米国務省が「信教の自由」年次報告書、中国を批判(CJC)

(2017.8.21 CJC)米国務省は8月15日、米国を除く世界199の国と地域の信教の自由(宗教的自由)に関する2016年版報告書を発表した。レックス・ティラーソン国務長官は報告書の発表に合わせて演説し、信教の自由が侵害されているとして中国とイラン、サウジアラビア、トルコ、バーレーン、パキスタン、スーダンを「信教の自由を否定している」国と名指した。報告書の発表はドナルド・トランプ政権が発足後、初めて。

 ティラーソン長官は世界で80%の人がまだ信教の自由を享受できていないと指摘し、「トランプ政権は問題改善に取り組んでいる」と述べたうえで、中国について「政府が多くの人々を信仰の実践を理由に拷問、拘留、投獄している」と非難した。またチベット、新疆ウイグル両自治区での宗教活動の規制強化に懸念を示した。

 報告書では、中国国内に存在する非公認の「地下教会」に言及し、キリスト教会が破壊されたことに抗議した牧師の妻が「生き埋め」にされた事件を紹介している。

 北朝鮮については、金正恩朝鮮労働党委員長が「深刻な人権侵害や検閲に関与している」と指摘した。脱北者を支援していた中国吉林省の牧師は、北朝鮮の工作員に殺害されたとの報道を紹介した。ほかにも北朝鮮で外国人が拘束された事例を挙げた。

 過激派組織『イスラム国』については、自らの支配地域で少数教派のヤジド派、キリスト者、イスラム教シーア派住民の大量虐殺や「人道に対する罪」「民族浄化」に携わっていると指摘した。イスラム教スンニ派やクルド人などの少数派も攻撃の対象にしているとし、「こうしたグループの保護はトランプ政権の人権政策の優先課題だ」と強調した。□

 ティラーソン国務長官が8月15日の演説で、「信教の自由を認めていない国」の例として中国を挙げて批判したことについて、中国外務省の華春瑩副報道局長は16日の記者会見で「中国政府は信教の自由を尊重している」と反発した。華氏は「宗教の問題を利用し、他国の内政に干渉する誤ったやり方をやめるよう求める」と述べた。□

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2017年8月21日