☩教皇がシノドス総会閉幕ミサー「神と隣人への愛が、すべての核心」

(2023.10.29 Vatican News )

  教皇フランシスコは29日午前、聖ペトロ大聖堂で、約1か月に渡す世界代表司教会議(シノドス)第16回総会第1期の閉幕ミサを捧げられ、説教で、「主の愛ある臨在の中で経験し、友愛の美しさの中に見出した『聖霊の対話』」について語られた。そして、総会参加者たちが「主の愛ある臨在を体験し、友愛の美しさを見出した様子」を回想された。

 「交わり、参加、使命」をテーマとするシノダリティ(共働性)に関するこの総会第1期の閉幕ミサで、最高潮を示した。 説教で教皇は、福音朗読(マタイ福音書22章34-40節)で読まれた、 律法学者たちが、律法のどの戒めが最も重要か尋ねることで、イエスを試みようとする場面を振り返りながら、「この重要かつ永続的な疑問は、私たち自身の心や教会生活の中で起こり得ること」とされ、「 最も重要なのは、生涯かけて神を愛し、自分自身のように隣人を愛することだ」という主の答えは、「すべての中心」を示し、「どのようにしてすべてが新たに始まるのかを示していいます」と説かれた。

 

 (以下、バチカン放送)

 「律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか」(マタイ22章36節)とファリサイ派の律法の専門家から尋ねられた時、イエスの答えは明快だった。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、 あなたの神である主を愛しなさい』 。これが最も重要な第一の掟である。 第二も、これと同じように重要である。 『隣人を自分のように愛しなさい』」(22章37-39節)。

 このシノドス総会の第1会期の歩みを終えるにあたり、教皇は、「神をすべての命をもって愛し、隣人を自分のように愛する」という、すべての出発点・再出発点であるこの「原則かつ基礎」を見つめるようにと招かれた。そして、教皇はこの「神と隣人を愛する」という愛の態度を、「礼拝し、奉仕する」という2つの動詞で表現された。

 まず、「『愛する』とは、神を礼拝すること」とされた教皇は、「『礼拝』とは、神の無償の驚くべき愛に対して私たちが捧げることのできる、最初の答えです… 『神から愛されている』という驚き、礼拝にあるこの驚きは、教会において欠かすことができません」と説かれた。

 同時に、「神を礼拝することで、私たちは自由を再び見出します。なぜなら、神を礼拝する者は、私たちを隷属化する偶像を拒むからです」と語られ、私たちが闘うべき偶像として、虚栄心や、成功への熱望、何がなんでも目立とうとする態度、金銭への貪欲、出世への憧れなどを挙げつつ、「自分の宗教に対する考えや、自身の司牧の上手さなど、霊的なものに偽装された偶像をも示し、神の代わりに自分たちを中心に置くことがないように」と注意を促された。

 そして、「教会とは礼拝する存在である」と、教皇はすべての教区、小教区、共同体で、主が礼拝されるようにと望まれ、「こうしてこそ、私たちは自分自身でなく、イエスを見つめることができるでしょう」と語られた。

 次に、「愛するとは、奉仕すること」とされた教皇は、「キリストが最も重要な掟の中に、神と隣人を結び合わせたのは、決して両者を分離させないためです。この世の叫びに耳を傾けない真の宗教体験はなく、隣人に思いやりを持たない神の愛はありません」とされ、「私たちは、実に多くの教会改革のためのアイデアを持っているかもしれません。しかし、神を礼拝し、兄弟を神の愛で愛すること、これこそが、『永遠の偉大な改革』だということを忘れてはなりません。『礼拝する教会、奉仕する教会』とは、傷ついた人類の足を洗い、弱く、見捨てられた人と歩みを共にし、優しさをもって最も貧しい人々の所に出かけていく教会です」と強調された。

 教皇は、戦争の冷酷さの犠牲者、移民の苦しみ、孤独な人、貧しい人、人生の重みで押しつぶされた人の悲しみに思いを向けながら、「貧しい人を搾取し、兄弟愛を蝕み、社会を荒廃させることは大きな罪です。私たち、イエスの弟子たちは、神を第一に据え、それと同時に、神が大切にされる貧しく弱い人々を愛する『福音』という別のパン種を世界にもたらすことを望んでいるのです… 最も貧しい人々をはじめ、皆に奉仕する教会、慈しみの港として、皆に扉を開く教会、それが私たちが夢見るように、と招かれた教会なのです」と力を込めて語られた。

 シノドス総会・第1会期の閉会にあたり、教皇は、「聖霊の対話」の中で、主の優しい現存を体験するとともに、兄弟愛の素晴らしさを発見することができました… シノドスは歩みの途中であり、完全な実りをまだ見ることはできませんが、未来を見つめる目をもって、前に広がる地平線を眺めることができます」され、「主の導きと助けのうちに、神を礼拝し、人々に仕え、福音の喜びを皆にもたらす、よりシノドス的で宣教的な教会を目指しましょう!」と、シノドス関係者はじめ、全教会に励ましをおくられた。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年10月29日