
(2024.1.29 Vatican News)
教皇フランシスコは29日付けのイタリアの最有力日刊紙「La Stampa」とのインタビューで、「世界は奈落の瀬戸際にある」と警告。
世界中で起きている戦争の停戦を改めて呼びかけ、とくにガザ地区で悲惨な状態が続いているパレスチナ問題について「(1993年の)オスロ合意で、(イスラエルとパレスチナ自治政府の)二国家共存が明確にされています。これが履行されない限り、この地域での真の平和は実現しない」と言明された。
インタビューで教皇は、世界中で今も続いている多くの戦争に触れ、「対話が平和な未来に向かう唯一の道」という信念を改めて表明され、世界のすべての人に「平和を祈る」ように、そして、これらの戦争のすべての関係者に対し、「爆弾とミサイルによる攻撃を直ちに停止し、敵対的な態度を止める」ように、さらに、「私たちは今、奈落の淵に立たされている」として「世界的な停戦」を呼びかけられた。
また 教皇は、いかなる戦争も「正義」と定義することはできない、とされ、「自らを守ることを、正当だと主張することはできても、戦争を正当化することは避けるべきです」と強調。
そして、中東全域への紛争拡大に懸念を表明しつつ、「(停戦で)合意に達するために、(当事者間で)非公式な会議が行われており、(良い結果をもたらすことを)希望しています」と語られ。
関連して教皇は、エルサレム・ラテン教会の総大司教、ピエルバティスタ・ピッツァバラ枢機卿を「活動的に」調停に努めている「重要な人物」とされ、 ご自分もガザ地区のカトリック聖家族教会の人々と毎日ビデオ電話で話していると述べ、さらに「(ハマスによる)イスラエル人人質の解放」を優先事項と考えていることを明らかにされた。
ロシアによる攻撃が続くウクライナに関しては、イタリア司教協議会会長のマッテオ・ズッピ枢機卿の教皇特使としての任務を指摘。「バチカンは今、(特使を中心に)ロシア、ウクライナ両軍の捕虜の交換とロシアに捕らえられているウクライナの人々の帰国実現を仲介しようとしています」とされ、 「特に、ロシアに強制連行されたウクライナの子どもたちの解放、帰国に、ロシア政府の『子どもの権利委員』、マリア・ロバ・ベロワ夫人と協力しています。すでに家族の元に戻った子どもたちもいます」と語られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)