(2020.9.6 Vatican News Devin Watkins)
教皇フランシスコは6日、年間第23主日の正午の祈りの説教で、この日のミサで朗読されたマタイ福音書の「罪を犯した兄弟に忠告するように、というイエスの勧め」(18章15~20節)を取り上げ、(注:悪意のある)うわさ話は教会を壊すが、兄弟愛を持って過ちを正すことは教会をしっかりしたものにする、と話された。
*罪を犯した兄弟姉妹を正す三つの方法
説教で教皇はまず、この箇所で、私たちはキリスト教徒の生き方の二つの側面を考える必要がある、一つは「仲間を守ること」が要求される「共同体の一員」の側面、もう一つは、「一人ひとりの良心に注意をはらい、尊重すること」が義務とされる「個人」の側面、とされたうえで、イエスは、「罪を犯した兄弟、あるいは姉妹を正すための三つの方法を示されました」と述べられた。
*第一の方法:一人で諭す
兄弟姉妹が自分に罪を犯したら、まず、その人を個別に諭すように、「裁くのではなく、自分がしたことを認めることができるように助ける」こと。
教皇はこれが容易ではないことを認め、 「諭そうとしても、相手がまともに反応してくれないのではないか、という恐れがあります。それは、時には、あなたに自信がないからかも知れないし、他の理由があるかも知れません」と語られた。
*第二の方法:第三者の助けを求める
相手が諭しを聞き入れない場合は、他の姉妹や兄弟たちの助けを求めるように、とイエスは言われる。
教皇は、この第二段階は、「誰かを非難するために、2人または3人の証人の存在が必要、としたモーセの律法とは違います… 複数の証人を呼ぶのは、相手を非難し、裁くためではなく、助けるためなのです」と注意された。
*第三の方法:教会に申し出る
複数の証人を同席させても、相手が罪を犯したことを認めないなら、教会共同体にこの問題を持ち込む。
「それは、他の兄弟姉妹に影響を与える可能性がある。相手を立ち直らせるために、もっと大きな愛が必要とされます」と教皇は語られた。
*そして最後の方法は
だが、教会の言うことも聞き入れないなら、「その人を異邦人か徴税人と同様に見なしなさい」とイエスは言われる。
教皇は、「この言い方は、相手を軽蔑しているように受け取られる可能性があります。しかし、実際には、このような思い切った言い方は、その兄弟姉妹を神の手に委ねるように、私たちを促している。天の父だけが、全ての兄弟姉妹の愛を合わせたよりも大きな愛を、その人に示すことができるからです」と説かれた。
さらに「(注:この箇所ではイエスが異邦人や徴税人たちを悪く言っているように、見えるが)実際には、イエスは異邦人と徴税人を進んで受け入れ、当時の”伝統主義者”たちの反発を買っています」と指摘された。
*悪意あるうわさ話は共同体を傷つける
続いて教皇は、私たちが、罪を犯した兄弟姉妹に愛を持って正すことをせず、(注:その人を非難するような)うわさ話をする道を選んだ時、何が起きるか、に言及した。
「兄弟や姉妹が失敗したり、間違いを犯したりしたのを知った時、私たちがまず、するのは、そのことを他の人に話すこと。悪意のあるうわさ話をすることです… うわさ話は共同体の正常な動きを止め、傷つけます。”偉大なうわさ話の語り手”は悪魔だからです」とされたうえで、教皇は「うわさ話をしないように頑張りましょう。うわさ話は、新型コロナウイルスよりも悪質な感染症です」と強調された。
*兄弟姉妹愛のある諭しの健全な慣行を
最後に教皇は、聖母マリアが、兄弟姉妹愛を持って諭そうとする私たちを助けてくださるように、と次のように祈られた。「健全な慣行によって、私たちの共同体に、新たな兄弟姉妹愛的な関係が、互いの赦し合いと、何よりも神の慈しみの無敵の力を基礎に、築かれますように」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)