・ニュージーランド司教団が教会での性的虐待排除へ取り組みを約束

New Zealand Catholic Bishops commit to act to stop abuse in the Church New Zealand Catholic Bishops commit to act to stop abuse in the Church   (©soupstock – stock.adobe.c

(2020.11.30 Vatican News  Lisa Zengarini)

    ニュージーランドのカトリック教会は、政府の王立性的虐待調査委員会と協力して、1950年から2000年まで半世紀にわたる教会関係の性的虐待について調査し、報告することを約束。そのための第一回の公聴会が11月30日オークランドで始まった。公聴会は12月11日まで続けられる。

 王立調査委員会は30日、オークランドでそのための第一回の公聴会を始めるにあたって、次のような声明を出した。

 「ニュージーランドの司教団とカトリック関係団体の指導者たちは、カトリック教会における性的虐待を止めるために活動し、起きたことへの対応の仕方について教訓を学ぶことを約束している。我々は多くの人々に対してなされた被害を認識し、深い悲しみを表明する」。

 委員会は現在、これまでに教会がとってきた救済措置が適切であったかどうか、性的虐待をうけ、あるいは無視された被害者に対する支援として何が必要なのかについて、調査を進めている。

 聴聞会の第一段階は、カトリック教会、英国国教会、救世軍の施設で虐待をうけ、あるいは虐待を受けても無視され、補償や精神的治療、あるいは謝罪が必要な被害者の体験を聴くことから始められる。

 ニュージーランドのカトリック司教と教会の指導者たちは、この調査に加わることを求めた。 「過去の出来事を透明かつオープンに調査し、委員会の最終的な勧告を実施するために協力することを約束しています」と、ウェリントン大司教のジョン・デュー枢機卿は、ニュージーランド司教協議会とカトリック関係団体指導者会議を代表して語った。

 カトリック関係団体協議会のシスター・マーガレット・アンミルズは、自分たちの辛い体験を共有するために聴聞会に出席した虐待被害者たちの勇気を称賛し、「私たちは、彼らの言葉をを注意深く聴き、証拠を把握し、彼らの体験から学びます」と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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日本の教会はいつになったら、この問題に真剣に向き合うのか?

 日本では、東京で修道会の司祭、長崎と宮城両県で教区の司祭から性的虐待の被害を受けたとの訴えが、3人からなされ、司教団の調査でもさらに十数人の訴えがでているが、現在に至っても、具体的な目立った対応がなされていない。そればかりか、司祭などから間接、直接の心理的圧力が加えられ、さらに大きな精神的苦痛を味わわされている例もあると聞く。

 確かに、欧米の膨大な数に上る聖職者による未成年者などへの性的虐待に比べれば、被害者の数は少ないかもしれない。だが、これは人数の問題ではない。これだけ長期間にわたり、世界的に問題が続き、教皇フランシスコも懸命に、再発防止、被害者ケアなどに苦労されている問題に、日本の教会、司教団の対応は、”鈍感”を通り越して”無責任”のそしりを受けても仕方がない状態だ。

 問題は被害者のケアだけではない。性的虐待とそれに対する対応のお粗末さが、日本の少なくない信徒たちの教会に対する信頼をどれほど損なっているのか、知ろうともしない”無神経”さ。このままでは、いくら”命”の大切さを唱えても、説得力をもちえないだろう。

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2020年12月2日