☩「コロナ禍でも光を求める努力を」ー聖家族の祝日に教皇が「夫婦たちへの手紙」

新郎新婦を励ます教皇フランシスコ新郎新婦を励まされる教皇フランシスコ  (Vatican Media)

 「聖家族」の祝日を記念した12月26日、教皇フランシスコは「夫婦たちへの手紙」を発表された。

 書簡は、現在行われている「愛の喜びの家族年」を機会に記されたもの。「愛のよろこびの家族年」は、教皇フランシスコの使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」発表5周年にあたり、勧告についての考察を深めることを目的に、今年3月19日の聖ヨセフの祝日から始まり、2022年6月26日開催予定の「第10回世界家庭大会」まで行われている。

 教皇は手紙を通し、世界中の夫婦たちにご自身の寄り添いと愛情を伝えると同時に、特にパンデミックの困難な状況を生きるすべての家族に励ましをおくられた。

 創世記で、アブラムが主から受けた召命に応え、「生まれ故郷、父の家を離れて」主ご自身が示される地に旅立った(12章1節参照)ように、「すべての夫婦は、結婚の愛への召し出しに応え、相手のために尽くすことを決意した時から、自分の環境を離れて旅立つことになります」と教皇は記された。

 さらに、教皇は「結婚の道を共に歩むことはすでに婚約時代から始まり、結婚後は、子の誕生、仕事、病気など様々な出来事に共に立ち向かうことになりますが、神が約束されるその地とは、キリストにおいて夫婦であること、二人で一つであること、イエスと共にある、愛の一致において、一つの『私たち』となること、です」と強調。

 子どもたちについて、「子たちはあなた方を注意深く見つめ、あなた方の中に堅固で信頼できる愛の証を探しています…若者たちにとって、夫婦愛の中に生きたキリストの愛を自分の目で見ること、夫婦の日常生活の中に『永遠の愛は可能だ』という証しを見ることはいかに大切なことでしょう」と述べられた。

 そして、「確かに子育ては決して容易なことではありませんが、『子もまた、親を教育するのだ』ということを忘れてはなりません」と指摘。「最初の教育の場は常に家庭であり、そこでは言葉よりも小さな態度が、より多くを伝えるのです」とされた。

 教育とは、「何よりも子の成長の過程に寄り添うこと。子らは親への信頼の中に安心を求めています。家庭生活の素晴らしさ、『何が起きても自分は決して一人ではない』という確信が、子どもたちを助けます」と説かれた。

 また教皇は、教会における信徒のミッションの重要性に触れつつ、「夫婦たちが小教区や教区の中で司教・司祭らと協力して家庭司牧に積極的に参加し、『家庭教会』を守ることに貢献すること」を願われた。

 結婚への召命については、「時には『荒れた海に揺れる舟への招き』のように思われるが、婚姻の秘跡を介して、イエスは常にこの舟に一緒に乗っておられ、あらゆる時に、船が波に翻弄されている時にも、あなた方と共に船に残り、皆さんのためを思っておられます」と励まされた。

 また教皇は、新型コロナ大感染の影響を強く受けている家族たちの困難に思いを向け、特に、「共ににいる時間が増えたことは、家族の対話を育む一方で、多くの忍耐を養う機会ともなるでしょう。家族が共にいることが、苦行ではなく、嵐の中の避難所のようであって欲しい」と希望され、「…してもいいですか」「ありがとう」「ごめんなさい」の三つの言葉を忘れず、喧嘩があってもその日のうちに和解するように、夫婦たちに助言された。

 さらに、夫婦の関係が破綻し、どうしてもその危機を克服できなかった人々にも心を寄せられ、「夫婦関係の破綻は多くの傷をもたらし、子どもたちもその苦痛を免れられない。こうした場合、対立を何らかの形で克服し、自分たちと子らがこれ以上の苦しまないために、助けを求め続けることが大切です」と語られた。

 「主イエスは、その限りない慈しみをもって、夫婦たちに困難を超えて前進するための心の励ましを与えてくださいます」とされた教皇は、「イエスの中に身を寄せる場所、歩み続けるための光を祈り求めることをやめないよう励ますとともに、すべての傷を癒やすのは『赦し』であることを忘れないように」と忠告された。

 また教皇は、結婚を準備している若者たちが、以前から、仕事を見つけることが難しく、未来を計画できない状態に置かれていたことに加え、今日、新型コロナの影響で、さらに困難な状況に立たされていることに理解を示され、婚約者たちに対し、「諦めることなく、聖ヨセフの『創造的な勇気』に学ぶよう、また、結婚や家庭生活の経験豊かな人々や、教会共同体に、助けを求めることをためらわないように」と励まされた。

 最後に教皇は、新型コロナの影響で孤立した生活を強いられている祖父母たち、特に孤独な高齢者たちに、特別な挨拶をおくられ、「家庭は祖父母なしで存在することはできません。人類の生きた記憶であるお年寄りたちこそ、より人間的で受容的な世界の構築を助ける存在なのです」と強調された。

 そして、「聖ヨセフがすべての家族に創造的な勇気を与え、聖母が夫婦生活を通して今日の対立する世界に出会いの文化を生み出すことを助けるように」と願われ、「いかなる困難も主と共に歩む者たちの喜びを奪うことはできません… 司牧者や他の家族たちは、皆さんの存在、皆さんの主から来る喜びを必要としています」と訴えられた。

(編集「カトリック・あい」)

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2021年12月28日