・ウクライナとポーランドの司教団が、関係国、国際社会に危機回避を訴えー「祈りの日を前に」

A satellite image shows Russian military equipment deployed to Klimovo, 13 km north of the Russia/Ukraine border衛星写真で確認された、ウクライナとの国境から13キロに終結したロシア軍の装備 (AFP or licensors)

(2022.1.24 Vatican News  Linda Bordoni )

 米英両国が駐ウクライナ大使館の一部職員や家族の退去を命じるなどロシアのウクライナへの軍事侵攻の可能性が高まり、危機的な状況となっているが、ウクライナとポーランドのカトリック司教団は24日、緊急声明を発表、危機回避の努力を、関係国政府などに強く訴えた。

 声明は、ウクライナに対するロシアの軍事的圧力の高まりについて、「中央および東ヨーロッパの国々とヨーロッパ大陸全体に対する大きな脅威」と指摘。「最近のロシアと西側の協議が合意に至らなかったという報道」に強い危機感を示すとともに、関係国の指導者たちが軍事衝突を回避する努力をさらに続けるよう求めた。

 さらに声明は、ロシアがウクライナに軍事侵攻をすれば、それが「無意味な虐殺」、「後戻りのないリスク」をもたらし、「人々の今を破壊し、未来を脅かす。平和では何も失われないが、戦争ですべてが失われる可能性がある」と警告。

 そして、「戦争は常に人類にとっての敗北。野蛮さの表現であり、互いの誤解を解くためにまったく効果のない手段だ」とし、戦争を「神と人道に対する罪」と表現した教皇パウロ6世の言葉を引用し、「国際紛争を解決するための、戦争の代替方法を模索する」必要性を強調し、「今日、世界中の国々の間に存在するこれまで以上に強い結びつきは、紛争の影響を、特定の地域に限定することを困難に、事実上不可能にさえしている」と強調した。

 そのうえで、両国の司教団は、関係国の指導者たちに、「最後通告を直ちに撤回し、交渉の切り札として他の国を利用しないよう」呼びかけ、「利害の相違は、武器の使用ではなく、対話による合意を通じて解決されるべきだ」と訴え、国際社会に対しても、連帯して戦争回避の努力に加わり、あらゆる方法によって、脅威にさらされている人々を支援するよう、呼びかけた。

 そして、26日は、ウクライナ危機回避を強く希望される教皇フランシスコが提唱する「平和のための祈りの日」に、平和の促進が教会の重要な使命であることを改めて思い起こし、世界のキリスト教徒を含むすべての人が、次の共通の祈りに参加するよう呼びかけている。

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 私たちの父である神、偉大で慈悲深い、平和と生命の主、すべての父。あなたは苦しみではなく平和の計画を持っておられます。

 あなたは戦争を非難し、暴力を誇ることを否定されます。あなたは、あなたの子、イエスを私たちのところにお送りになりました。近くにいる人、遠くにいる人すべてに、平和を宣言するために。あらゆる人種の人々を1つの家族に集めるために。

 あなたの子供たち全員そろっての叫び、全人類の心からの訴えをお聴きください。戦争が二度と繰り返されないように、それは見返りの無い無謀な行為、戦争が二度と繰り返されないように…天において、地において、そして海において、あなたの被造物を脅かします。

 イエスの母、マリアを通して、私たちはもう一度、あなたに懇願します。人々の運命に責任のある人々の心に語りかけ、報復と復讐の論理による行為を止めてください。聖霊の力で、新たな解決策、寛大で立派な対応、対話の余地、そして戦争のデッドラインを急ぐことよりも多くの実りをもたらす忍耐強い待ちの姿勢を、関係者たちに促してください。

 父よ、私たちに平和のための時をください。戦争が二度と繰り返されないように。アーメン (聖ヨハネ・パウロ二世の言葉)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年1月25日