・ガザ南部の中心都市ハンユニスで激戦、住民は脱出に必死、北部の避難民キャンプの10万人も危機的状態

(2023.12.7 Vatican Newes   Nathan Morley)

 戦闘が続くイスラエルのガザ地区では、イスラエル軍が南部の中心都市ハンユニスに地上部隊を進め、これに対してイスラム組織ハマスが抵抗し、戦闘が激しさを増し、住民たちが脱出に必死になっている。

 一方、北部のジャブアリア避難民キャンプ周辺は、ハマスの軍事拠点を破壊するとして、イスラエル軍の戦車が地域一帯を包囲し、激しい戦闘が繰り広げられているが、キャンプには約10万人の避難民が残っており、医療や食料を欠いたまま、危機的状況になっている。供給はない。先の一時休戦が終わって以来、北部地域への医療、食料などの援助物資が届いていない。

 世界保健機関(WHO)は、イスラエルの執拗な砲撃の中で避難民となったパレスチナ人の間に疫病の蔓延が懸念されている、とし、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6日、「ガザ地区の状況は急速に悪化しており、治安が完全に崩壊する可能性がある」と警告、 国連安全保障理事会に対し「人道的大惨事の回避を支援」するよう求め、 異例の措置として、事務総長就任以来初めて国連憲章第99条を発動を要請した。

 事務総長は、国連安保理への書簡で、「私たちは人道的支援体制の崩壊の深刻な危険に直面しています… 状況は急速に大惨事へと悪化しており、パレスチナ人全体と地域の平和と安全に取り返しのつかない影響を与える可能性があります。 このような事態は何としても避けなければなりません」と訴えたが、これにイスラエルのコーエン外相が反発、グテーレス氏が事務総長のポストにいることは「世界平和への危険」をもたらす、と非難している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年12月8日