☩「善を行なう人は”永遠”に投資する」年間第33日主日の正午の祈りで

(2021.11.14 Vatican News  Linda Bordoni)

  教皇フランシスコは14日、年間第33主日の正午の祈りの説教で、形ある物と外見のはかなさを指摘され、神の御言葉に基礎を置いて人生を送るように、信徒たちに促された。

 説教で、この日のミサで読まれたマルコ福音書の「いちじくの木の教え」(13章24‐32節)を取り上げ、この箇所で、「イエスは、ご自分の言葉以外はすべて過ぎ去っていく、と私たちに告げられ、『善は決して失われない。永遠に続く』のであるから、地上に天国を建てことに励むよう、勧めておられます」と強調。

 また、この箇所の前半でイエスは、「太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ちる」(13章24‐25節)と警告されているが、教皇は「イエスは、終末論者ではなかった。この言葉の狙いは、神の愛と福音の救いのメッセージ以外のこの世のものは、遅かれ早かれ、すべて過ぎ去るのだ、と私たちに理解させることなのです」と説かれた。

*人生で重要なことは

 そして、「このたいせつなメッセージは、私たちを人生の重要な決定に導きます」とされ、「すぐ満足させられるものに価値を置きすぎないように、お金、外見、物質的な満足感など、過ぎ去るものに執着しすぎないように。忍耐を持って、目先のことを超越し、善を行なう人生を築き上げることが重要です」と信徒たちに強く勧められた。

 「イエスが”招待”されているのは、砂の上にあなたの人生を築くことではありません。イエスによれば、忠実な弟子とは、彼の言葉である岩の上に人生を見出す者なのです」(マタイ福音書7章24‐27節参照)と指摘され、また聖パウロの言葉を引用して「愛は決して滅びません(コリントの信徒への手紙1・13章8節)」とされ、「善を行う者は、”永遠”に投資しているのです」と語られた。

 

*地上に天国を築く

 「心が広く、親切で、柔和で、忍耐強い人、妬まない、うわさ話をせず、自慢せず、高ぶらない、誇りを振り撒かず、礼を失しない人(コリントの信徒への手紙1・13章4‐7節参照)。そのような人は、地上に天国を築きます。彼らは注目されず、出世することは無いかも知れないが、決して迷うことはない。善が失われることは決してなく、永遠に続くからです」と言明された。

 教皇は続けて、「イエスの言葉を基礎に置いた人生を送ることは、歴史からの逃避ではなく、愛をもって変容させるために、この世のもろもろの現実に没頭し、永遠のしるし、神のしるしを刻印すること」とされ、これを念頭に置いて重要な選択をするように信徒たちに求められた。

 そして、「決断する前に、私たちが人生の終わりにイエスの前に、愛である方の前に立っていることを心に描いてみましょう。イエスがおられ、永遠の入り口にいる自分を思い描き、今日の決断をします。とても容易でない、とても即決できるものではないかも知れないが、正しい決断となるでしょう」と語られた。

*キリストは貧しい人々の中におられる

 聖母マリアの祈りの後、教皇は、14日が5回目の「貧しい人のための世界祈願日」であることに注意を向けられ、それが2015年12月から2016年11月の「慈しみの特別聖年」を受けて設けられたことを改めて指摘されt。

 そのうえで、「キリストは貧しい人々の中におられます。そして、貧しい人々の叫びは、地球の叫びと結ばれて、グラスゴーで開かれた国連気候変動サミット(COP26)で響き渡りました。私は、世界に政治的、経済的責任を持つ人たちが、勇気と先見性をもって今、行動するように訴えます」と述べるとともに、「貧しいのための世界祈願日」である14日に、統合エコロジーを促進する「ラウダートシ・アクションプラットフォーム」への登録が開始されることに関心を向けられた。

*「ラウダート・シ・アクションプラットフォーム」への登録受け付け開始

 「ラウダート・シ・アクションプラットフォーム」は今年5月に教皇が設置を発表されたもので、今後7年間にわたって、総合的なエコロジーの精神に基づき、持続可能な世界を実現していくために、「家族と個人」「小教区と教区」「教育機関」「医療機関」「信徒グループや市民団体」「経済セクター」「修道会」に対して、七つの目標ー「地球の叫びへの応答」「貧しい人々の叫びへの応答」「エコロジカルな経済」「持続可能なライフスタイルの採用」「エコロジー教育」「エコロジカルな霊性」「共同体としての取り組みと参加型の行動」を呼びかけるもので、14日から、登録の受け付け(https://laudatosiactionplatform.org/register/)を始めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2021年11月14日