♰教皇連続講話「世界を癒やす」最終回「蘇らせるべき社会は”正常な社会”ではない」

(2020.9.30 Vatican News)

 毎週水曜恒例の一般謁見でのカテケーシスで、教皇フランシスコは8月9日から先週まで7回にわたって、新型コロナウイルスの世界的大感染への対応の在り方として「世界を癒やす」をテーマに講話を続けてこられたが、30日、その締めくくりとして「信仰、希望、そして愛」を取り上げられた。

 教皇はまず、これまで7回にわたる講話を振り返り、コロナウイルスで苦しむ世界を癒す方法について「私たちは、共に反省しました」と述べたうえで、イエスの弟子として、私たちは、信仰、希望、慈善に導かれ、「イエスの歩みに倣って、貧しさを選び、物の使い方を考え直し、私たちの”共通の家”を大切にする」ように求められている、と説かれた。

 

*道が続くように

 続けて、教皇は、イエスー世界を救い、癒し、全ての人を大切にされ、人々を人種、言語、国で分け隔てなさらない方ーに、私たちが眼差しを注ぎ続けるよう、希望され、そのようにイエスの歩みに従うために、「私たちは、すべての人と生き物の素晴らしさを深く考え、その価値を評価する必要があります」と語られ、「このようにして、私たちは、貧しく苦しんでいる兄弟姉妹の中にキリストがおられることを知り、彼らに出会い、彼らの叫びと、共鳴する地球の叫びに耳を傾けることができるのです」と諭された。

“正常な状態”にする

 キリストがおられることを知ることで、「私たちは社会を蘇らせることができる」とされ、それは、いわゆる「正常な状態」に戻ることではない、なぜなら、「私たちが知っている『正常な状態』は『不正で病んでいる状態』だったからです」と語られた。

 また、新型コロナウイルスは、この世界に存在するとても多くの不正を浮き彫りにしたが、「そのすべては人類によってもたらされたもの」であり、そうした世界を「神の王国の『正常な状態』ー全ての人にパンがあり、十分な場所があり、『所有、除外、蓄積』ではなく『貢献、共有、配分』を基礎に置いた社会ーにするように、私たちは求められているのです」と強調された。

 さらに教皇は、「コロナ大感染から私たちが抜け出すために、新型コロナウイルスだけでなく、人間的、社会経済的な数々のウイルスによる感染を治療する方法を見つけねばなりません」と念を押された。

*愛をウイルス化し、希望をグローバル化する

 最後に、教皇は、「公正で公平な社会は、もっと健康な社会」であり、「私たちは、キリストが私たちのために始められた王国ー暗闇の中の光、数多くの非道な行為の中の正義、数多くの苦痛の中の喜び、病いと死の中の癒しと救いの王国ーに向けて共に働くことができるのです」とされ、「信仰の光の中で、愛を”ウイルス化”し、希望を”グローバル化”しましょう」と会衆に呼び掛けられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年9月30日