければならない。

 なお司教団としても、加害聖職者の処分について再考すると同時に、カウンセリングや医療的な治療の実施、霊的同伴を含めた包括的な更生プログラムを検討する必要がある。

6.被害者への配慮

 『あなたがたは世の光である』第5条によると、教会権威者(教区司教、修道会・宣教会長上)は、被害を訴えた人が、その家族とともに、尊厳と敬意をもって扱われるように努めることや、被害者への寄り添い、精神的な支援、個々の事例に応じた医学上、治療上、心理学上の支援を提供することが明示されている。

 被害者の全人的痛み(心理的・身体的・社会的・霊的傷つき)を重く受け止め、本人が希望する支援の提供を行うことができるよう対応する必要がある。また、たとえその時点で本人が支援を求めなかったにせよ、その後、援助が必要になった際はいつでも受け付けられるような配慮が必要である。

おわりに

 今回の調査報告における当該教区・修道会・宣教会は、新たに第三者による検証委員会を設置する。この検証委員会は、事例対応が適正に行われたかどうかを精査し、当該教区司教より原則6か月をめどに、司教協議会会長に報告する。

 なお本調査の対象は、あくまでも未成年(18歳未満)に対しての性虐待についてであったが、『あなたがたは世の光である』では、その適用範囲が「弱者(脆弱な大人)」を含むとなっているため、具体的な事例に基づき、性暴力に関しても考え、マニュアル等に反映させていく。

 今後も以上の課題解決に向けて、修道会・宣教会と協力して取り組み、教会内(教育機関、関連施設含)の性虐待・性暴力の根絶に向けて努力する。

  • 各教区の相談窓口は下記のURLをご参照ください。

    子どもと女性の権利擁護のためのデスクサイト

    http://catholic-cwd.jp/diocese/

2020年10月17日

(解説)3月13日は日本のカトリック教会の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」だが…

(2020.3.13 カトリック・あい)

 13日に日本のカトリック教会は「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を迎えた。だが、中央協議会のホームページを見ると、1月31日に同協議会子供と女性の権利擁護のためのデスクがまとめ、その後2月28日に修正した国内各教区の行事予定のみ。主催者であるはずの司教団のメッセージもない。

 教皇フランシスコの全世界の司教団に「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けることを求める通達を受けて、日本の司教団として「四旬節第2金曜日」をこの日と定め、2017年から開始して、今年は4回目だ。新型コロナウイルスの感染拡大で主な教区での公開ミサや大勢が参加する行事は中止を余儀なくされているのはやむを得ないとしても、それに代わる祈りや反省などを呼びかける手だけはいくらもあるはずだ。

 世界の教会のこの問題での取り組みの遅れを強く懸念した教皇フランシスコは昨年2月に、全世界の司教協議会会長による会議を招集、会議の結果をもとに、各司教協議会に対して「聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範」の策定・実施を求める自発教令を出さた。

 これを受けて米国など主要国の司教協議会で新規範の決定するなど、新たな具体的取り組みを始めているが、日本の司教団は、ホームページによると「2002年に日本カトリック司教団として、2012年にデスクとして調査を行っております。しかし、それぞれの調査の目的が異なっていたことから、より正確な調査(現状把握)が必要」として、昨年6月から10月にかけ、司教団として、全教区と全修道会、宣教会に対して再調査を実施し、さらに追加調査をしたはずだった。

 だが、教皇訪日を目前にした昨年11月15日付けの司教協議会の説明で、「教皇訪日に際して、公表の予定はあるかというお問合せが寄せられています。上記のとおり、現在調査を継続しているところですので、教皇訪日に際しての発表は予定しておりません」とわざわざ断ったうえで、「報告できる段階になり次第、カトリック中央協議会のウェブサイトで公表する予定です」としていた。しかし、それから4か月を経過した今も、報告の絶好のタイミングであるはずの13日の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を迎えた段階でも、何の音さたもない。

 この時の説明では「現在では、全ての教区に対応委員会が設置され、複数の教区にて、相談窓口などのホットラインが設置されています。日本カトリック司教協議会は、今後も様々な課題に対して、一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進していく所存です」とも述べていたが、本当に「一つずつ丁寧に審議を重ね、対応を推進」しているのか、全く見えてこない。

 そもそも、調査は、昨年5月の司教協議会の定例常任委員会で「児童性虐待に対応するために過去の事例と現在の状況についてのアンケート」として、各教区司教に送付し、昨年6月30日までに回答をもらうことを決めていたものだ。それが、”再調査”が10月まで、さらに追加調査… というわけだ。

 昨年2月の全世界司教協議会会長会議に日本の代表として出席した高見三明・司教協議会会長(長崎大司教)は、帰国2か月後の昨年4月に東京で開かれた「施設内虐待を許さない会」主催の「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」と題する集会に参加。その席で、有力月刊誌「文芸春秋」の昨年3月号の調査報道記事「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」で実名を明らかにしていた性的虐待被害者の男性に面前で謝罪するとともに、国内の実態調査を全国16の司教区で開始することを決めたことを明らかにしていた。

 高見会長は当時、「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」とも語っていたが、それから一年近く経った今も、国内の一般信徒を含む関係者に、そのような決意を示し、協力を求めるようなメッセージは届いていない。

 さらに、教皇フランシスコの訪日前日の11月22日には、時事通信が「長崎大司教区で、女性信徒が性被害訴え。神父処分も公表せず」と伝えた。「長崎県のカトリック信徒の女性が『神父に体を触られるなど猥褻な行為をされた』などと性的被害を訴えていることが関係者への取材で分かった。長崎大司教区は問題の神父の聖職を停止したが、教区の信徒たちに処分を公表せず、不在の理由を『病気療養中』とだけ説明しいる」とし、「女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、長期の入院を余儀なくされた。神父は面会した教区幹部に『女性や教会に大変な迷惑を掛けた』と話したが、時事通信の取材には『何も申し上げられない』と答えたという」としていた。”当然”のことながら、この問題への見解、対応もいまだに公にはなされていない。

 昨年秋、「カトリック・あい」で次のように書いた。その時の思いは、残念ながら、今も変わらない。

 教皇が全世界の司教協議会に求めている性的虐待・隠ぺい防止の新規範を日本がまとめるのはいつのことになるのだろうか。

 対応の遅さの背景には、関係者の「事を荒立て、余計な不安と動揺を信徒に与えたくない」という”隠蔽”体質と、「日本社会では欧米のように同性の幼児や少年に対する性的虐待は極めてまれ。教会内部ではほとんどあり得ない」という安易な思いがあるように感じる。

 では、同性の幼児や少年に対する性的虐待でなければ、それ以外の性的な不適切行為には目をつぶってもいいのか。そうではないはずだ。聖職者の独身制は教会法にも規定されており、その「独身制」は単に結婚しなければいい、というものではなく、貞潔を守らねばならないことを意味する、厳しいものだ。そのような”聖職者”が信徒の教会への信頼を損なう例は、日本でも少なくないと思われる。

 実際に筆者が確認している限りでも、そのような”聖職者”が二人いる。そのうちの一人は、神学校に在籍中に不適切行為を繰り返し、何度か警告を受けても辞めることがなかったため、所属の東京教区から絶縁されたものの、他教区の司教から「俺のところに来い。面倒を見てあげる」と言われて(本人から直接筆者が聞いた)その教区に移り、叙階に至ったものの、またしても、不適切行為を繰り返したが、その司教は某大司教に昇格、転出し、後任司教が頭を抱えている、と聞いている。

 教皇の強い思いをしっかりと受け止め、すみやかに真摯な対応を取ることが望まれる。

(「カトリック・あい」南條俊二)

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(参考)2020年度 性虐待被害者のための祈りと償いの日 関連行事  宗教法人カトリック中央協議会 子供と女性の権利擁護のためのデスク

                    (中央協議会ホームページ 投稿日 : 2020年1月31日 

2020年度の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」は、2020年3月13日(金)です。それにともない、各教区では以下の行事が開催されます:

■札幌教区 (3月13日以下のミサは中止となりました)
ミサ 3月13日(金)18:30より、北一条教会(札幌教区カテドラル)にて勝谷司教司式によるミサ 特別電話相談 3月10日から15日まで、毎日12:00から20:00の間、電話相談を受け付ける

■仙台教区 3月15日(日) 松木町教会(福島県)にてミサ

■新潟教区 3月13日(金) 各小教区、修道院でのミサ、また祈りの集いを実施

■さいたま教区(3月14日まで公開ミサは中止となりました) 3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日) 主日のミサに共同祈願で祈る

■東京教区(3月14日まで公開ミサは中止となりました)事前に大司教よりのメッセージの発表を行う。3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日)晩の祈り、聖体礼拝(可能ならばミサ)を菊地大司教が行う

■大阪教区 (以下は延期となりました)3月14日(土) 13:00より サクラファミリアにて「性虐待被害者のための祈りとつぐないの日にむけて おはなしとミサ」お話し:竹之下雅代さん(ウィメンズカウンセリング京都)ミサ: 主司式 前田万葉大司教

■広島教区 3月13日(金) 各小教区にてミサをささげる 3月15日(日) 主日のミサに共同祈願で祈る

■長崎教区 3月13日(金) 12:45より 26聖人記念聖堂にて 「性虐待被害者のための祈りと償いの日」の集い in 長崎 ご挨拶:髙見三明大司教  講話ならびにミサ主司式 森 一弘 司教(東京大司教区名誉司教)

■大分教区 (以下は延期となりました)
3月8日(日)15:00より、大分教会(大分教区カテドラル)にて、集いを実施 浜口司教、ウェイン司教(子どもと女性の権利擁護のためのデスク担当司教)による司式。セクシャルハラスメント防止と対応宣言の発表を同時に行う。

2020年10月17日

・バチカン敷地内の小神学校で性的虐待容疑の司祭2人が裁判所に出廷へ

(2020.10.11 カトリック・あい)

 CATHOLIC NEWS SERVICEが9日付けで報じたところによると、バチカンにある小神学校の2人の司祭が14日にバチカン刑事裁判所に出廷することになった。2人は同小神学校の生徒2人に対する性的虐待に関与した疑いで昨年秋に起訴されていた。

 この2人は、ガブリエレ・マルティネリ神父とエンリコ・ラディス神父。前者は、聖ピオ小神学校で教員を務めていた際、未成年の生徒に性的虐待を働いた疑いがもたれ、後者は同校の校長として、虐待を助長し、幇助した容疑がかけられている、という。虐待は2012年より前になされたとされている。

 小神学校は、イタリアのコモ教区が運営しているが、施設そのものはバチカンの敷地にあり、神学校に進むための教育を受けるために11歳から18歳の少年10人余りが宿舎に寝起きし、聖ペトロ大聖堂で教皇がささげるミサの侍者を務めている。

 この小神学校での性的虐待の情報は2013年から広まり始め、学校関係者とコモ教区によって調査が行われたが、十分な対応がなされないまま、マスコミで取り上げられ、2018年になってバチカンの担当部局が調査に入っていた。

 イタリアのテレビ番組「LeIene」には、被害者の1人、現在21歳になっているポーランド人の若者が登場し、13歳の時にローマに来て、司祭になることを希望して、小神学校に入ったが、リーダー格の年上の生徒が夜、彼の部屋にやって来て、ルームメイトのベッドに入り、性的虐待を繰り返した。その男は、2017年に司祭叙階したといい、現在コモ教区で働いている29歳のマルティネリ神父とされており、イタリアの警察当局も独自に調査している、という。

2020年10月17日

♰「『聖職者の性的虐待』と戦うことは、命への深い敬意を育てる」教皇、新刊書の巻頭言で

(2020.8.6 Crux  ROME BUREAU CHIEF Inés San Martín)

Pope says fighting clerical abuse fosters deeper respect for life

Pope Francis and Father Daniel Portillo of CEPROME. (Credit: screen caption.)

 アルゼンチン・ロサリオ発ー教皇フランシスコは、8月下旬に出版予定の中南米諸国やアイルランドの神学者や司祭、信徒たちの論考をまとめた「教会における性的虐待に関する神学と防止、研究(Theology and Prevention, Studies on Sexual Abuses in the Church)」(メキシコの出版社 SalTerrae刊)に巻頭言を寄せた。

 注目されるのは、教皇が従来から深く認識するよう指摘されている「聖職者による性的虐待と戦う明白な諸理由、性的虐待が被害者たちに与えたあらゆる損傷」に加えて、「性的虐待を防ぐ努力が、全ての命は神聖で、尊敬に値するものだということを、より深く認識するように促す」という新たな視点を加えられたことだ。

 巻頭言で教皇はまず、「性的虐待と戦うことは、諸共同体を育成し、力を持たせ、それによって見張りを続け、『全ての命、とくに自分たちの声を聞いてもらう手立てのない、最も無防備な人たちに尊敬され、大事にされる価値がある』と知らせることを可能にします」と語られた。

 そして、「私たちには課題が突き付けられています-この問題を直視し、それを取り上げ、被害者、家族、そして共同体全体と共に苦しみ、『虐待の文化』に二度と戻りません、と私たちが約束する方法を見つけるーという課題です… この現実は、私たちの共同体や一般社会におけるこうした問題の認識、防止、そして『ケアと保護の文化』の促進に取り組むことで、誰もが清廉さと尊厳を侵害されたり、酷く扱われないようにすることを、私たちに求めているのです」と強調された。

 教皇は「神学の観点から、カトリック教会で起きている性的虐待のこの憎むべき悪を掘り下げるように勧めてくださった著者の皆さんの貢献に感謝します」と謝意を述べ、さらに 虐待を非難することは「必要」である、としたうえで、マタイの福音書の言葉を引用して、未成年保護の分野で働くように人々に呼びかけたー「まことに私はあなた方に言う。私の兄弟たちの最も小さな者にあなたがしたことは、私にしたことである」と。

 教皇が巻頭言を載せられたこの本の編者は、メキシコ・カトリック大学の「未成年者保護のための学際的調査研究センター」(CEPROME)の創設者、ダニエル・ポルティージョ神父。ベネズエラ、ブラジル、チリ、アイルランド、コロンビア、メキシコの神学者による考察が含まれている。チリのサンドラ・アレナスは「非聖職主義化-教会における人権侵害の”解毒剤”」と題して論じている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2020年10月17日

・性的虐待隠ぺい疑惑で無罪となったが…教皇、仏枢機卿のリヨン大司教辞任認める

Cardinal Philippe BarbarinCardinal Philippe Barbarin  (AFP or licensors)

(2020.3.6 VaticanNews  Benedict Mayaki)

聖職者による性的虐待を隠蔽したとして訴えられ、無罪判決を受けたフランスのフィリップ・バーバラン枢機卿(69)が6日、リヨン大司教の辞表を教皇フランシスコに受理された。

枢機卿は、聖職者のよる幼児性愛行為を隠蔽したとして、昨年3月にリヨン裁判所から6か月の執行猶予付きの有罪判決を受け、その時点で教皇にリヨン大司教を辞任することを申し出ていた。枢機卿は無罪を主張して控訴し、控訴審で1月30日に無罪判決を受けていた。

枢機卿のリヨン大司教辞任を受けてフランスの司教協議会は会長声明を発表し、リヨン大司教区のためにフランス全土の信徒の親愛の祈りを捧げることを誓い、「過去数ヶ月の裁判の後に、リヨン大教区は真理と和解に努め、純粋な心でその使命を追求する努力を新たにするでしょう」と述べた。また、枢機卿がこれまで教会のために行った全てのことに感謝する一方で、「これまで(注:聖職者による性的虐待に対して)とられた処置が、被害者を癒すこと」を希望するとともに、被害者たちの受けた苦しみに対する「深い悲しみ」を改めて表明した。

一方、リヨン大司教の後任が決まるまでの教区管理者に任命されたミシェル・デュボスト師は、教区のウエブサイトで、教区の司祭、信徒たちに、「大司教区の新たなページが開かれようとしています。それは非常に豊かな時に満たされ、私たちはそれらに感謝しなければなりません…数週間以内に、私たちは新しい大司教を迎えます。新大司教の就任は、一致における刷新の機会となるでしょう」と訴えた。

バーバラン枢機卿は1950年10月17日にモロッコのラバトで生まれ、1977年12月17日に司祭叙階。1998年11月22日に、ムーラン司教に就任し、2002年7月16日に教皇ヨハネ・パウロ二世からリヨンの大司教に任命され、翌年10月21日に枢機卿に昇格していた。

・・・・・・・・・・・・・・・

 隠ぺい疑惑の対象となったのは、教区司祭だったベルナール・プレイナが1970年代から1980年代にかけて自身が指導者と務めていたボーイスカウトの隊員に対して性的虐待をした犯罪。プレイナ自身はその行為を認めたが、虐待の被害者たちはバーバラン元大司教と教区当局が、長期にわたったその行為を隠蔽した、として訴えていた。これに対して、バーバランは控訴審で「案件の処理は、バチカンの指示に従って行った」と主張していた。

 なお、AP通信が6日伝えたところによると、プレイナの裁判はリヨンで続けられており、今年初めの被告人尋問で彼は「性的虐待した少年たちの正確な人数は思い出せない」が、少なくとも75人に対して性的虐待を働いた、と述べ、「自分の上司だった司教たちは、自分の少年たちへの性的嗜好を知っていたが、誰も止めたり、忠告しなかった」とも語った。

 被害者の親たちがリヨン大司教区事務局にプレイナの犯罪行為を訴えたのは今から40年前だったが、プレイナが聖職をはく奪されたのは昨年7月だった。

 枢機卿が無罪になったとはいえ、これほど長い間、犯罪を放置し、結果として続けさせていたことへの、歴代のリヨン大司教、今日事務局関係者の同義的な問題が消えることはないだろう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2020年10月17日

・教皇が、聖職者性的虐待問題で世界の司教協議会など支援するタスクフォース設置

(2020.2.28 VaticanNews )

 教皇フランシスコが28日、「未成年者保護のためのガイドラインの実施準備・更新で、世界各国の司教協議会を支援する」ためのタスクフォースを発足させた。同タスクフォースは、教皇が昨年2月の聖職者の未成年者性的虐待への対応を話し合う全世界司教協議会会長会議(”サミット”)で計画を表明していたが、対策の詳細が出来上がったのを踏まえて、実施に移したものだ。

 

*世界の司教協議会への支援の提供

 バチカン広報の発表によると、タスクフォースは、バチカン教理省が出したガイドラインと教会法規、特に「聖職者による性的虐待の通告義務とそのための制度整備」を促す教皇の自発教令Vos estis lux mundiに従って、未成年者保護のガイドラインの整備、刷新について、世界各国の司教協議会や修道会、使徒職団体を支援する。

 タスクフォースの任期は2月24日から2年間で、未成年者保護活動の支援者が設立した特別基金から支援を受ける。世界各国の司教協議会、修道会、使徒職団体はタスクフォースのEメールアドレスtaskforce@org.va.で支援を求めることができる。

 

*タスクフォースのメンバー

 タスクフォースは、アンドリュー・アッツォパルディ博士(マルタ司教団未成年保護委員長)をコーディネーターに、複数の国出身の教会法専門家で構成され、作業の進捗状況を四半期ごとに、バチカン国務省の総務局担当次官に報告することになっている。

 

*監督委員会

タスクフォースは、バチカン国務省の総務局担当長官代理のエドガー・ペニャ・パラ大司教と、”サミット”の組織委員会委員のオズワルド・グラシアス枢機卿(ボンベイ大司教)、ブラス・キューピッチ枢機卿(シカゴ大司教)、チャールズ・シクルナ教理省次官(マルタ大司教)およびハンス・ゾルナー教皇庁立グレゴリオ大学心理学研究所長(未成年者保護のための委員会委員)によって監督される。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2020年10月17日

*未成年者性的虐待は「最も重大な犯罪」、一般信徒も検察官役に-教皇が「教皇機密」廃止など一連の措置

(2019.12.17 バチカン放送)

 教皇フランシスコは17日、教会関係者による未成年者への性的虐待等に関して、調査や裁判への協力をより可能にするため、「教皇レベルの機密」を廃止することを決定、同時に未成年者ポルノ画像に関する法令の一部を改正された。

 これらの廃止、改正について、まず、教皇フランシスコの自発教令「ヴォス・エスティス・ルクス・ムンディ」(2019年5月7日)の第一条で言及される犯罪(暴力・脅迫・権威の悪用下における性的行為、未成年者および弱い立場にある人々に対する性的虐待、ポルノ画像、司教や修道会長上による虐待加害者に対する告発義務への怠慢および隠ぺい)についての告発・裁判・判決に関し、「教皇機密(セグレート・ポンティフィーチィオ)」と呼ばれる、ハイレベル扱いの機密の廃止を命ずる文書が、12月4日付で、教皇庁国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿によって署名された。

 同時に、自発教令「サクラメントールム・サンクティタティス・トゥテーラ」(2001年発表、2010年改訂)中の、いくつかの項の改正が、国務長官パロリン枢機卿、教理省長官ルイス・ラダリア・フェレール枢機卿の署名によって行われた。

 以上の措置により、「聖職者による、わいせつな目的での、あらゆる方法、あらゆる手段における、18歳未満(従来は「14歳以下」)の未成年のポルノ画像の入手・所有・頒布」が、教理省管轄の「最も重大な犯罪」として定められた。また、これらの重大犯罪の「弁護士および検察官」の役を、今後、司祭のみでなく、信徒も担えるようになった。

(編集「カトリック・あい」)

2020年10月17日

・教皇が自発教令-性的虐待、隠蔽防止に関する新規範を全世界の教区で実施へ(5.12更新)

(2019.5.9 カトリック・あい)

  聖職者による性的虐待問題が長期化し、教会の信頼回復のために速やかな具体的対応が求められているが、教皇フランシスコは9日、先の”性的虐待対応シノドス”などの議論を踏まえた自発教令「Vos estis lux mund(仮訳:あなた方は世の光)を公開、(注:聖職者による)虐待と暴力に関する報告に関する新規範を導入するとともに、全世界の司教と修道会総長がこの問題について、自らの対応について説明責任を負うことを確認された。

 責任を負う対象には、虐待について報告する聖職者、修道者の義務を含み、全世界の全ての教区は信徒が容易に申告できるような制度を備えねばならない、としており、教皇は、この新しい規範を世界中の教区が積極的に整備、運用し、カトリック教会が虐待を防止し、この問題と闘う、確固とした新たな歩みを始めることを強く希望されている。

(2019.5.9 VaticanNews  Andrea Tornielli)

 ”Vos estis lux mundi”. 「あなた方は世の光… 私たちの主イエスは、信徒一人一人が美徳、高潔、聖性の模範となるように求めておられます」。マタイ福音書はこの自発教令の表題であり、教皇の書き出しの言葉だ。この教令は、聖職者、修道者たちが犯した性的虐待、そして、虐待の事実をしらべることを妨害あるいは調べようとしなかった司教、修道会総長たちの対応や怠慢こ根絶する戦いを目的としている。

 教皇はこの中で、「性的虐待の犯罪は、私たちの主を怒らせ、虐待の犠牲者に身体的、精神的、そして霊的なダメージを与え、信仰を持った人たちの共同体を害するものです」とされ、使徒の後継者たちには、そうした犯罪を防ぐための特別の責任がある、と述べられている。

  この文書は、さる2月にバチカンで開かれた未成年者保護の全世界司教協議会会長会議の結果を受けたもので、性的虐待に対処するための新たな手続き規範を定め、司教と修道会総長たちに自身の対応に説明責任を負うことを明確にしており、全世界のカトリック教会に適応される共通の基準となる。

 主な項目ごとの概要は次の通り。

*各教区に申告のための”事務局”を置く

 自発教令では、全世界の教区などに向けた多くの新たな指示が出されているが、その中で、まず、各司教区に、聖職者、修道者たちが犯した性的虐待、幼児ポルノ画像の使用、虐待行為の隠ぺいに関して「(注:被害者などから)申告を受けるための、公けで、常設の、利用しやすい制度」を2020年6月までに、一つないし二つ設置することを義務付けた。ただし、制度の具体的な形は明示せず、現地の文化や条件が異なる場合があることから、運用しやすいように判断を各教区に委ねている。

 虐待の被害に遭った誰もが、現地教会に助けを求めることができ、安心して、受け入れられ、仕返しを受けないように守られること、被害者たちの申告が厳粛に取り扱われるようにすることが、新制度設置の狙いだ。

*報告の義務

 自分たちが知ることとなった虐待の訴えの全てを、虐待への対応における怠慢や隠蔽も含めて、教会の責任者に”遅滞なく報告”することを、 全ての聖職者、男女修道者に義務付けている。報告義務は従来は個々人の良心の判断に任せていたが、教令は、この義務を普遍的に確立された法的指針とした。そうした義務は聖職者、修道者に対して定めるものだが、一般信徒にも、担当の教会責任者に暴力と虐待の被害を申告するために、この制度を使うことを奨励している。

*対象は幼児に対する虐待に限定されない

 自発教令が対象とするのは、幼児や心身に弱さを持つ成人に対する暴力と虐待だけではない。権威の乱用から起こされる性的虐待と暴力も対象としている。対象には、聖職者による修道者への暴力、成人した神学生や志願者に対する虐待も含まれる。

*隠ぺい行為への対処

 自発教令で、特定のカテゴリーとして最重要視していることの一つは用語の定義である-いわゆる”隠蔽”を、「行政上か刑法上かを問わず、性的虐待の違法行為に関する聖職者ないし修道者に対する当局による取り調べ、あるいは教会法に基ずく取り調べを、妨げ、あるいは避けることを意図した対応、あるいは怠慢」とした。これが適用されるのは、カトリック教会において、特にこの問題について責任ある立場にある者で、他の者が犯した虐待を、追求する代わりに、隠し、犠牲者を守る代わりに、訴えを受けた者たちを守った者、と明示している。

*心身に弱さを持つ人々を守る

 自発協定は、18歳以下の未成年者とvulnerable person(心身が弱い人々)を守ることの重要性を強調している。”vulnerable person”については具体的に、「病弱な人、心身に欠陥を持った人、あるいは、個人的な自由を奪われ、犯罪行為だと理解したり、それに抵抗しようという能力が片時でも制限される人」と定義。今年3月26日に出されたバチカンの法規に対応したものとなっている。

*国の法規の尊重

 現地の司教ないし修道会総長に対する報告の義務は、個々の国の法規で定められた報告義務を阻害したり、変更したりするものではない。自発教令の規定は「国の法規によってそれぞれの地域で確立された、特に関係当局への報告義務に関する権利と義務に影響を及ぼすことのないようにして、適用される」としている。

*虐待犠牲者と申告者の保護

 この項では、虐待を進んで報告する人を保護することの重要性を強調。虐待の報告者が、報告ゆえに「偏見を持たれ、報復を受け、差別される」ことがあってはならない、としている。また、過去において沈黙を守るように言われた犠牲者の問題をとりあげ、「沈黙を守る義務は、彼、彼女の報告の内容に関して、いかなる人にも課せられることはない」と言明。一方で、告解の内容を秘匿することは絶対であり、侵されることはなく、この規定によって影響を受けることはない、としている。また、犠牲者とその家族は、尊厳と敬意をもって対応されねばならず、適切な霊的、医療的、心理的な助けを受ける必要がある、としている。

*司教たちの取り調べ

 自発教令は、司教、枢機卿、修道会総長、そして様々な役割を一時的にでも果たすことで教区や他の特定の教会を主導する全ての者、の取り調べについて規定している。この規定は、自身が性的虐待を働いたために取り調べを受ける人物である場合だけでなく、そうした行為を隠蔽したとして訴えられた場合、ないしは、虐待を知っていて、対応するのが任務であるのに、追求しなかった場合にも、適用される。

*首都大司教の役割

 予備的な取り調べについて、各国の首都を教区とする大司教に新たな役割-訴えられた個人が司教である場合、首都大司教が教皇から委任を受けて取り調べる役割ーが定められた。これは、カトリック教会における首都大司教の伝統的な役割を強化し、司教に対する取り調べに関して、現地の人的資源を活用したい、とする期待の表明でもある。取り調べの任にある者は、教皇に対して、30日おきに「取り調べ状況の報告」を送り、90日以内に取り調べを完了する(期間の延長は、正当な理由があれば可能)、と規定している。また、特定の期間を定め、バチカンの担当部署に迅速な対応を求めている。

*一般信徒の関与

 また、自発教令は、一般信徒の重要な貢献を強調する教会法の規定を引用し、首都大司教は、取り調べを進めるにあたり、「個々のケースの必要、とくに一般信徒によってなされる協力を考慮に入れつつ、”資格を持った人”の助けを得ることができる、としている。教皇は繰り返し言われている-一般信徒の専門的、職業的な手腕は教会にとって重要な助けだーと。司教協議会と教区はそうした資格を持ち、協力する意欲をのある人のリストを準備するだろうが、取り調べの最終的な責任は首都大司教にある。

*推定無罪の適用

 取り調べを受けている人物の推定無罪の原則も再確認された。訴えられた人は、バチカンの担当部署の求めに応じて、取り調べについて知らせられる。訴えは、公式の手続きが始まる場合に限り、通知されねばならない。適当とみなされた場合、取り調べの、ないしは証拠についての正しさを確認するために、通知は、予備的な取り調べの期間中、免除される。

*取り調べの結論

 自発教令は、犯罪への処罰を緩和せず、報告と予備的取り調べの手続きを定めた。取り調べの締めくくりに当たって、首都大司教(あるいは、一定のケースでは司教に任命されてからの期間が最も長い属教区の司教)は、結果をバチカンの担当部署に送り、それによって役割を完了する。これを受けたバチカンの担当部署は「特定のケースに用意された法規に従って」、すでにある教会法の基準を基礎において対応を進める。予備的取り調べの結果をもとに、聖座は、取り調べ中の人物に対して、予防的、政権的措置を速やかにとることができる。

*固い約束

 このような教皇が提唱される新たな法的手段をもって、カトリック教会は虐待行為の防止とそれとの闘いにおいて、具体的な行動に重きを置いた、詳細で包括的な対策を実施することになった。教皇はこの文書の冒頭でこう語られている。「このような現象が、あらゆる形において、絶対に再発しないように、継続的で、奥深い回心が求められています。それは、カトリック教会の全てに人々を巻き込む、具体的で効果的な行動によって立証される必要があります」。

(翻訳「カトリック・あい」」南條俊二)

APOSTOLIC LETTER IN THE FORM OF “MOTU PROPRIO” OF THE SUPREME PONTIFF

  FRANCIS Vos estis lux mundi”

“You are the light of the world. A city set on a hill cannot be hidden” (Mt 5:14). Our Lord Jesus Christ calls every believer to be a shining example of virtue, integrity and holiness. All of us, in fact,

are called to give concrete witness of faith in Christ in our lives and, in particular, in our relationship  with others.

The crimes of sexual abuse offend Our Lord, cause physical, psychological and spiritual damage to the victims and harm the community of the faithful. In order that these phenomena, in all their forms, never happen again, a continuous and profound conversion of hearts is needed, attested by concrete and effective actions that involve everyone in the Church, so that personal sanctity and moral commitment can contribute to promoting the full credibility of the Gospel message and the effectiveness of the Church’s mission.

This becomes possible only with the grace of the Holy Spirit poured into our hearts, as we must always keep in mind the words of Jesus: “Apart from me you can do nothing” (Jn 15:5). Even if so much has already been accomplished, we must continue to learn from the bitter lessons of the past, looking with hope towards the future.

This responsibility falls, above all, on the successors of the Apostles, chosen by God to be pastoral leaders of his People, and demands from them a commitment to follow closely the path of the Divine Master. Because of their ministry, in fact, Bishops, “as vicars and legates of Christ, govern the particular churches entrusted to them by their counsel, exhortations, example, and even by their authority and sacred power, which indeed they use only for the edification of their flock in truth and holiness, remembering that he who is greater should become as the lesser and he who is the chief become as the servant”

(Second Vatican Council, Dogmatic Constitution Lumen Gentium, 27). What more closely concerns the successors of the Apostles concerns all those who, in various ways, assume ministries in the Church, or profess the evangelical counsels, or are called to serve the Christian People. Therefore, it is good that procedures be universally adopted to prevent and combat these crimes that betray the trust of the faithful.

I desire that this commitment be implemented in a fully ecclesial manner, so that it may express the communion that keeps us united, in mutual listening and open to the contributions of those who care deeply about this process of conversion.

Therefore, I decree:

 

APOSTOLIC LETTER IN THE FORM OF “MOTU PROPRIO” OF THE SUPREME PONTIFF

Fransis “vos estis lux mundi”

 

“You are the light of the world. A city set on a hill cannot be hidden” (Mt 5:14). Our Lord Jesus Christ calls every believer to be a shining example of virtue, integrity and holiness. All of us, in fact, are called to give concrete witness of faith in Christ in our lives and, in particular, in our relationship with others.

The crimes of sexual abuse offend Our Lord, cause physical, psychological and spiritual damage to the victims and harm the community of the faithful. In order that these phenomena, in all their forms, never happen again, a continuous and profound conversion of hearts is needed, attested by concrete and effective actions that involve everyone in the Church, so that personal sanctity and moral commitment can contribute to promoting the full credibility of the Gospel message and the effectiveness of the Church’s mission.

This becomes possible only with the grace of the Holy Spirit poured into our hearts, as we must always keep in mind the words of Jesus: “Apart from me you can do nothing” (Jn 15:5). Even if so much has already been accomplished, we must continue to learn from the bitter lessons of the past, looking with hope towards the future.

 

BOLLETTINO N. 0390 – 09.05.2019 17

This responsibility falls, above all, on the successors of the Apostles, chosen by God to be pastoral leaders of his People, and demands from them a commitment to follow closely the path of the Divine Master. Because of their ministry, in fact, Bishops, “as vicars and legates of Christ, govern the particular churches entrusted to them by their counsel, exhortations, example, and even by their authority and sacred power, which indeed they use only for the edification of their flock in truth and holiness, remembering that he who is greater should become as the lesser and he who is the chief become as the servant” (Second Vatican Council, Dogmatic Constitution Lumen Gentium, 27). What more closely concerns the successors of the Apostles concerns all those who, in various ways, assume ministries in the Church, or profess the evangelical counsels, or are called to serve the Christian People. Therefore, it is good that procedures be universally adopted to prevent and combat these crimes that betray the trust of the faithful.

I desire that this commitment be implemented in a fully ecclesial manner, so that it may express the communion that keeps us united, in mutual listening and open to the contributions of those who care deeply about this process of conversion.

Therefore, I decree:

 

TITLE I GENERAL PROVISIONS

Art. 1 – Scope of application

  • 1. These norms apply to reports regarding clerics or members of Institutes of Consecrated Life or Societies of Apostolic Life and concerning
  1. a) delicts against the sixth commandment of the Decalogue consisting of:
  2. forcing someone, by violence or threat or through abuse of authority, to perform or submit to sexual acts;
  3. performing sexual acts with a minor or a vulnerable person;

iii. the production, exhibition, possession or distribution, including by electronic means, of child pornography, as well as by the recruitment of or inducement of a minor or a vulnerable person to participate in pornographic exhibitions;

  1. b) conduct carried out by the subjects referred to in article 6, consisting of actions or omissions intended to interfere with or avoid civil investigations or canonical investigations, whether administrative or penal, against a cleric or a religious regarding the delicts referred to in letter a) of this paragraph.

 

  • 2. For the purposes of these norms,
  1. a) “minor” means: any person under the age of eighteen, or who is considered by law to be the equivalent of a minor;
  2. b) “vulnerable person” means: any person in a state of infirmity, physical or mental deficiency, or deprivation of personal liberty which, in fact, even occasionally, limits their ability to understand or to want or otherwise resist the offence;
  3. c) “child pornography” means: any representation of a minor, regardless of the means used, involved in explicit sexual activities, whether real or simulated, and any representation of sexual organs of minors for primarily sexual purposes.

 

Art. 2 – Reception of reports and data protection

  • 1. Taking into account the provisions that may be adopted by the respective Episcopal Conferences, by the Synods of the Bishops of the Patriarchal Churches and the Major Archiepiscopal Churches, or by the Councils of Hierarchs of the Metropolitan Churches sui iuris, the Dioceses or the Eparchies, individually or together, must establish within a year from the entry into force of these norms, one or more public, stable and easily accessible systems for submission of reports, even through the institution of a specific ecclesiastical office.

The Dioceses and the Eparchies shall inform the Pontifical Representative of the establishment of the systems referred to in this paragraph.

  • 2. The information referred to in this article is protected and treated in such a way as to guarantee

its safety, integrity and confidentiality pursuant to canons 471, 2° CIC and 244 §2, 2° CCEO.

  • 3. Except as provided for by article 3 §3, the Ordinary who received the report shall transmit it without delay to the Ordinary of the place where the events are said to have occurred, as well as to the Ordinary of the person reported, who proceed according to the law provided for the specific case.
  • 4. For the purposes of this title, Eparchies are equated with Dioceses and the Hierarch is equated with the Ordinary.

 

Art. 3 – Reporting

  • 1. Except as provided for by canons 1548 §2 CIC and 1229 §2 CCEO, whenever a cleric or a member of an Institute of Consecrated Life or of a Society of Apostolic Life has notice of, or well founded motives to believe that, one of the facts referred to in article 1 has been committed, that person is obliged to report promptly the fact to the local Ordinary where the events are said to have occurred or to another Ordinary among those referred to in canons 134 CIC and 984 CCEO, except for what is established by §3 of the present article.
  • 2. Any person can submit a report concerning the conduct referred to in article 1, using the methods referred to in the preceding article, or by any other appropriate means.
  • 3. When the report concerns one of the persons indicated in article 6, it is to be addressed to the Authority identified based upon articles 8 and 9. The report can always be sent to the Holy See

directly or through the Pontifical Representative.

  • 4. The report shall include as many particulars as possible, such as indications of time and place of the facts, of the persons involved or informed, as well as any other circumstance that may be useful

in order to ensure an accurate assessment of the facts.

  • 5. Information can also be acquired ex officio.

 

Art. 4 – Protection of the person submitting the report

  • 1. Making a report pursuant to article 3 shall not constitute a violation of office confidentiality.
  • 2. Except as provided for by canons 1390 CIC and 1452 and 1454 CCEO, prejudice, retaliation or discrimination as a consequence of having submitted a report is prohibited and may constitute the

conduct referred to in article 1 §1, letter b).

  • 3. An obligation to keep silent may not be imposed on any person with regard to the contents of his or her report.

 

Art. 5 – Care for persons

  • 1. The ecclesiastical Authorities shall commit themselves to ensuring that those who state that they have been harmed, together with their families, are to be treated with dignity and respect, and, in

particular, are to be:

  1. a) welcomed, listened to and supported, including through provision of specific services;
  2. b) offered spiritual assistance;
  3. c) offered medical assistance, including therapeutic and psychological assistance, as required by the specific case.
  • 2. The good name and the privacy of the persons involved, as well as the confidentiality of their personal data, shall be protected.

 

TITLE II  ROVISIONS CONCERNING BISHOPS AND THEIR EQUIVALENTS

 

Art. 6 – Subjective scope of application

The procedural norms referred to in this title concern the conduct referred to in article 1, carried out  By:

  1. a) Cardinals, Patriarchs, Bishops and Legates of the Roman Pontiff;
  2. b) clerics who are, or who have been, the pastoral heads of a particular Church or of an entity assimilated to it, Latin or Oriental, including the Personal Ordinariates, for the acts committed durante munere;
  3. c) clerics who are or who have been in the past leaders of a Personal Prelature, for the acts committed

durante munere;

  1. d) those who are, or who have been, supreme moderators of Institutes of Consecrated Life or  of Societies of Apostolic Life of Pontifical right, as well as of monasteries sui iuris, with respect to the   acts committed durante munere.

 

Art. 7 – Competent Dicastery

  • 1. For the purposes of this title, “competent Dicastery” means the Congregation for the Doctrine of     the Faith, regarding the delicts reserved to it by the norms in force, as well as, in all other cases  and as far as their respective jurisdiction is concerned, based on the proper law of the Roman  Curia:

– the Congregation for the Oriental Churches;

– the Congregation for Bishops;

– the Congregation for the Evangelization of Peoples;

– the Congregation for the Clergy;

– the Congregation for Institutes of Consecrated Life and Societies of Apostolic Life.

  • 2. In order to ensure the best coordination, the competent Dicastery informs the Secretariat of State,   and the other Dicasteries directly concerned, of the report and the outcome of the investigation.
  • 3. The communications referred to in this title between the Metropolitan and the Holy See take place through the Pontifical Representative.

 

Art. 8 – Procedure applicable in the event of a report concerning a Bishop of the Latin Church

  • 1. The Authority that receives a report transmits it both to the Holy See and to the Metropolitan of  the Ecclesiastical Province where the person reported is domiciled.
  • 2. If the report concerns the Metropolitan, or the Metropolitan See is vacant, it shall be forwarded   To the Holy See, as well as to the senior suffragan Bishop by promotion, to whom, if such is the case,

the following provisions regarding the Metropolitan apply.

  • 3. In the event that the report concerns a Papal Legate, it shall be transmitted directly to the  Secretariat of State.

 

Art. 9 – Procedure applicable to Bishops of Eastern Catholic Churches

  • 1. Reports concerning a Bishop of a Patriarchal, Major Archiepiscopal or Metropolitan Church   Sui uris shall be forwarded to the respective Patriarch, Major Archbishop or Metropolitan of the Church sui iuris.
  • 2. If the report concerns a Metropolitan of a Patriarchal or Major Archiepiscopal Church, who exercises his office within the territory of these Churches, it is forwarded to the respective Patriarch

or Major Archbishop.

  • 3. In the preceding cases, the Authority who receives the report shall also forward it to the HolySee.
  • 4. If the person reported is a Bishop or a Metropolitan outside the territory of the Patriarchal, the

Major Archiepiscopal or the Metropolitan Church sui iuris, the report shall be forwarded to the Holy See.

  • 5. In the event that the report concerns a Patriarch, a Major Archbishop, a Metropolitan of a Church sui iuris or a Bishop of the other Eastern Catholic Churches sui iuris, it shall be forwarded to the

Holy See.

  • 6. The following provisions relating to the Metropolitan apply to the ecclesiastical Authority to which the report is to be forwarded based on this article.

 

Art. 10 – Initial duties of the Metropolitan

  1. Unless the report is manifestly unfounded, the Metropolitan immediately requests, from the competent Dicastery, that he be assigned to commence the investigation. If the Metropolitan considers the report manifestly unfounded, he shall so inform the Pontifical Representative.
  • 2. The Dicastery shall proceed without delay, and in any case within thirty days from the receipt of the first report by the Pontifical Representative or the request for the assignment by the Metropolitan,   providing the appropriate instructions on how to proceed in the specific case.

 

Art. 11 – Entrusting the investigation to a person other than the Metropolitan

  • 1. If the competent Dicastery considers it appropriate to entrust the investigation to a person other than the Metropolitan, the Metropolitan is so informed. The Metropolitan delivers all relevant information and documents to the person appointed by the Dicastery.
  • 2. In the case referred to in the previous paragraph, the following provisions relating to the  Metropolitan apply to the person charged with conducting the investigation.

 

Art. 12 – Carrying out the investigation

  • 1. Once he has been appointed by the competent Dicastery and acting in compliance with the instructions received, the Metropolitan, either personally or through one or more suitable persons:
  1. a) collects relevant information regarding the facts;
  2. b) accesses the information and documents necessary for the purpose of the investigation kept in the archives of ecclesiastical offices;
  1. c) obtains the cooperation of other Ordinaries or Hierarchs whenever necessary;
  2. d) requests information from individuals and institutions, including civil institutions, that are able to  provide useful elements for the investigation.
  • 2. If it is necessary to hear from a minor or a vulnerable person, the Metropolitan shall adopt appropriate procedures, which take into account their status.
  • 3. In the event that there are well-founded motives to conclude that information or documents concerning the investigation are at risk of being removed or destroyed, the Metropolitan shall take

the necessary measures for their preservation.

  • 4. Even when making use of other persons, the Metropolitan nevertheless remains responsible for  the direction and conduct of the investigation, as well as for the timely execution of the instructions

referred to in article 10 §2.

  • 5. The Metropolitan shall be assisted by a notary freely appointed pursuant to canons 483 §2 CIC  and 253 §2 CCEO.
  • 6. The Metropolitan is required to act impartially and free of conflicts of interest. If he considers himself to be in a conflict of interest or is unable to maintain the necessary impartiality to guarantee  the integrity of the investigation, he is obliged to recuse himself and report the circumstance to the competent Dicastery.
  • 7. The person under investigation enjoys the presumption of innocence.
  • 8. The Metropolitan, if requested by the competent Dicastery, informs the person of the investigation concerning him/her, hears his/her account of the facts and invites him/her to present a brief in

defence. In such cases, the investigated person may be assisted by legal counsel.

  • 9. Every thirty days, the Metropolitan sends a status report on the state of the investigation to the competent Dicastery.

 

Art. 13 – Involvement of qualified persons

  • 1. In accordance with any eventual directives of the Episcopal Conference, of the Synod of Bishops or of the Council of Hierarchs regarding how to assist the Metropolitan in conducting the investigation, the Bishops of the respective Province, individually or together, may establish lists of qualified persons from which the Metropolitan may choose those most suitable to assist in the investigation, according to the needs of the individual case and, in particular, taking into account the cooperation that can be offered by the lay faithful pursuant to canons 228 CIC and 408 CCEO.
  • 2. The Metropolitan, however, is free to choose other equally qualified persons.
  • 3. Any person assisting the Metropolitan in the investigation is required to act impartially and must  be free of conflicts of interest. If he considers himself to be in a conflict of interest or be unable to    maintain the necessary impartiality required to guarantee the integrity of the investigation, he is  obliged to recuse himself and report the circumstances to the Metropolitan.
  • 4. The persons assisting the Metropolitan shall take an oath to fulfil their charge properly.

 

Art. 14 – Duration of the investigation

  • 1. The investigation is to be completed within the term of ninety days or within a term otherwise  provided for by the instructions referred to in article 10 §2.
  • 2. Where there are just reasons, the Metropolita on n may request that the competent Dicastery   extend the term.

 

Art. 15 – Precautionary measures

Should the facts or circumstances require it, the Metropolitan shall propose to the competent Dicastery the adoption of provisions or appropriate precautionary measures with regard to the person under investigation.

 

Art. 16 – Establishment of a fund

  • 1. Ecclesiastical Provinces, Episcopal Conferences, Synods of Bishops and Councils of Hierarchs  may create a fund, to be established according to the norms of canons 116 and 1303 §1, 1° CIC and  1047 CCEO and administered according to the norms of canon law, whose purpose is to sustain   The costs of the investigations.
  • 2. At the request of the appointed Metropolitan, the funds necessary for the purpose of the investigation are made available to him by the administrator of the fund; the Metropolitan remain duty-bound to present an account to the administrator at the conclusion of the investigation.

 

Art. 17 – Transmission of the documents and the votum

  • 1. Having completed the investigation, the Metropolitan shall transmit the acts to the competent  Dicastery, together with his votum regarding the results of the investigation and in response to any queries contained in the instructions issued under article 10 §2.
  • 2. Unless there are further instructions from the competent Dicastery, the faculties of the  Metropolitan cease once the investigation is completed.
  • 3. In compliance with the instructions of the competent Dicastery, the Metropolitan, upon request, shall inform the person who has alleged an offence, or his/her legal representatives, of the outcome  the investigation.

 

Art. 18 – Subsequent measures

Unless it decides to provide for a supplementary investigation, the competent Dicastery proceeds in accordance with the law provided for the specific case. Art. 19 – Compliance with state laws These norms apply without prejudice to the rights and obligations established in each place by state laws, particularly those concerning any reporting obligations to the competent civil authorities.

The present norms are approved ad experimentum for three years. I establish that the present Apostolic Letter in the form of Motu Proprio be promulgated by means of publication in the Osservatore Romano, entering into force on 1 June 2019, and then published in the Acta Apostolicae Sedis.

Given in Rome, at Saint Peter’s, on 7 May 2019, the seventh year of my Pontificate.

2020年10月17日

・教皇、性的虐待隠ぺいを疑われるポーランドの大司教の辞表を75歳の誕生日に受理

(2020.8.14 カトリック・あい)

 教皇フランシスコは13日、ポーランド・グダニスク教区長のスラヴォイ・ジジェク・グロズ大司教から出されていた辞表を受理、同教区の暫定管理者としてエルブロンク教区長のヤセク・エジエルスキ司教を任命した。

 この人事を発表したバチカン広報は、以上のこと以外、一切のコメントを出していないが、13日は、グロズ大司教の75歳の誕生日だった。古都グダニスクの教区長という同国のカトリック教会では極めて権威の高い地位の大司教の辞表を、”司教定年”の75歳を迎えたその日に教皇が受理するのは、極めて異例。聖職者による性的虐待と高位聖職者によるその隠ぺい問題が深刻になっているポーランド教会の”隠蔽の文化”に幕を引こうとする断固とした姿勢を示したもの、との見方が教会関係者の間に出ている。

 日本でも、”規模”や”程度”に差はあるものの、聖職者による性的虐待の被害者からの訴えや多額の詐欺被害に責任者として適切な対応をしていないとされる教区の代表が、間もなく”定年”を迎える例があり、教皇の今回のポーランド教会問題に関係した対応が、どのように影響するか注目される。

 国際通信社APによると、ポーランドにおける聖職者による性的虐待とグロズ大司教による隠ぺいは、昨年、同国で上映されたドキュメンタリー映画「Tell No One」で取り上げられ、大きな問題となった。同映画で、大司教は、幼児性愛者として知られたフランシゼク・シブラ神父-同国の”英雄”、連帯のリーダーだったレヒ・ワレサ氏の指導司祭だった-の葬儀の席で、彼の性的虐待行為を知りながら、賞賛しているところが描かれている。

 同神父の性的虐待の被害者たちは、性的虐待を行なった司祭たちを擁護したとしてグロズ大司教を含む同国の司教24名のリストを添付した告発状を、昨年の聖職者性的虐待問題に関する世界司教協議会会長会議の前に、教皇に提出している。

 第二次世界大戦後、長い間、ソ連支配下の共産政権のもとにあったポーランドでは、カトリック教会は道徳的な権威としての立場を続け、1980年代のポーランドのソ連支配、共産党支配からの離脱の運動の中で、精神的な拠り所としての役割を果たし、1978年に初のポーランド出身の教皇、聖ヨハネ・パウロ2世が登場、東西冷戦崩壊の精神的推進力となったことで、その権威はピークに達した。

 だが、最近の聖職者による広範な性的虐待が露見、しかも、高位聖職者の複数がその隠ぺいを図り、被害者の信徒たちを肉体的だけでなく精神的にも深く傷つける事態が深刻化するに至って、教会の権威は急速に低下、聖ヨハネ・パウロ2世についてさえも、生前の聖職者性的虐待問題への対応の責任が問題にされる事態となっている。

 

2020年10月17日

・ポーランドの大司教が同国司教の児童性的虐待隠蔽でバチカンに調査要請(LaCroix)

(2020.5.18 LaCroix)

 ポーランド司教協議会の児童保護の責任者を務めるヴォイチェフ・ポラック大司教(グニェズノ大司教管区長)が18日までに、バチカンに対して、児童性的虐待を隠蔽した疑いのある同国の司教を調査するよう要請した。

 同国の教会で子供時代に司祭から性的に虐待され、管轄の司教によって隠蔽されたとする兄弟二人が、ドキュメンタリー映画を作成、16日にインターネットを通じて放映されたのを受けたものだ。

 聖職者による児童などへの性的虐待問題が世界に拡大、長期化する中で、教皇フランシスコは昨年、司教と修道会総長による性的虐待の隠ぺい防止のための具体的な措置を定めた自発教令「Vos estis lux mundi (あなたは世の光)」を出され、世界各国の司教団に対し、教会の信用回復のためにも、厳格な対応を求めておられる。

 今回のバチカンへの調査要請は、教令にもとずくポーランドの教会として初の対応となるが、ポラック大司教は「このドキュメンタリー映画で明らかにされた情報をもとに、バチカン大使館を通してバチカン当局に、(注:当該司教が上司への)報告義務を放棄したことに対して、教皇が自発教令で定めた措置に着手するように求めた」と説明している。

 この自発教令への対応では、米国のシンシナティ大司教区で、管理下の司祭の”疑わしい行動”を上司に報告せず、隠ぺいしたとして取り調べを受けていた補佐司教が今月7日、辞任するなど、各国の司教団に厳格な対応の動きが強まっている。

 【調査要請のもととなった、性的虐待被害者兄弟が作成したドキュメンタリー映画 Tell No On.】

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2020年10月17日