☩「起き上がれ、そして生活の中でイエスの証人となれ」教皇の世界青年の日へのメッセージ

(2021.9.27 Vatican News By Devin Watkins)

 教皇フランシスコが27日、今年11月21日の「Diocesan World Youth Day(教区の世界青年の日)」に向けたメッセージを発表され、「聖パウロの足跡をたどり、勇気を持ってイエス・キリストを証しするように」と呼びかけられた。

 第36回となる世界青年の日は、2023年にポルトガルのリスボンで予定される世界大会を視野に入れる形で、世界中の教区で祝われることになっている。

 教皇は、メッセージのタイトルを「起き上がれ…あなたが見たものの証人となることを、あなたに命じる」(使徒言行録26:章16節参照)とされ、本文で、特に新型コロナウイルスの世界的大感染によって深刻な挫折と困難を経験する中で、若者たちが世界で果たさなければならない重要な役割があることを強調された。

 そして、多くの若者が、家庭の問題、失業、鬱病、孤独、そして薬物中毒などを経験しているが、「新型コロナ大感染の経験は、『連帯』を進めようという美徳も明らかにています」とされ、「若者たちが倒れるときには、ある意味で人類すべてが倒れてしまう。しかし、若者たちが起き上がれば、まるで全世界も立ち上がるように見えるのも、事実です。ですから、皆さんは『起き上がって』、その情熱と熱意で世界が新たに始まるのを助けるようにしてください」と若者たちを励まされた。

*「実名」でのイエスとの出会いが人生を変える

 さらに、教皇は、今回のテーマが取られた使徒言行録26章について考察されたー聖パウロがアグリッパ王の前で弁明する中で、自分の回心の経験を物語を語っている。回心を経験した当時、パウロはキリスト教徒迫害の先頭に立っていたが、ダマスコに向かう途中で、明るく輝く光に打たれ、イエスが「サウル、サウル」と自分の名を呼んで話しかけるのを聞いた(12‐14節)。

 「パウロが経験したように、キリストとの匿名ではなく、実名での出会いだけが人生を変える…この恵み、この不相応な、無条件の愛は、サウルの人生を根本的に変える光となります」と教皇は説かれた。

*教会、兄弟姉妹を知らずにイエスを知ることはできない

 呼び掛けを聞いた聖パウロは「主よ、あなたはどなたですか」(15節前半)と尋ねるが、「これは、私たちも遅かれ早かれ、しなければならなくなる問いかけ」であり、祈りとはいったい何なのかーイエス・キリストとの個人的な対話、関係を結ぶことにつながる問いかけだ、とされた。

 パウロの問いかけに対して、イエスは「あなたが迫害しているイエスである」(15節後半)と答る。教皇は「パウロは自分がキリスト教徒を迫害する立場にあると確信していましたが、イエスは、彼に、自分が教会と一つの体であることを悟らせます」とし、「教会を知らなければ、イエスを知ることはできません。そして、イエスの共同体の兄弟姉妹を別にして、イエスを知ることはできません。信仰の教会的側面を経験しない限り、私たちは自分を完全なキリスト教徒だ、と言うことはできないのです」と語られた。

 

*ソーシャル・メディアにのめり込み本来の自分を忘れてはならない

 また、教皇は、「イエスは、サウルを選ぶことで、神の目には誰も失われない、すべての人が、そのことをよく考えるなら、神の愛の火が心の中で燃えているのを感じることができるのだ、ということを、私たちに教えておらます」とされた。

 パウロはイエスと出会った時、天からの強い光を受けて、地面に倒れ、一時的に目が見えなくなる。「それは、主が彼のこれまでの行為の誤りを明らかにし、本来の姿に戻るよう彼を謙虚にしたからです。そして、彼は、回心のしるしとして、『サウル』という名を”小さい者”を意味する『パウロ』に変えました」と語られた。

 これと関連して、教皇は、「現実離れした自分のイメージ」を描こうとソーシャルメディアに多くの時間を費やしている現代の若者の実態を取り上げ、「真昼の太陽であるキリストは、私たちを啓発し、私たちに自分の真の姿を取り戻させ、すべての”仮面”から解放するために、来られます。キリストは私たちが誰であるかをはっきりと示しています。まさに彼が私たちを愛するなさり方だからです」と強調された。

*パウロが「迫害者」から「偉大な証人」に変わったように、あなたがたも

 主との出会いの後、パウロはダマスコに導かれ、そこで祈りと沈黙の時を過ごし、イエスとの新たな関係を深める(19‐20節参照)。

 教皇は、若い信徒たちに、パウロの模範に従うように促し、「パウロは、その若々しい情熱と力を『地球の果てまでの福音を伝える先駆者』としての熱意に変えました。主が彼に信頼を置き、パウロは『諸国民の使徒』として知られるようになりました。神の思いが、最悪の迫害者を偉大な証人に変えるたのです」とされ、「あなた方も、”立ち上がって”、イエス本人と、私たちの壊れた心を癒すイエスの力、を証しする使命を受け入れるように。主、教会、教皇は、あなたがたを信頼し、現代の『ダマスカスへの道』で出会う若者たちすべての前で証しするように求めます」と呼びかけられた。

*皆、起き上がれ!そしてキリストを証ししよう!

 メッセージの最後を、教皇は、今年11月の世界の教区での「世界青年の日」に備える若い信徒たちに送る以下の言葉で締めくくられた。

-起き上がれ!落ち込んだり、何かにはまり込まないように。使命があなたを待っています!あなたも、自分の人生でイエスがなさろうとしていることを証しすることができるのです。イエスの名において、私はあなたがたに願います。

-起き上がれ!あなた自身が、光に出会い、目が見えなくなった経験を証ししてください。自分自身、他の人、そしてすべての孤独が克服される教会の交わりの中で、神の善と美を見てきとことを。

-起き上がれ!愛と尊敬を証し、人間関係、家庭生活、親と子の対話、若者と高齢者の対話にそれを反映できるようにしてください。

-起き上がれ!社会的正義、真実と誠実、人権を鼓舞してください。迫害された貧しい人々や弱い立場にある人々、声を上げることのできない人々、移民たちを守ってください。

-起き上がれ!驚きに満ちた目で創造物を見、地球を私たちの「共通の家」とし、地球環境全体の保護を進める勇気を与える新しい見方、を証ししてください。

-起き上がれ!証ししてください。人生に失敗しても作り直せることを、霊的に死んでも、また新たに立ち上がれることを、束縛されている人が再び自由になれることを、悲しみに打ちひしがれた心が再び希望を見出せることを。

-起き上がれ!キリストが生きておられることを喜んで証ししてください!キリストの愛と救いのメッセージを、あなたの周りに、学校、大学、職場、デジタルの世界、あらゆる場所に広めましょう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年9月28日