(2021.10.29 カトリック・あい)
”シノドスの道”の歩み旅が「ともに歩む教会のため——交わり、参加、そして宣教」をテーマに10月10日にバチカンで、17日に日本を含む全世界の教区で、開始を告げるミサとともに始まった。
2023年10月に予定する世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会に向けて、世界の全ての司祭、信徒が参加して、小教区・教区、国、そして世界と段階を追って歩みを進めていく前例のない、画期的な試みだが、世界はもちろん、日本の教会をみても総じて前向きであるようには見えない。
そうした中で、東京教区など前向きな取り組みを進めようとする教区でさえも、司祭、信徒の間で、なぜ今、2年かけての”シノドスの道”なのか、これまでのシノドスとどう違うのか、小教区や教区でどのように交わり、参加、そして宣教を進めるのか、そもそも何を話し合おうというのか、数多くの「?」が解消されず、「カトリック・あい」にも、多くの問いが寄せられている。
”シノドスの道”への理解が少しでも進み、提唱者の教皇フランシスコの思いに応えて、ポスト・コロナの新しい、共に歩む教会に向けた取り組みに、多くの司祭、信徒が参加していただくために、少しでもお役に立つことができれば、との考えから、若干のご説明と資料をまとめてみた。
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*「シノドス」とは
ギリシャ語( Σ ύ νοδο ς )。 σ ύ ν (s ú n =with) と ὁ δ ός (hod ó s =path)を組み合わせ た言葉。つまり「一緒の道=共に歩む」 。それが「集まり、集会」 を意味するようになり、カトリック教会で、「世界代表司教会議」 を指すようになったのは1960年代の第二バチカン公会議の議論を踏まえて教皇パウロ6世が1965年に自発教令 をもって、「世界代表司教会議」を 定期的に開くようになってから。
目的は、現代社会の中で教会が考えねばならない課題を話し合い、取るべき方策などについて教皇に提言する こと。1967年にバチカンで初めて開催され2018年までに15回開かれた。
*今回の”シノドスの道”の特徴
⓵ シノドスの期間・広がり= 公会議と違って、決定権がない。話し合われた意見をまとめて、教皇に提言し、教皇がそれを受けて、「使徒的勧告」を出すのが慣例。今回 は、これまでの一回の会議ではなく、2年かけて、世界の小教区から教区、国、地域、そしてバチカンでの世界代表司教会議と段階を踏み、すべての司祭、信徒参加のもとに「出会い、聴き、識別する」を進めていく 、という、前例のないものだ。
②テーマの広がり=「ともに歩む教会のため —— 交わり、参加、そして宣教」。 これまでのシノドスのテーマ、「司祭養成」「家庭の召命と使命」「若者、信仰、そして召命」などに比べ、包括的、抽象的とも言える。テーマに示された過程そのものが目的の一つになっている。
*「シノドスの道」の歩みをどう進めるか
教会ではロザリオの月、世界宣教月間、12月8日までのヨゼフ年があり、「兄弟の皆さん」と「ラウダートシ」の二つの回勅を学ぶ運動も続いているーコロナ禍で、どうしてまた新しい教会行事を?と思われるかも知れないが・・・
・教皇の強い思いは・・・ 教皇があえて、この時期に「シノドスの旅」 を始めようとされたのは、かねてから訴えておられるように、「コロナ禍による『危機』を『機会』ととらえ、教会の刷新、新たな教会への旅立ちの機会とする」、世界のすべての司祭、信徒の参加でそれを進めたい 、という強い思いから。教会のそれぞれの行事を“点”とすれば、”線“”面“。
・コロナ禍で、時間的にも制約があるが・・・ 教皇庁のシノドス事務局が示した日程では、2023年10月の世界の代表司教が集まるシノドス通常総会までに、世界の小教区・教区⇒各国⇒地域(アジア、オセアニア、欧州、南北アメリカなど) に段階的に歩みを進めていく、となっている。
【各国レベルのまとめは来年4月 、菊地大司教によると、教区のまとめは来年2月末とされていたが、バチカンの事務局が10月29日になって、第一段階(小教区・教区から各国司教協議会でのまとめまでの期間)を来年4月としていたのを、来年8月15日まで約4か月延長 したことから、小教区の教区への報告の期限も延ばされることになる。】
バチカン事務局の当初発表よりも少し期限が延びることから、”シノドスの道”の歩みの最初、小教区レベルの歩みにも余裕が生まれる。余裕を活用し、小教区 として体制を整え、教皇の思いを積極的に受け止め、コロナで受けた様々な痛み、苦しみを希望に変え、生き生きと共に歩む教会を目指して、限られた時間の中で、出来る限り進めたい 。
* 何を具体的な意見交換のテーマに進めたらいいか。
バチカンのシノドス事務局の準備書面と手引書には、小教区・教区・小グループの意見交換の進め方として⓵自分たちの体験を思い起こす②それを深く、具体的に述べる③そうした経験をもとに、何が求められているかーが基本的な問いかけ、として示され、さらに10のテーマに分けて問いかけの例が示されているが、「すべての問いかけを網羅する必要はなく、それぞれが置かれた状況に最も当てはまる、『共に歩む』ことの関わるテーマを選び、焦点を当てる べき。参加者は、自分の実生活での体験を正直かつ率直に話し、互いに話し合ったことを通じて、聖霊が何を示しているかを一緒に考えることが勧められる 」とし、また「キリスト者として直面している課題や、新型コロナウイルスの大感染の中での教会のあり方、各々の教区、小教区などの状況に関連した事象など、共通の関連した経験を中心とした分かち合いに焦点 を当てることができます」ともしている。
以上から、まず、”シノドスの道“の狙い、意義などについて理解を共有する。そのうえで、例えば、現在最も多くの方が共通して関心と課題として持っている「コロナ」を主題として取り上げ、⓵現在のコロナ禍で教会生活で、家庭生活で、地域社会での生活で気づいたこと、辛いと思ったこと、助けが欲しいと思ったこと ②コロナ禍で得た教訓や気が付いたこと ③ 以上をもとに、「共に歩む教会」として、あるいは「共に歩む教会」となるために、信徒として何ができるか。特にコロナが終息した後で、”新生教会“はどうありたいか、信徒は司祭は教区はどうしたらいいと思うか ・・を聖霊の導きの下に、思いを述べ合うこと。
意見交換の場としては “第6波”への警戒も怠ることなく、感染再発に注意を払いつつ、⓵現在、定期的に活動しているグループ(運営委員会、主日の福音を味わう会など ②地区会の集まり ③ミサ後に小教区全信徒を対象に2‐30分程度の集まり ④そのうえで、補完的にアンケート形式で全信徒の声を聴く―というやり方が現実的と思われる。
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(問題意識として、例えば・・
・コロナ禍で公開ミサ中止あるいは、参加者制限などの中で、とくに高齢者など弱い人々がミサから、教会から離れているのではないか。行きたい、つながりたい、と思っていても。
・インターネットでの動画配信も、そうした手段を持たない、使うことが困難な高齢者を中心とした信徒には利用できない。また、コロナ禍で周囲を見ると、中高齢者の”インターネット離れ“が進む兆候が見られるのではないか。
・コロナ禍の約2年の間に、高齢化が進み、配偶者を無くし、自分自身も足腰が弱くなり、外出も困難になる信徒も増えている。高齢者に留まらず、若者や外国人労働者の教会離れが進んでいるのではないか。
・悲しみを癒やし、再開されたミサに参加できるようなサポートは個人的に出始めているが、個人的、には限界がある。それに対応できない教会の問題点、弱点が露呈しているのではないか。
・教会として、具体的にどのような体制、意識を作ることができるか、傷を抱えた人たちが教会に来たい、と思えるような教会を作り、コロナ禍で離れた信徒を呼び戻し、苦しみ、悲しみにある信徒、特に高齢者を「共に歩む」列に戻すこと、そのためにどのようなことが考えられるか。
・ポスト・コロナの”新しい教会”を、信徒の連携、運営制度の建て直しを含め、どのような形が望ましいか、どこから手を付けたらいいのか。
・その際の、教区との連携・注文は?他の小教区との連携・協力はどのように進めればいいのか?
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以上に「シノドスの道」をどう歩むかについて、簡単にまとめたが、共通理解を深める一助として、以下にⅠ教皇の”道“開始に当たっての9日の講話、Ⅱ菊地・東京大司教のメッセージとⅢ開始ミサの説教 、それと、Ⅳ教皇庁のシノドス事務局の準備文書の要点の抜粋、Ⅴ「シノドスのための祈り」 を以下にお示ししたい。「カトリック・あい」では、これからも、”シノドスの道”についてのバチカンや内外の動き、解説、論評などを取り上げ、掲載していく。
(「カトリック・あい」代表 南條俊二)
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Ⅰ ☩ ”シノドスの道”始まるー「聖霊に導かれ、すべての人の参加を」と教皇講話 (2021.10.9 Vatican News)
10日の聖ペトロ大聖堂でのミサで始まる”Sinodal Path(シノドスの道)”を控え、教皇フランシスコが9日、世界の教会、組織の代表の全体集会に出席、”シノドスの道”を歩む「神の民」が聖霊に導かれ、共に進み、互いの声に耳を傾け、連帯することで、私たちの時のしるしを識別 することができるよう祈られ、以下のように語られた。
シノドス(世界代表司教会議)の第16回通常総会は2023年10月に「共に歩む教会のために―交わり、参加、そして宣教」をテーマに開かれる が、従来のシノドス総会と異なり、全世界の信徒、司祭など”総参加”で、今月から2年かけて、小教区から教区、各国、地域、そしてシノドス総会に至る”シノドスの道”を歩もうとするのが特徴。
”シノダリティ(共働性)”とは、互いの声、そして聖霊に耳を傾け、共に歩むこと、を意味 する。本来、教会の本質的な特徴とされるべきものであり、それを、”シノドスの道”で深めるのが根本的な狙いだ。この過程で、特に一般信徒、中でも弱い立場にあって声を上げられない人に耳を傾けることが重視 されている。
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*シノドスの道のキーワード「交わり、参加、宣教」
教皇は、今回のシノドス定時総会のテーマである「交わり、参加、宣教」 を取り上げ、「『交わり』と『宣教』は、『教会の神秘』を示している。第二バチカン公会議によると、『交わり』は教会の本質そのもの を表わすもの、とされている。聖パウロ6世教皇によれば、『交わり』は、結束と内面の充満、恵み、真理と協力 …そして宣教、つまり、今日の世界への使徒的献身であり、聖ヨハネパウロ2世教皇は、koinonia (神と人、人と人の交わり)は コイノニアが、人類家族の神との親密な一致のしるしとしての奉仕する教会の宣教の使命を果たすもと だ、としておられます」と指摘。
このような理由から、教皇は「今回のシノドス定時総会には十分な準備が必要であり、特に、すべての信徒、司祭が参加する小教区、教区レベルの準備が重要です 」と強調された。
*信徒全員の参加、小教区、教区レベルの取り組みが重要
さらに教皇は、「交わり」と「宣教」は、シノドスの道の歩みのすべての段階で具体的に表現され、すべての人の参加が進められない限り、抽象的なものになるリスクがある、と注意され、 「洗礼を受けたすべての人は、教会の生活と宣教の使命に参加するように召されているのです」 と訴えられた。
*避けるべき3つのリスクー「形式的、表面的イベント」「博学だが抽象的な処方箋」「自己満足」
シノドスが冒しやすいリスクとして、本物の霊的識別を働かせるのではなく、”単なる形式的、表面的なイベント”にしてしまう こと」を挙げ、そうならないために、「私たちに、神の民の中、とくに司祭と信徒の間で、対話と交わりを活発 にすることのできる中身、手段、仕組みを作る ことが求められているのです」と指摘。
もう一つのリスクとして、シノドスが「“知的”に走り、教会の諸問題と世界の諸悪に対して、”博学ではあるが抽象的”なー聖なる神の民が置かれた現実と世界中の共同体社会の具体的な暮らしからかけ離れたー処方箋 を示す可能性」を指摘。
そしてシノドスが避けねばならない三つ目のリスクとして、「”自己満足への誘惑” がある」とされ、「私たちはいつもこうして来ましたー『変えない方がいい』と。『complacency(注:自己満足から来る安心感)』という言葉は、教会の活動における毒です」と言明。
シノドスの道の歩みは、「local Churches(注:小教区、教区など)を巻き込んだ歩み、様々な異なる段階でボトム
アップしていく歩み、宣教の使命に向けた交わりと参加のスタイルを作り上げていく歩み なのです」と強調された。
*シノドスが提供する3つの機会を生かす
また教皇は、「出会い」「聴き」「じっくりと考える」 のシノドスのプロセスは、神の民、教会が少なくとも3つの機会を見分けるのに役立つ、とされ、
一つ目は、すべての人がくつろいで参加できる『シノドス(共働)的な教会』を実現する機会 。
二つ目に、シノドスは私たちに、まず崇敬と祈りをもって聖霊に、そして私たちの兄弟姉妹、彼らの希望、世界中の信仰の危機、司牧活動の刷新の要請に『耳を傾ける教会』 になるための、『お決まりの手順を破り捨て、立ち止まって耳を傾ける』機会 。
さらに、シノドスは、教会の存在そのものによって社会、世界との友情のより大きな絆を編み上げる「親密さの教会」となる機会 、でもある、と指摘され、「人々の暮らしと関わりを持ち、現代社会の問題と要請に密着し、人々の傷に包帯を巻き、壊れた心を”神の香油”で癒す教会 」にならねばならない、と言明された。
(翻訳・編集「カトリック・あい」)
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Ⅱ 菊地大司教の「シノドスの歩み開始」メッセージ抜粋 2021年10月14日
教皇フランシスコは2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)の第十六回通常総会を開催することを決定され、そのテーマを、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」 と定められました。
教皇は、今回のシノドスが、その意味するところである「ともに歩む」プロセスを教会が具体的に生きる存在となることを望まれ、新たなシノドスのあり方を定められました。教皇は、今回のシノドスが、ローマで開催される2023年10月の代表司教たちによる会議だけに終わるのでなく、世界中のすべての教区が、ともに識別の時を過ごし、神の民を構成するすべての人が、その歩みに加わるようにと呼びかけ られています。
今回のシノドスの歩みに取り組むために、東京教区の担当者として小西広志神父様を任命して準備を進めております。今回の歩みは、イベントや多数決で何かを議決する会議を開催することが主眼ではなく、神の民のすべての部分が、共通の信仰の理解を持ち、交わりを深め、福音を宣教する共同体へと変わる回心の歩み であります。それは東京教区の宣教司牧方針の具体化とともにある歩みでもあります。
来年の2月までの期間 、教区の皆様と歩みを共にし、ともに識別することが出来るように、さまざまな材料を今後提供してまいります。その後も、2023年のローマでの会議が終了するまで、関連する情報を、教区ホームページや教区ニュースで随時提供してまいります。
どうか一緒になって、交わりと参加の歩みをともにしてくださいますようにお願いいたします。
Ⅲ「交わり、参加し、宣教する神の民となるように」10月17日、菊地大司教”シノドスの道”開始ミサ 説教(抜粋)
教皇様は、2023年秋に世界代表司教会議(シノドス)を開催することを決定され、そのテーマを、「ともに歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」と定められました。
その上で教皇様は、教会全体にとって、シノドスがまさしくその意味するところである「共に歩む」プロセスの具現化となることを望まれて、これまでとは異なるシノドスのあり方を定められました。それは、シノドスがローマで行われる2023年の司教たちによる会議だけに終わらず、世界中すべての教区のすべての人と歩みを共にするプロセスとなること であります。
そこで今回は、2021年10月からシノドスの歩みを始めることになり、まず最初の半年ほどで各教区での振り返りと識別 が行われ、そこからアジアやアフリカなどの地域別に繋がり、あらゆる声に耳を傾けた上で のローマでの会議 という、2年間にわたるプロセスが開始 されることになりました。
2015年にシノドス創設50周年の式典が行われた時、教皇様はこう述べておられます。 「まさに『シノドス性』の歩みとは、神が第三千年期の教会に期待しておられる歩みなのです。ある意味、主が私たちに求めておられることは、すべて『シノドス』(共に歩む)という言葉の中に既に含まれていま す。信徒と司牧者とローマの司教が共に歩むこと、それを言葉で言うのは簡単ですが、実行に移すことは、それほど容易ではありません」
共に旅を続ける神の民にあって、私たち一人ひとりには固有の役割が与えられています。共同体の交わりの中で、一人ひとりがその役割を十全に果たすとき、神の民全体はこの世にあって、福音を証しする存在 となり得ます。
私たちの信仰は、神の民という共同体の信仰です。一つのキリストの体に結ばれた、共同体の信仰です。私たちの信仰は、その共同体における「交わり」のうちにある信仰です。
「交わり」とは、「共有する」ことだったり、「分かち合う」ことだったり、「あずかる」ことを意味 しています。私たちの信仰は、キリストの体である共同体を通じて、キリストの体にあずかり、命を分かち合い、愛を共有する交わりの中で、生きている信仰 です。
交わりは参加を生み出します。一人ひとりが共同体の交わりにあって、与えられた賜物にふさわしい働きを十全に果たしていくとき、神の民は福音を証しする宣教する共同体 となっていきます。ここにシノドスのテーマである「共に歩む教会のため-交わり、参加、そして宣教-」の意味 があります。
今回のシノドスの歩みを通じて私たちは、共同体における信仰の感覚を通して、「神の民である」という自覚を深めるように招かれています。社会の現実、特に今般の新型コロナ大感染による痛みへの共感 を持つように招かれています。社会にあって、今を一生懸命に生きている人たち、すなわち貧しい人々との対話や連帯へと招かれています。命を生きる道や文化の多様性を尊重するように招かれています。信仰において、互いに裁くものではなく、許し合うように、と招かれています。
東京教区では、折しも宣教司牧方針を、今回と同様に多くの方の意見に耳を傾けながら定めたところです。発表直後から感染症の状況に翻弄されており、宣教司牧方針を公表したものの、深めることが一切、できずにおりました。
今回のシノドスの歩みは、そういった状況にある東京教区にとっては、ふさわしい呼びかけとなりました。シノドスの歩みをともにすることで、私たちは「今の東京教区の現実の中で、神の民であるとは、どういう意味があるのか」を理解し、深めようとしています。
そのプロセスの中で、交わりを深め、共に参加し、福音を告げる共同体へと豊かになる道を模索 していきます。そのことはちょうど、東京教区の宣教司牧方針の三つの柱、すなわち、「宣教する共同体」「交わりの共同体」「すべての命を大切にする共同体」の実現と直接につながっています。
本日からシノドスの道を共に歩み、共に振り返り、共に理解を深め、共に祈りながら、私たちが交わり、参加し、宣教する神の民となるように、教区の宣教司牧方針を深めながら、旅路へと招かれる主の声に耳を傾けてまいりましょう。
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Ⅳ 教皇庁シノドス事務局作成のシノドス準備文書から―冒頭の1,2、5項と結論部分、30、31項
1. 神の教会はシノドスに呼ばれている。「共に歩む教会のため:交わり、参加、宣教」と 題された歩みで、全教会が自身の活動と宣教の使命にとって決定的な重要性をもつテーマを深く考える ように勧める。
今回の旅は、第二バチカン公会議が提起した教会「刷新」を継承 するものであり、賜物であり、なすべき課題でもあるー共に旅をし、これまでの旅を共に振り返ることで、教会は自己の経験を通して学ぶ ことができるだろう。そのような手順を踏むことが、教会が「交わり」を生きたもの とし、「参加」を実践 し、(宣教の)使命に積極的に取り組む のを助けることを可能にする。私たちが「共に旅する」ことは、まさに、巡礼者、宣教する神の民としての教会の性質を最も効果的な実践、証し である。
2. 基本的な問いが、私たちを促し、導く。これからさまざまなレベル(小教区、司教区レベルから全世界レベルまで)で行われるこの「共にする旅」で、教会は託された使命に従って、どのように福音を宣べ伝えることができるのか?教会、そしてシノドスとして成長するために、聖霊は私たちに、どのような段階を踏むことを勧めるのか?
この問いに共に取り組むには、思いのままに吹く風を好まれる聖霊の声を聴く必要がある。(略)そうすることで、シノドス的な回心のいくつかの果実を収穫し始める動きが起き、次第に充実したものとなる。 (略)
5.新型コロナウイルスの大感染の世界的な悲劇 は、「私たちが地球的な共同体の一員であり、全員が同じボート に乗っている、そこでは一人の問題が全員の問題 となる、という感覚を一瞬、復活させた。一人だけが救われるのでなく、皆が一緒に救われる のだ、ということに改めて気づかせた」(回勅「Fratelli tutti」32項)。
同時に、この大感染は、既にある不平等と不公正を”爆発 ”させたー人類は(社会の)”大衆化”と”断片化” が進むことでますます動揺させられているように見える。世界のあらゆる地域で難民・移民が直面している悲劇的な状況は、一つであるはずの人間家族を引き裂く障壁が、未だにどれほど高く、強固であるか、を見せつけている。
30.”シノドスの道“で追求すべき10のポイント
経験を活かし、”相談”により豊かな方法で貢献するのを助けるために、「生きたシノダリティ」のさまざまな側面を明確に表現する、”旅”の核 を以下に示す。 これらをもとに、さまざまな地域の状況に合わせて調整し、必要に応じて取りまとめ、説明し、簡素化、あるいは深化すること、また、参加と対応が困難な人に注意を払う 必要がある。
⓵The Journeying Companions (旅の仲間たち )
②Listening(耳を傾ける) :
③Speaking Out(勇気を持って語る)
④Celebrating(祝福する):
⓹ Co-responsible in the Mission (使命を果たすことへの共同の責任) :
⑥Dialogue in Church and Society (教会の中、そして社会の中での対話) :
⑦ With the Other Christian Denominations (キリスト教の他宗派との関係) :
⑧ Authority and Participation ( 権威と参加) : 小教区、司教区で、権威はどのように行使されてい るのか、信徒の 役割と責任はどのように強められているのか、など。
⑨Discerning and Deciding ( 識別し、決定する) :私たちは (注:小教区、司教区で)どのような手順と方法で共に識別し、決定 を下すのか、など。
⑩ Forming Ourselves in Synodality ( シノダリティの中で私たち自身を形成する) :
31.シノドスの旅の第一段階の目的 は、個々の地域の現状に対応する最も適切な仕方を通して、異なる全てのレベルで(小教区から司教区に至る)それぞれの教会の司牧者と信徒を巻き込む、様々な意見と様相の中で、生きたシノダリティ(共働性)の経験の豊かさを集合するために、幅広い”consultation(相談”)のプロセスを進める ことにあるー”相談”は司教によってコーディネートされ、「それぞれの教会の司祭たち、助祭たち、そして一般信徒たちに対して、個別に、集まりで、神に身を捧げた男女が提供できる価値ある貢献を見落とすことなく、なされる 」。(略)
(翻訳・編集「カトリック・あい」)
Ⅴ【シノドスのための祈り】
Adsumus Sancte Spiritus(聖霊よ、私たちはあなたの前に立っています)
聖霊よ、私たちはあなたの前に立ち、あなたのみ名によって集います。
私たちのもとに来て、とどまり、一人ひとりの心にお住まいください。
私たちに進むべき道を教え、どのように歩めばよいか示してください
弱く、罪深い私たちが、一致を乱さないよう支えてください。
無知によって誤った道に引き込まれず、偏見に惑わされないよう導いてください
あなたのうちに一致を見いだすことができますように。
私たちが永遠の命への旅を続け、真理と正義の道を迷わずに歩むことができますように。
このすべてを、いつ、どこにおいても働いておられるあなたに願います。
御父と御子の交わりの中で、世々とこしえに。
アーメン。
(カトリック中央協議会訳、「カトリック・あい」編集=表記は当用漢字表記に修正)
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