シノドス事務局がまとめた準備文書は好評で、各国語のへの翻訳にも多大な努力が払われている。一部の国では、この作業は、使用言語の多様性と教会共同体同士が離れていることで一段と複雑になっている。
教会一致の面では十分に統合される形で歩みが進められている。キリスト教他会派の中に、カトリック教会によって行われる”シノドスの旅(sinodal journey)”への貢献に熱意、希望を示す動きもある。キリスト教徒が少数派である国では、宗教間の側面がこのプロセスの自然な部分になっている。
さまざまなメディアやオンラインプラットフォームを介したコミュニケーションを促進するために、一貫した努力が払われてきた。多くの教区と司教協議会はウェブサイトを提供し、ソーシャルネットワークのページでそれぞれの教会や社会を巡る現実の中での旅を語っている。
シノドス事務局は、ウエブサイト(英語版=https://www.synod.va/en.html)に加えて、週刊ニュースレター、地域レベルで作成された経験とリソースを収集するWebサイト(synodresources.org)、祈りなど、さまざまな手段で、コミュニケーションを図っている。 Pope’s World Prayer Networkと国際修道会総長連盟と共同で作成しているシノドスのための祈りのサイト(prayforthesynod.va)も設けられている。
*明らかになった問題ー信徒に「本当に自分たちの声が届くのか」疑念もーコロナ禍で意見交換に支障ーだが「質問票」で代替はできない
信徒の多くは、”シノドスの道”を、教会生活の重要な時、学習プロセスとして、また回心と信仰生活の刷新の機会として認識しているが、同時に、さまざまな困難も生じている。実際、恐れと寡黙は、信徒のいくつかのグループと聖職者の間で報告されています。自分たちの(注:意見交換の結果を報告することなどによる)”シノドスの道”への貢献が「本当に考慮されるのだろうか」と疑念が生じるなど、信徒の間にも一定の不信感が出ている。
さらに、現在の新型コロナウイルスの世界的な大感染で、信徒たちが直接顔を合わせる機会を制限されるなど、歩みに重大な支障が生じている。信徒たちのconsulting(意見交換・相談)は、単なる”質問票”で代替することはできない。なぜなら、”シノドスの道”の真の狙いは、互いの声を聞き取り、共に識別することにあるからだ。
それ以外にも、繰り返し生じている課題がある。それは
①”シノドスの道”が真に「霊的なプロセス」であり、”議会討論”にならないようにするための、特に「耳を傾けること」と「識別」をしっかりと行うこと。
⓶祈りと神の言葉を聞くことに基礎を置く互いの意見に耳を傾けることが、福音を宣べ伝える目的で他の人に自分自身の心を開くことにつながるように、グループの集まりで、自己主張に傾く誘惑を避けること。シノドスは、洗礼を受けたすべての人が教会の使命に対して共同責任をもつ宣教する教会である。
③若者の参加を進める方法を考え、実行すること。
④教会組織の境界にいる人々を巻き込むこと。
⑤一部の聖職者の(注:”シノドスの道”の歩みへの)抵抗への対応。
*”シノドスの旅”は来秋の通常総会を超えて続く、という認識が高まっている
”シノドスの道”の新しさは、多くの喜びとダイナミズムを生み出しているように見えるが、多くの不確実性にも対処する必要がある。洗礼を受けたすべての人が呼ばれるシノドス的回心は、2023年をはるかに超える時を要するプロセスだ、という認識が高まっている。
世界中で切望されているのは、rocal level(小教区、教区の段階)から始まった、この” synodal journey(シノドスの旅)”が、2021年から2023年秋の世界代表司教会議(シノドス)通常総会に至るプロセスをはるかに超えて続き、 synodality (共働性)の知覚可能なしるしが、カトリック教会の構成要素として次第に明確になっていくことである。
*教区、司教協議会が提出する”報告書”の策定のツールとしてのメモを準備中
シノドス事務局に寄せられた数多くの要請に応えて、各教区と司教協議会が当事務局に提出する”報告書”をどのように準備するかについてのメモを策定中である。狙いは、各教区、司教協議会が今後数か月の間に”識別”の結果をまとめる際に、それぞれの教会の現実に対応して行うためのツールにしてもらうことだ。メモでは、”報告書”の作成そのものが「識別」の行為、つまり霊的プロセスとチームワークの成果だ、という考えを提起している。