☩「私たちは平和のために、女性、若者を必要としている」教皇、世界伝統宗教指導者会議閉幕あいさつ

Pope Francis address the Congress in Nur-SultanPope Francis address the Congress in Nur-Sultan  (Vatican Media)

(2022.9.15 Vatican News   Francesca Merlo)

    カザフスタン訪問中の教皇フランシスコは15日、首都ヌルスルタンで開かれていた第7回世界宗教指導者会議の閉幕あいさつで、世界のすべての宗教と社会に対し、「世界平和の追求に、女性、若者を参加」させるよう促された。

 教皇はあいさつの冒頭、世界のきわめて多くの異なる地域から集まった会議参加者に感謝を表明。「私たちは、共にこの道を歩んできました。この会議における対話への献身は、新型コロナウイルスの世界的大感染による全世界への影響が愚かの極みである戦争によって混ざり合わされいる今、かつてないほど価値あるものでした」と語られた。

(2022.9.15 バチカン放送)

 「今日見られるあまりにも多くの憎悪と分裂、対話と相互理解の欠如は、このグローバル化された世界において危険であり、また恥ずべきこと」と話された教皇は、2002年にヨハネ・パウロ2世の呼びかけによりイタリアのアッシジで開かれた「世界平和のための祈願日」と、それをモデルに2003年カザフスタンで初めて開かれた「世界伝統宗教指導者会議」がこれまで伝統的な諸宗教の対話に貢献してきたことに言及。これらの機会が誕生した背景には、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以来、暴力的なテロが増加し、宗教が紛争の理由とされる危険を前に、皆が共に行動する必要があった、と振り返えられた。

 そして、今回の共同宣言にある、「過激主義、原理主義、テロリズム、その他、憎悪・暴力・戦争をあおるすべてのもの・動機・目的は、真の宗教精神と一切の関係がないものであり、断固として退けられるものである」という言葉を繰り返され、政治と宗教の健全な分離と共存の必要に触れつつ、「宗教の自由が常にすべての場所で保護されること」を願われた。

 さらに、「教会のすべての道は人間に結びつく」というヨハネ・パウロ2世の言葉を紹介され、「この言葉は、すべての宗教にあてはまるものです」とし、「人間は、単なる経済的な道具でも、切り捨て可能な存在でもない」と訴え、人を守り、育てる宗教の役割を強調された。

 加えて、教皇は、今回の共同宣言の中から特に「平和」「女性」「若者」をキーワードとして取り上げ、これらのテーマへの真剣な取り組みを今日そして未来のための重要課題として示された。

 「世界伝統宗教指導者会議」の閉幕で、カザフスタン訪問のすべての公式行事を終えた教皇は、ヌルスルタン空港に向かわれ、同空港から帰途に就かれた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年9月15日