菊地功・新潟司教の日記 ⑩秋田、バンコク、そして糸魚川へ

 2017年3月18日 (土) 雪の秋田から灼熱のバンコクへ

Akita1703    3月の卒業式シーズンの締めくくりは13日(月)の秋田聖霊女子短大の卒業式。聖霊の卒業式では、以前は音楽関係の学科があったこともあり、ステージ上の真ん中には立派なオルガンが置かれており、卒業生の入退場をはじめ歌の伴奏もこのオルガンの迫力ある演奏で行われます。わたしは来賓として、学長のシスターなどと一緒にステージ上におりますので、そのオルガンの迫力ある演奏を、耳だけではなくて体でも感じることが出来ます。卒業された皆さん、おめでとうございました。(写真はまだ雪の残る聖体奉仕会の聖堂前)

 卒業式後には、午後3時から聖体奉仕会でミサ。聖体奉仕会の周囲は、まだまだ雪が大量に残り、冬です。そのままいつものように4時半頃の特急いなほに乗って、一路新潟へ。3時間半の旅路。

 翌日午後には今度は成田へ移動。午後5時半前の全日空便で、バンコクへ移動。バンコク到着は現地時間夜の11時(日本の深夜1時)。バンコクへ出かけたのは、カリタスアジアの理事会である地域委員会のためです。まだまだ冬の日本から到着したバンコクは、昼間は30度を超える暑さ。この温度差は、さすがに体に堪えます。そしてこの時期の移動は、何が大変といって服装。冬の日本と常夏のタイで着るものがまったく異なるので、なるべく薄めのコートやセーターを用意してありますが、それは成田で飛行機に乗る前にすべてカバンの中に詰め込む。それではバンコクではジャケット類なしの半袖かというとそうでもなく、会議場やホテルは冷房がことのほか強いので長袖やジャケットは必需品です。半袖のシャツは、食事などで外へ出る時のみ。

Bkk170303      今回のカリタスアジアの会議の一番の目的は、この時期定例の議題で会計士による監査の報告を受けることもありますが、今回はもう一つ別な議題がありました。それが職員雇用のための面接。
カリタスアジアでは、カリタスジャパンを初めとしたアジアの23のカリタスを対象として、様々なプログラムを実施しています。それは広報だったり政策提言だったり組織育成だったり。そのようなテーマで定期的にワークショップを開催するとともに、さらにはいくつかのテーマに基づいたプログラムを実施しています。

 テーマは、例えば気候変動に対応した持続可能な農業技術の普及だったり、人身売買への対応だったりします。とはいえカリタスアジア自体には4名の事務局員以外には働き手がいないので、実際のプログラム実施にはいくつかのカリタスが合同で取り組むことになり、カリタスアジアはその調整にあたります。そういったプログラム調整を、現在は地域コーディネーター(いわゆる事務局長で専属職員)のエリアザル・ゴメス氏がすべて担当していますが、だんだん複雑化してきて一人では手に負えなくなってきました。そこで今回、そういったプログラムを担当する職員(プログラム・オフィサー)を雇用することにしたのです。

 半年ほど前に、アジアのカリタスメンバーを通じて募集をかけ、応募してきた方々の中から書類選考で4名に絞り、今回の面接となりました。インドネシアから二人、モンゴルとインドから一人ずつ。男性と女性が二人ずつ。条件は英語で仕事が出来ることと、カリタスでの経験があること、そしてもちろんプログラム調整の経験があること。4名とも素晴らしい人物で難しい選考でしたが、最終的にお一人を選ぶことが出来ました。詳細は後日、カリタスアジア事務局から発表されます。

2017年3月19日 (日) 糸魚川教会へ

      四旬節第三主日の今日、新潟教区の一番南の端に位置する糸魚川教会を司牧訪問し、ミサを捧げてきました。訪問には岡神学生も同行し、信徒の方々に、日頃の召命のためのお祈りに感謝し、さらなるお祈りをお願いしてきました。

    糸魚川は昨年のクリスマス直前、12月22日に大火が発生し、北陸新幹線の糸魚川駅から海岸よりの一帯を消失しました。教区内をはじめ全国からも教区には義援金が寄せられ、糸魚川教会を通じて糸魚川市に提供されています。(詳しくは後日、糸魚川教会から報告が公開されます)

今日のミサにItoigawa1707は信徒の方々30名ほどが参加し、現在は協力司祭で、復活祭後には主任司祭となるフランシスコ会の伊能神父さんが共同司式。信徒の中には、この地域で生活するフィリピン出身の方々も数名おられました。

ミサ後には、時間をいただき、教皇様の回勅「ラウダート・シ」について、一時間ほどお話をさせていただきました。昨年、新潟地区で信仰養成講座として話した内容と同じですが、なにぶん二回に分けて3時間近く話した内容を一時間で話すのですから、かなり簡略化しました。それでもちょっと早口で盛りだくさんで、申し訳なかったと思います。「ラウダート・シ」は単なる環境回勅ではなく、キリスト者としてどう生きるのかという課題に指針を示す書です。是非一度、目を通されることを進めます。

帰り際に、教会から出てすぐ裏手にある新幹線の高架下の在来線踏切を超えて、大火の現場を訪れました。踏切を越えるとすぐに焼け落ちた町になります。瓦礫は撤去されていましたが、再建はまだです。糸魚川市でも再建計画を定めているところで、今後どういう町作りがなされていくのか、注目していたいと思います。(写真は加賀の井酒造のあったところ。向こうの海側に、奇跡的に焼け残った家が、修復中)

(菊地功=きくち・いさお=新潟教区司教、カリタス・ジャパン責任者)

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