☩「希望を失うな、真の希望は期待を裏切らない」教皇、伊国営テレビで訴え

Pope Francis speaks with Lorena BianchettiPope Francis speaks with Lorena Bianchetti 

*イエスが話しかけてくださるように

 教皇はこの番組で、記者の質問に答える形で、まず、聖金曜日、受難の主日の当たって信徒たちに、「十字架につけられたイエスが、あなたの心に触れてくださるように、沈黙と痛みの中で、あなたに話しかけてくださるようにしましょう」と勧められた。そのうえで、ウクライナでの戦争、新型コロナウイルスの世界的感染、さまざまな悲劇の中での信仰を保つこと、そして女性の不屈の精神持つ女性の活躍など、幅広く語られた。

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*戦争のただ中で、希望の涙を流そう

 まず、記者から、今回の復活祭に対する願いは何であるかを尋ねられた教皇は、「内面の喜びを見つけることの重要性」を指摘されたうえで、「あらゆる荒廃の中にあっても、私たちは希望を持ち、喜びの涙を経験せねばなりません… 私の願いは、希望、期待が裏切られることのない真の希望を、失わないことです」と答えられた。

 ウクライナ戦争のただ中で迎える今年の復活祭で、「涙-喜び、慰め、そして希望の涙ーを流すように」と信徒たちに求められ、「私は確信し、繰り返して言います。私たちは、もっと泣く必要がある、と。人類は泣く方法を忘れている。ペトロに泣き方を教えてもらいましょう」と勧められた。そして、「私が学んだことの1つは、人が苦しんでいるときに、話しかけないこと」とも語られた。

 教皇は世界中で起きている戦争の悲劇に言及され、「特に、ウクライナではこれまでに、470万人以上の人たち、特に母親と子供たちが国外脱出を余儀なくされているとされています」と指摘。避難民と移民が人種や外見などで分けられて扱われていること、人種差別がされていることを非難され、「主イエスがエジプトの移民であり、避難民であったこと」を思い起こされ、“嫌忌病”にかからないように注意された。

*悪魔と対話をしないように

 これと関連して、教皇は「悪魔は神話ではなく、現実。悪魔は私たちをあざむき、罪に陥れようとしている」と強調。「悪魔とは、対話しないように。悪魔には全く善がありません。でも、私たちは、害をなす人たちとは対話する必要があります。彼らには、全の種があるからです」とされた。

 戦争という”醜い怪物”についても触れられ、戦車を使わなくても、破壊力のある別の形の争いをもたらす「搾取」についても警告された。

*女性は強い

 女性問題に触れた教皇は、「女性たちは強い存在です」とされ、「母親は、子供たち二一生、連れ添うことが出来る… 女性たちは、命を準備することの意味、死の意味を知っています。 その言葉を語る… そして、警鐘を鳴らします」と指摘。マタイ福音書に登場する総督ピラトの妻を例に挙げ、「彼女は夫のピラトに、『あの正しい人に関わらないでください』とイエスに死刑判決を下さないように忠告しました。師か日、ピラトは彼女の言うことを聞かなかった」とされた。

*「孤独」について

 また、多くの種類の孤独についても話され、2020年3月27日にサンピエトロ広場で開いた新型コロナ終息を願う祈りの会を思い起こされて「(いつもは信徒で一杯になる)聖ペトロ広場が空になるとは、思いもよりませんでしたが、これは「『孤独』について深く理解するように」との主からのメッセージでした」と回想された。

 そして、ご自分が教皇職を務めていて孤独を感じたことがあるか、との問いには、「いいえ。神は私に良くしてくださいます。ご自身の存在を感じます。私のしていることに、とても寛大です。おそらく、私が一人ではできないことをご存じだからでしょう」と答えられた。

 

*教会に影響を与える傷

 教皇はまた、教会に影響を与えているいくつかの傷に言及し、特に「世俗化の時勢」を非難され、「これが、教会を大いに傷つけています。教会が世俗化の時勢に取り込まれる時、打ち負かされてしまいます」と警告された。

聖金曜日午後3時、教皇は黙祷された

 番組の終わりに、質問者が、時間がイエスが十字架上で息を引き取られた午後3時であることに気づき、「この時間を私たちはどのように過ごすべきでしょうか」と尋ねると、教皇は答えず、数秒の間、沈黙の中で祈られた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2022年4月16日