☩「スマホをやめて、他の人たちに注意を向けよう」ベネチアでの若者たちとの集いで

Pope Francis speaks to young people in Venice

(2024.4.28 Vatican News  Devin Watkins)

    教皇フランシスコは28日朝、ベネチアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会(通称:サルーテ聖堂)前の広場で若者たちとの集いを持たれた。

 ベネチアで最初の訪問先となったジュデッカ島から船で広場に入られた教皇はあいさつで、「私たちは皆、神の愛される子供たちという偉大な賜物を受けており、神の喜びを他の人たちと分かち合うよう招かれています。孤独や誤解について不平を言うのではなく、どうすれば他の人を助けることができるかを考え、自分自身を他の人への贈り物にするように」と集まった約1500人の若者たちに呼び掛けられた。

*受胎告知を受けて聖母マリアがとった行動は「立ち上がって」「行く」

 あいさつで教皇は、「私たちが今日ここに集まったのは、主にあって私たちの美しさを再発見し、『若者を愛し、常に私たちを驚かせてくださる若々しい神』であるイエスの御名において喜ぶためです」とされたうえで、聖母マリアが神の母になると聞かされてすぐにとった二つの行動、「立ち上がって」「行った」(ルカ福音書1章39節参照)を取り上げ、「立ち上がってください、私たちは天国のために作られているのですから。 悲しみから立ち上がり、視線を上に上げてください。 ソファに座るのではなく、立ち上がって自分の人生の前に立ってください」と促された。

 そして、「立ち上がる」について、「毎朝、起きて、私たち一人ひとりが最初にすべきことは、小さな祈りを唱え、人生の賜物を神に感謝することです―神よ、私を自分の人生に夢中にさせてください。あなたは私の人生そのものです、と」と語られた。

 また教皇は、若者たちが世界を灰色に変える「抑圧的な惰性」と戦わなければならないことを認めたうえで、「主に私たちの手を取っていただけますように。主はご自分を信頼する人たちを決して失望させず、常に心を高めて赦してくださるからです」とされ、「私たちがつまずいたり間違いを犯したりしても、神は、私たちを『罰すべき悪人』としてではなく、『立ち上がらせるべき子供』と見ておられる。神は父として、私たちを迎えに来てくださるのです」と説かれた。

*スマホではなく他の人たちを見、テレビを消して福音書を開こう

 教皇はさらに、「私たちが眠りや罪から立ち上がった後は、忍耐の美徳によってイエスのうちに留まる必要があります。キリスト教徒は、一時的な感情や一時的な満足感に頼って生きるのではなく、ミサで共同体の中で祈ることによって、信仰と愛において共に耐え忍ぶよう求められています」とされた。

 そして、「あなたはこう言うかもしれません―『私の周りでは、皆が自分の携帯電話を持ち、ソーシャルメディアやビデオゲームに釘付けになっています』と。それでも、恐れることなく、流れに逆らわねばなりません。人生を自分の手に取り、関わってください。 テレビを消して福音書を開いてください。 携帯電話をやめて、人々と出会うようにして!」と強く求められた。

 さらに「ベネチアの運河を行き来するゴンドラのように、あなたがた若者は神の助けに任せ、流れに逆らって漕ぐべきです…。たとえその道が困難であっても、忍耐は報酬をもたらします」と説かれた。

*私たちは他の人たちへの贈り物だ

 次に教皇は、マリアの行動を表す2番目の動詞「行く」に目を向けられ、「『立ち上がる』ことが『自分自身を贈り物として喜んで受け入れる』ことなら、『行く』ことは『自分自身を贈り物にする』ことを意味します」とされ、 「もし人生が贈り物だとしたら、私は他人のために自分を捧げて生きるよう求められている、と言えます」と述べられた。

 続いて、教皇は、若者たちに、ご自分の創造に参加するように、という神の呼びかけを受け入れるよう求められ、「主の創造は、私たち自身が美の創造者となり、これまで存在しなかったものを創造するよう促しています… 人生は管理されることではなく、与えられることを求められます。 私たちは魂を麻痺させるソーシャルメディアの催眠術のような世界から抜け出さなければなりません」と強調された。

*人生の街路を福音で彩ろう

 

あいさつの最後に、教皇は若者たちに対し、心からの簡単な祈りを作り、「報われない人への愛のしぐさ」を捧げるよう促され、「神に心を開き、神に感謝し、自分がいただいた素晴らしさを受け入れてください。 自分の人生を好きになってください」とされたうえで、こう締めくくられた― 「では、行きましょう! 外に出て、他の人たちと一緒に歩きましょう。 孤独な人を探し、あなたの創造力で世界を彩り、福音で街路を彩ってください。立ち上がって、行きなさい!」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年4月29日