・「主の愛を受け、心をもって語る者でありたい」菊地大司教の「世界広報の日」メッセージ

2023年5月13日 (土)週刊大司教第124回:復活節第6主日A

505594_204727_800_auto_jpg 復活節も終盤となり、すでに第六主日です。 主の昇天と聖霊降臨が近づいてきました。復活節第六主日は、世界広報の日でもあります。 今年の教皇フランシスコのメッセージのテーマは、「心をもって、『愛に根ざして真理を語る』(エフェソの信徒への手紙4章15節)」とされています。

 本日、私はローマにおります。 この原稿は一週間前に事前投稿していますので、どういう結末になっているかは、この後改めて記します。

 何をしているのかというと、予定では選挙に負けるためにローマまで来ております。 国際カリタスは4年ごとに総会を開催し、そのたびごとに4年任期で、総裁と事務局長を選出しています。 その国際カリタスの次期総裁選挙の投票が、5月13日午後に、ローマで行われます。 それに参加しております。

 前回の2019年5月の総会まで、私はアジアのカリタスの総裁を8年務めました。 昨年2月にはカリタスジャパンの責任司教も降りましたので、いまはカリタスとのつながりはありません。 カリタスの選挙はメンバーによるノミネート制で、立候補はできません。 また候補者に関しては国務省の事前審査が必要です。

 というわけで、カリタスジャパンではなくて、アジアのどこかのカリタスが、ありがたいことに私を総裁候補にノミネートしてくださり、国務省の審査も通りましたので、選挙に参加するように急遽、呼ばれました。 候補者は私を入れて5名です。 ほとんど全員存じ上げているので、どなたが選ばれるか、事前に予測しております。 現在の総裁がフィリピン出身のタグレ枢機卿様ですから、私は無理だと思います(地域的にも能力的にも)。 いずれにしろ結果が出たらすぐにお知らせします。 ちなみに事務局長はフルタイムですが、総裁はパートタイムですから、選ばれたからといって、ローマに引っ越すわけではありません。

 以下、本日午後6時配信の週刊大司教第124回、復活節第六主日メッセージ原稿です。

【復活節第六主日A 2023年5月14日】

 ヨハネ福音は、最後の晩餐の席上で、聖霊を与えると弟子たちに約束を繰り返すイエスの言葉を記しています。 御聖体の秘跡のうちに常に現存されることを約束された主は、さらに愛する弟子たちに思いをはせ、またご自分が創造されたすべての命への愛に駆られて、常に変わらない聖霊の導きを約束されます。 その愛に満ちあふれたイエスの御心に思いを馳せましょう。

「私が父のうちにおり、あなた方が私のうちにおり、私もあなた方のうちにいる」

 イエスに従うものが、共同体のうちに共に生きていくことが、この言葉に示唆されています。 聖霊は教会共同体に働き、共同体としてイエスの福音を明かしするものであるようにと、私たちを導いてくださいます。 主は共におられます。

 教会は、復活節第六主日を「世界広報の日」と定めています。 第二バチカン公会議の「広報メディアに関する教令」に基づき、「広報分野における各自の責務について教えられ、この種の使徒職活動のために祈り、援助のために募金するように(18)」と、1967年に始まりました。

 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画などにとどまらず、いまや時代はインターネットです。 すべての人が、この使徒職に関わる道具を手にしています。 SNSなどを通じて私たちは、誰でもいつでも、世界に向けて声を届ける手段を手に入れました。 今や広報における使徒職は、特別な人や団体だけに限定された使徒職ではなく、すべてのキリスト者にとっての使徒職です。

 この配信をご覧になる皆さんを含め、福音宣教のための道具を手にしているのです。 もう、福音宣教ができない口実を並べることはできません。私たちは、道具を手にしているからです。

 今年の第57回世界広報の日メッセージで、教皇様は「心をもって話す」ことに焦点を当て、こう記されています。

 「澄んだ心で相手の話に耳を傾けることができれば、愛に根ざして真理を語れるようになります(エフェソの信徒への手紙4章15節参照)。面倒が生じようとも、真実を告げることを恐れてはなりません。 ただし真実を告げる際、愛も心もないままに、そうしていないかを気に掛けねばなりません」

 心を持って語ることは愛のうちに語ることです。 現代社会はインターネットという福音宣教の道具を手にしながら、同時に「真実を捏造して操作する偽情報を持ち出すことす」すら可能となっています。 私たちは、ともにおられる主に導かれ、聖霊に照らされながら、主の愛を受けて、心をもって語る者でありたいと思います。

(編集「カトリック・あい」)

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2023年5月13日