・オロリッシュ欧州司教協議会連盟会長もウクライナ侵略批判、非訓示的手段による事態打開を要請

A man holds a placard advocating peace for UkraineA man holds a placard advocating peace for Ukraine  (AFP or licensors)

(2022.2.27 Vatican News  Benedict Mayaki, SJ)

 ロシアの一方的なウクライナへの軍事侵攻に対して、世界中のカトリック教会から強い批判と和平のために対話を求める声が上がっているが、欧州司教協議会連盟(COMECE)のジャン=クロード・オロリッシュ会長(ルクセンブルク大司教・枢機卿)は27日、Vatican Radioのインタビューに応じ、ロシアによるウクライナへの武力による侵略を強く批判するとともに、非軍事的手段による和平に向けた事態打開の努力を関係国首脳たちに呼びかけた。

 オロリッシュ枢機卿は、フィレンツェで開かれた地中海地域諸都市の司教や市長たちによる「地中海、平和のフロンティア会議」に出席中。

 インタビューで、ウクライナの危機打開のための関係国の和平交渉を開始するため、「霊的武器」と「政治的武器」ー祈りと外交ーの活用を求めた。

*戦争は悪の”種”をまきちらしている

 枢機卿は、「戦争は罪の”種”をまきます。繁栄するヨーロッパで、私たちはこの罪を忘れていました。だが、(今回のロシアのウクライナ軍事侵攻で)罪が存在することを目の当たりにしました。人々は殺され、人々は貧困に陥り、人々は自国を離れて他の欧州諸国に避難を余儀なくされています」と指摘。

 さらに「戦争は決してロマンチックでも、美しいものでもない。そして軍事行動がすでに始まっている。現在の(ロシアが引き起こしたウクライナでの)戦闘がさらに続けば、未亡人、子供がいない母親を生み、罪のない多くの人々が被害に巻き込まれます。これは悪です」と述べ、関係諸国にこのよう武力侵略を止めることに全力を挙げるよう求めた。

*ウクライナの苦しみにある人々と連帯する

 また、戦火を逃れて何千人もの人々がポーランドなどウクライナの周辺国に脱出しつつあるという現実を前に、不安と困窮にさいなまれているこうした人々と連帯することの重要性を強調。「人々を受け入れるだけでなく、食料や衣料など必需品の提供も含めた財政面からの援助も進める必要がある、と指摘。

 「すでに、この地域の教会は、戦争から逃れた人々に手を差し伸べ始めている。ウクライナの人々のために祈るだけでなく、欧州各国の教会の指導者たちは、逃れてきた人々を積極的に受け入れる各国の努力を支援するために動き始めている。欧州各国は、それぞれの能力に応じて人々の受け入れを公平に分担して進めてもらいたい」と希望した。

*フィレンツェ憲章は希望と平和のしるし

 オロリッシュ枢機卿が参加した「地中海の平和のフロンティア」会議に出席した司教や市長たちは26日、「フィレンツェ憲章」に署名。地中海周辺各国は「差別や暴力を減らし、若い世代の将来への希望への視野を広げる」ことで合意したが、枢機卿は、「ヨーロッパで戦争が始まっている今開かれたこの会議、そしてフィレンツェ憲章は、希望と平和のための預言的なしるしです」とその意義を強調している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年2月27日