・日本の教会のシノドスの今後の歩みについて、菊地・司教協議会会長メッセージ

(2022.12.2 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが提唱され、2021年10月から始まった全世界の教会参加の”シノドスの道”はコロナ禍もあって、日本などでは取り組みが活発とは言えない状況だが、歩みが「大陸レベル」に入ったこと、教皇も当初、2023年10月の世界代表司教会議通常総会で当面の歩みを締めくくる予定であったのを、通常総会を2024年10月に”第二セッション”を開くことで、歩みを一年延長することをこのほど決定された。これを受けて、日本の司教協議会では、菊地会長名で以下のメッセージを発出し、改めて「さまざまな共同体の祈りと分かち合いを通して、教会の歩むべき道の識別を続ける」よう、全教会に呼びかけを行った。メッセージ全文と関連記事以下の通り。

シノドスの今後の歩みについて

日本のカトリック教会の皆様

 シノドスの歩みにご協力いただき、ともに歩んでくださる皆様に感謝いたします。
教皇様は10月16日の一般謁見で、世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会の今後の日程を発表されました。それによると、ローマにおける総会は、2023年と2024年の二つの会期にわたって開催されることになり、その第一会期は、2023年10月4日から29日まで、第二会期は2024年の10月となりました。

 教皇様は、この複数年にわたる歩みを、当初から強調されているように、司教たちだけのものとせず、全教会が歩みをともにしながら祈りと分かち合いのうちに識別を深め、聖霊に導かれて教会のあるべき姿を再認識し、具体化するよう呼びかけています。

 各教区からの回答の提出はすでに終わり、また各司教協議会からの回答の提出も終わりました。しかしシノドスの歩みはこれで終了したわけではありません。今後も、最初の準備文書に記された十の設問などを手がかりに、様々な共同体の祈りと分かち合いを通じて、教会の歩むべき道の識別を続けていただければと思います。

 なお8月に各司教協議会や個々人から聖座のシノドス事務局に提出された回答は、その後専門家の手によってまとめられ、このたび10月27日に大陸別シノドスのための作業文書として発表されました。「あなたの天幕に場所を広く取りなさい(イザヤ54・2)-大陸ステージのための作業文書-」と表題をつけられた文書は、暫定ですが日本語への翻訳が終わりましたので、中央協議会のホームページで公開します。

 アジアの大陸別シノドスは、アジア司教協議会連盟(FABC)が主催し、2023年2月23日から27日までタイのバンコクで開催され、アジアの各司教協議会から会長と、ほか司祭・修道者・信徒の中から2名が参加することが決まっています。司教協議会会長以外の日本からの2名の参加者は、現在調整中です。

 またFABC中央委員会は、各司教協議会から1月15日までに作業文書への回答を提出することを求めていますので、現在検討を進めています。なお同作業文書には、最後の項目に三つの設問*がされています。

 同文書を読んだあとに、この三つの設問についてそれぞれの場で分かち合いをすることは、道を識別するための大きな手がかりになり得るものですので、どうぞ教会全体でこの作業文書に目を通されて、それぞれの場での状況に応じて、小グループでの分かち合いなどを継続していただければ幸いです。

 なお、大陸別シノドスのために、同作業文書について、個別の回答の受付は予定されていませんが、それぞれの分かち合いの成果を各教区のシノドス担当者を通じて各教区司教に伝えることは、識別のための助けになろうかと思います。

 2025年の聖年に向けて、教会は進むべき道を求め、またあるべき姿を模索しながら、識別の道をともに歩んで参ります。今後も、シノドスの歩みにご注目くださり、全世界の教会と歩みをともにしてくださるようにお願いいたします。

 2022年11月15日 日本カトリック司教協議会会長 東京大司教 菊地 功

*「カトリック・あい」注:三つの設問は

① 「『⼤陸ステージ⽂書』を読み、祈った後、どの直観があなたの⼤陸の教会の⽣きた 経験と現実に最も強く共鳴しているでしょうか。どのような経験があなたにとって新しく、あるいは光り輝くものでしょうか」
② 「『⼤陸ステージ⽂書』を読み、祈った後、あなたの⼤陸の視点において、どのような実質的な緊張や相違がとくに重要である、と浮かび上がりましたか。その結果、プロセスの次のステップで取り組み、検討すべき問題や課題は何でしょうか」
③ 「前の⼆つの質問から現れたものを⾒て、世界中の他の地⽅教会と共有し、2023 年 10 ⽉のシノドス第 1 回総会で議論できる優先事項、繰り返されるテーマ、⾏動への呼びかけは何でしょうか」

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*日本カトリック中央協議会が、”シノドスの道”の歩みについて、次のような記事を発出した。

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大陸ステージ(2021年10月〜2022年8月)始まる

2022年8月までに世界中の教区から集められた「声」をまとめた、シノドスの次の歩みとなる「大陸ステージ」のための「作業文書」が2022年10月27日、教皇庁シノドス事務局より発表されました。

この中で、第1ステージで世界中から集められた、宣教する教会に向けての「声」がまとめられています。さらに、「次のステップ」(98-109項)で、今後の「大陸ステージ」で行うべきことがらについて説明されています。この「作業文書」をもとに、各国で、「共鳴する点」「相違点」「世界中で論ずるべき優先事項」を浮かび上がらせます(106項)。それが翌23年1月までにまとめられ、2月、タイ・バンコックで開かれる、アジアにおける大陸別シノドスで話し合われる予定です。

 

教皇 シノドス第16回通常総会を2会期に

教皇フランシスコは、2023年10月開催予定の世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会について、2023年と2024年の2会期に分けて行うことを、2022年10月16日、バチカンでのお告げの祈りの際に発表しました。これにより、2023年10月4〜29日の第1会期と、2024年10月の第2会期の2回にわたっての開催となり、世界各地で行われた、「耳を傾け識別する歩み」の実りが、より成熟したものとなることが期待されています。

シノドスとは?

今回のシノドスのテーマは、「ともに歩む[=シノドス的]教会のため——交わり、参加、そして宣教」です。教会にゆだねられた使命に従って福音をのべ伝える教会の刷新のため、それぞれの現場で、聖職者、修道者、そして信徒がどのような経験をし、困難に遭遇し、どのように霊に導かれているかという声を、世界中から集めていきます。

この「声を集める」ための基本的な質問は以下の通りです。

シノドス的教会は、福音を告げながら、「ともに旅をする」のです。この「ともに旅をする」ということは、今日、みなさんの教会の中で、どのような形で起こっているでしょうか。わたしたちが「ともに旅をする」中で成長するために、霊は、わたしたちがどのような段階を踏むよう招いているでしょうか「準備文書」26項)。

 

 

シノダリティ(シノドス性)とは?

シノドス的な教会とは、耳を傾ける教会、信徒、司祭・助祭、修道者、司教、そして教皇が、それぞれ相互に耳を傾け合い、また全員が真理の霊に耳を傾け、霊がわたしたちに告げていることを理解するもの(教皇フランシスコ「世界代表司教会議設立50周年記念式典における演説(2015年)」より)。

「シノダリティ」が表わす主な原則は「準備文書」2項に描かれています。

  • 霊の呼びかけを思い起こす。
  • すべての人の声を聞く、参加型の教会プロセスを生きる。
  • カリスマの多様性を認識する。
  • 福音宣教のための参加型の方法を見つける。
  • 反福音的な動きを見極める。
  • 社会の癒しや和解のために信頼できる教会となる。
  • キリスト教諸派、他の宗教、市民団体との連携を強める。
  • 教会内のシノドス的な動きを促進する。

シノドスのための祈り Adsumus Sancte Spiritus(聖霊よ、私たちはあなたの前に立っています)

 聖霊よ、私たちはあなたの前に立ち、あなたのみ名によって集います。
私たちのもとに来て、とどまり、一人ひとりの心にお住まいください。
私たちに進むべき道を教え、どのように歩めばよいか示してください。
弱く、罪深い私たちが、一致を乱さないよう支えてください。
無知によって誤った道に引き込まれず、偏見に惑わされないよう導いてください。
あなたのうちに一致を見いだすことができますように。
私たちが永遠の命への旅を続け、真理と正義の道を迷わずに歩むことができますように。
このすべてを、いつどこにおいても働いておられるあなたに願います。
御父と御子の交わりの中で、世々とこしえに。アーメン。

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*大陸ステージのための作業文書「あなたの天幕に場所を広く取りなさい」(イザヤ 54・2)は、202211シノドス大陸別 DeepL日本語暫定第2.1版 (catholic.jp)に。

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2022年12月2日