☩「神の義を求めるとき、正義と平和は尽きることのない清流のように流れる」9月1日の「被造物のための祈願日」に向けたメッセージ

ニカラグアの自然保護区でニカラグアの自然保護区で  (ANSA)

 教皇フランシスコは25日、9月1日のカトリック教会「被造物を大切にする世界祈願日」に向けて、メッセージを出された。

 今年のメッセージのテーマは、「正義と平和が流れるように」。旧約聖書・アモス書の「公正を水のように、正義を大河のように、尽きることなく流れさせよ」(5章24節)という言葉からインスピレーションを得たもの。

 教皇はメッセージの中で、「神は、私たちが生きていくために必要な水のように、私たちの生活に不可欠な正義が治めることを望んでおられる。この正義は、深すぎる場所に隠れず、また私たちを支える前に蒸発する水のようであってもならず、必要なところに現れなくてはなりません」と説かれている。

 そして、「神と人類と自然の正しい関係を保ちつつ、何もよりもまず神の義を求めるとき(マタイ福音書6章33節参照)、正義と平和は尽きることない清流のように流れ、人類とすべての被造物を養うことになるでしょう」と述べられている。

 教皇は、2022年7月、カナダ・アルバータ州で先住民たちの巡礼地の湖、ラック・サンタンヌを訪問された際、「自然の懐に包まれ、大地の鼓動に耳を傾けるよう招かれた」ことを思い起こされ、「私たち、被造物、神の、それぞれの心の鼓動は、今日、調和を失い、正義と平和において共に鼓動することがありません」と語れれ、「環境と気候上の不正義の犠牲者たちに寄り添い、被造物に対するこの戦争を終わらせなくてはなりません」と訴えられた。

 さらに、多くの川が干上がっている状況に、「世界に外的な砂漠が広がっているのは、”内的砂漠”がこれほどまでに広いからです」というベネディクト16世の言葉を引用され、「利己的な心によってかき立てられた貪欲な消費主義が、地球の水のサイクルを乱し、際限のない化石燃料の利用と森林の伐採が気温上昇を招きながら、深刻な干魃をもたらしている状況」を注視。

 アッシジの聖フランシスコが「姉妹なる水」と呼んだものが搾取され、「市場の法則に左右される商品となっている」ことに対し、「正義と平和を力強い川の流れにするためには、『私たちの心』と『ライフスタイル』、そして『公共の政策』を改めなくてはなりません」と強調された。

 また教皇は、聖ヨハネ・パウロ2世が唱えた「エコロジー的回心」の必要を改めて指摘され、ベネディクト16世の「『創造』と『贖い』が切り離せないものであること、を理解する急務の課題… 贖い主は創造主。私たちが神を、贖い主=創造主という、この完全な偉大さにおいて告げ知らせないなら、贖いの価値をも取り去ることになる」という言葉と共に示された。

 メッセージの終わりに、教皇は、キリスト教諸教会が参加する被造物保護のための祈りと行動の月間である「被造物の季節」の最終日でアッシジの聖フランシスコの祝日でもある10月4日に、カトリック教会の「共働性(シノドス性)」をテーマにした世界代表司教会議(シノドス)が始まることを念頭に置きながら、「無数の小川や水流が合流した大河のように、教会を構成する世界の様々な共同体や個人の意見を集めて行われるこの会議」に言及され、「『普遍の教会』とは、同じ水で育まれた数多くの地方教会や修道会や組織の交わりであり、それぞれの水源がかけがえのない貢献をもたらしながら、やがてはすべてが合流し、神の慈しみ深い愛の大海に注ぎ込んでいくものです」と語られた。

 そして最後に教皇は、「一つの川があらゆる動植物に命を与えるように、共に歩む教会がたどり着くすべての場所に、正義と平和の種をまくことができるように」と願われた。

(編集「カトリック・あい」=聖書の引用の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

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2023年5月26日