☩教皇・ベネチア訪問ー「今こそ、恵みの時、今こそ救いの日、今から再出発しよう」-ジュデッカ島の女子刑務所で

 教皇フランシスコは28日朝からイタリア北部ベネチアを司牧訪問された。

 今回の訪問は、「第60回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展」のバチカン館を訪れ、会場のジュデッカ島の女子刑務所で受刑者やアーティストたちと集いを持つとともに、若者たちとの集いやミサを通して、ベネト地域の教会を信仰面から励ますことを目的としている。

 訪問の最初にジュデッカ島の女子刑務所の受刑者たちとお会いになり、参加した受刑者をはじめ刑務官、ボランティアに対して、愛情を込めた挨拶をおくられ、「今回のベネチア訪問でまず初めにこちらを訪れたのは、私の心の中で皆さんの存在が特別な位置を占めているからです」と強調。この出会いが、「神の恵みのもとに、互いに時間と祈りと兄弟的な愛情を与え合う出会いの時となること」を希望された。

 さらに、この刑務所が、「過密な収容状況や、設備や予算の不足、暴力の発生など、多くの苦しみに満ちた厳しい現実を抱える一方で、相互の尊重と、それぞれの才能や能力を育てる配慮を通して心身の再生を可能にする場所でもあります」と指摘。この刑務所を会場にして行われ、受刑者たちも関わっている美術展のように、「自分や他者の思いがけない素晴らしさを再発見することで、刑務所生活を、勇気を持って自己を見直し、未来の計画を立て、忍耐強く再出発への基礎を一緒に築くきっかけとすることができます」と励まされた。

 また、職員や刑務官たちに「そうするためにも、刑務所のシステムは、受刑者たちに、人間的・精神的・文化的・職業的な成長の機会を提供する必要があります」と希望され、「尊厳を閉じ込めるのではなく、新しい可能性を与える」ことの重要性を説かれた。

 あいさつの最後に教皇は、「私たちの誰もが、赦され、癒されるべき過ちを持ち、誰もが、癒しをもたらす癒された者に、赦しをもたらす赦された者に、再生をもたらす再生された者になることができるのです」と述べられ、「今日、未来への信頼を、皆で共に新たにしましょう。『今こそ、恵みの時、今こそ救いの日』(コリントの信徒への手紙2・6章2節)と声をあげながら、一生を通して、日々、今から再出発しましょう」と呼びかけられた。

(編集「カトリック・あい」)

 

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2024年4月28日