・「神の言葉を具体的に証しするキリスト者であり続けたい」菊地大司教の年間第四主日

2024年1月27日 (土)週刊大司教第153回:年間第四主日B

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  今年の年間第四主日は一月の最後の後曜日となりました。東京教区にとっては「ケルン・デー」であり、教会全体にとっては「世界子ども助け合いの日」であります。

     東京教区とケルン教区の友好関係は、今年で70年となります。それを記念した公式巡礼(4月にローマとケルンを巡る10日間)も企画され、さらにボーイスカウトの代表がケルンに招かれている企画もあります。東京教区とケルン教区の関係については、メッセージでも触れていますが、教区ホームページのこちらをご覧ください。(写真は、2018年12月にケルンを訪問した際、ケルン教区大司教のヴェルキ枢機卿様と)

 また今年も、関口教会の1月28日・第四主日午前10時の大司教司式ミサには、ドイツ語共同体や支援しているミャンマー共同体の方々も参加され、ケルン教区からも代表が参加します。

 また偶然ですが、私の長年の友人であるアフリカのアンゴラのフアンボ大司教区のゼッフェリーノ・マルティン大司教様が、ちょうど東京を訪問中で、この日のミサにご一緒いただけることになっています。その昔、私がまだガーナで働いていた当時、神学生だったゼッフェリーノ大司教様が、研修で、ガーナに来た頃からの知り合いです。一週間ほど滞在される予定です。アンゴラの教会のことも、どうぞ心に留めていただけると幸いです。

Img_20240127_144919598_hdr 今年10月に開催されるシノドスの第二会期に向けて、各国は5月15日までに報告書を提出するようにバチカンの事務局から要請されています。その第二会期に向けた日本における取り組みについて、司教協議会のシノドス特別チームが三つの提案をしていますので、それについては中央協議会のホームページのこちらをご覧ください

 また1月25日に教皇様は、日本に駐在する新しい教皇大使を任命されました。新しい教皇大使はフランシスコ・エスカレンテ・モリーナ(Francisco Escalante MOLINA)大司教で、以前、参事官として数年間、日本に駐在されていた方です。詳しくはこちらをご覧ください

 以下、本日午後6時配信、週刊大司教第153回、年間第四主日のメッセージ原稿です。

【年間第四主日B 2024年1月28日】

 イエスの言葉には、権威を感じさせる力があったと、マルコ福音は伝えています。「律法学者のようにではなく」と福音は記していますが、この言葉は何を象徴しているのでしょう。学んだ知識を教える律法学者は、自らの権威ではなく神の権威によって解釈を教える立場です。教え指導するという人間関係にあって、人間の弱さから解放されない律法学者は、いわば私たち人間の弱さと限界を象徴しています。時に自らの限界を認めず、謙遜さを失い、独断と偏見で判断し、あたかもすべての権威を持っているかのように他者に語り、行動するのが私たち人間です。

 しかしイエスは真理そのものです。すべての権威は神にあります。完全完璧な立場からものを語り、行動されるのが、神の子であるイエスです。だから人々は「権威ある新しい教え」とイエスの言葉を評したのです。そういえば本日の第一朗読の申命記には、神の命じていない言葉を語る預言者は死に値すると、モーセが語ります。真理を身に帯びていない者の言葉には、権威はありません。

 私たちは、どのような言葉を語っているでしょうか。自分勝手な思いや欲望を充足させる言葉ではなく、神によって生かされているという謙遜さのうちに自らの限界を認め、イエスが権威を持って示された真理を身に帯びた言葉を語るものでありたいと思います。

 命を奪う暴力的な言葉ではなく、命を生きる希望を生み出す言葉を語りたいと思います。暗闇を生み出す言葉ではなく、光を掲げる言葉を語りたいと思います。他者を裁き、排除する言葉ではなく、受け入れともに歩む言葉を語るものでありたいと思います。攻撃する言葉ではなく、思いやりのうちにケアする言葉を語るものでありたいと思います。

 1月の最終主日は、「世界こども助け合いの日」です。「子どもたちが使徒職に目覚め、思いやりのある人間に成長することを願って制定」され、「子どもたちが自分たちの幸せだけでなく世界中の子どもたちの幸せを願い、そのために祈り、犠牲や献金を」捧げる日です。子どもたちの信仰における成長のために祈りましょう。

 また東京教区にとっては、28日は「ケルン・デー」であります。

 東京教区とケルン教区との歴史的な繋がりは、物質的な援助にとどまらず、互いの霊的な成長のためのパートナー関係です。この関係は,互いの教会が具体的に主の言葉を生きるようにと行動を促し、ミャンマーの教会への支援につながりました。

 1954年、ケルン大司教区のフリングス枢機卿様は、戦後の霊的な復興を念頭に、自らの身を削ってでも必要としている他者を助けようとする福音に基づく行動を提唱され、東京の支援に乗り出されました。私たちは毎年の「ケルン・デー」に、いただいた慈しみに感謝を捧げ、その愛の心に倣い、今度は率先して愛の奉仕に身を捧げることを、心に誓います。またケルン教区のために、特に司祭・修道者の召命のために、祈りをささげています。

私たちと共におられる神の言葉を具体的に証しするキリスト者であり続けたいと思います。

(編集「カトリック・あい」)

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2024年1月27日