(2022.6.20 Vatican News Benedict Mayaki, SJ)
「コロナ禍で教会活動におけるソーシャルネットワークの有用性が明らかになった」ー教皇フランシスコが、イタリアのITジャーナリストFabio Bolzetta が編集した「デジタルの教会」(La Chiesa nel Digitale=Tau Editrice刊)の序文で、こう語られた。
*コロナ禍の教会
序文で、教皇はまず、新型コロナの大感染について「教会活動にも深刻な影響をもたらし、ミサ聖祭を共に祝うことも、病気の人たちの側にいることもできなくなり、『構成的な脆弱性』と対峙することを余儀なくされた」と語られた。
そしてその中で明らかになったのは、この苦難は、私たちが力を合わせれば切り抜けられる、という確信だけでなく、「技術的な手段とソーシャルネットワークがいかに有用であるか」ということだ、と指摘。
「最新の技術やソーシャルネットワークを使って、信徒たちに神の言葉を伝え、信徒たちがミサにオンラインで参加できるようにするなど、信徒と教会共同体の関係を維持するために数多くの取り組みがされている」、そして、ソーシャルネットワークは「人々が互いに連絡し合い、必要なことを伝え、孤独を感じないようにし、慈善活動を活性化し、再会を待ちわびながらネット上で顔を合わせるのに使われました」とその効用を述べた。
たしかに、この過程で「間違いや過ちもあったが、重要なのは、「これらの試みが、伝達者の積極支援ではなく、メッセージの伝達に主眼が置かれたときに、とても有用である、ということを私たちは認識せねばなりません」とし、「専門家の見方では、バーチャルな出会いの技術が頻繁に使われることで生まれた変化は、新型コロナウイルスの感染が収まった後も、続いて行く可能性が強い、とされています」と語られた。
*デジタル通信に関する教育
また教皇は、イタリア・ウエブマスター協会 (WECA) が過去二年間、新技術を通して、教会共同体とのつながりを維持し、司牧にデジタルの手段を活用できるように、あらゆる世代の司祭たちを助けてきたことを評価された。
出版されるこの本は、教会とデジタル・コミュニケーションに関する何十通りものアイデアを提供し、とくに、コロナ禍の緊急時において前向きに自発的な訓練を受ける必要のある司祭たちのために工夫されている。
「リスクとともにその重要性を認識して、デジタルの通信手段の活用を高めていくために、やるべきことは多い。“聴く”方法を学ぶためにやるべきことはたくさんあります。を利用する際に、これらのツールの使用に伴うリスクだけでなく、重要性を認識して一緒に成長するために、実際にやるべきことが多い。 聞く方法を学ぶために、小教区のウエブサイトを活性化することのできる”デジタル世代”の若者たちの参加を求め、訓練するために、やるべきことはたくさんあります」と教皇は書かれている。
*ウェブー出会い、聴くための空間
その一方で、教皇は「インターネットを通じての”仮想”の出会いは、実際に顔と顔を合わせる出会いの素晴らしさに取って代わることはできず、置き換わることはできない」としたうえで、デジタルの世界には「もっと人との意思疎通を図り、もっと人の話を聴き、分かち合う、新たな社交の形の主役になれるキリスト教徒も住んでいます」。そして、「その世界が、時として、大変な騒ぎ声とフェイク・ニュースによる汚染で覆われてしまっているように見えたとしても、webは”出会い、聴くための空間”にもなり得るのです」と強調された。
最後に教皇は、「私たちが本当に”ネットワーク”を築けるとしたら、仮想空間が取って代わるのでなく、私たちの生身の社会的関係のweb(くもの巣状に張り巡らされたネットワーク)のウェブを助けるとしたら、web(インターネット上で標準的に用いられている文書の公開・閲覧システム)が、私たちに孤独を感じさせることはないでしょう」と語られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)