☩ウクライナの人々へ、「私はあなた方と共にいる、その証しとして、クラエフスキ枢機卿を現地に送る」と教皇

(2022.9.11 Vatican News  Stefan J. Bos & Devin Watkins)

 教皇フランシスコは11日、年間第24主日の正午の祈りで、ロシアの軍事侵攻を受け続けているウクライナの人々のために祈りを新たにされ、ご自身とカトリック教会がウクライナの人々と共にいることを証しするために、教皇庁支援援助省のコンラート・クライェフスキ長官(枢機卿)をウクライナに派遣している、と語られた。

*多くのウクライナの人々がロシア軍に殺害され、埋められていた場所で祈るクライェフスキ長官=Vatican NewsCardinal Konrad Krajewski prays at a mass grave in Ukraine

 教皇は、「私たちはウクライナ国民のために、主が彼らに慰めと希望を与えてくださるよう祈り続けます」と訴えられ、彼らと共にいる証しを示す具体的な行動の一環として、クライェフスキ長官を現地に派遣していることを確認された。

 長官の派遣は、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来4度目で、先週末から、ロシア軍によって破壊され、今も攻撃の脅威にさらされている南部のオデッサ、西部のジトミル、北東部のハルキウ、そして東部の諸都市などを回り、ロシアの侵攻開始から200日以上もの間、自らの危険も顧みず、現地で奉仕活動を続けている司祭、修道者たちや、苦難の最中にある人々を訪問、激励し、物心両面からの支援を行っている。

 また、教皇が今、最も懸念されているのは、ロシア軍の砲撃によって破壊され、重大事故の危機にあるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所だ。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日、同発電所の外部電源となる火力発電所内の送電施設が8日夜に砲撃されるなど、緊急時に必要となる外部電源の確保が困難になっていると指摘し「原子力事故の危険が増大している」とし、ロシアに対して、「直ちに砲撃を停止し、安全地帯を確立せねばならない」と訴えた。

ザポリージャ原発、全面停止 ウクライナ

*攻撃で被害を受けたウクライナ・ザポリージャ原子力発電所6号機の施設=国際原子力機関(IAEA)提供(2022年9月1日撮影)

 さらに、ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトムは11日、同発電所で唯一稼働していた原子炉6号機の運転を停止、重大な事故を未然に防ぐため、「冷温停止状態への移行に向け準備中」と発表したが、同発電所周辺での砲撃などが完全に停止してはおらず、危機は去っていない。

 また、同発電所は、ウクライナの総発電量の2割を占めており、すでに多くの国内の発電所が被害を受ける中での、稼働停止で、電力需要が増える冬に向かって同国が電力危機に襲われる可能性も高まっている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年9月11日