*人生のすべての段階の人々の一致
そして、教皇は「移民・難民問題と並んで、高齢者の問題、今、人類家族が直面している最も緊急の問題の1つです… (高齢者の増加は)単なる『量的変化』の問題ではなく、『人生のさまざまな段階にある人々の一致が危機に瀕している』ことを意味するのです」と指摘。「ですから、人生全体として理解し、正当に評価することの重要性、そして人生のさまざまな段階にある人々の間の友情と協力の必要性か。それとも、または分離と廃棄か。どちらが優先されるのでしょう」と問いかけられた。。
さらに、「今日の社会では、子供、若者、大人、そして同居している高齢者の割合が変化している。高齢者が大勢になり、人間世界の大きな部分を占め、子供たちは少ししか授からなくなっています」とされ、「この不均衡は多くの問題を生んでいます。今日の支配的文化が唯一のモデルとしているのは、常に若いままでいる独立独行の個人です。 人間の理想を具現化するのにふさわしい唯一の年齢としての若さへの称賛は、虚弱で、衰亡し、障害としての老年への蔑視と相まって、20世紀の全体主義の支配的なイメージとなってきました。そのことを忘れてはなりません」と警告された。
*人生と共同体社会の感覚
85歳の教皇は、「現代の人々が長寿になってきているという事実は、個人、家族、社会の歴史に構造的な影響を及ぼしている。しかし、私たちは人生の精神的な質と共同体の感覚がこれに対応しているかどうか、自問する必要があります」と指摘。
そのうえで、「高齢者は『長生きしていること』を謝罪する必要があるでしょうか。それとも『すべての人の人生の意味に貢献した』ことを光栄に思うべきでしょうか?」と問われた教皇は、「残念ながら、いわゆる”進化した文化”では、人生の意味とはほとんど関係がないようです。老後の人生には特別な内容がないものと見なされ、高齢であること自体が生きる意味もないためです。そのうえ、人々は年を取ることを奨励されておらず、高齢者の存在を認識するための教育が共同体社会において不足しています」とされ、さらに、「老年は共同体社会の決定的な部分であり、傷害の期間の3分の1にまで及びますが、時として、高齢者のケアプランはあっても、存在することについてのプロジェクトはない。これは人々の思考能力、想像力、創造性の欠如を示しています」と批判された。
*失われた世代間連携を取り戻せ
また教皇は「若者は美しいですが、『永遠の若者』は非常に危険な幻想です」と警告。 「年をとることは、若いことと同じくらい重要であり、美しいことだ、ということを覚えておく必要があります。すべての年齢の人生を人間らしい水準に戻す『世代間の連携』は、私たちの『失われた贈り物』です。もう一度見つけなければなりません」と訴えられた。