(2020.12.27 Vatican News Adriana Masotti)
教皇フランシスコが27日、来年3月から一年を使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」の特別年とすると発表されたのを受け、バチカンの信徒・家庭・命の部署は声明を出し、現代の課題に直面する家族に寄り添うための小教区、司教区、大学、教会関係機関の活動を支援する方針を示した。
この特別年は、使徒的勧告発表から5周年を迎える来年3月19日に始まり、第十回世界家族大会がローマで開かれる再来年の6月26日までを予定し、大会には教皇フランシスコも出席される。
同部署は声明で「新型コロナウイルスの大感染の経験は、教会の最小単位としての家庭の重要な役割を浮き彫りにし、家族間の共同体的なつながりの重要性を示しています」としたうえで、 「教皇フランシスコは、『愛の喜び』の特別年に計画される霊的、司牧的、文化的活動に世界中のすべての教会共同体が参加し、信徒一人一人が家族の愛の証人になるように勧めます」と述べた。
そして、「家庭の霊性、形成、そして結婚の準備のための司牧的な活動、若者たちのための情操教育、そして、日々の暮らしの中で秘跡の恵みを生きる夫婦と家族のため」に、同部署も支援を提供する用意があることを示し、その一環として、「世界中の家庭に影響を与える今日的な問題に関連する形で、この使徒的勧告の内容と意義を考え、学ぶための国際的な学術シンポジウム」を準備することを明らかにした。
*特別年の目標は
来年3月の『愛の喜び-家庭』の特別年開始に先立って、同部署はその目的と活動について説明し、司教区と小教区の取り組みのための具体的提案を示す手引書製した。それによると、特別年の目標は、使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」に盛り込まれたメッセージを広めることだ。
具体的には第一に、人々が「心と生活を満たす喜びとして家庭の福音を体験する」(使徒的勧告200項)ために、勧告の内容をもっと広く共有すること。手引書には、「賜物をいただいていることの喜びと、教会と社会への贈り物であること喜びを見出し、体験する家庭は「世界の暗闇の中で光になることがでる」(66項)と書かれている。
第二に「それ自体が人間愛の変容の力」を持つ結婚のかけがえのない価値を宣言すること。
第三に、家族が「家庭使徒職の積極的な仲介者」となれるようにし、若者たちが「愛の心理と自身の賜物の中で成長することの重要性」を知るようにすること。
これらを目標に、特別年の一年を通して、家庭司牧の理念と活動を広げ、それがより横断的に、夫婦、子供たちと若者たち、お年寄り、そして困難な家庭的状況にある人々すべてを包むものとするように勧めている。
*具体的な提案
そして、特別年を通して、司教区と小教区が取り組むことのできる具体策として、結婚の準備プログラムの強化や新婚夫婦への寄り添い、子育ての方法に関する親のための集まりの開催など、を提案している。手引書は「家庭生活の素晴らしさと課題について考え、意見を交換する集まりを広げることは、社会的に見た家庭の価値を認識し、困難にある人々に寄り添うことのできる司牧者と家庭のしっかりとしたネットワークの構築に繋がっていきます」と述べ、危機に瀕しているカップルに対する配慮と助けにも言及している。
また手引書では、高齢者も「司牧上配慮すべき」対象であり、「『捨てる文化』と社会的無関心を克服することに努めねばならない」と強調。若者に対する司牧には「家庭、結婚、純潔、前無の人生、ソーシャルメディアの使用、貧困、被造物への敬意などについて深く考え、議論する活動を取り入れる必要があります」(40項参照)とし、ちいさな子供たちにも特別に注意を払うことを勧めている。