(2023.4.28 Vatican News Christopher Wells)
ハンガリー訪問中の教皇フランシスコは28日夕、首都ブタペストの聖ステファン大聖堂で、同国の司教はじめ司祭、助祭、修道者、神学生たちと会見され、「私たちの未来」である復活されたキリストに焦点を当てた講話で、率直さと「預言的な魂」をもって、多くの問題を抱えた現代と向き合うことのできる「識別の恵み」を受ける必要を強調された。

講話で教皇はまず、現代世界の課題に直面している聖職者たちに、「悲惨な敗北主義」と「世俗的な順応主義」という相反する2つの誘惑に陥らないように警告された。
そして、教会には福音に基づく「預言的受容性」が求められており、それによって「識別力の恵みが与えられ、私たちが自分の時代に率直に、そして預言的な精神をもって近づくことができるようにすること」を強調。
キリストがイチジクの木のたとえ話をされた福音書の箇所を挙げて、「私たちは、時代のしるしに心を開き、現代世界の変化と課題を、主が来るべき時を指し示す実り豊かな樹木として見るように求められています」と説かれた。
続けて、「ハンガリーには、世俗主義、物質主義、快楽主義、二極化などの問題があり、それらが、特に家族や若者を脅かしています」とされ、「それでも、こうした問題は、教会を助けることができる。なぜなら、私たちの信仰を強め、現代の問題をより深く理解する機会を提供するからです」とベネディクト 16 世教皇の言葉を引用して語られた。
そして、「召命の危機」や「教会内部での分裂」など、教会が直面しているさまざまな試練を挙げたうえで、「司牧者が最優先すべきことは、『霊的交わりを証しする』こと。神は霊的交わりの方であり、兄弟愛のあるところにはどこにでもおられるからです」と指摘された。
講話の終わりに教皇は、「私たちが熱望せねばならない教会は、互いに耳を傾け、対話し、最も弱い人々の世話ができる教会、 すべての人を歓迎し、勇気をもって福音の預言的なメッセージを伝える教会です」とされ、ハンガリーの教会指導者とすべての信徒に対して、人々を歓迎し、福音の預言的メッセージを証しし、何よりも「祈りの人」となるよう強く勧められた。そして、「あなたがたの心が決してくじけず、常に大いなる喜びを持って前進し続けることができますように」と祈られた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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