
(2022.8.15 カトリック・あい)
教皇フランシスコは14日、年間第20主日の正午の祈りの説教に続いて、「アフリカのソマリアとその周辺国の人々を苦しめている人道危機」に注意を向けられた。
教皇は「この地域の人々は、すでに政治、社会、経済的に極めて不安定な状況に置かれ続けていますが、干ばつによって、致命的な危機にさらされています」と警鐘は鳴らされた。
そして、「国際的な連帯が、この緊急事態へ効果的に対応できるように願っています。悲しいことに、(世界の他の地域も含めて起きている武力による)紛争に、国際的な注意が集まり、支援もそちらに回っていますが、飢餓への戦いにも最大限の関与が求められているのです」と訴えられた。
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国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とノルウェー難民評議会(NRC)は11日に共同声明を出し、「歴史的な干ばつに見舞われているソマリアで約100万人が飢餓の危機に瀕している」と警告。「100万人のうち75万5000以上が国外に逃亡もしくは国境付近で助けを求めている」と国際的な緊急支援の必要を訴えた。
ソマリア、エチオピア、ケニアなどの東アフリカ諸国はこの50年で最悪の大干ばつに見舞われており、ソマリとケニアの一部地域では5年以上雨が降っていないが、UNHCRによると、これまでに例を見ない干ばつによる食料不足にロシアのウクライナ軍事侵攻による食料価格高騰が重なって、ソマリアで危機的な飢餓に直面している人々の数は、今後数か月以内に500万人から700万人を超える可能性が高い。
国連食糧農業機関(FAO)も「人道支援が最も脆弱な人々に届かなければ、9月までに8つの地域で飢饉が発生し、壊滅的な結果をもたらす」とし、「飢饉が起きる前に行動を起こす必要が重要」と強調しているが、ソマリアなどへの援助資金は思うように集まっていない。
加えて、ソマリアではイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」などによるテロ攻撃が激化しており、危機に拍車をかけている。