(2024.4.28 Vatican News Linda Bordoni)
ベネチア訪問中の教皇フランシスコは28日午前11時から、聖マルコ広場に参集した約1万500人の信者と共にミサを捧げられ、説教で「(主の賜物の)素晴らしさは、すべての人が手に入れられるものでなければなりません」とされ、出会い、包摂、そして私たちの”共通の家”、地球への配慮を呼び掛けられた。
説教で教皇はまず、「ベネチアは、最後の人から始めて全て人が利用できる素晴らしさのしるし、友愛と私たちの”共通の家”への配慮のしるしとなるよう求められています」と語られ、「私たちは、キリストに結ばれ続けることによってのみ、福音の果実を私たちの日々の暮らしにもたらすことができます。その果実とは、 私たちの環境と人類の遺産を守るために慎重に選択された正義と平和の果実、連帯と相互配慮の果実です」と説かれた。
そして、「私たちは、キリスト教徒の共同体、近隣の地域、都市が他者を心から迎え、受け入れ、もてなす場になるように努める必要があります」と付け加えられた。
また教皇は、ミサで読まれたヨハネ福音書(15章1-8節)でイエスが、ご自身をぶどうの木、弟子たちをその枝だ、とされ、「あなたがたが私に繋がっており、私の言葉があなたがたの内にいつもあるなら、望むものを何でも願いなさい。そうすればかなえられる。あなたがたが豊かに実を結ぶ」と語っておられることを取り上げ、「主との繋がりを決して断ち切らないように… ぶどう畑が良い実を結ぶために熱心な手入れが必要であるのと同じように、私たちの人生も神の愛の樹液によって養われて実りあるものとなるのです」と強調された。
*イエスと繋がることで、私たちは自由になる
教皇はさらに、ワイン生産に関わるベネチアの物理的および歴史的な活動は「島々や街の路地にある庭にあるたくさんのぶどう畑」を思い起こされ、 「ぶどうの木と枝のたとえ話のメッセージを理解するのは難しいことではない。イエスへの信仰、イエスとの絆は、私たちの自由な活動を阻害するものではありません。それどころか、私たちは、神の愛の樹液を受け取ることができ、私たちの喜びを倍増させ、熟練したワイン醸造業者のように私たちの世話をし、たとえ私たちの生活の土壌が乾いても芽が出るようにしてくれます」と語られた。
そして、このことは、「世界で最も美しい場所の一つとして、独特の景観を持つ、水上に築かれたこの都市を思い浮かべながら考えることもできます… ベネチアは、そこにある海と一体です。 自然環境への配慮と保護がなければ、存在しなくなる可能性すらあります。このようなベネチアと同じように、私たちの人生も、神の愛の泉に永遠に浸かっているのです」と教皇は述べた。
*行動するの中で成長する
また教皇は、今回のベネチア訪問のテーマ「キリストとの一致を保つ」に言及され、「これは、キリストとの繋がりで成長し、キリストと対話し、神の言葉を受け入れ、神の王国へのキリストの道を歩むことを意味します」と説明され、「それは私たちに継続的な成長、関与、そして行動を求めます。『 主のうちに留まる』ということは、弟子としての旅に出ることであり、そこで私たちは主の教えを受け入れ、主の愛を体現し、地域社会で正義、平和、連帯の実を結ぶのです」と強調。
そのうえで、ベネチアの独特の素晴らしさを守り、育てるために、教皇は、ベネチアの信者たちに緊急の行動を提起され、「 気候変動や環境悪化から社会の分断や文化の浸食に至るまで、ベネチアが直面する多くの課題」の解決に向けて、「環境と人類の遺産を保存するための慎重な選択」を求められて、説教を締めくくられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)