☩「小さいことは一つの恵み」教皇、カザフスタンの教会を励ます

(2022.9.15 バチカン放送)

 カザフスタンを訪問中の教皇フランシスコは最終日の15日午前、首都ヌルスルタンのカテドラルで同国の司教、司祭、助祭、修道者、神学生、そして教会活動に携わる信徒たちとお会いになった。

 教皇はあいさつの中で、宣教者たちを通して古くから中央アジアにもたらされたキリスト教の歴史を振り返り、「この地に教会や巡礼聖堂、修道院などを築き共同体を育てていった先人たち、また信仰の伝承の主役であった多くの普通の人々、祖父母や両親のたちの記憶を大切に守るように」と促された。

 その一方で「過去の記憶は自分たちをその殻に閉じ込めるものであってはなりません」とも語られ、「過去の記憶を力に、未来に向けて自らを開いていくように」と励まされた。

 また教皇は、「心の貧しい人々は、幸いである」(マタイ福音書5章3節)とイエスが言われるように、「『小さい存在』であることは、謙遜に神の力に委ねることを教え、それゆえに、一つの恵みです」と、信徒が少数にとどまっているカザフスタンの教会を勇気づけられた。

 そして、「小さい者であることは、『自分の力だけでは生きていけない』ことを思い起させます。私たちは神を、他者を、異なる宗教の兄弟姉妹たちを、すべての善意の人々を必要としている。皆が共にいて、対話し、受け入れ合ってこそ、真に皆のための善を実現することができるのです」と説かれた。

 この集いで、教皇はカテドラルに新しく掲げられた聖母子画「ステップ(草原)の聖母」を祝別されたが、イスラム教徒の画家が制作したこの聖画は、同国における諸宗教の共存と対話を象徴するものとなった。信仰の遺産と証しを喜びをもって生きるよう呼びかけつつ、教皇はカザフスタンのカトリック教会を聖母の保護に託し、信者たちに祝福を与えられた。

 教皇と同国内でごく少数を占めるカトリック信者たちの「小さな群れ」との出会いは、聖歌や伝統楽器の調べに彩られ、温かい雰囲気に満ちたものとなった。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年9月15日