◎新・教皇連続講話「聖ヨセフ」⓵私たちの時代の模範、証人

Pope Francis at the General AudiencePope Francis at the General Audience  (Vatican Media)

(2021.11.17 Vatican News Christopher Wells)

   教皇フランシスコは17日、水曜恒例の一般謁見で、先週終了した「ガラテヤの信徒への手紙」をテーマとした連続講話に続いて、「聖ヨセフー私たちの時代の模範、証人」をテーマとした講話を始められた。

 新たな連続講話を始めるにあたって、教皇は「かつてないほど、世界的な危機に見舞われている今の時期に、聖ヨセフは助け、慰め、そして導きを私たちに提供してくれる」と述べ、カトリック教会の保護者として宣言されて150周年を記念した「ヨセフの年」が終わりを迎える12月8日を前に、「聖ヨセフの模範と証しによって、残された期間が私たち啓発に一層、役立つことを願っています」と語られた。

 

*信仰に満ちた男

 教皇は講話の中で、まず、旧約聖書の創世記に登場するヤコブの息子、ヨセフの姿を思い起こされ、「ヤハウェが増し、成長しますように」を意味するヘブライ語の「ヨセフ」という名前は、神の摂理への信頼を基礎に置いた「特に出産と子育てに向けられた願いと祝福」であり、「これは、『神への信仰、神の摂理に満ちた人』という、ナザレのヨセフの人格の本質的な側面を明らかにしています」と説かれた。

 さらに、聖ヨセフと関わりを持つベツレヘムとナザレを取り上げ、「これらの場所は、この聖人について私たちが理解するうえで、重要な役割を担っています」と指摘。

 ベツレヘムはヘブライ語で「パンの家」、アラビア語では「肉の家」を意味し、「どちらも受肉と聖体に照らして重要性に満ちた表現です。ベツレヘムはまた、この地からのメシアの到来を予告したミカの預言とともに、ダビデ王の曽祖母であるルツのことを思い出させます。

 またエルサレムは、「主に愛された都、聖なる都」だったが、聖ヨセフと最も関係の深い場所は、「喧噪や時代の権力から遠く離れた」郊外の村だった。 教皇は、「ベツレヘムとナザレがヨセフと深い関係を持つ場所として選ばれたのことは、社会の”周辺部”が神によって好まれているのだ、と私たちに教えてくれます」とされ、 「この事実を真剣に受け止めないと、福音と神の働きを真剣に受け止めることはできません」と指摘された。

*社会の周辺部に

 イエスは、社会の周辺にいる人たち、罪人だけでなく、「悪を行わなかったが、悪とされているものに苦しんだ人々、つまり、病気の人、飢えている人、貧しい人、欠乏している人」を求めて出かけていかれる。教皇は「その当時と同じように、現代にも社会には中心部と周辺部があります。そして周辺からの福音を宣べ伝えるように召されていることを、教会は知っています」と語られた。

 そして、聖ヨセフはその教会の模範であり、「彼は、他の人が捨てたものに特別な重要性を与えることを、私たち一人一人に思い起こさせます。その意味で、聖ヨセフは、真に”本質の達人”です。真に重要なことは、私たちの注意を引くことではなく、評価されるべき忍耐強い識別だということです」と説かれた。

 講話の最後に教皇は、「全教会が、このような洞察力を取り戻すことができますように」とヨセフの仲介を祈られ、「私たちもベツレヘムから出直しましょう。ナザレから出直しましょう」と信徒たちに呼びかけられた。さらに、地理上、あるいは事実上の”周辺部”に住むすべての人たちに対して、「あなた方が、聖ヨセフの中に、証人と保護者を見つけることができますように」と祈られた。

 そして、以下の聖ヨセフへの祈りで締めくくられた。(以下、公式英語訳)

Saint Joseph,
you who always trusted God,
and made your choices
guided by His providence
teach us not to count so much on our own plans
but on His plan of love.

You who come from the peripheries
help us to convert our gaze
and to prefer what the world discards and marginalises.

Comfort those who feel alone
and support those who work silently
to defend life and human dignity. Amen.

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2021年11月17日