・20日は国連「世界難民の日」-UNHCRはシリア難民支援呼びかけ、日本でも各種の行事

Syrian refugees in Lebanon.Syrian refugees in Lebanon.  (ANSA)

(2020.6.18 カトリック・あい)

 新型コロナウイルスの世界的大感染とそれに伴う世界経済の急激な悪化で、世界の多くの人々の生活に深刻な影響が出ているが、最も大きな打撃を受けているのは世界に2500万人以上という難民の人々だろう。

 国連では2000年の総会決議をもとに、毎年6月20日を 「世界難民の日」(World Refugee Day)とし、世界の人々が難民問題に目を向け、支援に参加する契機になるような行事を世界中で展開する。

*スカイツリーや都庁、NTTドコモビルなど全国で「国連ブルー」ライトアップ

 日本でも20日に合わせて、国連高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所を中心に、 難民支援協会、在日難民との共生ネットワーク RAFIQ、シャンティ国際ボランティア会、ワールドビジョン・ジャパン、JIM-NET 日本イラク医療支援ネットワークなどが様々な行事を予定。日本各地で難民支援に取り組む学生団体がひとつになり、全国から支援の輪をつなぐYouthxUNHCR for Refugeesなども企画されている。

 UNHCR駐日事務所では、難民支援の輪を広げるための啓発イベントとして、北海道から九州まで全国25か所のランドマークを「国連ブルー」でライトアップし、日本から世界に‟連帯”のメッセージを発信する催しを、各地の自治体や企業・団体の協力を得て実施する。⇒https://www.unhcr.org/jp/wrd2020

 関東では、水戸芸術館タワー(茨城・水戸)、富士山レーダードーム館(山梨・富士吉田、21日も点灯)、東京都庁第一本庁舎(東京・新宿)、隅田川橋梁(東京・墨田)、東京スカイツリー(東京・墨田)、NTTドコモ代々木ビル(東京・渋谷)、東京ドーム外周部ケヤキ(東京・文京)、文京シビックセンター(東京・文京)が予定されている。

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 この時期に合わせて、国連の難民高等弁務官事務所(UNHCR)では、特に深刻な状況に追い込まれているシリア難民への関心と支援を次のように訴えている。

(2020.6.17 Vatican News Robin Gomes)

*中東5カ国に550万人超すシリア難民が直撃

  国連難民機関(UNHCR)によると、新型コロナウイルスの大感染による世界経済の急激な落ち込みで、中東では550万人を超えるシリア難民が絶望的な状況に追い込まれ、緊急の人道援助をがこれまで以上に必要になっている。

 UNHCRのAndrej Mahecic報道官が16日、インターネットを通じて会見し、「生存するための食料、医薬品など基本的な物資を欠く、脆弱なシリア難民が激増している。難民を受け入れているシリア周辺国の地域社会も困難な状況に追い込まれている」と緊急の支援を国際社会に訴えた。

 報道官によると、難民たちの多くは収入の道を断たれ、家賃を払って住まいを確保していた家族は借金を重ねるなど困窮。 「児童労働、女性差別による暴力、若年結婚、その他の形態の搾取のリスクを含めて、事態が深刻化している」という。

 新型コロナウイルスの世界的感染が始まって以来、UNHCRでは、これまで財政援助をしていなかったエジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコの5か国に、緊急の財政支援をしている。中東ではこの 5カ国だけで550万人を超えるシリア難民が暮らしており、この難民の規模は世界最大だ。

 この地域のシリア難民10人のうち9人は、難民キャンプではなく町や村の、主に低所得者地域に住んでおり、新型ウイルスの大感染の結果、生活のための収入を得る道を断たれ、家賃の支払いが出来なくなるなど窮地に追い込まれている。大感染が起きる前でさえも、5か国のシリア難民の大半は貧困以下の水準にあり、今や多くが生存の危機に瀕している。

*全世界では2590万人の難民

 UNHCRによれば、世界中で現在、少なくとも7080万人が住んでいた場所からの避難を余儀なくされており、そのうち2590万人が難民、4130万人が国内避難民、350万人が亡命希望者だ。そして約2秒ごとに、紛争あるいは迫害のために、強制的に避難させられている、という。

*教皇フランシスコも、世界の教会の「世界移民・難民の日」に向けてメッセージ

 カトリック教会では、 9月の最後の日曜日を「世界移民・難民の日」としている。教皇フランシスコはこの日に向けたメッセージで、教皇は、紛争、貧困、気候変動によって国内で追放された何百万人もの男性、女性、子供たちが、新型コロナウイルスの世界的大感染の影響を受け、動揺、放棄、疎外、そして拒絶に苦しんでいるとし、彼らを受け入れ、守り、励まし、心を一つにするよう訴えている。

(編集・翻訳「カトリック・あい」)

 

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2020年6月18日