教皇フランシスコは13日からオンライン形式で始まったラテンアメリカ修道者連盟主催の会議にビデオメッセージを送り、現地の文化に、喜びを持って福音を根付かせるように勧められた。
会議は“Toward an Inter-congregational, Inter-cultural, and Itinerant Religious Life(修道会の交わり、文化の交わり、そして巡回する宗教生活を目指して)”をテーマに3日間の予定で開かれている。
*福音を現地の文化に適応させる
メッセージで教皇は、修道者たちの現地での活動において、「福音をinculturate(キリスト教の信仰と伝統を、現地の非キリスト教文化に適応させていくこと=「文化的受肉」などとも訳される)すること、笑顔を持ち続けることの重要さ」を強調された。
教皇は、修道者たちには、信仰をinculturateするという特別の務めがある、とされたうえで、「一致とは均一にすることではなく、多面的な調和を図ることだ、と知ることは、私たちにとってとても良いこと。調和は、聖霊が始められたことなのです」と指摘。
*現地文化を福音化する
さ らに、男女の修道者たちに、「あなた方は、現地の状況に適応し、福音宣教の手段となる神学を育むのを助けることができます」とされ、「文化に根ざさない信仰は本物ではない、ということを忘れないようにしましょう。文化を福音化することを求めつつ、現地の人々の習慣や伝統に敬意を払い、信仰心のある人々の生活に入っていくうように」と促された。
そのような現地文化の受容がなされない場合、キリスト教徒の生活は、あまりにもちぐはぐで、愚かしい(注*霊と物質の二元論的な)グノーシス的なものに終わってしまいます」と警告。その実例として、典礼の誤用を挙げられ、「inculturate the faith and evangelize culture(キリスト教の信仰が現地文化を受容するように、現地文化が福音化するように)」務めるよう、会議参加者たちに勧められた。
*過去への郷愁、”数と効率”を捨てる
また教皇は、修道者たちは「巡回者であり、友愛の促進者」であり、その奉献生活を通じて「霊的交わりの専門家」である、と指摘。そうした価値を持つ存在であるにもかかわらず、修道会の中にはしばしば、会員数を気にし、「生き残ること」だけにとらわれる傾向がみられるが、「そうしたことは、古き良き日々の思い出に閉じこもる臆病な態度をもたらすだけです」と注意された。
そして、「”数と効率”という基準を捨てるのは、良い考えです。そうしないと、修道者たちは、いつもびくびくとしている”弟子”になり、過去に囚われ、郷愁に悩まされることになり得えます。“郷愁”は、 修道生活の”siren song(潜在的な危険を持つ誘惑の呼び掛け)”なのです」とも警告された。
*キリストと共にある喜び
意気消沈させる”郷愁”に対する”解毒剤”として、教皇は会議参加者の修道者たちに、「喜び」を示され、「神の聖なる民たちと共にいて、彼らを尊敬し、福音を伝え、彼らに証しし、その他は聖霊に任せるように」と語られた。
さらに、「”喜び”は、キリストと共にある生活の最も素晴らしい表現。神の聖なる民たちに奉仕し、父との出会いを目指す彼らと旅を共にするように呼ばれている私たちが提供できる最も素晴らしい証しなのです」と強調。「平和とユーモアの感覚は、”喜びの感覚を伴う恵み”。イエスと共にいることは喜び。その喜びは、神聖さにユーモアの感覚を持たせる役割を持っています」と説かれた。
最後に教皇は、会議参加者に聖母マリアに、彼らが「出会いと友愛の男性、女性」となるよう助けを求める祈りを勧められた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)