(2022.10.5 Vatican News)
バチカンのシノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿が5日、教皇庁立ラテラノ大学の創立 250 周年記念の会合での基調講演で、現在進められている”シノドスの道”について、第二バチカン公会議と対比する形で語った。
グレック枢機卿は、現在の”シノドスの道”は、「第二バチカン公会議の”成熟した果実”」であり、「この公会議の教会論の正しい受け止め方がそのような成熟した実りを生き生きとさせ、公会議さえ想像しなかったシナリオを切り開き、教会を導く聖霊の働きが明らかにされることを示しています」と指摘した。
来年10月の世界代表司教会議に向けて進む”シノドスの道”は今、世界の小教区、教区、各国司教協議会の段階から、アジア、アメリカ、欧州など大陸の司教協議会連盟などの段階に進もうとしているが、枢機卿は、大陸の段階での歩みの文書は、各国司教協議会を通じて現地の諸教会に示されるとの方針を明らかにした。
そして、それは「Restitution(お返し)」の考えによるものであり、「預言的な側面が神の民ー洗礼を受けたすべての人ーに存在し、教会が第一にすべきことが『耳を傾けること』である以上、耳を傾けた結果は、神の民のところに返さねばなりません。そして神の民は現地の諸教会で活動しているので、取りまとめ文書は、その諸教会に送られる必要があります」と説明した。
また枢機卿は、シノドス事務局長にとって、このような重要な教会の行為は、「片隅に置かれた人たちに譲歩することでも敬意を払うことでも、いくらかの共感や、薄っぺらな同意を得るための上品なしぐさでも、いわんや、知る権利を主張する人に対する報告、”勘定書き”を出すことでも、ありません。”シノドスの道”の”循環性”、現地のそれぞれの教会と普遍教会の間に存在する”相互の内在性”を反映した、純粋に”シノドス的(共働的)な教会の行為」であり、「要するに、私にとって、大陸の段階の取りまとめ文書を、世界の各教会に送ることは、”当然すべき行為”なのです」と強調した。
そして、最後に、「教会は、神に、他者に、他者の中にいる聖霊に、耳を傾けるという考えのもとに、”シノドスの道”を実践しつづけるものでありたい。公会議の教父たちが実践し、教会に渡した財産があるとすれば、それは、聖霊が教会に対して語っていることを聴くために、他者に耳を傾けることです」と語って、講演を締めくくった。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)