☩「あなたを侮辱する者のために祈りなさい」教皇、年間第7主日・正午の祈りで

(2022.2.20  Vatican News staff reporter)

 教皇フランシスコは20日、年間第7主日の正午の祈りの説教で、イエスを模範にし、自分に誤った振る舞いをする人に、怒りや暴力でなく、親切で応えるように、と諭された。

 この日のミサで読まれた福音書の箇所(ルカ6章27-28節)を題材にされた教皇は、ここでイエスが弟子たちに示された人生の基本的な指針について注目された。そして、「この箇所で、主は、私たちにとっての”リトマス試験”となる『最も困難な状況』について言及されている、と指摘。そして、(注:私たちも含めた)弟子たちは「衝動や嫌悪に屈せず、先に、もっと先に進むように、求められているのです」と語られた。

 続いて、福音書で、イエスが「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい」「あなたの頬を打つ者には、ほかの頬をも向けなさい」と言われたことに言及。「ほかの頬をも向けなさい」という言葉に私たちが不当だと感じるであろうことに触れられた。

 教皇は「イエスが大祭司の前で不当な裁判にかけられている時に、大祭司のそばにいた下役から平手で打たれた時(ヨハネ福音書18章22節)、イエスは、『何か悪いことを私が言ったか。私が正しいことを言ったのなら、なぜ私を打つのか』(同23節)と下役に説明を求めています」とされた。

 そのうえで、「『ほかの頬をも向ける』は、『黙って苦しみを受け、不正に屈する』ことを意味しません。イエスは自分を平手で打った下役に、「なぜ私を打つのか」と尋ねることで、不正な行為を非難されますが、怒りでも暴力でもなく、優しさをもってそうされるのです」と説かれた。

 

*善によって悪に打ち勝つ

 さらに教皇は、「イエスの忍耐強く、謙虚な振る舞いは、ご自身が受けられた平手打ちよりも強い対応です。『ほかの頬を向ける』のは、『敗者が引き下がる』のではありません。『内面に強い力を持つ、善によって悪に打ち勝つ』振る舞いです… イエスがなさった、『すべての復讐を拒む振る舞い』と同じ対応を、私たちの心の中に引き起こすのは、私たちに無償で与えられた、私たちにとって不相応な愛なのです」と強調された。

 そして、「自分がキリスト教徒であることを誇りにしている人たちが、他の人たちを敵と見なし、互いに戦おうと考えているのは、何と悲しいことでしょう」と嘆かれ、「誤った振る舞いをしている人たちのために祈り、私たちの心の中で働いてくださるように聖霊に願う」よう信徒たちに勧められ、「裁判を受けておられる間、耐え、謙虚に振る舞われたイエスに倣いましょう」と呼びかけられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二=聖書の引用の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

 

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2022年2月20日